企業の募集要項で見かけることのある「4週6休」とは、どのような働き方なのでしょうか?休みの取り方やシフト制との違いを解説します。4週6休で働くメリットとデメリット、面接で休日について質問するときのポイントも併せて知っておきましょう。
4週6休とは
求人票や募集要項に「4週6休」と書かれていることがありますが、どのような意味の言葉なのでしょうか?「週休2日」「完全週休2日」は聞いたことがあっても、4週6休は聞き慣れないかもしれません。
言葉の意味やシフト制との違いを見ていきましょう。
4週間のうち6日休む働き方
学校でも週休2日が浸透しているため、4週6休のイメージがつかみにくい人もいるでしょう。
4週6休は、4週間の間に6日休むスタイルの働き方です。完全週休2日制の企業と比べると、休みは少なくなります。
1週間に休む日数は固定ではなく、状況によって変わります。毎週日曜日が固定で他の曜日は隔週で1日休むスタイルや、4週間のうち6日間好きな日に休めるなど企業によって設定方法はさまざまです。
業種によっては企業自体や店舗が年中無休のところも多く、土日が必ず休みになるとは限りません。4週6休の企業ではどのような休日の取り方になっているのか、転職前にあらかじめ確認しておきましょう。
シフト制との違い
シフト制とは「他の従業員と休みを調整し、一定期間ごとに労働日や時間を決める勤務形態」のことです。休日が固定の固定勤務制と違い、休日の曜日が毎週違うことも少なくありません。
シフト制は休日の日数を問わず、一定期間ごとに勤務日を決めることが特徴です。それに対し4週6休は、休みの日数を表します。4週6休であっても休日の取り方が固定となっている場合もあるため、シフト制とは意味が異なると考えておきましょう。
4週6休が多い業界
4週6休が多い業界としては、「人手が足りない業界」や「年中無休で稼働している業界」が挙げられます。
特に24時間営業かつ年中無休のホテルや、店舗の休みが週1日に設定されている美容室など、常に人員を必要とするサービス業では4週6休のところが多く見られるでしょう。
医療・介護系も24時間稼働で人手が足りないことから、4週6休を導入するところもあります。その他、建設業界ではかつて4週4休が中心でしたが、現在は4週6休以上の休日を設定するところが増えているようです。
4週6休は違法ではない?
学校や職場では週休2日が浸透し、法定労働時間は週40時間と定められています。4週6休には、法律上の問題はないのでしょうか?労働基準法上のルールを知っておきましょう。
労働基準法には違反していない
労働基準法では、週に1日以上の休日か4週間に4日以上の休日を設けるよう定められています。4週6休は4週4休を超えているため、違法ではありません。
日本では1987年の改正まで週48時間労働が一般的だった経緯もあり、完全週休2日制が義務とはなっていないのが現状です。1週間に6日間働くと定めたからといって、必ず違法となるわけではありません。
ただし、法定労働時間(週40時間)を超える時間外労働が発生する場合、割増賃金の支払いが必要になります。
変形労働時間制を併用している場合が多い
労働基準法では、1日8時間・週40時間が労働時間の上限となっています。しかし、4週6休では週の労働時間が40時間を超えることが多いため、「変形労働時間制」を導入するのが基本です。
変形労働制とは、1カ月以内または1カ月以上1年以下の期間を定めて総労働時間を計算し、平均して週40時間以下であれば、どこかの日や週に法定労働時間を超えてもよいとする制度です。この場合、超過した時間に対して割増賃金を支払う必要はありません。
例えば年末年始やお盆の長期休暇を含めて計算し、1年間で平均すると1週間当たりの労働時間は少なくなるでしょう。
変形労働制を採用していない職場で従業員を週6日働かせると、1日当たりの勤務時間は6時間40分が上限となります。ただ、1日当たりの勤務時間数を6~7時間に調整するのは難しいため、変形労働制を利用する企業が多いのです。
4週6休のメリット
4週6休には、メリットもあります。休みは少ないものの、多様な働き方ができるでしょう。4週6休を導入している職場で働くメリットを紹介します。
柔軟な働き方がしやすい
4週6休は普段の休みが少なくなる反面、世間の休みにとらわれず柔軟な働き方をしやすいというメリットがあります。特にシフト制を導入する企業であれば、用事に合わせて休みを調整しやすいところが魅力です。
また、4週6休でも、時間外労働を発生させないよう1日7時間労働を導入している企業もあります。1日の労働時間が短ければ、ダブルワークや家事・育児との両立もしやすくなるでしょう。
医療系や個人経営の店舗では、変形労働制を採用した上で年末年始やお盆休みを長く設定し、1日8時間労働ができるよう設定しているところもあります。普段は休みが少なくきついと感じても、長めの休みがあればゆっくり羽を伸ばせるでしょう。
平日に休みが取れる
4週6休を取り入れている企業には、サービス業のように土日が稼ぎ時となる業界が多く見られます。シフト制を取り入れる職場が多く、土日が休めない分、平日の好きな曜日に休みを取りやすいのが特徴です。
平日休みには、銀行や役場での手続きがスムーズに進む・土日の混雑を避けてレジャーや旅行を楽しめるというメリットがあります。平日にはお客様が少ないことから、土日に行くより安く楽しめる施設もあるでしょう。
4週6休のデメリット
4週6休の企業に転職を考えている人は、あらかじめ知っておいた方がよいデメリットも押さえておきましょう。休日少なさ、世間の休みとのズレが主な問題です。
年間休日数・連休が少ない
4週6休の職場では、当然ながら完全週休2日制よりも年間休日数が減ります。完全週休2日制では104日以上ある年間休日が、4週6休で祝日や長期休暇がない職場では最低78日と、30日程度も少なくなる計算です。
土日祝日が休みの企業と比べると、連休が少ないのもデメリットです。1回しか休みがない週は、連続勤務で疲労がたまることも考えられるでしょう。
ただ、4週6休でも長期休暇が長ければ、年間の休日数は増えるでしょう。転職前には、その企業の祝日や長期休暇の扱いをチェックすることが大切です。
土日休みの友人や家族と予定を合わせにくい
土日に忙しくなる業界では、休みが平日に偏ります。
その場合、土日休みの企業で働いている友人や家族と予定を合わせにくくなるというデメリットがあります。周囲に土日休みの人が多ければ、一緒に遊びに行くことが難しくなるかもしれません。
また、土日限定で行われるイベントへの参加も難しくなるでしょう。4週6休でも土日に休みたい人は、業界の傾向や休める曜日を確認しておく必要があります。
休みを増やす方法はないの?
4週6休の仕事への転職を考えていて、休みの少なさが気になる人は多いでしょう。できるだけ多く休む方法として、何が考えられるのでしょうか?対策を2つ紹介します。
事前に有給休暇の取りやすさを確認
4週6休の企業であっても、有給休暇は発生します。有給休暇は勤務年数によって最大で年間20日あり、全て取得できれば1カ月当たり1~2日は休日が増えるでしょう。
2019年4月からは、有給休暇が10日以上付与される従業員に年間5日の取得が義務付けられるようになりました。4週6休でも、年間5日の有給を合わせれば2回休める週が増えます。
ただ、どれだけ与えられた有給休暇を消化できるかは、企業の体質や人員が足りているかどうかにもよります。4週6休を導入している企業は、あえて休日を少なくしていることからも休みづらい環境が予想されます。
入社後「有休が取れなかった」と後悔しないよう、事前にその企業の従業員がどれだけ有給休暇を取れているのか確認しておきましょう。
完全週休2日の仕事も選択肢に
最低年5日の有給休暇を含めても4週6休では足りないと感じるなら、完全週休2日の仕事も視野に入れて転職活動を進めましょう。
特に体力のあまりない人や連続勤務で疲労がたまりやすい人は、入社後に体調を崩す可能性もあります。仕事面で魅力的な企業であったとしても、体や精神が疲労すると継続は困難です。
募集要項に4週6休と書かれている場合、交渉によって変更してもらえることはまれです。4週6休のスタイルが向いていないと思うなら、無理をせず完全週休2日の企業に絞って転職先を探すのが基本です。
完全週休2日制も含め複数の条件で絞り込みができるスタンバイで、効率的に求人を探しましょう。
面接で休みやすさについて聞くコツ
面接時には、入社後の休みについて確認しておきたいものです。しかし、場合によっては悪い印象を与えてしまう可能性があることに注意が必要です。質問するときの言葉選びや、タイミングについて見ていきましょう。
悪印象にならない言葉の選び方
待遇面の質問は、言い方によって「仕事の内容よりも待遇が気になる人」という印象を与えてしまいます。休日・有給休暇についての質問は、言葉選びに注意しましょう。
休日について質問する際、「有休は全て取れますか?」「日曜は必ず休みたいのですが」というようにストレートな言い方では、わがままな人と思われかねません。
「仕事で力を発揮するため、健康管理のためにも休息を確保したいと考えている」「有給休暇や休日を活用して、業務に役立つ資格試験の勉強をしたい」というように、仕事への前向きな姿勢を見せながら休みについて聞き出しましょう。
質問するタイミングにも注意
休日など待遇面の質問をする際は、言葉選びだけではなくタイミングも大切です。
面接が始まってすぐ休みについて質問すると、仕事への熱意が感じられず待遇面だけを気にする印象を与えてしまいます。面接官から待遇についての話があったり、終盤に「質問はないか」と聞かれりした際に尋ねるのがおすすめです。
面接が複数回行われる場合は、一次面接よりも最終面接や入社前の面談で確認する方が、先走った印象を与えずに済むでしょう。
4週6休の働き方の特徴を理解しよう
4週6休の企業で働くとなると、年間休日が少なくなるというデメリットがあるため、不安に感じる人も多いでしょう。しかし、代わりに平日に休みが取りやすいといったメリットもあるので、一概に悪いというわけではありません。
自分の生活スタイルに合っているかを検討した上で、転職するかどうかを決めましょう。
面接で休日について確認するときは、言葉選びやタイミングに注意し仕事への熱意が伝わるよう意識することが大切です。