正社員のメリット・デメリットは?女性や雇用形態別のポイントも

働き方が多様化している現代では、雇用形態も自分に合ったものを選択する人が増えてきています。いまだに根強い人気を誇る正社員のメリット・デメリットや、ほかの雇用形態との違いを解説します。非正規雇用から正社員になるための方法も見ていきましょう。

正社員のメリット

スーツの社員

(出典) photo-ac.com

まずは、正社員の6つのメリットについて紹介します。また、ライフイベントでキャリアが左右されやすい女性にとって、重要となるポイントも併せてチェックしましょう。

雇用と給与が安定している

正社員は雇用期間の制限がないため、自身が望めば定年まで働けることがほとんどです。近年では、終身雇用制度が不確かなものになりつつあるとはいえ、正社員が急に仕事を失う可能性は低いといえるでしょう。

また、給与は基本給が設定されているため、毎月安定した収入が見込めるのも大きなメリットです。さらに、ボーナス・退職金などが支給されるのも魅力です。

会社によっては、非正規雇用でもボーナス・退職金が支給されることもありますが、正社員と支給額が異なることも少なくありません。雇用と給与の安定性は、正社員において最大のメリットといっても過言ではないでしょう。

福利厚生が充実している

会社によって内容は異なりますが、充実した福利厚生が受けられるのも正社員のメリットの1つです。福利厚生とは非金銭的報酬であり、社会保険や各種手当などを指します。

福利厚生は従業員のモチベーションアップや、生活の安定につながる大事なポイントであるため、福利厚生の内容で就職先を決める人も少なくありません。それほどまでに、従業員にとって大きな役割を果たしています。

近年では、正社員と非正規雇用の待遇差をなくす動きが高まってきてはいるものの、まだまだ正社員のみを対象にした福利厚生が多いのも現実です。

社会的信用がある

雇用と給与が安定している正社員は、社会的信用があるとみなされ、ローンやカードの審査に通りやすいという側面があります。

特に住宅などの大きな買い物で顕著に現れることが多く、非正規雇用だとローンが組めない場合も少なくありません。

世間的にはまだまだ「正社員=きちんとしている」という印象が根強いため、結婚に関することなどでも、周囲からの評価に違いが出る場合があるでしょう。

産休・育休が取得できる

特に女性にとって重要なのが、産休・育休の取得についてです。正社員は産休・育休が取得しやすいため、収入を得ながら子育てに集中できるというメリットがあります。

産休・育休は労働者の権利であるため、非正規雇用でも取得できるものですが、取得にはいくつかの条件をクリアする必要があります。

その条件の中に雇用期間に関しての条件があるため、雇用期間に制限のある非正規雇用では、出産を機に仕事を辞めなければいけないケースも多いのが現状です。

子育てとキャリアを両立しやすい

正社員は育休後に時短勤務ができるケースも多く、子育てから仕事への復帰がしやすいのも特徴です。

出産を機に一度退職すると、その後正社員として再就職するのはハードルが高くなるため、正社員として働き続けることで子育てとキャリアの両立が実現しやすくなります。

結婚・出産後もキャリアを積んでいきたいと考えている人は、正社員として働き続けた方がスムーズにキャリアアップできる可能性が高まるでしょう。

経済力がつく

女性は結婚したら家庭に入るのが一般的だった昔と違い、共働きも珍しくない現代では女性の経済力も重要です。

正社員として働き続けるのと、結婚を機に仕事を辞めて非正規雇用として働くのでは、生涯賃金が大きく変わります。

厚生労働省が発表している「正規雇用労働者・非正規雇用労働者の賃金の推移」を見ても、正規雇用と非正規雇用では賃金に大きく開きがあるのが一目瞭然です。

正社員として働いていれば経済力をつけることができ、万が一配偶者が働けなくなったときでも安心でしょう。

参考:図表1-3-24 正規雇用労働者・非正規雇用労働者の賃金の推移(雇用形態別・時給(実質)ベース)|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省

正社員のデメリット

出勤中の足元

(出典) photo-ac.com

それでは、正社員になることのデメリットはあるのでしょうか?デメリットになり得る2つのポイントについて説明します。

転勤や異動の可能性がある

職種限定・勤務地限定で採用されていない限り、正社員には転勤や異動の可能性があります。人事命令は特別な事情がある場合を除いて、基本的に拒否はできません。

子どもがいる場合は転校させる必要があるなど、自分自身だけでなく、家族の環境が大きく変わることもあるでしょう。

地域に根付いて生活していきたいと考えている人や、変化が嫌いな人にとっては大きなデメリットといえるかもしれません。転勤や異動を避けたい人は、職種・勤務地が限定されている求人を選ぶようにしましょう。

残業や休日出勤が発生することがある

正社員は非正規雇用に比べて、残業が発生するケースが少なくありません。特に繁忙期などには、残業に加えて休日出勤を命じられる可能性も高くなります。

勤務先にもよりますが、非正規雇用は曜日・時間などが雇用契約で細かく定められていることもあるため、残業や休日出勤は発生しない場合が多いでしょう。

また、正社員の場合「みなし残業」として、あらかじめ固定給に残業代が含まれているケースもあります。一定時間内の残業に対しては別途残業代が支給されないため、会社の雰囲気として、社員に残業させることへの抵抗感が低い場合もあるでしょう。

みなし残業を取り入れている会社については、入社前に平均残業時間などを確認することをおすすめします。

正社員以外の雇用形態のメリット・デメリット

社員証を掲げる

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ここまで正社員のメリット・デメリットについて紹介してきましたが、正社員以外の雇用形態についても知っておきましょう。正社員以外の雇用形態の種類と、それぞれのメリット・デメリットについて説明します。

契約社員

無期雇用の正社員とは異なり、契約社員は雇用期間に制限があるのが特徴です。半年・1年など雇用期間が定まっており、雇用側・労働者側の双方に問題がなければ契約を更新していくのが一般的です。

契約社員は、給与・待遇面において正社員と大きく変わらないことが多く、正社員と同じような待遇を受けられるのがメリットといえるでしょう。

ただし会社によっては、ボーナス・福利厚生の対象外となる場合があるほか、昇給もあまり見込めません。また、期間に定めのある有期雇用のため、契約が終われば職を失うリスクがある点もデメリットです。

派遣社員

派遣社員は就業先と直接雇用契約を結ぶのではなく、人材派遣会社に登録して就業先に派遣されます。イメージとしては就業先に助っ人として派遣されるポジションで、特定のスキル・キャリアが必要となることも少なくありません。

就業先・派遣会社の間で、労働条件について細かく取り決めがなされているため、残業がないなど自分のスタイルに合わせた働き方ができるのがメリットです。

一方で、時給換算のため月によって給与が変わったり、ボーナスがなかったりというデメリットがあります。

また、派遣会社が定めた就業規則のもとで働くことから、夏季休暇やフレックスタイム制など、就業先の制度が適用されないケースも多いでしょう。

アルバイト・パート

アルバイト・パートは、働く曜日・時間を自分で選べるのが最大の特徴です。臨時労働者としての役割が大きく、4つの雇用形態の中では最もカジュアルな働き方であるといえるでしょう。

出勤日数・勤務時間の希望を伝えてシフトに従って働くことがほとんどなので、特に目指す夢がある人や、配偶者の扶養範囲内で働きたい人などにメリットがあります。

デメリットとしては、収入が低いことが挙げられます。多くのアルバイト・パートが時給制であり、ほかの雇用形態と比べると1時間あたりの賃金も低いため、大きく稼ぐのは難しいでしょう。

非正規雇用から正社員になるには?

契約書類

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最後に、非正規雇用から正社員になるための2つの方法を紹介します。「現在は非正規雇用として働いているが、正社員を目指したい」という人は、次のアクションを検討してみましょう。

正社員登用制度を利用する

現在非正規雇用として働いている企業が、正社員登用制度を採用しているのであれば、そのまま働きながら正社員を目指せます。

また、ブランクがあったり未経験だったりして、正社員として転職するのが難しい場合でも、正社員登用制度を採用している会社に非正規雇用として入社すれば、正社員になれる可能性があります。

ただし、制度があっても実態として活用されていない会社もあるため、これまでに正社員登用制度で正社員になった人がいるかどうかは必ず確認しておきましょう。

転職活動をして正社員になる

現在の勤務先で正社員になるのが難しい場合は、正社員の仕事に転職するのが手っ取り早い方法です。

確かに非正規雇用から正社員への転職は、正社員から正社員への転職よりも難しいといわれています。しかし、志望動機・強みなどをしっかりとアピールすれば、決して不可能ではありません。

また、人手不足の業界・職種を狙うのも1つの方法です。人手を求めている職場であれば、未経験やブランクがあっても採用される確率が高くなります。

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自分に合った働き方を選択しよう

笑顔の女性社員

(出典) photo-ac.com

正社員・契約社員・派遣社員・アルバイトには、それぞれにメリット・デメリットがあり、1人1人自分に合った働き方は異なります。

理想の働き方や将来の目標など、まずは自分がどんな人生を歩みたいのかを明確にして、自分にとって最適な雇用形態を選択しましょう。

終身雇用制度がスタンダードであった日本において、まだまだ正社員の方が多くのメリットを享受できる会社が多いのも現実です。正社員のメリット・デメリットの両方を考慮し、満足のいく働き方を実現しましょう。