会話が続かない状態には、さまざまな原因があります。ネックになっている問題を知ってコツを押さえれば、うまく会話を続けられるようになり、新しい環境になじみやすくなるでしょう。お互いが心地よいと思えるような、会話を続けるポイントを紹介します。
会話が続かない原因
会話が続かない原因を知ると、どのように改善すればよいかを考える目安となります。話がすぐ終わってしまうと感じる人に、よくある状態をチェックしてみましょう。
苦手意識から身構えている
会話のやり取りがうまく続けられない自覚がある人は、苦手意識から会話をする際に身構えてしまいがちです。会話に対する不安感が大きいため、「できれば話したくない」「早く話が終わらないかな」と考え、態度にも表れてしまう場合があります。
「うまく会話を続けなければ」という気持ちが空回りし、何を話したらよいのか分からなくなる人もいるでしょう。
相手の何気ない質問に対してあまりにも深く考え込んでしまうと、気楽な受け答えができず会話が続かない原因になることもあります。
相手に対する興味が薄い
会話している人に対する興味が薄いと、相手のことを知りたいという気持ちも弱くなるため、話が続かない原因になります。
好きな相手に対してはもっと知りたいと感じ、聞きたいことがどんどん出てくるでしょう。しかし、興味がない相手とは会話が早く終わってしまいがちです。
自分の興味がある内容ばかり話したり、相手が一生懸命話しているのに関心が薄い態度を取ったりすると、相手は残念に思い会話を切り上げたくなるでしょう。
相手の話の中で、気になった点を意識して掘り下げるように質問すると、会話が長続きします。相手は自分に興味を持っているサインを出す人には、「もっと話してみたい」と感じるものです。
話したい気持ちが伝わっていない
人は、相手の反応を確認しながら話をします。聞き手の反応が薄いと、相手は不安になって会話をやめてしまいます。自分としては楽しく話を聞いているつもりでも、表情や態度に出さなければ相手には気持ちが伝わりません。
わざとらしくない程度に少し大きめのリアクションを心掛けると、うまく感情を伝えられます。
笑顔で頷くと相手は自分が肯定されていると感じ、話を続けたい気持ちがわいてきます。会話をする際は笑顔を意識すると、やり取りを楽しんでいる気持ちが相手に届くでしょう。
会話を長続きさせるコツ
会話を長続きさせるポイントが分かっていれば、人とのコミュニケーションを不安に思わずに済みます。どのようなコツがあるのか見ていきましょう。
相手の話を最後まで聞く
会話が続かない人は、自分が話すことにばかり気を取られすぎてしまい、相手の話をしっかり聞けていない場合があります。まずは、相手の話を最後まで聞くように心掛け、話が終わってから発言する癖を付けましょう。
人は話を途中で遮られると、不快に感じます。もし話を最後まで聞いてもらっていない状態で否定されてしまうと、相手は嫌な気持ちがさらに強くなるはずです。
相手の話す内容を最後まで聞くと、さまざまな情報が手に入ります。中身をよく理解すれば、質問や話の続きを促そうとする言葉が出てくるでしょう。ところが、話をよく聞いていないと「そうなんだ。それがどうしたの?」となってしまい、会話が続きづらくなります。
質問・リアクションを意識する
相手の話をじっくりと聞くだけでなく、共感したり頷いたりなどのリアクションも意識しましょう。
話に耳を傾けながら「しっかりと聞いている」「あなたの話す内容に興味がある」という合図を送ることで、相手と話したい気持ちを伝えられます。
相づちがワンパターンにならないよう、「うんうん」「そうなんだ」というように、バリエーションを持たせましょう。小さな頷きと大きな頷きを相手の話に応じて入れると、単調になりません。
会話の中から、相手が関心を持っている話題を見つけて、話を振ることも大切です。話を振る場合は、「○○についてどう思いますか?」などの質問形にするとよいでしょう。
新しい環境で会話を楽しむには?
転職や異動などで環境が変わったときは、新しい職場でうまく会話ができるか気になるものです。どのような点に注意すればよいのか、見ていきましょう。
基本のコミュニケーションを大切にする
新しい環境では、自ら率先して明るく元気なあいさつをするなど、基本的なコミュニケーションを大切にしましょう。
新しい環境に慣れるまでは大変ですが、それは職場の人たちにとっても同じです。周囲も新たに加わったメンバーがどのような人なのかを気にしているでしょう。職場では報告・連絡・相談を意識して行えば、しっかりコミュニケーションが取れる人だという印象を与えられます。
周りの人たちの顔と名前をできるだけ早く一致させ、覚えられない場合は社員証や名札などを確認しましょう。
職場の人間関係・雰囲気をつかんでおく
新しい環境に早くなじむには、人間関係を観察するのがポイントです。
頼りになりそうな人や仲良くしてくれそうな人など、職場の人間関係を理解して、職場の雰囲気を早めにつかむことも、コミュニケーションを円滑にするために重要です。どのようなときに従業員同士のコミュニケーションが活発になっているかを見極められると、会話に入りやすくなります。
仕事中も頻繁に雑談している職場もあれば、休憩中以外は仕事の話のみに集中する職場もあります。それぞれの職場で会話に適したタイミングを見誤ってしまうと、浮いた存在になってしまう可能性もあるので注意しましょう。
盛り上げようと無理しすぎない
コミュニケーションが苦手な人は「何とかして盛り上げなければ」と考え、頑張って会話を続けようとしたり、関心がないのにある振りをしたりと無理をしがちです。
しかし、焦って無理をしすぎると疲れてしまう上、相手にも不自然さや緊張が伝わり、逆に気まずい思いをさせかねません。
雑談への苦手意識が強いなら、会話に慣れるまでは無理して仕事以外の話をしようとするよりも、頑張りたい気持ちを態度や行動で表しましょう。
面接の場でうまく話す方法は?
面接では、自分を知ってもらうために必要な内容をうまく話せるようにしておきましょう。次に、面接における受け答えのコツを紹介します。
事前に受け答えの練習をしておく
面接でうまく話すためには、事前の練習が欠かせません。面接では何を質問されるかを想定して、何を答えるべきなのか練習をした人としなかった人では、大きな差が生まれます。
志望動機や自己PR、入社後はどのように貢献するのかなど、想定できる質問に対して受け答えの練習をしっかりと済ませましょう。
模擬面接をしてみて、質問に答えているときの様子を録画して見返すと、客観的に自分を見つめられます。可能なら家族や友人などに面接官の役を演じてもらい、アドバイスを受けるとより効果的です。
練習を重ねることで面接の雰囲気に慣れ、過度に緊張しなくなる効果もあります。
話し方に気を配る
緊張すると早口になってしまい、自分の言いたいことをうまく伝えられない可能性があります。面接では、聞き取りやすい適度な速さで話すことを心掛けましょう。
また、声のトーンが低すぎるとボソボソと話しているように聞こえ、ハキハキ発言できない人という印象を面接官に与えてしまいます。声のトーンは適度な高さで、相手によく声が届くように意識して大きめの声で話すことが大事です。
話の要点をまとめ、順序立てて伝える練習をしておきましょう。
会話を続けるカギは質問とリアクション
会話をうまく続けるには、相手の話に関心を持って質問を返したり、分かりやすいリアクションを取ったりという工夫が重要です。
話を最後まで聞いてから質問や意見を発することで、相手は自分に興味を持ってくれていると感じられ、会話を続けたいと思ってくれます。
面接でも、リアクションと質問の仕方は大切です。適度なペースで丁寧な話し方を意識して、面接官の話に適切なリアクションを取ると、印象のよい受け答えになるでしょう。
コミュニケーションでまごころを伝える、ビジネスマナーの専門家。池坊短期大学教授。日本女子大学大学院人間社会研究科博士課程修了。勤務校でビジネスマナーやコミュニケーション、就職の面接対策講座を担当。企業や官庁関連機関で就労支援講座を行う。
All Aboutプロフィールページ
著書:
VUCA時代をよりよく生きるためのキャリア形成とコミュニケーションスキル(ナカニシヤ出版)
心地いい人がしている、人づきあいに役立つ習慣術(ぱる出版)
新社会人のためのビジネスマナー講座(ミネルヴァ書房)