自己肯定感を高める方法を知っていると、仕事や転職によい影響を与えます。しかし、どのような方法を試せばよいのか、分からない人もいるでしょう。自己肯定感を高めるために効果的な方法や、身につけたい習慣などを紹介します。
自己肯定感を高めるメリット
自己肯定感を高めると、たくさんのよい効果が期待できます。どのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。
自信を持って積極的な行動ができる
自己肯定感が高いと自分に自信を持つことができ、さまざまな面で積極性が高まる点がメリットです。
失敗を恐れて前に進めなくなる人は多いですが、自己肯定感が高い人は失敗したとしても原因に向き合い、改善点を見つけて飛躍できるので、仕事が順調に進むようになります。
自己肯定感が低い人は失敗すると自分を責める傾向があり、なかなか自信を持てません。自分の意見をはっきりと言えず、周囲から「あの人は主体性に欠ける」と思われてしまう場合もあります。
メンタルが強くなる
自己肯定感を高めると、自分のよい部分だけでなく悪い部分も受け入れられ、メンタルが強くなるところもメリットです。
「失敗したからといって、終わりではない」という気持ちを持ち、どうすればよい方向へ向かうのか考えながら行動できます。
転職や仕事をうまく進めるためには、メンタルの強さが大切です。メンタルが強くなれば、思い通りにいかないことやトラブルなどが起きても、くじけずに前に進めます。
自己肯定感が低いと、くよくよと悩み続けてしまいますが、メンタルが強い人は気持ちを切り替えるのがうまいので、マイナスの感情を引きずることがありません。自分が楽になるだけでなく、周囲にもよい影響を与えられるでしょう。
周囲の人とうまくやれるようになる
自己肯定感が高いと、周囲の人との付き合いがスムーズになりやすく、円滑なコミュニケーションにもつながります。自分だけでなく、周囲の人にも肯定的な気持ちを持てるので、人間関係のトラブルに強いのです。
周囲の評価を気にしすぎて自滅したり、攻撃的になったりすることがなく、余裕のある態度でいられるので、周囲の人とうまくやれるでしょう。
何かを成し遂げようとするとき、周囲の人と意見がぶつかることは珍しくありません。自分の意見が絶対に正しいと思っている人は、対立する意見を言われると自分が否定されたように感じて、怒ることがあります。
自己肯定感が高い人は自分の考えだけでなく他者の考えも尊重し、よい部分を積極的に受け入れようとするので、周囲の人に好かれる傾向があります。
自己肯定感はどんな感覚のこと?
そもそも、自己肯定感が何なのかよく分からない人もいるでしょう。自己肯定感の正体が分からないと、適切な行動を取れません。どのような感覚のことなのか理解を深めましょう。
ありのままの自分を受け入れる
自己肯定感が高い人は「よい面も悪い面も含んだ、ありのままの状態」を受け入れられている状態です。自分だけでなく他人のことも否定せずに、受け入れられます。
自分なりの価値観で物事を判断でき、地位や実績などに関係なく「よいものはよい」と素直に受け入れられることが特徴です。
自己肯定感が低いと「年収が低いから価値がない」「自分は仕事ができないから周囲に認められていない」など、ある条件を達成できているかどうかで、自分を愛するかどうかを決めてしまいます。
ありのままの自分を受け入れられないと、他人から否定的な意見を言われただけで自信を持てなくなってしまい、充実感や幸福感を得られない原因になるのです。
自分の価値を自分で決められる
自己肯定感が高い人は、自分の価値を自分で決められるのも特徴の1つです。自分の評価を他人に委ねないので、他人から言われたことが原因で大きく傷つくことがありません。
自分の価値を測る物差しを外側に求めてしまうと、自分よりも優れた人物に出会うたびに自信が揺らいでしまいます。
自己肯定感が高ければ「人は人、自分は自分」という感覚を持って物事に接することができるでしょう。
自己肯定感の低さと関連する言動
自分の毎日の言動が、自己肯定感の低さに影響を与えることは珍しくありません。どのような言動が自己肯定感を低くするのでしょう。
ネガティブ思考が癖になっている
自己肯定感が低い人は、ネガティブ思考が癖になってしまっているケースが多く、全てを悪い方向に捉える傾向があります。ネガティブになること自体は悪ではなく、ネガティブな自分も受け入れることが大事です。
人には自己防衛本能があり、あえてネガティブな考えを持つことで自分を守ろうとするのは仕方がない部分もあります。
絶対に大丈夫と考えて取り組んだことが失敗すると、精神的なダメージを負うことになるので、わざと「ダメかもしれない」と考えることで、自分の心を守ろうとするのです。
しかし、ネガティブな発想が度を過ぎると自己肯定感が低くなり、物事がうまくいかない原因になります。本当は挑戦してみたいことがあっても行動に移せず、達成感や充実感などを味わえなくなるでしょう。
うまくいかないときに自分を責める
自己肯定感が低い人は、物事がうまく進まなかったときに自分を責めてしまいがちです。責任感が強い人ほど「自分が何とかしなければ」と考える傾向があります。
改善点を見つけて実行するのはよいことですが、自分とは関係ないことに対しても自分を責める癖があると、自己肯定感が低くなるでしょう。
転職における自己肯定感が低い人のデメリット
自己肯定感が低いと、仕事や人生がうまくいかない原因になります。どのようなデメリットがあるのか、見ていきましょう。
自分の魅力をうまくアピールできない
自己肯定感が低いと自分の魅力に気付けず、自己PRに説得力が生まれなくなるところがデメリットです。
「自分にはたいした価値がない」と決めつけている状態では、自信を持ってアピールできません。自分にはよい面はないと思い込み、何もアピールできることがないと感じて焦ってしまいます。
過剰に自信がない状態で自己分析を行うと、自身の強みに気付けないでしょう。自己肯定感を高めると自分のよさを感じられ、何が強みなのかが見えてきます。
自分のよさを実感できていれば説得力のある自己PRを作成でき、的確なアピールができるはずです。
本当に進みたいキャリアを選ばない
自己肯定感が低い人は自分の価値を低く見積もってしまい、本当に進みたいキャリアを選びづらい点もデメリットです。
確固とした自信がないので、本当は応募してみたい会社があったとしても「自分には、どうせ無理だろう」と感じて、ためらってしまいます。
会社を選ぶときだけでなくキャリア設計も控えめになり、実力に関係なくキャリアアップを狙えない状態になるでしょう。
自己肯定感を高めると「本当にやりたいことが分からない」「何をすれば満足できるのか分からない」といった状態になるのを回避できます。
他人に対して思いやりがなく関係が悪化する
自分を愛せない状態では、他人とのコミュニケーションに不安を抱きがちです。自己肯定感が低いと自分を大切にできないだけでなく、他人に対する思いやりも持てなくなり、よい関係を築けません。
「自分でも自分を受け入れられないのに、他人が受け入れてくれるはずはない」「どこもよい部分がないのに、愛されるはずがない」など、ネガティブな考えを抱いてしまいます。
自分を肯定的に捉えられないと、他人に対する批判が多くなり攻撃的な態度をとってしまいやすい点も問題です。そうなれば、本来はうまくいくはずの関係も悪化してしまうでしょう。
自己肯定感を高めると自分も他人も肯定的に捉えられるようになり、人間関係がうまくいくようになります。
自信を失いそうなときにはどうすればよい?
誰でも失敗をするものですが、自己肯定感が低いと失敗するたびに自信がなくなって、何をしてもうまくいかないと感じるようになってしまいます。自信を失いそうなとき、どうすればよいのか見ていきましょう。
原因を突き止め受け入れる
過去に大きな失敗をしてなかなか立ち直れなかった経験や、大切な人から否定された経験があると、自己肯定感が低くなる原因になります。まずは原因を突き止め、受け入れることから始めましょう。
原因が分かったら、自分で自分をどう評価するようになったのかを明らかにします。
「仕事のミスを叱責され、自分はダメだと思うようになった」というように、自分の評価を書き出してみます。その後「叱責されたのは、頼りにされている証拠だ」というように肯定的に捉えてみましょう。
「練習不足が原因で、プレゼンで失敗した」→「十分に練習すれば、プレゼンで成功できる」というようにどんどん書き出し、1つずつ原因をクリアにします。
何かに挑戦して失敗したときは、失敗を責めるのではなく挑戦したこと自体を褒めるように考え方を変えていくことがポイントです。
他人と比較するのをやめる
自己肯定感が高い人は、他人と自分を比較して一喜一憂しません。逆に自己肯定感が低い人は、他人と比較して優劣をつけたがります。
自分が他人より優れていると実感できれば安心ですが、劣っていると感じれば自信が崩れてしまうでしょう。ちょっとしたことで揺らいでしまう自信は、本物とは言えません。
本当の自信をつけるには他人と比較するのをやめ、周囲からよく見られたいという感情をコントロールできるようになりましょう。
「人に褒められたいからやる」「人に言われた行動を取る」など他人が軸になった行動ばかりしている人は、自分の価値観に従った行動をしづらいと言えます。
過去の出来事を振り返って自分年表を作ると、自分がどんな価値観を元に行動してきたのかを明らかにでき、改善点を見つけられるはずです。
環境を変える
どうしても自己肯定感を高めることが難しいと感じる人は、周囲の環境に問題があるかもしれません。自信をつけたいと思っても、同僚や上司などがマウント思考の持ち主だとしたら自己肯定感を上げにくいでしょう。
職場は仕事をする場所なので、周囲の人と必要以上に仲良くする必要はありませんが、自分にマイナスの影響を与えてくる人ばかりでは疲れてしまいます。
どうしても前向きな気持ちになれないときは、環境を変えるための転職も視野に入れましょう。
嫌な相手に対して「ずっとこの人たちと一緒にいなければならない」と思うと気持ちが塞いでしまいますが、違う選択肢もあると意識するだけで気が楽になります。
また、必要だと思える情報だけを積極的に取り入れ、中傷やゴシップなどのネガティブな情報を見ないようにする方法も、自分の心を守るためにおすすめです。
自己肯定感を高める習慣
自分を肯定できないときは、自己肯定感を高める習慣を取り入れてみましょう。日常で気軽に取り入れやすい方法を紹介します。
自分に足りないものを補う
自己肯定感を高めるにはさまざまな価値観があることを知って、自分に足りないものを補うようにしましょう。本を読んだり音楽を聞いたりするだけでも、さまざまな価値観があると気付きます。
知らない分野に触れれば、知識を増やしたり精神面の成長を促したりすると同時に、よい気分転換にもなるでしょう。また、ストレスがたまっている状態では、自己肯定感を高める方法を試す気力が湧いてきません。
好きなことに取り組む時間を増やすのも、効果的です。毎日、短時間でもよいので好きなことに取り組むと心が満たされ、前向きな気持ちが湧いてくるでしょう。
自分のよいところを書き出す
自分を褒めて伸ばすのは、自己肯定感を高めるために効果的な方法です。自分のよいところを思い浮かべるだけでなく、実際に書いて客観的に眺めると自分のよい面に目を向けられるようになります。
自己肯定感が低すぎる人の中には、褒められる部分がないと感じる人もいるでしょう。人から褒められたことを素直に受け取るだけでなく、自分の行動を褒めたり、やらなかったことで得られたものを褒めたりする方法があります。
「早起きできなかった」→「たっぷりと睡眠をとり、健康管理ができている私はすごい」というように、毎日のちょっとした出来事を褒める習慣をつけ、自分を肯定する気持ちを高めていきましょう。
成功体験を積む
小さな成功体験を積み重ねていく方法も、自己肯定感を高めるきっかけになります。最初からあまりにも難しい目標を立てて、クリアしようとするのは無謀です。
大きな目標をクリアするために必要なたくさんの小さな目標を1つずつこなしていけば、自分を肯定する機会を増やせます。
成功体験と聞くと大変そうなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、朝起きて会社に行くまでの過程でも成功体験を積み重ねることはできます。
- ベッドから出る
- 身支度を整える
- 朝食をとる
- 時間通りに家を出る
というように、人の行動は小さな成功の連続で成り立っています。「できて当たり前」と、決めつけてしまうのではなく、できたことに目を向け、自分を肯定する習慣をつけましょう。
自己肯定感を高めて前向きな転職活動を
自己肯定感を高められれば自信を持って行動しやすくなり、転職活動に際しても前向きな気持ちで取り組めます。
自己肯定感が低いままだとデメリットが大きいので、自己肯定感を高める習慣をつけて、だんだんと自分や他人を受け入れられるようになりましょう。
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メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラーの資格を持ち、カウンセラー、作家、セミナー講師として活動する。現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法を解説。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。
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