即戦力になれる人なんているわけがない?企業が本当に求める人材について解説

即戦力とは、入社直後から実力を発揮して実績を上げられる人材のことです。しかし、即戦力になれる人はいないともいわれています。なぜそのような矛盾が起こるのでしょうか。企業が本当に求めている人材や、即戦力になるための対策について解説します。

「即戦力になれる人なんているわけがない」は本当?

スーツを整える男性

(出典) pixta.jp

「即戦力になれる人なんているわけがない」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。なぜそのようにいわれるのでしょうか。まず、即戦力の意味から解説します。

求める即戦力は企業によって異なる

一般的に即戦力とは、もともと持っているスキルを生かして、入社直後からチームを率先して活躍できる人材のことです。しかし、ひと言で即戦力といっても、実際には企業によって求める基準が異なります。

前職でどれほど優秀な実績を残していたとしても、転職先の企業に入社してすぐ同じような活躍をするとは限りません。たとえ同じ職種だったとしても、仕事の進め方が異なれば、業績を再現するのは難しいでしょう。

人間関係を構築するだけでも、一定の期間が必要です。前職のスキルをそのままスライドさせて、入社直後からバリバリ働ける人材という意味で捉えるなら、即戦力になれる人はいないということになります。

本当に必要な即戦力は「適応力」

即戦力の基準は企業によって異なるとはいえ、共通して求められるスキルもあります。それは、「適応力」です。言い換えれば、適応力のある人が、即戦力としての活躍が期待できる人材ともいえます。

適応力がある人は、新しい職場のやり方を覚えたり、上司や同僚との関係性を築いたりするまでのスピードが速いのが特徴です。社内文化や仕事の進め方を覚えてしまえば、後は本来持っているスキルを生かして、まさに即戦力として活躍できるでしょう。

そういう意味では、1つの企業での勤務歴が長い人より、何度か転職を経験している人の方が柔軟性があり、即戦力になりやすい人材ともいえます。

即戦力になれる人はいるわけがないのに求められる理由

電話をする男性

(出典) pixta.jp

即戦力になれる人はいるわけがないといわれる中でも求められるのはなぜでしょうか。理由を3つ挙げて解説します。

人材育成コストの削減

企業が即戦力として求めるのは、適応力と同時に、ある程度のスキルや経験を身に付けている人材です。未経験や新卒などを採用すると、基本的なスキルや知識から教えなければならず、研修費などのコストがかかります。

しかし、既に仕事に必要なスキルや知識を持った人を採用すれば、企業は育成までの時間やコストの削減が可能です。特に、人材育成に多くのコストをかけられない中小企業では、短期間で即戦力として活躍してくれる人を求める傾向にあります。

組織の強化と競争力向上

即戦力として期待できる人材を採用することで、組織の強化と競争力の向上を図りたいという企業の思惑もあります。企業が即戦力を採用したいのは、単に人材不足解消だけが目的ではありません。

他社で培ったスキルを自社で生かしてもらうことによって新たなノウハウを獲得し、社内を活性化させたいという狙いもあります。既存のやり方を続けているだけでは、企業間の競争が激化する中で生き残っていくのは困難です。

競合他社との差別化を図り、企業として成長していくためにも、即戦力となる人材は貴重な存在といえるでしょう。

人材の流動化

転職者の増加によって、人材の流動化が高まっていることも理由の1つです。

総務省統計局が発表した「労働力調査(詳細集計)2023年(令和5年)平均結果の要約」によると、転職者の人数は2021年から2年連続で増加傾向にあります。転職等希望者数においては、2016年から7年連続で増加の推移をたどっているのが現状です。

終身雇用制度が主流の時代から、キャリアアップを目指した転職が珍しくない状況に変化している中で、優秀な人材を確保したい企業が増えるのは、ある意味自然な流れともいえるでしょう。

出典:労働力調査(詳細集計)2023年(令和5年)平均結果の要約 P.2

即戦力になれる人の特徴

デスクワークをする男性

(出典) pixta.jp

企業から即戦力になると期待される人には、どのような特徴があるのでしょうか。代表的な特徴を3つ紹介します。

自発的に行動する

主体的に考えて、自発的に行動できる人は、即戦力となる素質を持ち合わせているといえます。スキルや経験があっても、常に受け身の状態でいては、企業に貢献できません。

仕事で実績を上げるためには、上司からの指示を待っているだけでなく、自分から積極的に動いていくことが必要です。仕事を早く覚えるためにも、分からないことがあれば自分から進んで聞きにいく姿勢が求められます。

自発的に行動できる人は、主体性を持って仕事に取り組めるため、入社から短期間で実力を発揮できる可能性があるでしょう。

実績や経験が豊富

即戦力として活躍している人の多くは、豊富な実績や経験を持っている人材です。特に、同じ業種や職種で実績を出している人は、即戦力として期待される傾向が強くなります。

例えば営業職からエンジニアへの転職は不可能ではないものの、実績がある人に比べると、即戦力をアピールするのは難しいでしょう。

実績や経験がなく、やる気や積極性だけを評価されるのは、ポテンシャル採用です。過去の職歴で培った経験やスキルがあってこそ、即戦力になれる人材といえます。

社風を理解できる

社風を理解した上で仕事をするという姿勢も持っています。社風やミッションなどを理解せず、事業の目的も把握できていない状態では、持っているスキルを企業の成長のために生かせません。

社風や社内文化は、従業員同士の結束感を生むための鍵となるものです。価値観の異なる人同士が集まっていては、円滑に仕事を進めていくことはできません。

社風を理解し、なおかつ価値観に共感できる人材であれば、既存の社員と良好な関係を築きながら即戦力を発揮していけるでしょう。

即戦力になるための対策は?

ノートに書き込む男性

(出典) pixta.jp

即戦力として期待される人材になるにはどうすればよいのでしょうか。具体的な対策を3つ紹介します。

実用的な資格を取得する

実用的な資格を取得しておくのがおすすめです。資格を取得すると、スキルや知識を客観的にアピールすることに役立ちます。例えば、経理の実務経験に加えて簿記の資格も取得していれば、面接官に対して専門知識もあることをアピールできるでしょう。

同じような実務経験を持っている人がライバルにいた場合、資格を取得しているかどうかが採用の基準となる可能性もあります。取得する際は、希望する業種や職種に生かせる資格を選ぶことが大切です。

スキルを棚卸しする

実績や経験をアピールするためには、スキルを棚卸しし、整理するのが効果的です。具体的な数字やエピソードも伝えられるようにしておくとよいでしょう。

ブランクがある場合は、仕事から離れていた間のことをポジティブに伝えられるようにしておくのがおすすめです。

また、特定の分野に関する専門的なスキルだけでなく、コミュニケーション能力やマネジメントスキルなど、汎用性のあるポータブルスキルもアピールポイントとして使えます。

キャリアプランを明確にする

企業が、即戦力のある人材として評価する基準の1つに、目標設定ができるというポイントもあります。目標設定ができている人は、必要なスキルを積極的に身に付け、業績を上げられる人材だと判断されやすいためです。

面接で目標設定ができる人だと評価されるためには、将来どのような仕事をしていたいか、キャリアプランを明確にしておく必要があります。

現時点では実現が難しい目標でも、達成に向けて努力する意欲をアピールすれば、入社後に成長が期待できる人材だと評価されやすいでしょう。

即戦力の本当の意味を知ろう

ネクタイを整える男性

(出典) pixta.jp

即戦力として求められる人材は企業によって異なります。どれほど優秀な実績やスキルがある人でも、社風やミッションにマッチしていなければ、その企業での即戦力にはなれません。

一定の実績やスキルを持った上で適応力のある人が、本当の即戦力になれる人材だといえるでしょう。即戦力の意味やアピールするための対策を確認できたら、自信を持って転職にチャレンジしましょう。

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