日本人の年収分布はどうなっている?年代別・産業別の年収分布を紹介

年齢相応の年収をもらっているのか分からない場合は、年収分布で確認するのがおすすめです。自分の年収の位置が分かれば、キャリアプランも立てやすくなるでしょう。年代別・産業別の年収分布や、各年代の平均値・中央値を紹介します。

全世帯の年収分布

お札と通帳

(出典) photo-ac.com

まずは、現在の日本で最も割合が大きい年収帯を紹介します。より実態に近い数値を把握するためには、中央値を参考にすることも重要です。

割合が最も高いのは200~300万円

厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況 P34 第7表」によると、2019年における全世帯の所得金額の分布は以下の通りです。割合が最も大きい所得金額帯は200万円台であることが分かります。

  • 100万円未満:6.4%
  • 100万円以上200万円未満:12.6%
  • 200万円以上300万円未満:13.6%
  • 300万円以上400万円未満:12.8%
  • 400万円以上500万円未満:10.5%
  • 500万円以上600万円未満:8.7%
  • 600万円以上700万円未満:8.1%
  • 700万円以上800万円未満:6.2%
  • 800万円以上900万円未満:4.9%
  • 900万円以上1,000万円未満:4.0%
  • 1,000万円以上:12.3%

厚生労働省のデータでは、平均所得金額と平均以下の割合も紹介されています。平均所得金額は552万3,000円、平均以下の割合は61.1%です。

参考:2019年 国民生活基礎調査の概況 P34 第7表 | 厚生労働省

平均年収は中央値も参考に

「2019年 国民生活基礎調査の概況 P34 第7表」の下部には、中央値437万円の記載もあります。中央値とは、全ての数値を順に並べてちょうど真ん中にくる数値のことです。

平均値は大きな数値に引っ張られやすくなるため、現実的な数値より高くなることが多くなります。分布の真ん中にくる中央値の方が、より実態に即した数値になるのです。

年収の平均を見る際は、平均値だけでなく中央値も参考にしましょう。平均所得金額552万3,000円より、中央値437万円の方が一般的な感覚に近い数値です。

参考:2019年 国民生活基礎調査の概況 P34 第7表 | 厚生労働省

年代別の年収分布

お札とデータ

(出典) photo-ac.com

20~50代の年収分布を、男女別で紹介します。参考にした資料は、厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」です。

参考:令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況 第7表 2-1、2-2 | 厚生労働省

20代

【20~24歳男性】

  • 100万円未満:0.0%
  • 100万円以上200万円未満:37.3%
  • 200万円以上300万円未満:60.0%
  • 300万円以上400万円未満:2.4%
  • 400万円以上500万円未満:0.3%
  • 500万円以上600万円未満:0.1%
  • 600万円以上700万円未満:0.0%
  • 700万円以上800万円未満:0.0%
  • 800万円以上900万円未満:0.0%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.0%
  • 1,000万円以上:0.0%

【25~29歳男性】

  • 100万円未満:0.0%
  • 100万円以上200万円未満:15.4%
  • 200万円以上300万円未満:69.1%
  • 300万円以上400万円未満:12.8%
  • 400万円以上500万円未満:1.7%
  • 500万円以上600万円未満:0.4%
  • 600万円以上700万円未満:0.2%
  • 700万円以上800万円未満:0.1%
  • 800万円以上900万円未満:0.0%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.0%
  • 1,000万円以上:0.0%

【20~24歳女性】

  • 100万円未満:0.0%
  • 100万円以上200万円未満:44.0%
  • 200万円以上300万円未満:53.2%
  • 300万円以上400万円未満:2.7%
  • 400万円以上500万円未満:0.1%
  • 500万円以上600万円未満:0.0%
  • 600万円以上700万円未満:0.0%
  • 700万円以上800万円未満:0.0%
  • 800万円以上900万円未満:0.0%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.0%
  • 1,000万円以上:0.0%

【25~29歳女性】

  • 100万円未満:0.0%
  • 100万円以上200万円未満:27.4%
  • 200万円以上300万円未満:62.4%
  • 300万円以上400万円未満:8.7%
  • 400万円以上500万円未満:1.0%
  • 500万円以上600万円未満:0.2%
  • 600万円以上700万円未満:0.1%
  • 700万円以上800万円未満:0.1%
  • 800万円以上900万円未満:0.0%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.0%
  • 1,000万円以上:0.0%

20代は、男女とも400万円未満に集中しています。入社したばかりで横並びのスタートとなり、年収の差が出にくい年代です。

30代

【30~34歳男性】

  • 100万円未満:0.0%
  • 100万円以上200万円未満:9.7%
  • 200万円以上300万円未満:54.1%
  • 300万円以上400万円未満:27.4%
  • 400万円以上500万円未満:6.1%
  • 500万円以上600万円未満:1.5%
  • 600万円以上700万円未満:0.7%
  • 700万円以上800万円未満:0.2%
  • 800万円以上900万円未満:0.1%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.1%
  • 1,000万円以上:0.2%

【35~39歳男性】

  • 100万円未満:0.0%
  • 100万円以上200万円未満:7.3%
  • 200万円以上300万円未満:40.2%
  • 300万円以上400万円未満:33.5%
  • 400万円以上500万円未満:12.5%
  • 500万円以上600万円未満:4.1%
  • 600万円以上700万円未満:1.3%
  • 700万円以上800万円未満:0.6%
  • 800万円以上900万円未満:0.3%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.1%
  • 1,000万円以上:0.4%

【30~34歳女性】

  • 100万円未満:0.1%
  • 100万円以上200万円未満:27.4%
  • 200万円以上300万円未満:54.4%
  • 300万円以上400万円未満:14.6%
  • 400万円以上500万円未満:2.5%
  • 500万円以上600万円未満:0.5%
  • 600万円以上700万円未満:0.3%
  • 700万円以上800万円未満:0.1%
  • 800万円以上900万円未満:0.1%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.0%
  • 1,000万円以上:0.1%

【35~39歳女性】

  • 100万円未満:0.1%
  • 100万円以上200万円未満:27.6%
  • 200万円以上300万円未満:48.9%
  • 300万円以上400万円未満:17.6%
  • 400万円以上500万円未満:3.9%
  • 500万円以上600万円未満:1.1%
  • 600万円以上700万円未満:0.3%
  • 700万円以上800万円未満:0.2%
  • 800万円以上900万円未満:0.1%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.1%
  • 1,000万円以上:0.1%

男女ともに年収差が出やすくなるのが30代です。500万円未満までの範囲で、分布が分かれています。特に男性の場合は、20代でうまく実績を積み上げた人が、30代でステップアップしていると予想できます。

40代

【40~44歳男性】

  • 100万円未満:0.0%
  • 100万円以上200万円未満:6.3%
  • 200万円以上300万円未満:31.8%
  • 300万円以上400万円未満:33.1%
  • 400万円以上500万円未満:16.6%
  • 500万円以上600万円未満:6.6%
  • 600万円以上700万円未満:3.1%
  • 700万円以上800万円未満:1.2%
  • 800万円以上900万円未満:0.5%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.3%
  • 1,000万円以上:0.5%

【45~49歳男性】

  • 100万円未満:0.0%
  • 100万円以上200万円未満:5.5%
  • 200万円以上300万円未満:24.9%
  • 300万円以上400万円未満:30.9%
  • 400万円以上500万円未満:20.1%
  • 500万円以上600万円未満:9.8%
  • 600万円以上700万円未満:4.7%
  • 700万円以上800万円未満:2.0%
  • 800万円以上900万円未満:1.0%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.5%
  • 1,000万円以上:0.7%

【40~44歳女性】

  • 100万円未満:0.1%
  • 100万円以上200万円未満:26.6%
  • 200万円以上300万円未満:44.3%
  • 300万円以上400万円未満:20.2%
  • 400万円以上500万円未満:5.7%
  • 500万円以上600万円未満:1.8%
  • 600万円以上700万円未満:0.5%
  • 700万円以上800万円未満:0.3%
  • 800万円以上900万円未満:0.2%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.1%
  • 1,000万円以上:0.3%

【45~49歳女性】

  • 100万円未満:0.1%
  • 100万円以上200万円未満:28.7%
  • 200万円以上300万円未満:40.6%
  • 300万円以上400万円未満:20.0%
  • 400万円以上500万円未満:6.6%
  • 500万円以上600万円未満:2.2%
  • 600万円以上700万円未満:0.8%
  • 700万円以上800万円未満:0.4%
  • 800万円以上900万円未満:0.2%
  • 900万円以上1,000万円未満:0.2%
  • 1,000万円以上:0.2%

40代は、男性の年収差が顕著になります。多くの男性が役職に就く中で、役職の違いも年収差を生む原因の1つと考えられるでしょう。男女差も大きくなり、女性は低い年収帯に集中しています。

産業別の平均年収分布

セミナーで話す女性

(出典) photo-ac.com

産業別の平均年収の分布も男女別に見ていきましょう。厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 第5表」を参考にしています。

参考:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 第5表 | 厚生労働省

男性は金融業・保険業の年収が高い

男性の年齢計で最も平均賃金が高いのは、約48万5,000円の金融業・保険業です。年齢別に見ても、20~50代は金融業・保険業の平均賃金が最も高くなっています。

年齢計の平均賃金が金融業・保険業に次いで高いのは、電気・ガス・熱供給・水道業です。以下、教育・学習支援業、学術研究・専門技術サービス業と続きます。

年代別の平均賃金を見ると、上記の産業以外に情報通信業も上位に入っており、男性の場合は専門性を求められる産業の年収が高くなる傾向があります。

女性は情報通信業や教育・学習支援業が上位

女性の平均賃金を年代別に見ると、どの年代でも情報通信業(IT)が上位に入っています。年齢が高くなると、教育・学習支援業の平均賃金が高くなっているのが特徴です。

男性の平均賃金が比較的高い建設業や製造業においては、女性の場合は事務仕事が多くなるため平均賃金が低くなっています。

女性の年齢計で最も平均賃金が高いのは、電気・ガス・熱供給・水道業です。以下、情報通信業、教育・学習支援業、学術研究・専門技術サービス業と続きます。

年収分布を見て収入が少ないと感じたら?

お札とグラフ

(出典) photo-ac.com

年代別・産業別の年収分布を見て、自分の収入が少ないと思った場合は、年収を増やす方向で考えてみましょう。収入増を図れるおすすめの方法を紹介します。

今の会社で昇給をめざす

今の年収を上げたいのなら、まずは現在働いている会社でできることをやってみましょう。社内でキャリアアップを目指したり、資格を取得したりすれば、年収を増やせる可能性があります。

ただし、これらはいずれも時間がかかる方法である上、頑張っても思うような成果を得られないケースもあるでしょう。

今の会社ですぐに収入を増やしたい場合は、残業を増やしたり会社と交渉したりするのがおすすめです。うまくいけば早期の年収アップを見込めます。

投資でお金を増やす

自分の収入が少ないと感じる場合は、投資に取り組むのも1つの方法です。投資初心者なら、「つみたてNISA」や「iDeCo」を活用したり、「ロボアドバイザー」を利用したりしてみましょう。

つみたてNISAとiDeCoは、いずれも個人の資産形成をサポートするために国が設けた制度です。掛金や運用益にかかる税金が非課税になるため、少額からでもじっくりとお金を増やせます。

ロボアドバイザーとは、運用スタイルや目的に合わせて、商品を提案してくれるサービスです。専門知識がなくても投資に取り組める上、少額から始められるメリットもあります。

年収が高い企業へ転職する

今の会社より多くの給与をもらえる企業へ転職すれば、年収を増やせます。あらゆる手を打っても今の会社で収入アップを見込めない場合は、転職も視野に入れてみましょう。

同じ業界・業種でも、人事評価システムは企業により大きく異なるため、仕事内容に変化がなくても企業を変えるだけで、年収を大幅に増やせる可能性もあります。

今より年収が高い転職先を探すなら、国内最大級の求人サイト「スタンバイ」を利用しましょう。豊富な求人情報から、年収アップにつながる転職先を見つけられます。

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年収分布から自分の現在地を確認しよう

ポイントを示す男性

(出典) photo-ac.com

全世帯の年収分布を見ると、割合が最も大きいのは200~300万円であることが分かります。日本全体の平均所得金額は552万3,000円ですが、より実態に近い中央値は437万円です。

年代別・産業別の年収分布からは、年代や男女ごとの年収の傾向・特徴も見て取れます。年収分布から自分の現在地を確認し、今後のキャリアプランを考える際の参考にしましょう。

拝野洋子
【監修者】All About 年金・社会保障ガイド拝野洋子

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