忌引き休暇の基礎知識。休暇の取り方や取得できる日数をチェック

身内が亡くなったときは、葬儀の準備や参列をしなければなりません。通常通りに仕事をするのは困難なので、多くの人が忌引き休暇を利用します。忌引き休暇の基礎知識や取得する方法などを解説します。

忌引き休暇の概要

喪服と数珠を持つ男性

(出典) photo-ac.com

忌引き休暇を取得したことがないと、どのような休暇なのかよく分からないと感じる人もいるでしょう。忌引き休暇の概要を紹介します。

身内の不幸があったときに休むこと

「忌引き」は葬儀に参列するために会社や学校などを休むという意味の言葉で、忌引き休暇は身内が亡くなったときに、会社を休める制度のことです。

必ず従業員を休ませなければならないという法律はなく、企業が独自に決めています。大半の企業で忌引き休暇が設けられていますが、企業によって詳細が異なるので注意しましょう。

企業によって名称が違い、喪に服す意味の「服喪休暇」となっていることもあります。「慶弔休暇」という名称で、通夜や葬儀だけでなく、結婚式などおめでたい場面で休めるようになっていることも珍しくありません。

休暇中の給料の有無は企業次第

忌引き休暇中に、給料が出るかどうかも企業によって違います。法律上のルールはなく、給料の扱いをどうするかは企業の判断に任されているためです。

忌引き休暇の期間が単なる欠勤と同じような扱いになる場合もあれば、有給休暇と同じように出勤務日数に含まれる上に給料が出る場合もあります。

身内の不幸は誰にでも起こり得ることであり、避けようがありません。従業員を思いやって有給にする企業は少なくありませんが、資金面の都合などで無給にせざるを得ない場合もあります。 また、雇用形態によっても有給か無給かが異なるケースもあるので、注意しましょう。

忌引き休暇の取り方と休暇明けの対応

電話をかける手元

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忌引き休暇を取りたい場合、誰にどうやって伝えればよいのでしょう。忌引き休暇の取り方と休暇明けの対応の仕方を紹介します。

直属の上司に申し出る

身内が亡くなり、葬儀の段取りや手伝いをしなければならなくなったら、直属の上司に電話や口頭で連絡しましょう。早朝や深夜など、電話連絡が難しい時間帯の場合はメールなどで知らせておき、改めて相談する流れでも構いません。

急に休むと自分の担当業務を上司や同僚にカバーしてもらう場合があるので、仕事の状況や最低限の引継ぎをしておくこともマナーです。仕事の引継ぎが難しい場合は、上司に相談しましょう。

休暇明けはあいさつと報告を忘れずに

忌引きが明けたら上司や同僚など、自分が休んでいる間に迷惑をかけたことへの謝罪や、お世話になったことに対するお礼を言いましょう。

「休んでいる間、ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。おかげさまで滞りなく祖母を見送ることができました。本日からまた頑張りますので、よろしくお願いいたします」というように、簡単なあいさつで構いません。

お礼を言いたい人が遠方にいたり、仕事の都合で会えない場合はメールなどでも良いでしょう。

一般的な忌引き休暇の範囲と日数

葬式で手を合わせる

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葬儀は準備や香典返しの手配など、やることがたくさんあります。できれば、多くの休みが欲しいと思う人は多いはずです。休暇が取得できる日数の目安を見ていきましょう。

忌引き休暇を取れる範囲は3親等までが基本

忌引き休暇を取れる範囲は、一般的には「3親等まで」です。3親等は本人から見て、血縁関係が近い間柄の人です。例えば、配偶者・父母・祖父母・兄弟姉妹・おじおば・子・甥姪などが3親等以内に入ります。血縁関係が近い人ほど、長く忌引き休暇を取れるというケースが大半です。

遠い親戚や知人などの場合は、忌引き休暇の対象外となっていることがあります。 ただし、同僚や取引先など会社関係者が亡くなった場合、身内でなくても忌引き休暇を取得できる場合もあります。 忌引き休暇の範囲に含まれない人の葬儀に参列したい場合は、有給休暇を取ることになるでしょう。

父母は1週間程度、祖父母は3~5日

休める日数は、故人との関係性によって変わるケースが一般的です。父母や配偶者が亡くなった場合、1週間から10日程度休めることが少なくありません。 祖父母や兄弟姉妹が亡くなったときは、父母よりも短く3~5日と決まっていることもありますが、企業によって違うので勤務先の人事担当に確認することや、就業規則を見るのが確実です。

土日が忌引き休暇に含まれる場合も

土日(休日)に通夜や葬儀をする場合は、休暇を取らなくても済む場合もあるでしょう。

しかし、休日を忌引き休暇に含めて数えるか、休日をのぞいて忌引き休暇とするかは、企業によって考え方が違います。

また、休みを取らなくてもよさそうな場合であっても、上司に身内が亡くなったことを報告した方がよいでしょう。場合によっては、会社から弔慰金が出るケースもあります。

忌引き制度の有無や内容は要確認

資料をチェックする男性

(出典) photo-ac.com

忌引き休暇は会社によって詳しいルールが違うので、就業規則を確認することが大切です。忌引き休暇が設けられている会社が大半ですが、法律で定められているわけではなく、雇用形態によっても制度を利用できるかどうかが変わる場合もあります。

身内に不幸が起きたときは、直属の上司に連絡して忌引き休暇を取る許可を得るようにします。できれば、休んでいる間に必要な仕事の引継ぎを済ませ、できない場合は相談してどうするか決めることが大事です。

和田雅彦
【監修者】All About 社会保険労務士/年金ガイド和田雅彦

大学卒業後、銀行勤務を経て社会保険労務士資格を取得し独立開業。上場企業をはじめ数多くの企業の人事労務管理の相談指導、給与計算業務等に携わる。また年金問題についての執筆、講演も多数。
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