フルタイムとは?パートとの違いやメリット、注意点について解説

「フルタイム=正社員」というイメージを持っている人も多いですが、実はそうとも限りません。フルタイムの定義や、パートタイムとの違いについて解説します。また、フルタイムで働くメリットと、気を付けるべき点についても併せて見ていきましょう。

フルタイムとは

時計のアップ

(出典) photo-ac.com

フルタイムは、パートタイムとどのように違うのでしょうか?フルタイムの定義やどのような働き方を指すのかを理解し、働き方のオプションを知りましょう。

フルタイムの定義はある?

フルタイムとは、勤務先の企業が定めている正社員の労働時間と、同じ時間・日数働く人のことを指します。

例えば、正社員の勤務時間が9~17時で週5日勤務の会社の場合、1日実働7時間×週5日が所定労働時間です。この所定労働時間を満たしている人が、フルタイム労働者と呼ばれます。

仮に9~17時が定時の会社で、毎日9~16時・週5日勤務した場合は、週5日働いてもフルタイム勤務とはみなされません。あくまで、所定労働時間と全く同じだけ働いている人のみを指します。

雇用形態の限定はない

フルタイムを定義付けるのは労働時間であり、雇用形態は関係ありません。契約社員や派遣社員でも、正社員と同じだけ働いていればフルタイム勤務とみなされます。

また、パートとして雇用されながらフルタイムで働いている人は、フルタイムパートと呼ばれることもあります。

ただし、正社員と同じ時間働いている人は雇用形態に関係なく一律でフルタイムと定義されるものの、フルタイムだから全員労働条件が同一とは限らないという点には注意が必要です。

近年では、社会的に正規雇用と非正規雇用の差をなくそうとする動きにはなっているものの、未だ全く同じ条件であるとはいえないのが現実です。

パートタイムとの違いは?

パートタイムは、勤務先に雇用されている正社員と比べて、1週間の労働時間が短い労働者を指します。

一般的には「学生・フリーター=アルバイト」「主婦=パート」と使い分けられることが多いですが、本来はアルバイトとパートに明確な違いはありません。

アルバイトもパートも含め、勤務先の定める所定労働時間よりも労働時間が短い人を総称して「パートタイム労働者」といいます。

フルタイムで働く3つのメリット

タブレットでタイピングする男性

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フルタイムで働くことには、どのようなメリットがあるのでしょうか?フルタイムだからこそ享受できるメリットを知り、働き方を選ぶ際の参考にしましょう。

安定した収入が得られる

フルタイムで働くメリットの1つは、安定した収入が得られることです。月の日数によって多少の変動はあるものの、毎月一定の収入が見込めます。

一方のパートタイムは、好きな曜日に好きな時間働けるというメリットはあるものの、その分毎月の収入の振れ幅が大きくなることも少なくありません。

家賃・ローンなど毎月一定額の支出がある場合、安定した収入があるというのは安心材料になります。

また、同居家族が病気・ケガをして急に働けなくなった場合にも、1人でも安定した収入があると生活に困るリスクを下げられるでしょう。

有給休暇の付与日数が多くなる

有給休暇は、労働基準法で6か月以上継続勤務して、全労働日の8割以上出勤した場合、全ての労働者に与えられる権利です。

もちろんパートタイムであっても有給休暇を取得することが可能ですが、付与される日数は労働日数・労働時間によって差があります。労働日数・労働時間が少ないパートタイムは付与される日数が少なくなってしまいますが、フルタイム労働者は正社員と同じ日数付与されることになります。

公的医療保険や年金はどうなる?

公的医療保険や年金について、パートタイマーは一定以上の勤務時間を満たさないと会社の社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入できないため、配偶者の扶養に入るか、自身で市町村の国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。

会社の社会保険は市町村が行う制度よりも、病気や怪我の際の給付面が手厚いですし、将来受け取れる年金にも差があるため、加入するメリットは大きくなります。

フルタイムで働くときの注意点

時計を見る男性

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最後に、フルタイムで働くときの注意点を2つ紹介します。人にとってはフルタイムで働くことがマイナスとなる場合もあるため、メリット・デメリットをよく見極めて選択しましょう。

ワークライフバランスを意識する

フルタイムで働くと、どうしても自分の時間・家族との時間を捻出するのが難しくなります。基本的に1日7~8時間・週5日は会社に拘束されるため、自由に使える時間が限られるというのは人によってはデメリットになるでしょう。

特に子育てや趣味などに時間を割きたいと考えている人は、ワークライフバランスをしっかり考えることが重要です。

また、労働時間が長く休息時間が短いと体の負担も大きくなるため、体調管理にも気を付ける必要があります。

配偶者の扶養から外れる可能性がある

専業主婦・パートタイムからフルタイムに切り替える場合は、配偶者の扶養から外れる可能性が高くなります。

配偶者の扶養から外れることで、配偶者が所得税の控除(配偶者控除や配偶者特別控除)を受けられなくなることと、自身で医療保険や公的年金に加入し、保険料を負担する必要が出てくるため、手取りが少なくなってしまうというデメリットがあります。

ただし一方で、フルタイム勤務することで収入自体が増えますし、先ほど触れたとおり社会保険に加入するメリットもあるため、どちらの働き方が家庭にとってベストなのか、各家庭の状況に合わせて検討するとよいでしょう。

自分に合った働き方を見つけよう

考える女性

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働き方は、大きく分けてフルタイムとパートタイムの2つに分類されます。フルタイムで働くことで、人それぞれメリットもあればデメリットもあるでしょう。

自身が望む働き方の形だけでなく、既婚者の場合は配偶者の扶養内で働くか否かを考える必要もあります。

「どんな働き方をしたいのか?」「家族や自分にとってどの働き方がベストなのか?」をじっくり考え、自分に合った働き方を見つけましょう。

和田雅彦
【監修者】All About 社会保険労務士/年金ガイド和田雅彦

大学卒業後、銀行勤務を経て社会保険労務士資格を取得し独立開業。上場企業をはじめ数多くの企業の人事労務管理の相談指導、給与計算業務等に携わる。また年金問題についての執筆、講演も多数。
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