「働くとは」を考えることは、自分の仕事に対する価値観を見極めることにつながります。自分にとっての「働くとは」はどのように定義すればよいのでしょうか?その答えを転職にどう生かせばよいのか、例文とともに解説します。
この記事のポイント
- 「働くとは」を考えるメリット
- 自分にとっての「働くとは」が分かれば、自分に合った仕事・職場を選べます。
- 「働くとは」の答えの見つけ方
- 「1.自己分析」「2.転職につなげる」「3.答え方を考える」の3ステップで答えが見つかります。
- 面接で使える「働くとは」の例文
- 自分の価値観と企業の価値観の共通点にフォーカスするのがポイントです。
「働くとは」を考えるメリット
「働く」とは何なのかを改めて聞かれると、どう答えてよいか分からない人もいるでしょう。転職を考えているのであれば、時間を取って自分なりの答えを考えてみましょう。「働くとは」を考えると、転職を成功に導く2つのメリットが得られます。
自分に合った転職先を見つけられる
「働くとは」を考えることは、自分が仕事に何を求めているのか、自分の価値観を見つめ直すことにつながります。自分の価値観がはっきり分かっていれば、転職するかどうか、職種・業種を変えるかどうかといった選択も迷いなくできるでしょう。
転職先を探す際には、つい年収や待遇などに目がいきがちです。その結果、せっかく採用されたのに、「思っていたのと違う」「やりがいが感じられない」といった理由で、再び転職するケースも少なくありません。
自分が仕事に求めること、自分にとっての「働くとは」がはっきり分かっていれば、表面的な条件だけでなく、自分に合った転職先、長く働き続けられる転職先を見つけられるでしょう。
転職の面接で好印象を与えられる
「あなたにとって働くとは?」は、転職の面接でしばしば尋ねられる質問の1つです。新卒とは違い、一度社会に出て働いた経験のある人の答えには現実味があります。
企業はこの質問で、あなたの仕事に対する価値観や考え方を見極め、自社に合っているか、長く働けそうかを判断しようとしています。
同じ職種・業種であっても、成果を重視したい、人を育てたい、信頼やブランド力に注力したいなど、企業によって風土や方向性はさまざまです。仕事に対する価値観が似ていれば、定着や活躍が見込めると判断されるでしょう。
ステップ1:自己分析
「働くとは」を、どのように考えればよいのか分からない人もいるかもしれません。実は3つのステップを踏むだけで、自分の価値観を見極め、面接準備にまで持っていけます。まずは自己分析を行いましょう。
過去の自分を振り返る
「働くとは」というテーマを考える際にまずできるのは、過去の自分を振り返ることです。自分がこれまで何に重要度を感じてきたか、過去の歩みをたどることから始めましょう。
部活・友達・進路など、さまざまなシーンであなたの価値観は試されてきました。
満足のいく決定ができたときは何を優先させたのか、後悔した決定の場合には何を見失っていたのか、1つ1つ振り返ってみましょう。こうすることで、自分にとって重要なものは何なのか、自分の価値観が見えてきます。
未来の自分をイメージする
次に、未来の自分をイメージします。結婚している、または結婚したいと思っているのであれば、住まい・子ども・休日の過ごし方など具体的に想像することで、仕事に何をどれくらい求めるのかが分かってきます。
昇進している姿や独立などをイメージしているのであれば、そのゴールに到達するためには何に重きを置いて仕事に取り組む必要があるか考えるようになるでしょう。ロールモデルにできる人がいる場合には、実際に話を聞いてみるのもおすすめの方法です。
働く意味をカテゴライズする
最後に、自分にとって「働くとは」を言語化してみましょう。以下に挙げるのは多くの人が考える「働くとは」の答えです。
- 自分のスキルや能力を発揮できる
- 人や社会の役に立てる
- 成果を実感できる
- 新しいものを生み出せる
- より多くのお金を稼ぐ手段
- 安定した生活を維持するために必要なもの
- 自分の望むライフスタイルを実現できる
- 人や社会に認めてもらうこと
- 刺激的な経験ができる
- さまざまな活動に関われる
- さまざまな人と関われる
- チームや社会の一員であることを実感できる
- 自分の力で生きていることを確認できる
- 自分の夢ややりたいことを実現する手段
- 自分が成長できる
自分にも同じようなものがないか、チェックしてみましょう。答えは複数あって構いません。
ステップ2:「働くとは」を転職につなげる
自分にとっての「働くとは」が見えてきたら、それを転職にうまくつなげていきましょう。転職で失敗する大きな原因は、焦って自分に合わない転職先を選んでしまうことです。「働くとは」で価値観がはっきり見えてきたら、自分に合った転職先を見極められます。
自分の価値観に合った職種・業種を選ぶ
やりがいややる気を持って仕事に取り組むためには、自分の価値観に合った仕事を選ぶことが重要です。働くことそのものから喜びや充実感を得られれば、転職後も長く働き続けられるでしょう。
「人の役に立ちたい」という価値観を持っている人が、医療や介護など誰かの役に立っていることが実感できる業種を選ぶのは自然なことかもしれません。
「成果を実感したい」という人であれば、営業や販売など実力が数字に反映される職種を選ぶとよいでしょう。
自分の価値観に合った企業を選ぶ
自分に合った職種・業種であっても、企業の風土や評価制度など価値観が合わないと、続けていくのが難しくなることがあります。とはいえ、自分の価値観が分かっていないと、業務内容や給与など表面的な情報で安易に転職先を決めてしまいがちです。
自己分析で見つけた自分にとっての「働くとは」と企業の価値観に共通点があるかどうか、企業分析をしっかり行い見極めていきましょう。
企業の価値観は、その企業が掲げる企業理念・経営理念・行動指針をはじめ、人事評価制度や勤務形態などに表れます。
ステップ3:「働くとは?」への答えを準備する
自分に合った仕事、自分の価値観に近い企業が見つかったら、自分なりの「働くとは」をアピールの武器として使いましょう。
面接で「あなたにとって働くとは?」と聞かれた場合に、自信を持って答えられるだけでなく、好印象を持ってもらうためのポイントを解説します。
企業や職種にマッチする価値観を端的に述べる
自分にとっての「働くとは」の答えを複数持っていることもあるでしょう。面接の際には、その中から1つを選んで答えます。こうすることで迷いのない好印象を残せるでしょう。
複数ある自分にとっての「働くとは」の答えの中から、転職希望先企業の価値観にマッチするものを選ぶのがポイントです。
面接の答え方としては、まず結論を端的に述べるのがセオリーです。
<良い回答例>
私にとって働くとは、自分を成長させる手段です。
<悪い回答例>
私は小さな頃からたくさん習い事をしていて、特に…
具体的なエピソードで理由付けする
結論を述べた後で、その理由を説明します。具体的なエピソードを持ってくると説得力が増すでしょう。
必ずしもドラマチックなストーリーでなければならないということはありません。結論と理由との間に合理性があれば納得してもらえます。
これまで働いてきた中で分かってきたことや、成長するうちに培ってきた価値観などを具体的に伝えましょう。抽象的な表現やありきたりなエピソードでは、あなた自身から出た答えとは受け止められないかもしれません。
入社後の働き方につなげる
最後に自分の価値観が働き方にどう影響するのか、企業にどのように貢献できるのかを伝えます。これは、あなたがチームの一員として働く姿を、採用担当者にイメージしてもらいやすくするためです。入社意欲や仕事に対する熱意も伝わるでしょう。
ここで再度、自分の仕事に対する価値観と企業の価値観に大きなずれがないか、志望動機と矛盾しないか確認します。ただし、志望動機の使い回しと思われないよう、エピソードなどを十分精査しましょう。
面接で使える回答例をチェック
「あなたにとって働くとは?」という質問にどのように答えればよいのか、具体的な回答例を紹介します。重要なのは、結論・理由・入社後の働き方という3つのポイントをしっかりと押さえていくことです。裏付けとなるエピソードは実体験から探しましょう。
「人や社会の役に立てる」の回答例
私にとって働くとは、人や社会の役に立てるチャンスです。前職でも営業に携わっていましたが、当初は売り上げのことばかり考え、大きなプレッシャーを感じていました。
しかし、あるときクライアントから「おたくの商品で助かった」という言葉をいただき、それまで味わったことのない喜びを感じました。それからは、数よりもクライアントに合った商品の選定や使い方のご提案などに心を配るようになりました。
結果として売り上げも伸びましたが、それよりもうれしかったのは、自分の仕事がクライアントのビジネスにも利益をもたらしているという実感を持てたことです。
御社には他の企業にはない魅力的な商品がたくさんあります。その魅力をきちんと理解し、御社はもとよりクライアントやユーザーに喜ばれるような提案で貢献していきたいと思っています。
「自分が成長できる」の回答例
私にとって働くとは、自分を成長させるためのものです。事務職では、手順どおりにしていればよいという考えに陥りがちです。私も最初の頃は、手順を覚えて与えられた業務をこなすことだけに終始していました。
しかし、同じ部署に他の社員とは違う業務を任される先輩がいました。彼女はパソコンスキルに長けていて、海外取引やECサイトなど通常の業務以外の知識も豊富だったため、業務拡大の際にはすぐにメンバー入りしていました。
その姿に触発され、私もパソコン関連の資格を取得したり、ECサイト運営について学習したりと知識の幅を広げてきました。そのおかげで業務の幅が広がり、充実感や達成感を味わえました。
御社はECサイトを効果的に使ったビジネスを拡大しておられます。これからも新たなスキルや知識を吸収しながら、御社のビジネスに貢献できる人材になるよう成長していければと思います。
「夢ややりたいことを実現できる」の回答例
私にとって働くとは、自分の夢を実現させる手段です。私は小さな頃からものづくりが好きで、成長するにつれ、困っている人の助けになるようなものづくりをしたいという夢を持つようになりました。
前職ではアイデアを形にする知識や技術力を磨けたため、夢につながる道筋を歩んでいるという実感がありました。
御社に入社できれば、医療ケア商品の開発で夢の実現に大きく近づけます。病気や障害で困っている人の助けになるような、実用的な商品を開発していきたい所存です。
「安定した生活を維持するためのもの」の回答例
私にとって働くとは、安定した生活を維持するために不可欠なものです。経済的に安定していると、精神的にも安定し、日常生活も充実します。
父はその良いお手本でした。コツコツ真面目に働き家族を支えるのはそう簡単なことではないと、社会に出て分かりました。しかし、そんな真面目な父のおかげで、安心した暮らしを家族で楽しんできました。
御社はワークライフバランスの実現に力を入れておられます。プライベートを充実させるためにも、仕事に真剣に取り組み長期的なキャリアを積み重ねていくことで、安定した生活を送っていきたいと思っています。
「チームや社会の一員であることを実感できる」の回答例
私にとって働くとは、社会の一員であることを強く感じさせてくれるものです。チームで協力して企業のビジネスを成功させられると、自分の居場所があることに安心感を覚えます。
幼い頃からサッカーなど、チームでプレーするスポーツが好きだったことも関係しているかもしれません。ゴールを決める選手だけでなく、目立たなくてもしっかり自分の役割を果たしている選手が特に好きです。
御社は大きなプロジェクトを多く手がけておられます。どのようなポジションでも、自分の役割をしっかりとわきまえ、ビジネスの成功につながる働きで貢献していきたいと考えます。
「さまざまな人と関われる」の回答例
私にとって働くとは、さまざまな人と関われる機会です。私は人が好きです。異なる価値観に触れると、最初は違和感があってもだんだんと慣れ、新しい視点でものを見られるようになります。
介護の現場では、さまざまな性格や背景を持つ人に出会います。接しづらいと感じることももちろんありますが、その人の状況や考え方が分かるにつれて、寄り添い方が分かるようになります。ポジティブな関係になれたときには、自分自身も成長していることを感じます。
御社はアットホームな雰囲気づくりに力を入れておられます。さまざまな人との関わりを大切に、温かな介護サービスを提供していければと思います。
自分なりの「働くとは」を転職成功につなげよう
「働くとは」を考えることは、自分の仕事に対する価値観を見極めることです。自分の価値観を理解していれば、自分に合った仕事・企業を転職先として選べるでしょう。
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