ゆとり世代の年齢は?特徴や仕事で向き合うときのポイントを解説

ゆとり世代という言葉は知っていても、具体的にどの年齢を指すのかよく理解できていないという人もいるでしょう。ゆとり世代の年齢や、主な特徴を解説します。一緒に仕事をする上で向き合い方に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

ゆとり世代の年齢は?

笑顔の若手社員

(出典) pixta.jp

職場にはさまざまな世代が集まっており、ゆとり世代もその1つです。しかし、どの年代に生まれた人がゆとり世代であるのか、よく分からない人も多いのではないでしょうか。ゆとり世代の年齢や特徴を解説します。

1987年から2004年に生まれた世代

ゆとり世代とは、1987年4月2日~2004年4月1日に生まれた人を指すのが一般的です。つまり、2024年の時点で20~37歳の年齢になる人たちのことをいいます。

ただし、ゆとり世代という呼び名は文部科学省などによる正式な名称ではありません。義務教育の期間を中心に「ゆとり教育」を受けた世代に対してマスコミが名付けたものです。

また同じゆとり世代でも、生まれた年によって3つに分類されます。

  • 1987~1989年生まれ:ゆとり第1世代
  • 1989~1996年生まれ:ゆとり第2世代
  • 1996~2004年生まれ:脱ゆとり世代

中でも、小学校から高校までゆとり教育を受けた1995年生まれを、「スーパーゆとり世代」または「フルゆとり世代」と呼ぶこともあります。

ゆとり教育の特徴や問題点

ゆとり世代と呼ばれる人たちが受けた「ゆとり教育」とは、2002年から実施された教育方針のことをいいます。それまでの詰め込み型の教育を見直し、子どもの個性や、自分で考える力を育てることに重点を置いているのが特徴です。

学習指導要領の改訂によって、さまざまな取り組みが行われました。完全学校週5日制・授業時間数の削減・相対評価から絶対評価への移行・総合的な学習の時間の導入などが、主な取り組みの例です。

しかし、学習内容の削減などによる学力低下への懸念が起こり、2008年に再び学習指導要領が改訂されました。その後、小学校では2011年度から、中学校では2012年度から脱ゆとり教育に移行しています。

ゆとり世代に多い特徴

若い男女の社員

(出典) pixta.jp

ゆとり世代に対し、どのように接してよいか分からないという人は、まず世代ならではの特徴を知っておくことがポイントです。主な特徴を3つ挙げて解説します。

ワークライフバランスを重視する傾向

ゆとり世代の多くは、ワークライフバランスを重視する傾向にあります。仕事よりプライベートを大事にしたいと考えるため、会社の飲み会などにも参加したがらない人も多いでしょう。

ゆとり教育によって授業時間数も少なくなり、完全週休2日制が当たり前という生活を送ってきたことも理由の1つといわれています。

また、景気低迷の時代を見てきた世代なので、経済成長期の中で育ってきた人たちのように「仕事を頑張れば生活が豊かになる」という考えは持てないのかもしれません。

しかし、言い換えれば、仕事だけでなく趣味や遊びも充実させながら両立を図れる世代ともいえます。

ITスキルが高い

子どもの頃から、スマホやパソコンなどのデジタル機器に触れる機会が多かった世代であり、ITスキルが高い人が多いという特徴もあります。

SNSを日常的に利用しており、インターネットを駆使した情報収集なども得意です。デジタル化が加速する時代とともに成長してきたため、新しい技術に対しても抵抗感なく受け入れる姿勢が身に付いています。

仕事上の連絡手段も、電話よりメールやチャットなどを好む傾向です。そういった傾向に価値観の違いを感じる世代にとっては、理解し難い部分もあるでしょう。

競争意識が低い

競争意識が低いという傾向もあります。ゆとり教育では、絶対評価によって成績を決めるなど、競争させないことにも重点を置いていました。運動会の徒競走などでも、あえて順位を決めない方式で競技させていた学校もあります。

周りとの比較ではなく、個性が重視される教育を受けてきたため、他者をライバルとして捉える考え方をしない人が多いようです。一方で、競争ではなく協力という価値観が身に付いており、チームワークを重視する傾向が強い世代ともいえます。

ゆとり世代と他の世代との比較

ネクタイを締める男性

(出典) pixta.jp

ゆとり世代と同様に明確な定義はないものの、特定の年代に生まれた世代を「○○世代」と呼ぶ例は他にもあります。代表的な3つの世代とゆとり世代との違いについて見ていきましょう。

さとり世代

さとり世代とは、おおむね1996~2005年ごろに生まれた世代といわれています。しかしこの定義には諸説あり、明確に決まっているわけではありません。

「さとり」とはインターネットの匿名掲示板サイトで生まれた言葉で、子どもの頃に不景気が叫ばれる時代を経験し、現実の厳しさを「悟った」ことが語源ともいわれています。

さとり世代は、主に脱ゆとり教育を受けてきた世代のため、ゆとり世代とはまた違った価値観があるのが特徴です。他者との協力を重視するゆとり世代とは異なり、周りは気にせず自分の考えで選択する傾向が強いといえるでしょう。

ミレニアル世代

2000年代に成人した世代をミレニアル世代と呼ぶこともあります。アメリカなどの海外で、Y世代(Generation Y)と呼ばれる世代と同義です。

はっきりとした定義はありませんが、1980~1995年ごろに生まれ、2024年の時点で20代後半から40代前半の年齢になっている人が該当します。

ゆとり世代とほぼ重なっており、デジタルネイティブで、ワークライフバランスを重視する傾向が強いでしょう。また、成人する頃にテロ事件や大地震などを経験している世代なので、社会問題への関心が高い人も多く見られます。

Z世代

ミレニアル世代の次に当たるのがZ世代と呼ばれる人たちです。1990年代中盤以降に生まれた人たちで、Y世代の次という意味でZ世代という呼ばれ方をしています。

個性や多様性の尊重や、ITリテラシーの高さなどは、ゆとり世代と共通する部分です。加えて、テレビよりYouTubeやTikTokなどのSNSを利用する時間の方が長いなど、Z世代にとってインターネットはより身近なものになっています。

また、ブランドに対する興味があまりなく、知名度の高さより自分の価値観を重視する傾向も多く見られます。

ゆとり世代と仕事で向き合うときのポイント

背中を押す先輩社員

(出典) pixta.jp

個性を伸ばすことが重視され、他人と競争する機会の少なかったゆとり世代と仕事で向き合うには、どのような点に留意すればよいのでしょうか。主なポイントを3つ紹介します。

目標や指示を明確にする

達成すべき目標や、そのための手段・手順などを明確に指示することがポイントです。競争意識が低いゆとり世代は、昇進や成長への欲求も弱く、自分からチャレンジしようという意欲を持ちにくいという傾向もあります。

そのため、仕事においても自分で目標を立てて達成させることが苦手な人もいるでしょう。しかし、指示があれば努力する素直さもあるので、自分で目標を決められないゆとり世代の人に対しては、上司が代わりに設定してあげることが必要です。

評価して伸ばす

個性が評価されてきたゆとり世代は、結果だけでなくプロセスも評価されると仕事へのモチベーションを維持しやすくなります。

業務に関する提案を持ちかけてきたら、改善すべき点を指摘するのではなく、良い部分に着目して積極的に褒めることが大切です。

定期的に声をかけながらフィードバックすることで、上司がしっかり見てくれているという安心感や仕事へのやる気を保ちながら、最後までやり遂げられるでしょう。

叱るのではなくアドバイスする

仕事でミスしたときは、叱るのではなく、改善できるようにアドバイスすることがポイントです。「褒めて伸ばす」という教育方針が注目されていた時代に育ってきたゆとり世代には、叱られることに慣れていない人もいるでしょう。

感性が繊細なところもあるので、叱られると萎縮しやすい傾向にあります。感情的にならず、失敗してしまった理由やミスを繰り返さないための改善策を一緒に考えるというスタンスが必要です。

ゆとり世代の特徴を理解して向き合おう

若手社員

(出典) pixta.jp

ゆとり世代は、「チャレンジ精神がない」「打たれ弱い」など、否定的な見方をされることも少なくありません。

しかし、自分の価値観を大切にし、周りと協力しながら物事に取り組むといった長所もあるため、チームワークが重視される仕事には向いているともいえます。

目指すべきゴールが分かれば努力する素直さも持ち合わせているので、目標を明確に設定し、達成までのプロセスを見守りましょう。良好な関係性を築くには、世代が持つ特徴を理解しておくことが大切です。