選考通過メールにどう返信すべきか、頭を悩ませてはいませんか?就職を希望する企業への印象は、なるべくよくしておきたいものです。転職者必須のメールの基本と応用を習得し、具体例を参考に返信メールを作成してみましょう。
この記事のポイント
- 選考通過メールには返信するべき?
- 返信が必要かどうかは、選考通過メールの内容によります。大量募集の書類選考において、次の選考日程が周知されている場合や不合格通知には、特に返信する必要はありません。また「返信不要」と記載がある場合は、返信は控えた方が賢明です。
- 選考通過メールに返信が必要なケース
- 「返信不要」の記載がなく、返信可能なアドレスから受け取ったメールには返信をしましょう。返信の有無では選考結果は変わりませんが、選考の機会をもらった感謝を伝え、次回選考の日程を確認を行なうことで、企業側の採用担当者は安心できます。
- 選考通過メールへの返信マナー
- メールを受け取ったら、できる限り当日中に返信するよう心掛けましょう。もし24時間を超えてしまった場合は、返信が遅れたことに対するお詫びの言葉を添えるとよいでしょう。誰から送られたメールなのか分かるように、あいさつ文の後、すぐに名乗りましょう。
選考通過メールには返信するべき?
選考通過メールには、返信が必要なケースと不要なケースがあります。まずはメールの内容から、返信の要不要を判断しましょう。
返信するかどうかの見極め方
返信が必要かどうかは、選考通過メールの内容によります。大量募集の書類選考において、次の選考日程が周知されている場合は、特に返信する必要はありません。
応募者全員に通知している場合、企業によっては送信専用アドレスを使っていることもあり、たとえ返信したとしても採用担当者に届くことはないでしょう。
また、文末に「返信不要」と書いてある場合は、かえって迷惑になってしまう可能性があるため、返信は控えた方が賢明です。なお、不合格通知にも返信は要りません。
上記以外の選考通知であれば、基本的に返信するものだと考えておきましょう。
選考通過メールに返信が必要なケース
どのような返信をするかは、転職活動の状況によって変わります。返信が必要なケースを3つ紹介するので、自分の状況に合わせて適切な返信をしましょう。
「返信不要」の記載がない
「返信不要」と記載がなく、返信可能なアドレスから受け取ったメールには返信をしましょう。返信の目的は、選考の機会をもらった感謝を伝え、次回選考の日程を確認するためです。
返信の有無では選考結果は変わりませんが、きちんとメールが届いたことが伝われば、企業側の採用担当者は安心できます。
また、正しいマナーで書かれた返信メールがあった方が、企業がよい印象を抱く可能性も高まります。選考人数が少ない場合は、より効果的です。
加えて、意欲を伝えるよい機会にもなります。丁寧な返信メールを送って、同じポジションを狙うライバルに差をつけましょう。
選考日程を調整してほしいとき
選考通過メールを受け取ったら、何よりも先に次回の選考日程を確認します。もしそこで調整が必要であることが分かったら、速やかに返信しなければいけません。
日程を調整する必要があるケースは、2通り考えられます。まずは、企業側から候補日がいくつか送られてきた場合です。返信には「いつでも」ではなく、はっきりと希望日を伝えましょう。
もう1つは、応募者の都合で調整が必要になる場合です。特に仕事をしながら転職活動をしていると、どうしても外せない予定が入ることもあります。
その場合は、こちらから日程を提案します。企業側が合わせやすいよう、希望日は1日だけでなく、1~2週間の間で3〜4つの時間帯をピックアップしましょう。
選考を辞退したいとき
選考通過メールを受け取った時点で、辞退を考えているケースもあるでしょう。ほかの企業から先に内定をもらっていることもあれば、選考後に希望が変わることも珍しくありません。
もし辞退するのであれば、なるべく早くその旨を伝える必要があります。辞退のメールを受け取るのが早いほど、企業は次の採用業務を早く進められるからです。
また、企業側は採用選考に人材と時間を割いているため、お礼とお詫びをするのがマナーといえます。似たような業界に就職すれば、どこかでその企業とつながりができるかもしれません。
ほかの応募者へチャンスを回すためなのはもちろん、自分の評価を落とさないためにも、きちんと辞退の意思を伝えましょう。
選考通過メールへの返信マナー
企業とやりとりするメールには、いくつか暗黙のルールがあるのをご存知でしょうか?プライベートとは少し違う、ビジネスメールのマナーを解説します。
24時間以内に返信する
ビジネスにおいては、レスポンスの早さが求められます。選考通過メールへの返信でも、この点は軽視できません。
メールを受け取ったら、できる限り当日中に返信するよう心掛けましょう。しかし、仕事中でメールの確認が遅れることもあります。その場合でも、24時間以内に返信するのが原則です。
選考中は仕事を終えたらまずメールをチェックし、その日に返せなかったものは、志望先企業の始業時間に間に合うよう送信します。
もし24時間を超えてしまった場合は、返信が遅れたことに対するお詫びの言葉を一言添えるとよいでしょう。
分かりやすい件名と構成
メールの件名は、内容を分かりやすく表したものにします。例えば、「選考日程の調整依頼について」のような件名です。
返信メールの場合は、先方からすでに件名が付けられているため、その件名に返信を示す「Re:」を付けて送れば問題ありません。
メールの構成は、宛名・あいさつ文・本文・結び・署名の順です。あいさつ文を入れたら、その後すぐに名乗りましょう。そうしないと、署名欄までどこの誰から送られたメールなのかが分かりません。
なお、短いスパンで何度かやりとりするメールでは、その都度名乗る必要はないでしょう。
内容をしっかり把握しておく
本文を作成する前に、落ち着いて選考通過メールの内容にくまなく目を通しましょう。採用担当者が何を伝え、こちらに何を要求しているのか読み取るためです。
慌てて返信すると、選考日程の希望日を聞かれているのに回答しないといった、本来ならしないようなミスを誘発しかねません。
返信メールに必要な情報が記載されていないと、企業側に再確認する手間を取らせてしまいます。面識のない状態では、些細なミスが命取りです。次の選考で不利にならないよう、正しく内容を理解してから返信しましょう。
印象を格上げする返信メールの秘訣
ほんの少し気を付けるだけで、メールの印象はぐっとよくなります。採用担当者の目を引く、整ったメールの書き方を知っておきましょう。
本題を最初に書く
ビジネスメールでは、本文の頭に本題を持ってくるのが鉄則です。これは受け取った人に、余計な時間を使わせないという気遣いでもあります。
採用担当者がやりとりする相手は、自分1人だけではありません。採用担当者は毎日、何通ものメールを受け取っているでしょう。すぐに内容を把握できる文章の方が、効率的に処理できるものです。
あいさつ文はだらだらと書かず、選考通過のお礼・日程調整のお願いなど具体的な内容を簡潔に述べましょう。
次回選考への意欲といったアピールは、後回しにします。相手の立場に立って、情報の優先順位を決定しましょう。
選考と結果通知への感謝を述べる
選考通過メールへの返信に、一言感謝を伝える文章を盛り込むと好印象になります。採用担当者も同じ人間ですから、お礼を言われて悪い気はしません。
企業は多数の応募者の中から、書類や面接を通して人となりを判断します。貴重な時間を割いて選考してもらったことを念頭に置き、丁寧にお礼を述べましょう。
書類選考だけでなく面接も行ったのであれば、そのときの感想を入れるのもおすすめです。テンプレートではなく自分の言葉で書くと、気持ちがより伝わるメールになります。
あいさつ文と結びの言葉
メール本文の前にはあいさつ文を、後ろには結びの言葉を入れましょう。あいさつ文と結びの言葉は、相手への敬意と思いやりを表します。
すでに選考を終えているので、メールが初めてでもあいさつ文は「お世話になっております」がふさわしいでしょう。
2回目以降のやりとりでは「ご返信ありがとうございます」や「度重なるご連絡を失礼いたします」のように使い分けます。
結びの言葉の基本は、「よろしくお願いいたします」です。これだけだと少し唐突なので、手前にクッション言葉として「お忙しいところ恐縮ですが」「お手数をおかけしますが」などを付け加えるとよいでしょう。
誤字脱字がないか徹底的に確認する
メールの作成が終わったら、誤字脱字がないかを意識しながら、送信前にもう一度最初から読み返します。
ビジネスシーンにおいては、誤字脱字がないのがマナーです。志望先の企業に送る短いメールの中にミスがあれば、不注意な人なのかもしれないと不信感を抱かれかねません。
文章の見直しをするコツは、「間違っている部分がある」という前提で精査することです。疑いの目でじっくり読むと、見逃していたミスに気付きやすくなります。
特に、宛名や日程などに間違いがあれば致命的です。絶対に大丈夫だと自信を持てるまで、徹底的に見直しましょう。
選考通過メールへの返信テンプレート
マナーやルールを理解していても、そもそも文章を書くのが得意ではないという人もいるかもしれません。そんなときに使える、返信用テンプレートを用意しました。
日程を承知する場合
次回の選考日程が、企業が提示する候補日で問題ない場合は、以下のように返信しましょう。
【例文】
株式会社○○
採用ご担当者様お世話になっております。貴社の求人に応募しました○○と申します。
この度は、選考通過のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
ご提示いただいた中から、下記の日程で選考に参加させていただきたく思います。○月○日(○曜日)○○時
一層身を引き締めて、今後の選考に臨む所存です。
当日は何卒よろしくお願いいたします。氏名
住所
TEL
候補日が1日しかなかった場合は、「それでは、下記の日程で~」とすれば問題ありません。日程は本文の中に織り交ぜるよりも、箇条書きにした方が相手も確認しやすくなります。
別の日程を提示する場合
提示された候補日ではどうしても都合がつけられない場合は、以下のように別の日程を提案しましょう。
【例文】
株式会社○○
人事部 ○○様お世話になっております。貴社の求人に応募しました○○と申します。
この度は、選考通過のご連絡と、次回選考のご案内をありがとうございます。
大変恐縮なのですが、現職の都合上、ご指定の日程で貴社に伺うのが難しい状況です。
誠に勝手なお願いとは存じますが、以下の日程で選考の機会をいただけないでしょうか。1.○月○日(○曜日)○○時
2.○月○日(○曜日)○○時
3.○月○日(○曜日)○○時お手数をおかけしますが、ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
氏名
住所
TEL
ある程度候補が絞られていた方が、相手も意思決定しやすくなります。企業任せにしてほかの日程で調整してほしいと言うのではなく、こちらから候補日を提案しましょう。
選考を辞退する場合
辞退の意思を伝えるのは心苦しいものですが、だからこそ真摯にお詫びの言葉を伝えることが大切です。
【例文】
件名:○○職募集の選考辞退について(氏名)
○○株式会社
人事部
課長 ○○様お世話になっております。貴社の求人に応募しました○○と申します。
この度、諸般の事情により、次回の選考を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。
日程をご調整いただいたにもかかわらず、誠に申し訳ございません。
また、メールでのご連絡となりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。末筆ながら、貴社のより一層のご隆盛を祈念申し上げます。
氏名
住所
TEL
選考を辞退する場合は、例文のように件名だけで分かるようにしておくと親切です。なお、選考日が直近であったり、土日を挟んでしまったりするような場合は、電話で連絡した方がよいでしょう。
返信が遅れた場合
選考通過メールを受け取ってから丸1日以上経過してしまった場合は、次のようにお詫びのフレーズを入れます。
【例文】
株式会社○○
採用ご担当者様お世話になっております。貴社の求人に応募しました○○と申します。
返信が遅れまして、大変申し訳ございません。この度は、選考通過のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
ご提示いただきました日程で、貴社にお伺いいたします。○月○日(○曜日)○○時
貴重なお時間をいただけることを、大変ありがたく思っております。
当日は何卒よろしくお願いいたします。氏名
住所
TEL
遅れた経緯を説明する必要はありません。簡潔にお詫びの言葉を述べるだけにとどめましょう。
転職者に必要な返信メールのスキル
企業とやりとりするメールは、転職者ならではの一歩踏み込んだ気遣いの見せどころです。洗練されたビジネスメールで、社会人としてのスキルをアピールしましょう。
宛先「Cc」のアドレスにも返信
選考通過メールの「Cc」欄にほかのアドレスが入っていれば、こちらからのメールも同様に、そのアドレスをCcに加えます。
メールには、直接の宛先となる「To」・直接やりとりはしないが情報を共有したい宛先の「Cc」・情報共有はしたいがアドレスは公開しない「Bcc」があります。
つまりCcに入っているのは、選考内容を把握しておいてほしい企業の人物だということです。Ccを無視して送ると、採用担当者に転送の手間を取らせてしまうかもしれません。
メーラーによっては宛先が隠れていることもあるため、必ず開いて宛先に設定されている全てのアドレスを確認しましょう。
自分の返信で終わらせる
企業とのメールのやりとりは、自分の返信で終わらせるのがマナーです。こちらが内容を把握したと伝えるためにも、全てのメールに返信します。
ただし、企業からのメールに「何かありましたら、こちらからご連絡させていただきます」のような、返信不要の意図が含まれた文章があった場合は、この限りではありません。
こちらからの要件が何もなく、メールのやりとりを終わらせたいときは、結びの言葉で表現するとよいでしょう。
例えば、「引き続きよろしくお願いいたします」は、汎用性の高い締めの言葉です。企業側に要件がなければ、それ以上のメールは送られてきません。
ビジネスにふさわしい言葉を選ぶ
メールは形に残るため、誤った言葉やふさわしくない言葉に十分気を付けましょう。よく使われている言葉を間違えると、相手によっては大きな違和感を与えてしまいます。
例えば、メールなど書き言葉では「貴社」を使いますが、誤って「御社」と書いてしまう人は少なくないでしょう。礼儀作法や人柄よりは目立たないものの、採用担当者が気にするタイプだった場合、選考結果に影響しないとは言い切れません。
特に転職者の場合、社会人としてのマナーが身に付いていないと判断されることもあります。正しい敬語の使い方や、間違いやすい言い回しを事前に確認しておくとよいでしょう。
返信メールで気を付けたい言い回し
完璧な日本語を使うのは難しいかもしれませんが、頻出する言葉に的を絞って覚えれば、多くのミスを防げます。ビジネスシーンでよく使われる、間違いやすい言い回しは次の3つです。
「了解しました」と「承知しました」
結論からいうと、ビジネスシーンでは「承知しました」を使うのが無難です。どちらも相手の意図を理解し承認するという意味を持っており、「了解しました」でも決して間違いではありません。
しかし、近年になって「了解しましたが不敬にあたる」とささやかれ始め、現在では目上の人に使わないことが一般的なビジネスマナーとして定着しつつあります。
些細なことで不興を買わないよう、企業とのやりとりでは「承知しました」を使用することをおすすめします。
「御社」と「貴社」
どちらも相手の企業を表す敬語ですが、メールで使ってよいのは「貴社」の方です。
「貴社」は書き言葉で使う敬語であり、一方の「御社」は話し言葉での敬語にあたります。面接のように口頭で使うときは「御社」を使いましょう。
また、長年取引があって気心の知れた関係では、メールでも「御社」を使うことがあります。しかし、転職活動では区別を明確にし、正しい使い分けを心掛けましょう。
なお、「御社様」「貴社様」といった使い方はしません。どちらもすでに敬語の形になっているため、「様」を付けると二重敬語という間違った日本語になってしまいます。
「致します」と「いたします」
「よろしくお願いいたします」と「よろしくお願い致します」の、両方を見かけるという人も多いでしょう。しかしながら、この「いたします」はひらがなで書くのが正解です。
まず、「致す」は動詞で、「至らせる」「仕向ける」といった意味があります。一方の「いたす」は補助動詞「する」の謙譲語・丁寧語で、こちらが例文の「いたします」にあたります。
補助動詞はひらがな表記にするのが公用文の基準とされているため、「お願い致します」とすると誤った用法になってしまうのです。
このフレーズは、社会人ならほぼ毎日使うといっても過言ではありません。公式とされる使い方をしっかり覚えておきましょう。
丁寧な返信メールで好感度を上げよう
メールは連絡ツールであり、選考に使われる資料ではありません。しかし、行き届いたメールによって、採用担当者がよい印象を抱く可能性はあるでしょう。
理解しやすく温かみがあり、間違いのないメールを送れる人物は、客観的に物事を考えることができると評価されるためです。
文章1つからでも人柄や真剣さは伝わります。相手の立場に立った丁寧なメールで、採用担当者へ自分をアピールしましょう。