「働くとは」の答え方は?回答のポイントや注意点、例文を紹介

「あなたにとって働くとはどのような意味ですか?」と面接で聞かれたら、どう答えればよいのでしょうか?働く意味は人それぞれとはいえ、適切な答えを知りたい人もいるでしょう。答え方のポイントや注意点を、例文とともに紹介します。

「働くとは」どういうこと?

資料を広げる男性

(出典) photo-ac.com

「働くとは」の答えはシンプルなことのように思えますが、正解が分からないのが難しいところです。まずは、働くことの意味について見ていきましょう。

回答は価値観によって異なる

働く目的は、お金を稼ぐため・社会に貢献するためなどさまざまですが、何が正解かは個人の価値観によって異なります。

例えば、安定した生活を送りたいという考えの人にとっては、社会貢献より収入を得ることが重要になるでしょう。

やりたい仕事がある人は、好きなことをするためという答えになるかもしれません。自分自身の成長のためと考える人や、社会的なステータスを得たい人もいるでしょう。

適切な答えを見つけるには、自分が働く理由・目的・意味を考えてみることが必要です。

「働くとは」を面接で問われる意図は?

面接の様子

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それでは、企業が面接で「働くとは」と質問する意図は何でしょうか?「働くとは」の答えを聞く目的を2つ挙げて解説します。

応募者の価値観を知るため

面接で「働くとは何か」と聞かれるのは、応募者が仕事に対してどのような価値観を持っているかを知るためです。答えの内容が正解かどうかが問題ではありません。

そもそも正解のない質問なので、答えの良し悪しを判断されることもないでしょう。とはいえ、応募者の価値観が自社の社風や経営方針などに合っているかを判断する材料にはなります。

面接の時点で、両者の仕事への考え方が一致しているか確認しておくことは、入社後のミスマッチを防ぐためにも重要です。

とっさの質問への対応を見るため

何の脈絡もなく突然このように質問された場合は、答えの内容そのものではなく、想定外の問いかけをされたときの対応力を見ている可能性もあります。

答えに困るような問いかけをされたときでも臨機応変に自分の考えをまとめ、相手に分かりやすく伝えられるスキルは、仕事の上でも必要とされる能力です。

面接で突然質問されても困らないように、働く目的・意味について自分なりの考えを用意しておくと安心です。

「働くとは」に答えるときのポイント

資料を見る面接官の男性

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「働くとは何か」を聞く意図は分かったものの、具体的にどう答えればよいのか分からない人もいるでしょう。面接で好印象を与える答え方のポイントを3つ紹介します。

自分の価値観に正直に答える

「働くとは何か」を聞かれたら、自分の価値観に正直に答えることが大切です。とにかく転職したいからといって、企業の価値観に無理矢理合わせた回答はやめましょう。

たとえ採用されたとしても、自分の価値観と違う企業で働くのはストレスや不満を抱える結果にもつながります。そのような職場は長続きせず、転職を繰り返すことにもなりかねません。

企業とのミスマッチを防ぎ、自分に合った職場で仕事をするには、面接の時点でしっかり自分の考え方を伝えておくことが大切です。

具体例を挙げて述べる

価値観を伝えたら、「なぜそう考えるのか」という理由も具体的に述べましょう。考えの根拠を伝えることで、より説得力のある回答になります。

例えば、「お金を稼ぐため」と答えるのであれば、それが自分にとってなぜ大切なのかと深く掘り下げていくとよいでしょう。

働く目的は収入を得ることだと考えるようになったエピソードとともに伝えれば、面接官に価値観が伝わりやすくなります。

また、誰もが答えがちな無難な回答も、自分なりのエピソードを織り交ぜることで画一的な回答にならず、面接官へ効果的にアピールできるでしょう。

仕事への取り組み方につなげる

「働くとは」に対して自分なりの考えを述べた後は、さらに踏み込んで仕事への取り組み方やモチベーションも伝えましょう。

「お金を稼ぐため」という答えを例にすれば、「収入を得るためには、成果を残すことが必要です。そのために新規顧客を獲得し、まず会社に貢献することに尽力したいです。」のようにつなげられます。

企業は応募者の仕事への意欲や働き方を知りたいがために、この質問を投げかけている場合もあるので、入社後の仕事への向き合い方まで含めて答えられれば、面接官が求める回答になるでしょう。

「働くとは」に答えるときの注意点

面接を受ける男性

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「働くとは」に答える際は、いくつか注意すべき点もあります。正解のない答えとはいっても面接官にマイナスなイメージを与えないよう、注意点についてもしっかり把握しておきましょう。

お金の話だけにならない

収入のために働くのはある意味当然のことで、誰もが考えることです。収入を得るために働くという考え自体は悪いわけではありませんが、「お金が欲しいから」だけで終わるのは避けたいところです。

面接の場で求められている答えは仕事に対する考え方なので、お金の話だけで終わってしまうと価値観が十分に伝わりません。

「収入を得たい理由は何か」「そのためにどのように頑張りたいか」という前向きな回答につなげるのが理想です。

一貫性を欠かないようにする

志望動機や自己PRなど、他の質問に対する回答とのブレがないことも大切です。答えに一貫性がないと、面接の回答すべての信ぴょう性をなくすことにもなりかねません。

たとえ仕事に対する価値観が企業の考えと合っていたとしても、考えに一貫性がないと人物評価そのものが下がり、結果的に採用に至らないこともあるでしょう。

ブレのない回答にするためには、志望動機から「働く」ことの意味を導き出していくのもよい方法です。

「働くとは」の回答例

資料に記入する手元

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面接でどのように答えればよいのか、働くことの目的別に答え方の例を4つ紹介します。自分の考え方に近いものがあれば参考にして、答えを出してみましょう。

充実した人生を送るため

仕事だけでなく、プライベートも充実させたいという考え方の人もいます。ワークライフバランスも含めて、自分の理想的な働き方を述べつつ、働くことへの考えを伝えましょう。

【例文】

私にとって「働く」とは、実り多く充実した人生を送るために必要なことです。仕事をすることによって得られるのは、給料だけではありません。

これまでも、同僚との人間関係や仕事をする上で得られたノウハウなど、お金には代えられないことが多数ありました。

仕事をしているからこそ、家族との時間を大切にできたり趣味を楽しめたりもします。また、私生活が充実していると仕事へのやる気も生まれ、さらに頑張ろうという気持ちにもなります。

これからも、人生をより豊かなものにするために意欲的に仕事に取り組みたいです。

社会に貢献するため

仕事で社会に貢献できることが、モチベーションになっている人もいるでしょう。誰かのためになったと実感できたエピソードを交えて伝えると、説得力が増します。

【例文】

私にとって働くとは、社会に貢献することです。誰かの役に立てたとき、達成感とともに自分の仕事にも誇りを持てます。

現在、建築会社の営業職をしており、先日バリアフリーを希望するお客様の住宅リフォームを担当しました。お客様自身でも気付かなかった部分まで改築案を出して施工した結果、とても生活しやすくなったと感謝されました。

小さなことかもしれませんが、これも立派な社会貢献だと思っています。今後も、どのような些細なことでもお客様に満足していただけるよう、仕事に取り組んでいきたいと考えています。

自分自身の成長のため

仕事を通じて自分自身も成長していきたいという回答は、向上心があるという評価にもつながります。過去に成長を感じた具体例や、身近な人の例などを挙げて伝えてみましょう。

【例文】

私は、働くことで自分が成長できると考えています。仕事を続けている限り、新しく学べる機会は常にあります。

私は営業事務として営業職をサポートしており、仕事上ExcelやWordなどのオフィスソフトは毎日使っていますが、Excelの関数にはあまり詳しくありませんでした。

しかし、詳しい知識があれば業務の効率化が進むと思い、独学でスキルを身に付けました。仕事をしていなければ、このような新しい知識を得る機会もモチベーションも生まれなかったと思います。

今後も業務の効率化に必要なスキルがあれば積極的に身に付け、自分自身も成長しつつ会社にも貢献したいと考えています。

目標をかなえるため

目標をかなえるために働くと答える人もいるでしょう。その場合は、どのような目標なのかをできるだけ具体的に伝えることがポイントです。

【例文】

私にとって働くとは、目標をかなえるための手段です。私の目標は、高齢者でも使いやすいアプリを開発することです。

アプリは使いこなせれば生活にとても便利ですが、高齢者にとって使い方が分かりにくいものも多数あります。

私は、高齢者だからこそアプリを使って、生活を豊かにしてほしいとも願っています。そのため、御社の新規事業であるアプリ開発部門で、今後の高齢化社会になくてはならないアプリ開発に挑戦し、会社にも貢献したい所存です。

働く目的が分からないときの対処法

手帳に記入する男性

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「働くとは」の答えが、どうしても思いつかない人もいるかもしれません。最後に、働く目的を見つけ出す方法を2つ紹介します。

自己分析する

「働くとは」の答えは、自分の価値観にも通じるものです。働く目的・意味が分からないときは、自分の価値観が明確になっていないからともいえるでしょう。

働く意義を考えるには、まず自分自身の価値観をしっかり把握しておく必要があります。自分の価値観を知るためには、自己分析してみるのが効果的です。

自己分析というと難しく感じられるかもしれませんが、自分が大切に思うことや、譲れないことなどを書き出してみるだけでもかまいません。

「なぜ大切なのか」「なぜ譲れないのか」を掘り下げて考えていくと、人生の目的・やりがいなどが見えてくるでしょう。

他人の意見を参考にする

周りに意見を求めてみるのもよい方法です。仕事で成功している人や尊敬している人に、働く目的・意義を聞いてみるのもよいでしょう。

身近に話を聞ける人がいないときは、広く一般的に知られている労働についての価値観から考えてみる方法もあります。

例えば、アメリカの研究者ドナルド・E・スーパーは働くことの価値を14の項目に分けて提唱しています。

こういった提唱の中から共感できるものが見つかれば、「働くとは」の答えを考えるヒントになるかもしれません。

「働くとは」の答えで意欲をアピールしよう

面接の様子

(出典) photo-ac.com

「働くとは」という質問には、応募者の価値観や仕事への取り組み方を知るという意図があります。「面接官によい印象を与えたい」という気持ちから、企業の理念に寄った答えをしたくなるかもしれませんが、自分の価値観を正直に答えることが大切です。

働く目的を具体的に伝えることで、仕事への意欲をアピールすることにもつながります。どうしても働く目的が分からないときは、まず自分の価値観を把握し直すことから始めましょう。

働く目的や仕事への考え方を掘り下げておくと、今後のキャリア形成を考える際にも役立ちます。