年収1,000万円の手取り額や高収入が見込める仕事をチェック

年収1,000万円と聞くと、憧れを感じる人は多いでしょう。しかし、高収入になるほど税金の負担額が大きく、実際に使えるお金がどのくらいなのか気になる人も多いはずです。年収1,000万円の人の手取り額や、高収入を狙える仕事を見ていきましょう。

年収1,000万円の人の手取り額は?

一万円札

(出典) photo-ac.com

年収1,000万円の暮らしに憧れる人は多いはずです。高収入を狙う人の中には、1つの目標と考えている人もいるでしょう。気になる手取り額について紹介します。

手取りは700~800万円程度が多い

年収1,000万円の人の手取り額は、700~800万円です。おおまかな手取り額は、「手取り金額=年収× 0.75~0.85」の計算式で算出できます。

扶養家族の人数によって手取り額は変わりますが、年収の2割程度は税金や社会保険料などで差し引かれる計算です。

年収約1,000万円の30歳単身者の場合を例として、手取り月額を計算してみましょう。ボーナスがない場合、月収は約84万円となり給与の手取り額は約66万円となります。

夏と冬にボーナスが100万円ずつある場合、月収67万円となり給与の手取り額は約53万円です。加入している健康保険組合や扶養する家族によっても、かかる税金の額が変わってきます。

扶養家族が多いほど手取り額は増える

独身と家族がいる人とでは、手取り額が異なります。扶養家族が多いほど、控除額も大きくなるので手取り額は増える仕組みです。

月収84万円(年収1,008万円)で、年齢が30歳であり、扶養家族が妻と子の2人いる場合、給与の手取り額は約68万円になります。

月収67万円(年収1,004万円、ボーナス夏と冬に100万円ずつ)で、扶養家族が妻と子の2人の場合、給与の手取り額は約55万円です。

年収1,000万円を超えると負担が大きくなるもの

電卓で計算する

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年収1,000万円の人は、高い社会保険料や税金を納めなければなりません。何をどれくらい払っているのか見ていきましょう。

社会保険料

社会保険料は、厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料・介護保険料などです。年収1,000万円の人が払う社会保険料は、40歳以下では年間で約120万円になります。

40歳以上になると介護保険料も含まれるので、約130万円に上がる計算です。厚生年金保険料や健康保険料は「標準報酬月額」を元に計算するので、収入が高いほど社会保険料の額は高額になります。

標準報酬月額は、毎月の給与を区切りのよい幅で分けたものです。

参考:標準報酬月額・標準賞与額とは? | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

所得税・住民税

所得額が増えるほど所得税が高くなり、年収1,000万円の場合は所得税と住民税を合わせると、年収の「約14%」が税金になります。

内訳は年収の約8%が所得税、約6%が住民税です。年収1,000万、20歳以上40歳未満の人は年間で約84万円の所得税、約64万円の住民税を払っています。

ただし、配偶者や扶養家族の有無によっても、税額が変わる点を押さえておきましょう。配偶者を扶養している場合の所得税は、年間で約76万円、住民税は年間で約61万になり、扶養家族が多いほど優遇されます。

教育支援に対する負担も増える

子どもを認可保育園に入れる際に負担する「保育料」は、年収に応じて変わります。世帯年収が1,000万円の場合は約5万8,000円、年収400万円の場合は約2万8,000円です。あくまでも概算であり、居住地や共働きかどうかによっても違います。

また、児童手当は3歳未満は月1万5,000円、3歳以上小学生までは月1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生は月1万円ですが、年収が1,000万円を超える世帯では減額されます。

子どもの数や扶養家族の有無によっても異なりますが、例えば児童1人を扶養している場合、収入875万6,000円以上1,124万円未満を目安とすると、児童1人当たりの月額は一律で5,000円です。

2022年10月支給分からは、例えば児童が1人いる養育者の収入が1,124万円以上の場合、児童手当は支給されなくなります。

参考:児童手当制度のご案内|こども家庭庁

年収1,000万以上の人の割合は?

一万円札と給与明細

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年収1,000万円以上の人々は、どれくらい存在しているのか疑問に思う人もいるでしょう。給与所得者で、年収1,000万円を超えている人たちの割合を紹介します。

給与所得者全体の3.4%

国税庁が発表している「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、1,001万円〜1,500万円以下の給与所得者は、調査対象の5,245万人中175万人です。全体の割合は3.4%であり、かなり少ない割合であることが分かります。

年収1,000万円を超えると納税額が桁違いに多くなってきますが、それでも、手取り額が700~800万円であることを考えると、日本の平均的な収入の人に比べれば使えるお金が多いので、将来的な目標の1つにする価値はあるでしょう。

参考:令和2年分 民間給与実態統計調査|国税庁

年収1,000万を目指せる仕事とは

堂々とした男性社員

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日本人の平均年収は約400万円なので、年収1,000万の人はかなり稀な存在だといえます。年収1,000万円を目指せる仕事には、どのようなものがあるのか見ていきましょう。

大手不動産会社の総合職

厚生労働省が発表している「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、不動産業界全体の平均的な給与は326万円程度ですが、大手企業の年収は1,000万円を超えるケースが珍しくありません。

大手企業にはブランド力があり安定して売り上げを維持しやすいので、従業員は高い年収を得られます。

中でも、不動産資産の向上や売却益の確保などの、「専門性が高い業務」に関わる大手不動産会社の総合職は、高額の給与をもらえる傾向です。

参考:令和3年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

大手商社の社員

大手商社の社員は高い水準の年収をもらえる傾向があります。商社の給与が高い理由は、ほかの業界よりもボーナスが高いことなどが影響しています。

一般職よりも総合職の方が給与が高くなり、どの業界の商社でも勤続年数が長くなり、役職に就くと年収が大幅にアップします。たとえ大手総合商社であっても、入社したばかりでは年収が1,000万円に届くのは難しいでしょう。30~40代になり上の方の役職について、やっと1,000万円が見えてきます。

コンサルタント

コンサルタントは企業の経営戦略や業務改善などを行う職業です。とくに「戦略系」と呼ばれるクライアントの経営層に向けてコンサルティングをする会社や、外資系のコンサルティング会社は高い水準の給与をもらえることで知られています。

また外資系コンサルティング会社の場合は日系企業に比べ、インセンティブの割合が大きい点も無視できません。

中小企業診断士や社会保険労務士などの士業

難関と呼ばれる国家資格を持っている人は、高い給料をもらえる傾向です。例えば、中小企業診断士は企業の経営の診断を行い、戦略策定や実行のために必要なアドバイスを行います。

「中小企業診断士」の資格を持っていると、コンサルタントとして必要な知識を持っているとアピールできるので有利です。

「社会保険労務士」は、労働者が安心して働ける健全な環境作りに貢献し、労働社会保険手続業務や年金相談業務など、業務内容は多岐にわたります。

企業の運営になくてはならない仕事の担い手であり、役割の重要性から高い年収を得られる職業の1つです。

国家資格に合格するには、かなりの勉強時間が必要になります。また、資格を取得したからといってすぐに高水準の年収をもらえるとは限らず、勤続年数を重ねたり独立開業したりすることで、1,000万円以上を狙えるでしょう。

年収1,000万は難関だが夢を持とう!

大金

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年収1,000万円を超える人は、日本にそれほど多くはありません。手取り額は700~800万円程度で、社会保険料や税金などの負担も大きいですが、豊かな暮らしができることは間違いないでしょう。

年収1,000万円を目指すには、給与水準が高い職種を知り、挑戦する方法があります。しかし、大手企業や外資系コンサルタントなどは、社員に高いレベルを求めるので、簡単に転職ができるわけではありません。

まずは現職で十分な経験を積み、実績を上げるのも1つの方法です。夢を実現させるために必要なスキルを伸ばしていきましょう。

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