AI時代にもなくならない仕事はある?特徴や具体例を紹介

AIやロボットの関連技術が急速に進歩する中、将来的に多くの仕事がなくなるという観測が注目を集めています。数十年後にもなくならない仕事の特徴や、具体的な内容を紹介します。なくならない仕事に就くために、今からできる努力についても押さえましょう。

なくならない仕事が注目される理由

事務作業をする女性

(出典) photo-ac.com

なくならない仕事が注目されるようになった背景として、多くの仕事が近い将来なくなるだろうという予測が発表されたことがあります。将来なくなる可能性が高い仕事には、どのような特徴があるのでしょうか。

近い将来、半分の仕事がなくなる?

2014年にイギリス・オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が発表した論文が、論争のきっかけとなりました。そこでは、近い将来におよそ50%の仕事が、AIやロボットに代替される可能性があると予測されていたのです。

この予測は日本国内においても同様とされます。野村総合研究所はオズボーン准教授らと共同研究を行い、日本国内にある601種の職業のうち約49%が10〜20年でAIやロボットに代替可能と試算しました。

そのほかにも将来の仕事について予測したレポートはいくつもあり、人間が行う必要のある仕事は減るとされています。

現存する仕事のうち半分近くがなくなる可能性があるとはいえ、代替可能になると予測されているに過ぎないため、将来に向けて準備はしつつも、冷静に受け止める姿勢が重要です。

なくなる可能性が高いとされる仕事の具体例

将来なくなる可能性が高い仕事として、まずは一般事務が挙げられます。データ入力係のほか、事務員、窓口・受付係などが該当します。

工場・倉庫での作業員や警備員、スーパー・コンビニの店員も、将来なくなる可能性が高い仕事です。すでにAIやロボットで代替されているケースも見られ、現実味があります。

さらにはタクシーやバスの運転手、配達員、収集運搬作業員もなくなる可能性が高いと指摘されています。

なくなる仕事の特徴は?

AIはデータの収集能力や計算能力に優れているため、人間よりもはるかに速いスピードで処理が可能です。さらに長期的に考えた場合、人を雇うよりも費用を抑えられるため、AIを組み込んだロボットが台頭しつつあります。

スポーツの審判員や事務作業員などは処理能力が求められる仕事であるため、人間が太刀打ちするのは困難です。

スーパー・コンビニの店員やタクシー・バスの運転手は、人件費の問題もあり、AIやロボットに代替されていくでしょう。さらに自動車の自動運転機能の進化に伴って、運転手という仕事には人間が介入する余地が減っていくと考えられます。

なくならない仕事の特徴

打ち合わせをしている女性

(出典) photo-ac.com

なくなる可能性のある仕事を確認できたところで、将来なくならない仕事についても見ていきましょう。なくならない仕事には共通した特徴が見られます。特徴を把握しておくことで、なくなる可能性がある仕事かどうか、自分でチェックが可能です。

臨機応変な対応が必要

AIやロボットは単純な作業を行うのは得意ですが、人の感情を読み取って柔軟に対応するのは不得意です。言葉の裏の意味を読み取ったり、気の利いた対応をしたりといったことはできません。

仕事で求められるのは、合理性だけではありません。顧客や関係者の意図や思いをくみ取って、結論を出すことが求められるケースもあります。臨機応変なコミュニケーションを通じて人に価値を与えたり、取引を行ったりする仕事はなくなりません。

複数の領域をまたいで創造する

AIやロボットはデータの収集が得意で、領域を超えての情報収集も可能です。しかし複数の分野をまたいで、データを上手に生かす方法を見出す能力は持っていません。

そのため、幅広い領域を横断する必要のある仕事もなくならないでしょう。さまざまな調査結果を基に理論を打ち立てる研究者や、アイデアを生み出す企画職、多角的に問題点を捉えて解決策を導き出すコンサルタントなどが該当します。

状況により判断が異なる

AIは人間よりもはるかに速く情報を処理できます。ただし情報処理を行うためには、ルールが必要です。

決まったルールに従い処理していけば結論が出る仕事は、AIを導入することで効率化できますが、状況に応じて適切な判断が異なるケースではAIは活躍できません。

単純なルールやマニュアルに落とし込める仕事はAIで代替可能ですが、人の感情が介入する仕事はなくなりません。営業職や弁護士といった仕事は、関係者の感情を考慮した上で結論を導き出すことが必要です。

なくならない仕事の具体例

医者のイメージ

(出典) photo-ac.com

なくならない仕事には3つの特徴があると分かりました。では具体的にはどういった仕事が当てはまるのでしょうか。具体的な仕事の例としては、医療や教育に関わる仕事のほか、クリエイティブな仕事、AIを利用する仕事が挙げられます。

医療・介護・教育・保育関連の仕事

医療や介護に携わる仕事は、AIやロボットに代替されにくいでしょう。医療現場で働く医師や看護師、カウンセラーに加えて、介護現場で働く介護士には、単なる知識や能力だけでなく、患者やその家族に対するホスピタリティが求められます。

医療や介護の現場にAIやロボットが導入されている事例はありますが、判断材料として利用されているだけです。さらに患者への対応には責任を伴うため、責任を取れないAIに代替される可能性は低いといえるでしょう。

教師や保育士も人との関わりがメインの仕事です。単一の作業だけをすればいいわけではなく、さまざまな状況に柔軟に対応する必要があるほか、子どもを預かる責任を伴うため、AIやロボットに代替される心配はありません。

創造性を必要とする仕事

アーティストや作家、スポーツ選手など、クリエイティブな作業を伴う仕事も将来なくならないと考えられます。表面的に体裁の整った作品ならば統計データを基に、AIでも作成可能です。しかし心から人を感動させるような作品をAIが作るのは難しいでしょう。

AIに代替されないためには、課題発見力を磨くことが重要です。AIが持てない人間ならではの感情に真剣に向き合い、新しい切り口を探し出すことが求められます。新しい価値を見つけて生み出す能力があれば、AIに取って代わられる心配はないでしょう。

AIを使う・作る仕事

AIやロボットの普及に伴い、AIを活用したりロボットの開発を行ったりする仕事の需要は高まっていきます。システムエンジニアやデータサイエンティストはAIやロボットの発展に欠かせない存在で、なくなる心配がありません。

具体的には機械学習の研究・開発のほか、ネットワークやサーバーの管理・運用、データベースやセキュリティーの管理などを行う仕事です。

なくならない仕事に就くコツ

履歴書に記入する

(出典) photo-ac.com

なくなる可能性が高い仕事からなくならない仕事に転職するためには、どんな点を意識すればいいのでしょうか。なくならない仕事に就くための2つのコツを解説します。

ニーズやトレンドを理解する

なくならない仕事に就くためには、まずどういった仕事が残るのか判断できる必要があります。具体的な職業や特徴を知るのはもちろん、社会的なニーズやトレンドを把握する点も重要です。

まずはAIやロボットの台頭に伴って、需要の大きくなる仕事について考えるといいでしょう。政策や最新のテクノロジーにも目を向けて、幅広く世の中の動向を追うことも重要です。

社会的な流ればかりに意識を向けるのではなく、時代に左右されないニーズを意識するのも1つの手です。時代や価値観、環境が変わっても必要な仕事は何なのか考えてみましょう。例えば医療は、時代や地域を問わずニーズのある仕事です。

新しい仕事が生まれる可能性も

インターネットやスマートフォンの普及に伴い、WebサイトやSNSなどが生まれ、ブロガーやインフルエンサー、YouTuberなど数多くの仕事が新たに登場しました。

AIやロボットの関連技術が発展することによって、人がする必要のない仕事が出現する一方で、インターネットの普及時と同じように、新しい仕事が生まれる可能性も十分にあります。

具体的にはデータ探偵やゲノム・ポートフォリオ・ディレクター、サイバー都市アナリストなどが挙げられます。職名を聞いただけではイメージしにくいものばかりです。しかしインフルエンサーなどの登場を予測できた人は少ないことから、今後台頭してくる可能性は否定できません。

なくならない仕事には、まだ名前のない仕事も含まれます。既存の仕事の枠組みに縛られず、仕事を探す姿勢も大切です。

スキルを磨くことも重要

ノートを書く女性の手元

(出典) photo-ac.com

なくならない仕事に対してアンテナを張っておくのは大切ですが、なくならない仕事に素早く順応できるように、具体的な行動も重要です。今からコツコツとスキルを磨いて、将来に備えましょう。

AI時代に必要となるスキルとは?

なくならない仕事や新たに生まれる仕事に就くためには、素早く順応できるだけのスキルを持ち合わせている必要があります。状況の差し迫っていない今から、少しずつ準備をしていくことが大切です。

AIに負けないスキルを身に付けるためには、幅広い仕事の経験が必要です。さまざまな業界や職種で経験を積み、複数の分野を横断的に捉えたり、ニーズを見極めるための知識や思考力を身に付けたりすることが求められます。

身に付けたいスキルの具体例

AI時代に求められるスキルは、ハードスキルではなくソフトスキルです。技術的な知識や能力を含むハードスキルももちろん重要ですが、ハードスキルにはAIで代替できるものが多くあります。

AIに代替されにくい仕事の特徴から分かるように、AIは課題発見能力やコミュニケーションスキル、交渉スキルなどのソフトスキルを持ち合わせていません。

AIが台頭する時代には、人との関係性を構築する能力や新しいアイデアを生み出す能力など、人間にしかできない能力・スキルを伸ばしていく意識が重要です。

将来も求められるスキルを身に付けよう

マウスを使いパソコン佐合をするん男性

(出典) photo-ac.com

近い将来、およそ半分の仕事がAIやロボットに置き換わる可能性があります。今後も安定的に仕事をしていくためには、なくならない仕事に転職するか、新しい仕事にすばやく対応できるよう準備しておくことが大切です。

将来にも生かせるスキルは、コミュニケーションスキルや課題発見能力などのソフトスキルです。今のうちからコツコツとソフトスキルを磨き、数十年後に困らないよう備えておきましょう。