激務でつらいときの対処法は?激務の基準や原因も解説

仕事が激務になると、心や体を休める暇がなくてつらくなるものです。心身ともに疲れ切ってしまう前に、対策を考えましょう。激務の原因が会社側にあるなら、転職も選択肢の1つです。激務の基準や原因と対策、転職時の注意点を解説します。

激務の判断基準は?

仕事で疲れた男性

(出典) photo-ac.com

仕事が忙しくても、激務とまでいえるのだろうかと疑問に思う人もいるでしょう。どのような場合に激務とされるのか、一般的な基準を解説します。3つの基準のうち、いずれか1つでも当てはまったら注意が必要です。

長時間の残業

激務か判断する基準の1つとして、長時間労働が挙げられます。残業や休日出勤が多すぎると休養やプライベートの時間が削られ、十分に心身をリフレッシュできません。

長時間労働によって疲れがたまると、体や精神の不調を引き起こすリスクが上がるとされています。最悪の場合は命を落とすケースもあるため、十分な注意と対策が必要です。

厚生労働省は過労死のリスクがある労働時間を、具体的に提示しています。目安として月の時間外労働・休日労働が1カ月間におおよそ100時間を超えるか、2〜6カ月の平均がおおよそ80時間を超える場合です。

月の時間外労働・休日労働が45時間を超えた段階から、過労で命を落とすリスクが徐々に上がっていくことを知っておきましょう。この場合も十分に激務だといえるため、80時間に達していないとしても油断は禁物です。

参考:過労死をゼロにし、 健康で充実して働き続けることのできる社会へ - 厚生労働省

業務外での長時間の拘束

労働時間がそれほど長くないとしても、仕事で関わる人と業務外の付き合いが多ければ実質的な拘束時間は長くなるため、激務といえます。

飲み会で帰りが遅くなれば睡眠時間が短くなり、休日にゴルフに誘われればプライベートの時間が少なくなります。強制参加の飲み会やゴルフの付き合いは、本来であれば労働時間に含めるべきだともいえるでしょう。

激務ではないかと感じるなら、問題のある労働環境でないか考えてみることをおすすめします。

過度なストレス

激務かどうかは単純に拘束時間の長さだけでは測れません。労働時間が短くても、過度なストレスがかかる仕事は激務といえます。

精神的に大きな負荷がかかる例としては、重責がのしかかる業務やリスクの大きな業務・クレーム対応が挙げられます。仕事がうまくいっていないときも過度なストレスを感じるケースです。

また、ストレスには精神的なものだけでなく、肉体的なものもあります。重労働を強いられるような業務も、同じく激務の例として挙げられるでしょう。

激務に陥る原因

タイピングしている手元

(出典) photo-ac.com

激務と感じる場合の多くは、会社の労働環境に原因があります。どのような理由で激務になってしまうのか、代表的なものを見ていきましょう。

人手が足りていない

職場で人手が不足していると、1人当たりの業務量が増えるため、激務になるのは当然です。人手が足りていない状況は多くの日本企業で見受けられますが、特に勤めている会社の業績や経営方針・労働環境に問題がある場合もあります。

例えば会社の業績が伸び悩んでいれば、十分な人数の社員を雇えないため状況は好転しづらいでしょう。さらに働きに見合った給与がなかったり、ハラスメントが横行していたりすると、優秀な人材が次々と退職していくため人手が足りなくなります。

ノルマのハードルが高い

多くの企業では、確実に業務をこなしてもらうためにノルマを課します。しかし課せられるノルマがあまりに厳しいと、ストレスがかかるだけでなく、達成するために長時間労働になりがちです。

裁量が大きい仕事を任せてもらえると聞くと、働く側としては「自由に仕事ができる」とよい印象を抱くでしょう。

ただ、本人の能力を大きく超えた業務内容や業務量を割り振られると、結局はこなしきれず、ただ忙しいだけの状態になってしまいます。裁量権が大きかったり歩合制だったりする仕事の中には、激務になりやすいものも多いのです。

激務でつらいときはどうしたらいい?

考えている男性

(出典) photo-ac.com

激務で忙しい日々が続くと心が休まる暇がなくなり、つらい気持ちで塞ぎ込んでしまうでしょう。苦しい環境から抜け出すには、状況を改善しようとする行動が大切です。仕事がつらいと感じたときに、行動の目安となる考え方を紹介します。

1人で悩み続けない

激務でつらいと、疲れからネガティブな考えが浮かんで、悩みを抱え込むようになってしまいます。しかし、つらいときこそ誰かに相談することが大切です。

気持ちを言葉にするだけで気持ちがすっきりとし、頭の中が整理されて前向きに考えられるようになる場合もあります。上司や同僚に話しにくければ、身近な友人や家族に相談するのも選択肢です。

相談できる人がいない場合は、厚生労働省が委託事業として実施している労働条件相談「ほっとライン」に電話する手もあります。個別の状況に合わせたアドバイスも期待できるでしょう。

参考:労働条件相談「ほっとライン」|厚生労働省

休む時間を取る

激務のときはゆっくり心身を休めたり、改善に向けた取り組みを考えたりする時間が十分に取れません。仕事に打ち込みながらでは次のステップに進めない場合が多いため、まずはゆっくり休む時間を確保することが重要です。

仕事が原因で体調不良を来している、集中力に欠けてミスが多くなったという場合は特に、休みを取るのが望ましいといえます。

休む手段としてはまず、有給休暇を申請する方法が挙げられます。有給休暇なら休む理由を伝える必要はなく、希望した日程に休みをもらえるのがメリットです。長期的な休みが必要なら、休職の選択肢も考えられるでしょう。

転職して環境を変える

会社に問題があって激務になっているなら、転職して環境を変えるという選択肢があります。自力で会社の体制から変えるのは困難です。転職して現在よりもよい環境の職場で働くようになれば、激務の苦しみから開放されるでしょう。

しかし、多忙だったり仕事で大きな負荷がかかったりしている中での転職活動となると、簡単ではありません。時間を取れずにエージェントとのやり取りが難しい場合もあるでしょう。

激務の合間を縫って転職活動を進めるには、求人サイト「スタンバイ」の利用がおすすめです。豊富な求人をまとめてチェックできるため、効率的な転職活動に役立ちます。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら

激務の会社に転職しないために

パソコンを操作しながらメモを取る

(出典) photo-ac.com

激務から抜け出すために転職しても、転職先でも激務になってしまっては問題が解決しません。できるだけ負担の少ない仕事を見つけるために、知っておきたい注意点を解説します。

激務になりやすい業界を知る

激務が多いとされている業界を知れば、転職先を選ぶときに避けられます。特定の業界にこだわりがないのなら、激務になりにくい業界に焦点を絞るとよいでしょう。

激務になりやすい業界の特徴として、「労働集約型」であることが挙げられます。労働集約型のビジネスでは1人1人の労働力の質に依存する形を取っているため、激務になりやすいといえます。

例えばコンサルや商社、広告業などが労働集約型の主な業界です。さらに業界は問わず、営業職も一般的に激務が多い職種といえるでしょう。

OB・OG訪問をする

志望する会社での仕事が実際に激務かどうかは、表面的な企業研究だけではなかなか見えてきません。面接時に社員と接する機会はありますが、踏み込んだ質問をするのは抵抗を感じるという人も多いでしょう。

会社の実態を把握して激務かどうか判断するためには、企業研究の一環としてOB・OG訪問をするのがおすすめです。面接よりもフランクに会話ができて質問しやすく、OB・OGの振る舞いから職場の雰囲気が見えてきます。

とはいえ、転職活動中に志望先の会社で働いているOB・OGを探し出すのは骨の折れる作業です。人脈を使ってうまく見つけられない場合は、志望先の人事課に直接連絡してみて、OB・OG訪問を希望する旨を伝える方法もあります。

給与体系を確認する

激務かどうかは給与体系からも、ある程度は判断できます。求人情報に「みなし残業制」の記載があるときは注意しましょう。

みなし残業制では実際の労働時間で残業代を計算するのではなく、毎月一定の残業をしたとして給与が計算されます。残業時間にも上限があるとはいえ、通常の給与体系に比べて長時間残業になりがちです。

また、労働時間が短いにもかかわらず給与が高い場合や、逆に給与が同業他社と比べて極端に低い場合も注意しましょう。業界全体の一般的な給与体系や相場を把握した上で、慎重に判断する必要があります。

求人掲載の頻度を確認する

頻繁に求人情報を掲載している会社は、激務の可能性があります。常に求人募集をかけているのは、人手不足が常態化している証拠です。人を雇っても過酷な労働環境に耐えられず、入社した人の多くが短期間で仕事を辞めてしまっている状態も考えられるでしょう。

頻繁に従業員を大量募集している求人を見ると、「アットホームな職場」「やりがいのある仕事」など、抽象的なアピールが多く見受けられます。もちろんこのような言葉を使っていれば必ず激務であるとはいえませんが、傾向として覚えておきましょう。

自身の働き方の見直しも重要

考え事をする男性

(出典) photo-ac.com

激務の原因は会社側にあるケースが多いものの、自分の働き方を見直すことで状況が改善する場合もあります。働き方を見直すポイントを解説します。

作業効率を意識できているか?

長時間労働で激務になっているとき、自分の作業効率が悪いばかりに労働時間が延びているケースもあります。通常の勤務時間内にこなせる量のタスクでも、集中せずにダラダラと取り組んでいては定時までに終わりません。

自分なりに仕事をこなす努力をして状況が好転しなければ、会社の体制に問題がある可能性が見えてきます。まずは業務の自動化やフォーマット化などの工夫を通して、生産性を上げる行動からはじめましょう。

周りの働き方に影響を受けていないか?

人は大なり小なり周囲の環境に影響を受けるものです。就業時間になっても、同僚が帰っていない中で自分だけ帰るのは抵抗があると感じて、仕事がないのに残っている場合もあるでしょう。

仕事をしていなくても、会社にいる時間が伸びれば自然と疲れがたまっていきます。早く終わったなら、プライベートの時間を大切にしたり、翌日に向けて十分に休息を取ったりするのが賢い選択です。

周囲の意見や働き方に左右されないためには、自分が働く目的や意義を再確認する作業が必要です。無為に残業していたなら、その時間を使って働く目的やキャリアの方向性を見つめ直してみましょう。

激務だと感じたら対処法を考えてみよう

デスクワークをする男性

(出典) photo-ac.com

長時間労働が続いたりストレスが過度にたまったりする仕事は、激務といえます。激務に陥る原因は、人手不足やノルマの厳しさなど会社側の問題から、自分の働き方の問題までさまざまです。

激務のまま仕事を続けると心身ともに限界が来てしまうため、今の状態を改善する方法を考えることが大切です。

会社に問題があるときの代表的な手段としては、転職が考えられます。自分自身に原因があったなら、効率を意識したり働く目的を見直したりといった行動が必要です。原因に合った対処を取ることで、激務で苦しい現状から抜け出しましょう。