就活浪人の扱いは新卒?メリット・デメリットを把握して就活に臨もう

就活浪人にはマイナスのイメージがあるかもしれませんが、実際には就活浪人によって得られるアドバンテージもあります。就活浪人中の過ごし方や就職活動への取り組み方を、注意点も交えて紹介します。成功に導くポイントをつかみましょう。

就活浪人の扱いは?

面接の様子

(出典) photo-ac.com

就職活動を進めるに当たって、就活浪人が新卒・既卒どちらの扱いになるかは知っておきたいポイントです。現在、日本の企業は就活浪人をどのように扱っているのでしょうか?

基本的には新卒扱い

学校を卒業した後でも、卒業から3年以内であれば、就活浪人でも基本的に新卒扱いです。

厚生労働省は2010年に雇用対策法に基づくガイドラインを一部改正し、卒業後3年以内なら新卒枠として積極的に採用するよう呼びかけました。現在では多くの企業が就活浪人を新卒扱いとしています。

在学生と就活浪人生の差は、年々縮まってきている傾向です。かつては就活浪人をすると、思うような就職が難しくなる傾向がありました。しかし現在では、就職で不利になるケースは少なくなってきたといえるでしょう。

参考:3年以内既卒者は新卒枠で応募受付を!! |報道発表資料|厚生労働省

企業によっては既卒扱いのケースも

3年以内なら新卒扱いにする旨のガイドライン改正は、あくまで厚生労働省の「お願い」に過ぎません。強制力はないため、全ての企業がこの通達を遵守しているわけではないのです。

実際には就活浪人を既卒扱いし、中途採用枠から応募するよう誘導している場合もあります。中途採用枠では、一定のスキルや経験を備えた転職組と競争することになります。主に就活浪人のライバルとなるのは、新卒で就職した後に転職する第二新卒組です。

第二新卒組には社会人経験があるため、社会人経験のない就活浪人からすると厳しい戦いになる可能性があるでしょう。

就活浪人のアドバンテージ

履歴書を書く女性

(出典) photo-ac.com

就活浪人には、就職活動に生かせるアドバンテージがあります。アドバンテージを把握した上で、面接でうまくアピールすれば内定に一歩近づけるでしょう。

じっくりと就活に取り組める

在学生は学校の授業も受けながら就職活動に取り組む必要があります。大学・大学院の最後の年まで就職活動が長引けば、研究や論文の執筆の時期とも被ってかなりの多忙になります。

一方、就活浪人には授業もテストもないため、就職活動に集中できるのが強みです。

ただし就活浪人でも、生活費を自分で稼ぐ必要がある場合はその限りではありません。アルバイトをしながら就職活動をしなければならず、在学しながら就職活動をするよりハードになってしまう可能性もあります。

就活に関する知識や経験を持っている

在学生のときにも就職活動をしていたなら、就職活動に関する知識を一通り持っていたり、選考のポイントをある程度は心得ていたりするはずです。

面接も何度か経験している場合は、過度に緊張せず重要な面接に臨めます。以前の知識と経験を生かせるのは、就活浪人の大きなアドバンテージです。

既に就職している友人・知人の意見を聞けるのも、大きなメリットとして挙げられます。実際に社内で働いている人からリアルな話を聞けば、入社してからミスマッチに気付く事態を避けられるでしょう。

仕事内容や環境についての希望が固まる

時間に追われるように焦って就職活動をしていては、なかなか自分のやりたい仕事や求める環境が明確にならないものです。在学中に就職先が決まった同期の中には、希望条件を大きく妥協した人も多くいるでしょう。

就活浪人は在学時に就職活動していた期間も含めて、企業の求人や自身の希望するキャリアと長く向き合っています。深く自己を顧みる時間を十分に確保できるため、本当に求めている条件が明確になってきているでしょう。

就職活動で重視したい軸を見つけられれば、面接でも質問に対して筋の通った回答ができて、面接官からの印象がよくなります。妥協せずに自分と向き合う時間を大切にすることが、就職活動を成功させる鍵です。

就活浪人の注意点

2人の面接官

(出典) photo-ac.com

在学生と比べてアドバンテージがあるとはいえ、就活浪人には不利な点もあります。どのような弱みが考えられるのかを知り、落とし穴を避けてうまく立ち回る動きが必要です。

面接での印象が悪くなってしまう

就活浪人は一部の企業から「新卒のタイミングを逃した人」とネガティブなイメージで見られ、仕事を任せるのが不安と捉えられる可能性があります。就活浪人になった理由を答えられなかったり話の整合性が取れなかったりすると、より印象が悪くなるでしょう。

とはいえ、新卒枠で就活浪人を採用している企業が多くあるのも事実です。新卒枠として受け入れている企業では、就活浪人した理由をしっかり答えられさえすれば、在学生と同じように扱われます。アドバンテージを生かして上手にアピールする方法を考えましょう。

大学のサポートを使えない可能性がある

在学しているときには、大学を通して就職活動に関わる情報を得られます。面接対策のサポートを提供していたり、就活イベントを紹介していたりする大学も少なくありません。教授のつてを使って企業に紹介してもらえる場合もあります。

しかし、就活浪人では大学からの支援を受けられず、就職活動の幅が狭まる恐れがあることに注意が必要です。

ただ、時間を上手に使って積極的にアプローチしていけば、大学の援助がなくても十分な情報を手に入れられます。特にインターネットが普及している近年では、自分の動き次第で納得のいく就職活動がかなうでしょう。

孤独感を抱きやすい

就活浪人の状態になると、既に就職して働いている同期への劣等感や、社会から取り残されているような感覚から、孤独感を抱きやすくなります。誰にも相談できないまま過ごしているとさらに塞ぎ込み、就職活動に取り組む意欲もわかなくなってしまうでしょう。

ただ、内閣府が卒業後3年以内なら新卒扱いするよう通達を出したことから分かるように、日本で就活浪人は決して珍しくありません。

在学中に就職先が見つからなかったことに、過度な罪悪感を抱く必要はないのです。就活浪人中も社会との接点を持ち続け、適度にストレスを発散していきましょう。

就活浪人中のおすすめの過ごし方

バインダーに記入する男性

(出典) photo-ac.com

就活浪人が就職活動をうまく進める鍵は、就活浪人中の過ごし方です。選考を有利に進めるのに役立つ、おすすめの過ごし方を紹介します。

資格を取得する

資格の取得やスキルアップは、選考を有利に進めるのに役立ちます。

内定が出てから入社までに資格の取得が必要だったり、入社後に資格・スキルの取得が必要だったりする場合も少なくありません。

前もって必要な資格を取得する、独学で学べるスキルだけでも身に付けるといった取り組みをしていれば、選考でよい印象を与えられるでしょう。

志望先の企業で役立つ資格やスキルを調べて勉強に励むのはもちろん、どの業界でも役に立つパソコンスキルを一通り習得しておくのもおすすめです。

例えば、海外にも事業を展開している企業なら語学力、金融業界や経理業務に携わるなら簿記検定やファイナンシャルプランナーの資格を取るという方法があります。

エンジニア志望なら、希望する分野で使う言語や開発環境を学んでおくと、入社後に即戦力として活躍しやすくなります。

志望業界での経験を積む

志望業界でアルバイトやインターンとして働くのも、就活浪人中の過ごし方としておすすめです。業界内の実情は外から見ているだけではなかなか分かりません。志望先と同じ業界の企業で働いてみれば、その業界が自分に合っているかが実感として分かるでしょう。

志望業界での勤務経験は、選考を有利に進めるのにも効果的です。面接官から即戦力としての活躍が期待されて、採用に一歩近づけます。アルバイトの場合、働きぶりによっては勤務先の企業から正社員登用のオファーを受けられるケースも珍しくありません。

就活浪人しても内定をもらうには?

2人の面接官

(出典) photo-ac.com

就活浪人をしても就職活動をうまく進めて内定をもらうには、どのような準備や意識が必要なのでしょうか?就活浪人が押さえておきたいポイントを解説します。

就活浪人の理由を伝えられるよう準備する

就活浪人が就職活動をしていると、就活浪人することになった理由を十中八九聞かれます。明確な理由を答えられないと、面接官に疑念を抱かれてしまいます。悪い印象を与えないためにも、就活浪人した理由をしっかり回答できるような準備が必要です。

就活浪人中に力を入れて取り組んだ事柄もあると、面接官に与えられる印象は格段によくなります。資格の取得やスキルの向上に取り組んだこと、業界研究に関する具体的な行動をアピールしましょう。

志望業界以外にも目を向ける

在学生のときの経験から、志望業界が定まっているのは就活浪人のアドバンテージです。しかし、最初から狙いを絞りすぎると、魅力的な企業があっても取りこぼしてしまったり、なかなか内定をもらえず再び就活浪人したりする可能性もあります。

就活浪人も、最初は広い視野を持って取り組むことが大切です。さまざまな業界をチェックするときは、スタンバイのように数多くの求人をまとめて見られるサイトを活用しましょう。

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公務員・士業という選択肢も

就職先の選択肢を民間企業だけに絞る必要はありません。公務員や士業を目指して試験を受けてみるのも1つの選択肢です。公務員試験には種類によって一定の年齢制限がありますが、繰り返しチャレンジできます。

士業には弁護士や税理士のほか、公認会計士や行政書士などの資格があります。士業は試験の難易度が高いものの、資格を取得できれば将来的に安定して高収入を見込める職業が多いでしょう。

公務員や士業の試験を受ける人の間で、就活浪人は珍しくありません。ライバルと同じ立ち位置からスタートできるのも魅力です。

就活浪人でも内定をもらえるよう行動を

パソコンに向かっている女性

(出典) photo-ac.com

就活浪人した場合、卒業後3年以内なら新卒枠として受け入れている企業もあれば、中途採用として扱う企業もあります。企業ごとに扱いが異なるため、応募時は丁寧なリサーチが必要です。

就活浪人には就職活動に関する知識と経験が在学生よりも多く、じっくりと就職活動に取り組めるというアドバンテージがあります。一方、面接官からの印象が悪くなる可能性があったり、大学のサポートを受けられなかったりする点はネックです。

資格の取得に励んだり志望業界での経験を積んだりして、採用される要素を増やすことが重要です。就活浪人の状態に悩みすぎず、幅広い視野を持って採用に近づく動きをしてきましょう。