職業訓練校とは?受講手当や入学の条件、申し込み方法を詳しく解説

転職を考えているときや失業中に「求職中に何か資格やスキルを身に付けたい」という場合は、職業訓練校がおすすめです。職業訓練校とはどのような施設なのか、対象者や受け取れる給付金・用意されているコースの種類とともに見ていきましょう。

職業訓練校とはどのようなもの?

受付の女性

(出典) photo-ac.com

「職業訓練校」という言葉を聞いたことがある人は、多いのではないでしょうか?とはいえ「仕事のための技術を学ぶ場所」ということ以外に、詳しい内容を知らない人も多いかもしません。

まずは職業訓練校とはどのような施設なのかを確認していきましょう。

主に国や自治体が運営する訓練制度

職業訓練校とは一般的に、失業中または求職中の人が再就職を目指して技術を身に付けるための「職業訓練」を提供する施設のことです。

職業訓練は国や自治体が直接運営する施設のほか、委託を受けた民間の機関でも行われています。近年では「ハロートレーニング」という愛称でも呼ばれるようになりました。

職業訓練には大きく分けて、「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類です。建設関連やIT系から事務・介護・美容まで、さまざまな訓練を受けられるコースが用意されており、2020年には21万5,818人が受講しています。

参照:ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)の全体像|厚生労働省

職業訓練校の対象者と入学条件

職業訓練は求職者全てを対象とした制度です。失業中の人だけでなく在職中でキャリアアップのために転職したい人も、要件に当てはまれば誰でも入学できます。

入学できる要件は、原則として受講開始日からさかのぼって1年以内に公共職業訓練を受講していないことです。これをクリアしていれば雇用保険を受給中の人に限らず、雇用保険を受給できない自営業や主婦(主夫)・フリーランスなども対象となります。

職業訓練校の種類と特徴

パソコンを操作する2人の手元

(出典) photo-ac.com

公共職業訓練と求職者支援訓練は、何が違うのでしょうか?それぞれの対象者や特徴を確認して、自分が受けられる訓練の種類を判断しましょう。

公共職業訓練

公共職業訓練は、対象者別に以下の4種類に分かれています。

  • 離職者向け
  • 在職者向け
  • 学卒者向け
  • 障害者向け

「離職者向け」は主に雇用保険を受給している人が対象です。訓練期間は約3カ月~2年でテキスト代以外の受講料は無料です。「在職者向け」は仕事に就いている人を対象としています。訓練期間は約2~5日と短く、受講料は有料です。

「学卒者向け」は中学・高校の卒業生などを対象とした有料の訓練で、1年または2年かけて訓練します。「障害者向け」はハローワークの求職者のうち、障害者を対象とした無料の訓練です(テキスト代は自費)。

離職者向け・障害者向けの公共職業訓練は、国や自治体の施設のほか都道府県から委託された民間の教育訓練機関でも実施しています。

求職者支援訓練

求職者支援訓練は、主に雇用保険を受給できない人を対象にしたものです。雇用保険を受給していたけれど、すでに受給期間が終了してしまった人も対象になります。

テキスト代以外は基本的に受講は無料で、一定の要件を満たしていれば受講期間中に受講手当や通所手当・寄宿手当などの受給も可能です。

訓練期間は2~6カ月で設定されており、訓練コースごとに厚生労働大臣が認定した民間教育訓練機関などで行います。

職業訓練を受けるメリット

ネクタイを締めるサラリーマン

(出典) photo-ac.com

職業訓練には技術やスキルを身に付けられる以外にも、受講料がかからない・給付金を受け取れるといったメリットもあります。それぞれに条件があるため、1つずつ詳しく見ていきましょう。

ハローワークの求職者無料で受講できる

ハローワークの求職者であれば、公共職業訓練も求職者支援訓練も基本的に受講料はかかりません(テキスト代は自費)。国や自治体が運営する施設だけでなく、民間の教育訓練機関で行われる訓練も無料です。

ただ、公共職業訓練の中でも、無料なのは離職者向けと障害者向けハロートレーニングの2つです。同じ公共職業訓練でも、在職者や学卒者を対象としたハロートレーニングは有料になることに注意しましょう。

就職支援を受けたり資格を取ったりできる

訓練を受けた後、希望があれば資格の取得も可能です。受験料は自費ですが、受験までしっかり訓練を受けられるため、独学が不安な人にとってはうれしいメリットといえるでしょう。

取得した資格は、履歴書の資格欄に記入して転職活動に役立てることが可能です。

また、個別面談やキャリアコンサルティングといった就職支援も受けられます。希望者にはスキルや職業能力の棚卸しや生涯を通じたキャリアプランニングができる、ジョブ・カード作成の支援も行っています。

要件を満たせば給付金を受けられる

ハローワークで求職中の人を対象とした職業訓練では、訓練受講中の生活支援として給付金を受け取れる場合があるのも大きなメリットです。

一定の要件を満たすと、雇用保険(失業給付金)の基本手当に上乗せしてさまざまな給付金・手当が支給されます。訓練期間によっては、雇用保険の受給期間延長も可能です。

失業中・転職活動中は、お金の不安があって十分に勉強できない人も多いはずです。全ての人が対象になるわけではありませんが、訓練を受けながら手当・給付金を受け取れる制度のあるハローワークの職業訓練校は、活用する価値があるでしょう。

職業訓練校で受け取れる手当・給付金

給付金のイメージ

(出典) photo-ac.com

職業訓練校で給付金や手当を受け取るには、一定の要件を満たす必要があります。公共職業訓練の離職者向け訓練、求職者支援訓練それぞれで支給される手当や給付金の種類と要件を見ていきましょう。

公共職業訓練(離職者向け訓練)で受け取れる手当

離職者向けの公共職業訓練をハローワークが必要と認めた場合、一定の要件を満たすことで、雇用保険の基本手当に加えて以下の手当も支給されます。

  • 日額500円の受講手当
  • 通所手当
  • 寄宿手当

雇用保険の受給資格を持つ人がハローワークのあっせんを受けて職業訓練を受講すると、日数分の受講手当(技能習得手当)を受給できます。受講手当の上限は2万円です。

通所手当は施設に通うための交通費で、交通機関のほか自動車の利用も対象となります。通所手当は最高4万2,500円です(通所方法によって変わる)。

寄宿手当は、受講のために自分が養っている同居家族と別居しなければらない場合に受け取れる手当です。月1万700円が支給されます。

また、訓練期間中に雇用保険が切れてしまうときは、訓練開始日に所定給付日数が一定以上残っていれば、訓練終了まで基本手当の給付が延長されます(最長2年)。

参考:ハローワークインターネットサービス - 基本手当について

求職者支援訓練で受け取れる給付金

ハローワークの求職者で雇用保険を受給できない人で要件に当てはまるなら、求職者支援訓練を受講しながら「職業訓練受講給付金」を受給できます。

「職業訓練受講給付金」には、訓練受講手当(月額10万円)と施設までの通所手当(4万2,500まで)、寄宿手当(月額1万700円)が含まれます。

職業訓練受講給付金を受けるためには、下記の条件を全て満たしていることが必要です。

  • 本人の月収が8万円を超えないこと(シフト制などで働く人は月12万円を超えない※)
  • 世帯全体の収入が月40万円を超えないこと※
  • 世帯全体の金融資産が300万円を超えないこと
  • 現在住んでいる場所以外に土地や建物を所有していないこと
  • 訓練の8割以上に出席していること
  • 世帯の中で同じ時期にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいないこと
  • 過去3年以内に不正行為で何らかの給付金を受け取っていないこと

(※2023年3月末までの特例措置)

寄宿手当が給付されるのは「同居の配偶者や子ども・父母などと別居して訓練施設に付属する宿泊施設などに入居する場合で、通所にかかる時間が往復4時間以上」など、ハローワークから受講のために住居変更が必要だと認められたケースです。

参考:求職者支援制度のご案内|厚生労働省

職業訓練校のコース例【Web・プログラミング系】

パソコンを操作する手元

(出典) photo-ac.com

職業訓練校の種類は、習得できるスキルの分野ごとに分かれています。人手不足といわれているWeb・IT系の仕事を目指したい人におすすめのジャンルを、2つチェックしておきましょう。

Webデザイン

Webデザイナーは企業や学校・官公庁などのWebサイトの企画やデザイン・制作などを行う仕事です。

Webデザインのコースにはいくつかの種類があり、コースによって訓練内容は変わります。

主な訓練内容は、Webサイト制作に必要なソフト(PhotoshopやIllustratorなど)の操作やコーディング(HTML・CSS・JavaScript・jQuery)の知識習得、WordPressの実践講座などです。

希望があれば、Webクリエイター能力認定試験やアドビ認定プロフェッショナルなどの資格試験を受験できます。

訓練修了後に就ける仕事は、一般企業のWeb担当やホームページの管理・更新担当などです。

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プログラミング(Java・Python)

職業訓練には、プログラマーになるために必要な知識を学ぶコースも用意されています。プログラマーは、システムエンジニアが作成した設計に基づいてシステムやソフトウエア・アプリなどのプログラミングをする仕事です。

訓練では汎用性の高いJavaや、AIや機械学習の分野に強いPythonといった言語を使ったシステム開発の技術を学びます。希望すれば「Javaプログラミング能力認定試験」「Python3エンジニア認定基礎試験」といった資格試験の受験も可能です。

各コースとも、訓練修了後はシステムエンジニアやプログラマーなどの職種が選択肢に入ります。

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職業訓練校のコース例【事務系】

事務作業をするデスク

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職業訓練校には、事務系の仕事を目指す人向けのコースも豊富です。一口に事務系といっても、一般事務から専門知識を必要とする業務まで、さまざまな分野に分かれています。

国際ビジネス

国際ビジネスとは、海外との取引業務に関わる仕事全般のことです。職業訓練では貿易実務や英文会計などの実務的な知識の習得や、英語のスキルアップのためのTOEIC対策などを行っています。

修了後は、国家資格である通関士やBATIC(国際会計検定)・日商簿記検定試験3級などの受験が可能です。卒業した後の選択肢としては、商社や貿易会社・航空会社などで英語力を必要とする職種が挙げられます。

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一般・OA事務

一般・OA事務とは、企業の営業部門や総務部門などにおける事務職のことです。パソコンの基本的な操作スキルのほか、担当する業務によっては給与計算や経理の知識も必要とされます。

職業訓練ではWordやExcel・PowerPointなどの基本操作やビジネスマナー、会計処理をはじめとした計算処理能力の知識や技能を習得します。

コースによって日商簿記検定試験3級や秘書技能検定試験2級といった資格試験も受けられ、修了後は一般企業の事務職として就労が可能です。

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簿記会計

会計職は、企業のお金の流れに関する業務を行う職種です。日々の入出金の記録や、企業全体の資金の流れを管理します。

職業訓練では、簿記の基礎を学び日商簿記検定試験3級までを目指す初心者向けのコースから、企業会計やキャッシュフローを学習するコースまで用意されています。

簿記の資格試験のほか、日商PC検定試験3級や全経簿記能力検定2級などの受験も可能です。修了後は、受講したコースによって一般企業の経理部門や財務部門・会計事務所などに就労できます。

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社会保険・経理FP

企業の経理や総務部門で、主に社会保険の手続きや所得税の計算などに関する業務を行う仕事です。

社会保険・経理FPの各コースでは、労務・社会保険などの法令読解や手続き書類の作成についての学習、経理業務で必要な簿記3級の知識や会計ソフトの操作方法などを習得します。

日商簿記検定試験3級や国家資格であるファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定3級を受験できます。修了後は一般企業の経理や総務部門、税理士事務所・社会保険労務士事務所などの事務職として就労可能です。

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医療事務・介護事務

医療事務や介護事務は、病院やクリニック・介護関連施設などで働く事務職です。受付や会計業務のほか、医療事務では医療費の計算や診療報酬の請求などを行います。

医療事務のコースでは、医療保険制度の学習やレセプト業務に必要な知識の習得が可能です。未経験者でも調剤薬局や介護施設に就職できるように、調剤事務や介護事務の基本を一緒に学べるコースもあります。

修了すると医療事務や調剤報酬請求事務などに関する技能試験や認定試験を受験できます。病院やクリニック・介護施設・健保組合などの事務職が、修了後の選択肢です。

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公共職業訓練の受講方法

申込書を記入する

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職業訓練は、受けたいコースを選んで申し込むだけで受けられるわけではありません。まずハローワークでの求職の申し込みを済ませてから、希望のコースを選んで選考を受けましょう。受講までの流れを詳しく解説します。

ハローワークで求職の申し込みをする

職業訓練は、原則としてハローワークを通じて求職活動をする人のための制度です。離職者向けの公共職業訓練でも在職者向けの求職者支援訓練でも、受講するにはまず、自分が住んでいる地域を管轄するハローワークに求職を申し込む必要があります。

求職を申し込み職業相談を受けて初めて、職業訓練の対象となるのです。職業相談を受けたときに、職業訓練を受けたい旨を伝えましょう。

求職の申し込みにはハローワークに直接出向いて手続きする方法と、自宅のパソコン・スマホなどの端末からオンラインで申し込む方法があります。

参考:ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)|厚生労働省

コースを選んでハローワークに申し込む

求職の申し込みが完了し、求職支援制度の説明や職業相談を受けたら、希望のコースを選択します。職業訓練受講給付金を希望するときも、このタイミングで相談しましょう。

ハローワークが再就職のための訓練として必要だと判断すれば、受講申込書が渡されます。必要事項を記入して、募集期間内に申し込み手続きを済ませましょう。済んでいるエリアで受講できるコースは、ハローワークインターネットサービスのページからも検索が可能です。

ただし、ハローワークから訓練が必要ないと判断されると、希望のコースに申し込めないこともあります。

ハローワークインターネットサービス - 職業訓練検索・一覧

選考試験や面接を受ける

書類選考の後、実際に訓練を実施する施設で学科試験(国語・数学)や適性検査・作文などの試験を受けます。職業訓練を受ける前に、受講を希望する人が十分に訓練を受けられる状態だと確認しなければならないためです。

学科試験には、義務教育修了か高校卒業程度の問題が出題されると思ってよいでしょう。

受講するコースに関連する試験や、面接を行う場合もあります。面接では訓練で学んだことをどう転職活動に生かしたいかなどをアピールできるよう、準備しておくのがおすすめです。

合格したら受講あっせんを受ける

選考試験に合格したら、ハローワークに選考結果通知書を持参し「就職支援計画書」の交付を受けましょう。職業訓練校に入学するには、ハローワークからの受講あっせんが必要です。

受講のあっせんは、以下の要件をどちらも満たした場合にのみ受けられます。

  • ハローワークから適職に就くために職業訓練の受講が必要であると認められている
  • 職業訓練を受けるために必要な能力を持っていると判断されている

就労支援計画書の交付は、受講あっせんを受けたことの証明です。交付をもって職業訓練校への入学が正式に決定します。

在職者訓練は直接施設に申し込む

在職者向け訓練の申し込み方法は、離職者向けの公共職業訓練や求職者支援訓練とは違います。ハローワークへの求人申し込みや職業相談は必要ありません。トレーニングを実施している施設に、直接連絡して申し込みましょう。

在職者向けに行われるハロートレーニングの種類は、国が実施するものと都道府県が実施するものの2種類です。詳しい情報を知りたい人は、最寄りの生産性向上支援センターや各都道府県に問い合わせてみましょう。

ポリテクセンター
ポリテクカレッジ

職業訓練校で転職に役立つスキルを習得しよう

パソコンを操作する男性

(出典) photo-ac.com

職業訓練校は、さまざまな職種や業務に必要なスキルや技能を習得できる場所です。ハローワークの求職者であれば、テキスト代以外は無料で職業訓練を受講できます。

要件に当てはまれば受講手当が給付されるため、経済的余裕がない人でもスキルアップに取り組みやすいはずです。

職業訓練では複数の分野でコースを展開しているため、新しくチャレンジしてみたい業界や職種への転職にも役立ちます。職業訓練で役立つスキルを身に付けられれば、キャリアの幅がグッと広がるでしょう。