キャリアプランは、転職や人生設計に必要なものです。特に女性は、結婚・出産などがキャリアに影響を与えることが多いため、しっかりプランを立てておきましょう。女性のキャリアプランの立て方やポイントについて、例文付きで解説します。
女性のキャリアプラン例
どのような働き方をしていきたいのかによって、進むべき方向やアピールポイントが変わってきます。まずは理想とする仕事のスタイルを明確にしましょう。女性のキャリアプラン例を3パターン紹介します。
結婚・出産後もバリバリ働きたい
共働き世帯が珍しくない現代では、結婚・出産後もバリバリ働きたいと考えている女性は多いでしょう。しかし実際問題として、家事・育児の負担が女性側に大きくのしかかり、キャリアを諦めざるを得ないケースも少なくありません。
結婚や妊娠・出産を経てキャリアを築くには、会社や周囲の人の理解と協力が不可欠となります。
結婚・出産後もバリバリ働くことを望んでいる場合は、育児休暇・産休などが充実している会社を選択する必要があるでしょう。
キャリアプランを伝えるときは「将来的に家庭を持っても仕事とのバランスを取り、御社で活躍したいと考えています」と前向きな表現を心がけましょう。
子育てに専念したい
結婚・出産を考えている女性の中には、仕事よりも育児・プライベートを重視したいという女性もいるでしょう。この場合は、現実問題としてキャリアについて妥協しなければならない部分も出てきます。
正社員は基本的に長く働き続けられる人を求めているため、結婚・育児で仕事から離れる可能性が見えれば、採用に消極的になる企業も少なくありません。
キャリアよりもライフイベントを大切にしたい場合、派遣社員やパート・アルバイトなどの働き方を選択するのも1つの方法です。
結婚はせずキャリアを築きたい
結婚・出産はせず定年まで仕事に打ち込むのも、女性が選べるキャリアプランの1つです。
ライフイベントが働き方を左右する可能性が少ないため、キャリアを築きやすく、役職を目指せる可能性も高くなるでしょう。
ただし、家庭を持つかどうかはあくまでプライベートなことなので、応募する企業に対して結婚・出産を考えていないと大々的にアピールする必要はありません。
面接では「この先もキャリアを最優先に考えており、仕事の知識習得や資格資格試験のために勉強する時間も十分に取れます」と伝えれば、十分に熱意をアピールできるでしょう。
女性のキャリアプラン回答例文【職種別】
キャリアプランを聞かれたときの答え方に悩む女性も多いでしょう。回答の例文を職種別に紹介します。仕事の内容によってアピールすべき実績やポイントが異なるため、希望職種に合った例文を参考にしましょう。
具体的な数字を盛り込みたい「営業」
営業職のキャリアプランでは、実績においても今後の目標においても、売上や年数・件数など具体的な数字を示すことで信ぴょう性が高まるでしょう。
【例文】
私は海外営業として活躍したいと考えています。まずは国内部門で御社の商品や顧客との関係構築について学びながら経験を積み、3年で部門売上1位を目指します。
そして5年後には、海外営業として世界中に御社の商品を広げる役割を担いたいと思っています。
御社では年齢に関係なく、多くの女性社員が海外営業として活躍していると伺いました。私自身も長期的にキャリアを築いて、最終的には海外営業部門のリーダーになることを目標に努力していきます。
取りたい資格もアピールポイントに「事務」
事務職には、一般事務・営業事務・経理事務・貿易事務などさまざまな種類があります。目指す事務職に求められる実績・スキルをアピールしつつ、将来的に取得予定の資格について触れると熱意を伝えられるでしょう。
【例文】
私は、専門性の高い貿易事務のスペシャリストになりたいと考えています。前職でも貿易事務として勤務し経験を積んできましたが、より広範囲の業務に携わりたいと思い、自社で通関業務を行っている御社を志望するようになりました。
目標としては、現在勉強中である通関士の資格を今年中に取得し、3年後にはTOEIC800点を取りたいと思っております。
ゆくゆくは海外支社と円滑にやり取りしながら、御社の輸入業務を中心で支えられるような存在になれることを目指して努力してまいります。
顧客の視点が大切「販売」
販売職のキャリアプランとしては、店長やバイヤー・マネージャーなど複数の選択肢があります。目指すポジションを具体的に明示し、生かせる経験・知識をアピールしましょう。
【例文】
前職ではアパレルの販売員として商品のおすすめポイントやコーディネートなどをアドバイスする機会が多く、だんだんと提案する商品を自分で企画したいという気持ちを持つようになりました。
お客様との会話の中で気付いた「お客様の視点」に立つことを大切に、将来的には商品企画に携わりたいと考えています。
まずは、御社でもお客様の声をじかに聞ける販売員として経験を積み、3年をめどにエリアマネージャーを目指します。その後は販売や店舗経営で得た知見を生かし、企画に携わる立場としてお客様の求める商品を生み出すのが目標です。
目指す立場を具体的に「エンジニア」
エンジニアの場合は分野にもよりますが、技術者としてのスキルを極めたいのかマネジメントのポジションになりたいのかでアピールの方向が変わってきます。進みたいキャリアに合わせた実績・エピソードを盛り込むようにしましょう。
【例文】
私は、将来的にプロジェクトマネージャーとして活躍したいと考えています。
最初の2年間はエンジニアとしてシステム開発・設計に携わり、3年目以降にプロジェクトリーダーとして、責任感のある立場で開発に携わっていきたいと思っています。
リーダーとしてマネジメント力を高めたら、10年以内にプロジェクトを統括するマネージャーとしての立場になることが目標です。
エンジニアとしての経験はまだ浅いですが、未経験から始めた女性社員も多く活躍している御社の柱となって会社を支えていきたいと考えています。
女性のキャリアプラン回答例文【年代別】
キャリアプランを答えるとき、アピールしたい内容は年代によっても変わってきます。年代別の回答例文も、ポイントとともに見てみましょう。全年代共通して職種は「営業職」と仮定します。
成長意欲を見せたい「20代」
20代は、経験よりもやる気やポテンシャルが重視される傾向にあります。アピールできる経験があればもちろん強みになりますが、十分な実績がない場合や異業種に転職希望の場合には、これからスキルを習得していく意欲を見せると効果的です。
【例文】
私は法人営業のスキルを持った営業を目指しています。前職では3年間個人営業として働いており、支店で売上トップになるなど、お客様に自社商品の魅力を伝えることにやりがいを感じていました。
そこでさらに多くのお客様を対象に営業活動をしたいと思い、法人営業を目指すようになりました。まずは法人営業のやり方を学ぶところからのスタートですが、3年以内を目標に御社でも売上トップの営業になることを目指します。
また、新規開拓も積極的に行い、5年後には業界シェア上位のメーカーにできるよう営業活動に努めていきたいと考えています。
経験やスキルをアピールできる「30代」
30代の転職面接では、これまでの実績・経験をもとに、入社後に即戦力として何ができるのかをアピールすることが重要です。
また、30代は結婚・出産などのライフイベントが生じやすい年代のため、キャリアプランとライフプランを合わせて考える必要もあります。
【例文】
前職では、ベンチャー企業で5年間営業チームのリーダーとして、メンバーを引っ張る立場にいました。
売上1位のチームリーダーとして毎日夜遅くまで仕事に没頭してきましたが、30代になりライフプランを考えたときに、働き方を変える必要があると思うようになりました。
営業として積み上げてきたスキルを生かして今後も前線で活躍したいことはもちろんですが、産休や育児休暇が充実している御社では特に活躍できると考え、応募しました。プライベートと仕事を両立させながら、どちらにも全力で取り組みたいと考えています。
御社の子育て支援制度を活用しながら、10年以内には営業リーダーになることを目標に努力してまいります。
マネジメントのスキルも伝えたい「40代」
管理職候補としての採用も多い40代では、指導力や育成者としてのキャリアをアピールできると効果的です。
40代で異業種へ転職するのはハードルが高く、子育てなどでブランクがある場合も、ブランクをカバーできるようなスキルが求められると考えておきましょう。
【例文】
5年前に初めての出産を経験して心身ともにボロボロになっていたときに、御社のベビーフードに出会って非常に助けられた経験があります。そして、この商品を世の中のお母さんたちに広めたいと強く思うようになりました。
私はこれまで3社で営業職に従事し、指導係として多くの若手社員の教育に携わってきています。その経験を生かして、販路の確保や新規開拓のノウハウなど、女性営業職の育成にも力を入れていきたいと考えています。
また、働く女性のロールモデルになれるよう、10年以内には御社で女性初の幹部になることが目標です。
なぜキャリアプランが必要なのか?
キャリアプランが双方にもたらす役割を知ることは、広い視野を持って計画を立てる手助けとなります。キャリアプランが必要な理由を、社員側・企業側の両観点からチェックしてみましょう。
社員にとって必要な理由
1社で働き続けていれば、自動的にキャリアが築き上げられていく終身雇用制度が不確かになってきた現代では、キャリアは自ら形成していく必要があるものとなりました。
長く働いていればキャリアアップできるという保証はないため、キャリアプランをしっかり描き、変化に対応しやすい体制を整えていく必要があります。
働く人にとってキャリアプランは、不安定な現代で安定してキャリアを築くための柱といえるでしょう。
企業にとって必要な理由
企業側としては、社員1人1人のキャリアプランに沿った働き方を提供することで、人材の流出を防ぐことができます。
特に優秀な人材ほどキャリアアップを求めて自主的に行動する傾向にあるため、今の会社で求めるキャリアが得られないと判断すると、転職もいといません。
優秀な人材に長期的に働いてもらうには、企業が個人のキャリアプランを理解し、実現に向けてサポートすることが求められます。人材確保のため、企業によっても応募者が今後どのように働きたいのかは重要なのです。
キャリアプランを立てるメリット
キャリアプランは働く上で重要な指針となるため、会社員として働く以上は立てておいて損はないでしょう。具体的なメリットとは何なのでしょうか?
やるべきことが明確になる
キャリアプランを立てると、目標に向けて今何をすべきかが明確になり、無駄なアクションもなくなります。
例えば、3年後に営業のチームリーダーになるという目標を掲げていた場合、1年目で目標売上を達成・2年目で後輩の指導役になる・3年目でチームリーダーに昇進するといったように、具体的な計画に沿って最短距離で目標に向かっていくことが可能です。
また、軸となる計画があることで、取得したい資格や勉強する内容の優先順位も付けやすく、着実なスキルアップを目指せます。
仕事へのモチベーションが上がる
明確な目標があると日々の仕事を何のために行うのかがはっきりとするため、仕事へのモチベーションが上昇します。
やるべきタスクが最終的な目標にどう役立つのかを把握しているかどうかで、発揮できるパフォーマンスも変わってくるはずです。
また、小さなゴールを達成したら欲しいものを買う・好きなものを食べるなど、自分へのご褒美が設定しやすくなるのも、キャリアプランをもとに目標を立てるメリットです。より一層モチベーションを保ちやすくなるでしょう。
チャンスが舞い込んできやすくなる
やりたいことやなりたいものが明確になっていると、自身の目標に近付くためのチャンスに敏感になれます。
例えば、若手を指導するポジションを目指している場合は、人材育成セミナーの情報を検索するといった、目標に向けて自ら動く行動を増やせるでしょう。
また、キャリアプランを周囲に共有することで、他者からチャンスをもらえる機会も増えます。話した計画を周囲の人が思い出して、声をかけてくれる可能性があるでしょう。
キャリアプランは自分の中だけにとどめず、まわりにも積極的に発信していくのがおすすめです。
キャリアチェンジの判断に役立つ
キャリアプランがあることで、転職や独立などのキャリアチェンジにおける正しいタイミングを見極めやすくなります。
逆にプランがないと、「何となく仕事が嫌だ」「飽きたので新しい仕事をしてみたい」など曖昧な理由で転職することになり、辞めなければよかったと後悔する可能性もあるでしょう。
転職先でかなえたいことが明確に把握できていると、転職すべきかどうか・正しいタイミングなのかという判断に役立ちます。
キャリアプランを立てる手順
キャリアプランは3つのステップに沿って、過去を深堀りしながら未来に向けての細かな計画を立てていきましょう。それぞれの段階でする作業を解説します。
今までのキャリアを振り返る
まずはこれまでのキャリアを振り返り、成し遂げたことややりがいを感じたことをピックアップします。それまでの仕事から得たものを、次のカテゴリーに分類してみましょう。
- やりがいを感じた瞬間
- 楽しかったこと
- どのような実績を上げたか
- 仕事を通じて得たスキル
- 上司や同僚に褒められたこと
これらを洗い出し、自分自身が仕事をする上で、何に価値を感じて何を得たのかを書き出します。最初は思いついた経験・思いを全て書き出し、1つ1つカテゴリー分けしていくのもよい方法です。
期間を設定して目標を定める
過去の経験から得たものを整理できたら、次は未来に向けての計画を立てていきます。1年後・3年後・5年後・10年後など、期限を設定してそれぞれの期間に達成したい目標を決めていきます。
時期ごとに決めたい要素は次の通りです。
- どのような仕事をしていたいか
- どのようなポジションに就いていたいか
- どのような働き方をしていたいか
- どのようなスキルを習得していたいか
- 周囲からどんな評価を得ていたいか
これらの項目をもとに、目標を具体的に定めていきましょう。例えば、就きたい業務の種類は、何の資格を取ればよいのかを考える目安になります。
目標に向けて現状を改善していく
目標を設定したら、次は実現するためにやるべきこと・現状では足りていないことを明確にしていくステップです。
例えば、1年後までに資格を取ることを目標に掲げたとしたら、どのような勉強が必要で、何カ月後までに何を習得する必要があるかを計算していきます。
また、10年後に管理職になることを目標とした場合、そのために3年後・5年後にどのようになっている必要があるか、最終目標から逆算してやるべきことをリストアップしていきましょう。
女性がキャリアプランを立てる際のポイント
キャリアプランを考えるに当たって、押さえておきたいポイントが何点かあります。女性ならではのライフイベントとのバランスも考慮して、プランを立てていくことが重要です。
現実的に可能かどうかをよく考える
計画は実現していくためのものなので、あまりにも現実的でない内容には設定しないのが基本です。
例えば、「1年後に年収300万円から年収1億円になる」「50代未経験でパイロットになる」などの目標は、絶対にかなわないとは限らないものの、現実的に考えると可能性は限りなく低いでしょう。
理想を高く持つのは大事なことですが、1年後・3年後・5年後・10年後というスパンで考えて、実現できそうな目標を設定していくことが大切です。
ライフプランも踏まえて作る
男女平等が叫ばれる現代においても、結婚・出産などで環境が変わるのは、まだ女性の方が多いのが現実です。
キャリアプランだけを軸に考えていると、ライフイベントによって計画がどんどんずれていくという事態になりかねません。そのため、あらかじめライフプランも並行して設定する必要があります。
ただし、ライフプランはキャリアプランに比べて、計画通りに進めるのは難しい側面があります。特に結婚・出産は相手の事情も関わってくるため、希望の年にできるとは限りません。
予定外の出来事で急にライフプランが変化することもあるため、その時々に合わせて臨機応変に対応しましょう。
定期的に見直して軌道修正する
キャリアプランはあくまで現時点での目標であり、その通りに人生を進めなければいけないとは限りません。目標が変わる場合もあれば、予想外の方向に進むケースもあるでしょう。
環境や気持ちの変化があったり進行の前後があったりしたら、その都度軌道修正していくことが大切です。
当初立てた目標を達成できていないからといって自分を責めず、自分のペースや環境に合ったプランにアップデートしていきましょう。
面接でキャリアプランを伝えるときの注意点
面接でキャリアプランを聞かれたとき、答え方にはいくつかの注意点があります。面接における答え方として、気を付けたいポイントを覚えておきましょう。
具体性のない内容はNG
面接でキャリアプランについて聞かれた際に、「分からない」という回答や、「尊敬される人になりたい」など具体性のない内容を答えるのはNGです。
将来の目標や理想を持っていないと、目的もなくただ仕事をする人という印象や、長続きしないのではという不信感を与えてしまう可能性もあります。
また、面接では必ずしも「あなたのキャリアプランは?」とストレートに聞かれるとは限りません。以下のような例もあります。
- 面接官の質問例:5年後どのような人物になっていたいですか?
- 回答例文:5年後には貴社の営業部リーダーとして、メンバーを引っ張るポジションに就きたいと思っております。
面接官の聞き方に合わせて、今後目指したい働き方・ポジションを伝えるように回答を心がけましょう。
応募先の企業に合った内容に
応募先の企業ではかなえられない内容や、会社の理念に全く合っていない内容を伝えると、本当に志望しているのかどうかを疑われる原因となります。
業務内容や企業理念・力を入れていることなど入念に企業研究で調べ、できるだけ応募先の企業に合った内容を述べましょう。回答の例文は以下の通りです。
- 全ての社員が自発的に働ける環境を目指す、御社の理念に共感しました。3年後までには、各社員のスムーズな営業活動を助けられるツールの導入を進め、自発的な行動をサポートできる総務事務員を目指したいと考えています。
目指すキャリアプランとマッチする会社を探すには、転職サイトでできるだけ多くの求人を確認することも重要です。豊富な求人件数を誇るスタンバイでは、働き方やこだわりから求人を探すことができます。
理想に合った企業を見つけ、生かせるスキルや目標を面接でしっかりとアピールしましょう。
例文を参考にキャリアプランを伝えよう
キャリアプランは、転職を成功させるためだけでなく理想の人生を歩むためにも欠かせないものです。目指す人物像や希望の仕事・理想とする働き方を明確にし、目標に向かって着実にステップアップしていきましょう。
希望する職種や年代によって、企業から求められる要素は変わってきます。紹介した例文を参考に、しっかりと自分の理想や熱意を伝えられるキャリアプランの回答を作成しましょう。