仕事をしていると、さまざまな悩みが出てくるものです。職種や年代によっても悩みの種は異なります。よくある仕事の悩みを年代別に解説するほか、悩みが引き起こす影響や対処方法も紹介するので、仕事で悩んでいる人は参考にしましょう。
仕事の悩みを抱えている人は多い?
仕事の悩みを抱えている人は、どのくらいいるのでしょうか?仕事で悩んでいる人の割合やその原因を、厚生労働省の調査をもとに見ていきましょう。
53.3%が仕事でストレスを感じている
仕事の悩みやストレスについての調査は、民間のリサーチ会社などでもたびたび実施されており、多数の人が何らかの悩みを抱えているという結果が出ています。
厚生労働省の「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)」を見ても、20歳未満から60歳以上の年代で「仕事や職業で強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と回答している人の割合は、53.3%と約半数に上ることがわかりました。
ストレスの原因として最も多いのは「仕事の量」で、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」「仕事の質」「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」などが続いています。
この結果を見るだけでも、大半の人が何らかの仕事の悩みを抱えていることがわかるでしょう。
参考:令和3年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況|厚生労働省
約3割が悩みを相談できない
厚生労働省の「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)」の結果によれば、仕事で悩む人が多くいる一方で、全体の92.1%が仕事の悩みを相談できる相手がいると答えています。
相談できる相手で一番多かったのは、「家族・友人」で80.1%、「上司・同僚」と答えた人が75.2%という結果でした。
しかし、相談できる相手がいると回答した人のうち、実際に相談した人の割合は69.8%となっており、すべての人が悩みを打ち明けているわけではないようです。
この結果を見る限り、相談する相手がいたとしても約3割の人は誰にも相談できず、悩みを抱えたまま解消できていないことがわかります。
参考:令和3年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況|厚生労働省
20代のよくある仕事の悩みは?
仕事の悩みの原因は、年代によっても異なります。まずは、20代によくある仕事の悩みを、具体的に3つ見ていきましょう。
仕事を覚えられない
20代には「仕事の量が多い」「仕事がなかなか覚えられない」という悩みを抱えている人が多いようです。同じミスを繰り返して上司や先輩から何度も叱られ、自信を失ってしまうこともあるでしょう。
20代前半の間には、わからないことがあれば何でも聞けていた人でも、20代後半になると「今さらこんなことを聞けない」「自分で解決しなければ」と考えてしまう人も少なくありません。
仕事の量が多くて管理しきれないときは、1日のスケジュールを立てて計画的に進めていくとよいでしょう。同じミスを繰り返さないためには、上司や先輩から言われた内容をその都度メモしておくことが大切です。
上司や同僚との人間関係がうまくいかない
「入社した会社の社風が合わない」「上司や同僚との人間関係をうまく構築できない」という悩みを抱えている人もいます。会社には、年代や価値観の違う人が集まっているので、すべての人とうまく付き合うのは困難です。
そのような環境で良好な人間関係を構築するには、お互いの考えを尊重することが必要でしょう。信頼できる知人や友人に話してみると、同じような悩みを抱えていることもあり、解決のヒントをつかめる可能性もあります。
一方で、単にコミュニケーションの問題だけでなく、パワハラ・セクハラに発展する深刻なケースも少なくありません。確実にパワハラだと感じる場合は、会社のコンプライアンス窓口などに相談してみる必要があります。
思っていた仕事と違う
「入社前に想像していた働き方とかけ離れている」「思っていた仕事と違う」のように、理想と現実のギャップに悩んでいる人もいます。
入社したこと自体を後悔している人や、雑用のような仕事ばかりやらされてやりがいを感じられない人もいるかもしれません。
しかし、20代のうちはさまざまなことを経験する時期でもあります。上司や先輩もあなたの仕事ぶりを見て、評価している段階なのかもしれません。
この先重要な仕事も任せられる人材として評価されるよう、今は焦らず、やるべきことを地道にこなしていくことも大切です。
30代のよくある仕事の悩みは?
続いて、30代が抱えやすい仕事の悩みを見ていきましょう。30代のよくある仕事の悩みを、3つ挙げて解説します。
キャリアに不安がある
30代になると、ある程度仕事も任されるようになる反面、「自分はこのままでよいのだろうか」と将来への不安も出てきます。
職種によっては、惰性で仕事を続けているだけで、専門性が身に付かないという悩みを持つ人もいるかもしれません。キャリアアップのために、転職や独立を考える人もいるでしょう。
どういう行動を起こすにしても、まずはどのようなキャリアを目指したいのかを、自分の中で明確にしておくことが大切です。
目標が明確になれば、そのために必要なスキル・資格を身に付けるなど、具体的な行動に移していくこともできるでしょう。
給与に不満がある
仕事の量や内容の割に給与が低かったり、今後も昇給が見込めなかったりなど、収入面で悩んでいる人も少なくありません。30代には、結婚・出産などライフステージが大きく変化する人もいるでしょう。
現在の給与で生活に不安があれば、収入アップのために転職を考える人が出てくるのも自然な流れかもしれません。
しかし、すぐに転職を考える前に、スキル・資格を身に付けることによって、現在の職場でも給与アップできないか試してみるのもおすすめです。
たとえ現職での収入増につながらなくても、スキル・資格を身に付けておけば転職する際の強みになります。
部下や後輩の育成がうまくいかない
30代になると、自分だけの仕事に集中していればよいわけではない場面も増えてきます。部下ができたり、後輩の育成を任されたりする人も多くなるでしょう。
部下や後輩ができれば、「部下がなかなか仕事を覚えない」「後輩とのジェネレーションギャップを感じる」など、指導や接し方の悩みも出てくるものです。
もし部下がなかなか仕事を覚えないというのであれば、部下を責めるだけでなく、なぜそうなるのか原因を探ってみる必要もあります。
「能力に見合っていない仕事を任せていないか」「部下自身が悩みを抱えていないか」など、歩み寄って理解することも大切です。
40代のよくある仕事の悩みは?
40代の悩みには、会社での立場のほか、仕事と家庭の事情のバランスに関するものも含まれてきます。40代の仕事の悩みについても見ていきましょう。
なかなか出世できない
同期が次々とキャリアアップしたり、昇進したりするのを見て、なかなか出世できない自分に悩みを抱えてしまう40代も少なくありません。このまま定年まで続けるのかと考えると、仕事へのモチベーションも下がってしまいがちです。
自分にとって、出世することだけが仕事の目的なのか、冷静に考えてみましょう。仕事をすることによって何を実現させたいのか、仕事とプライベートの両方に視点を置いて自己分析してみることが大切です。
それでもなお「もっと評価されたい」「仕事で出世したい」と思ったときは、「今の職種が自分に合っているのか」というところから考え直してみるのもよいかもしれません。
親の介護をしなければならない
40代になると親世代の年齢も高齢化するため、親の介護をしなければならない人も増えてきます。仕事と介護の両立は難しいため、自分が望んでいたキャリアパスを諦めざるを得ない人も出てくるでしょう。
親の介護が必要な状況になったときは、家族の協力や公的支援を上手に利用しながら、介護する側にとってもされる側にとってもベストな方法を考えていく必要があります。
フレックスタイム制やテレワークなどを導入している企業であれば、働き方を変えられないか、上司や会社に相談してみるのもおすすめです。仕事と介護を両立させるためには、1人で抱え込まず周りと連携することが大切です。
責任のある立場を求められる
40代になると、管理職のような責任のある立場を求められる人もいます。
管理職になるのを望む人がいる一方で、役職につくことによる業務量の増加・プレッシャーなどによって、管理職になるのを望まない人も少なくありません。あるいは、現場で仕事をすることにこだわる人もいるでしょう。
会社からの打診を断ることで、「現在のキャリアを続けられないかもしれない」という葛藤に悩む人もいるかもしれません。
もし管理職になるのが苦痛なら、なぜつらいのか理由を考えてみましょう。どうしても管理職の立場になりたくなければ、会社にその旨を伝えるのも1つの方法です。
「自分にはできないから」という漠然とした不安が原因であれば、不安を軽減していくための方法を具体的に考えてみるとよいかもしれません。
仕事の悩みが引き起こす影響
仕事の悩みは少なからず誰にでもあるものですが、深刻な悩みを抱え続けると生活に影響を及ぼす可能性もあります。仕事の悩みが引き起こす影響を、2つ挙げて解説します。
仕事でミスが多くなる
悩み事にばかり気を取られていると、目の前の仕事に集中できなくなります。集中力がなくなると、仕事でのミスも多くなるでしょう。
たとえ大きなミスをしなくても、遅刻しがちになったり上の空になることが多くなったりして、上司から叱られる場面が増えるかもしれません。
もともとの悩みに加えて上司との関係も悪化すれば、新たな悩みが増えてしまう悪循環も引き起こしてしまうでしょう。そのまま放置しておくと、ますます深刻な状況になる可能性があります。
心身に影響を及ぼす
仕事の悩みによるストレスが長引くと、心身にもさまざまな影響を及ぼします。特に原因がないのに頭痛・めまい・胃痛など体調に異変があるときは、ストレスが原因の可能性があります。
また、過度なストレスは、気分が落ち込む・やる気が出ないなどのメンタルの不調を引き起こすことも少なくありません。
ほかにも、仕事の悩みをあれこれ考えすぎて常に脳が興奮状態になり、なかなか寝付けなくなることもあるでしょう。
夜中に何度も目を覚ましたり、眠っても疲れが取れなかったりするときは、悩み事を考えすぎたことによるストレスが原因かもしれません。
心身の不調は、体が休養を必要としているサインです。可能であれば、仕事を休んで心と体を休めることをおすすめします。
仕事で悩みがあるときの対処法
仕事の悩みは、できるだけ早めに解決するのがおすすめです。仕事の悩みを解決するための対処法を、4つ紹介します。
悩みを具体的に書き出してみる
まずは、自分の悩みを具体的に書き出してみましょう。悩みを具体化することにより、漠然とした不安から抜け出せます。
例えば、仕事で叱られることが多いという悩みなら、なぜ叱られるのか理由を考えてみましょう。理由を掘り下げて考えていくと、どこかの段階で解決方法に行き当たることがあります。
悩みの内容を明確にしておけば、誰かに相談するときにも、自分の考えを整理して伝えられるでしょう。また、改めて自分の悩みを振り返ってみたときに、実はそれほど悩むことではないと気付けるかもしれません。
信頼できる相手に相談する
1人だけで考え込まず、家族・友人・上司・同僚など信頼できる相手に相談してみることが大切です。
1人で考えているとどうしても視野が狭くなりがちですが、他者の意見を聞くことによって、自分だけでは気付けなかった解決の糸口が見つかる場合もあるでしょう。
その場にいる人に漠然と相談するのではなく、「この人なら相談できる」と決めた相手にアドバイスを求めることが重要です。
自分にとって厳しい意見を言ってくれる人ほど、親身になって考えてくれていることもあります。また、相談相手は1人だけでなく、できれば何人か持っておくのが理想です。
自分の悩みに合った本を読む
人に相談しづらい場合は、本を読んでみるのもおすすめです。どのような内容で悩んでいるにせよ、仕事上の悩みはたいてい誰もが一度は経験することなので、悩みの解決方法や体験談は数多く存在しています。
仕事の悩みを解決する方法が書かれている本や、前向きな気持ちになれる本をいくつか選んで参考にしてみるとよいでしょう。
大きな書店のビジネス関連書籍コーナーには、さまざまな種類の本が並んでいるので、自分の悩みに合ったものが見つかるかもしれません。
解決できないときは転職を考える
「どうしても仕事の内容が合わない」「人間関係を修復できない」など、今の職場で悩みを解決できないときは、転職して働く環境を変えてみることも考えてみましょう。
最終的には転職という手もあると考えられれば、気持ちに余裕が生まれて、悩みやストレスとの向き合い方が変わるかもしれません。
本気で転職を考えるときは、同じ悩みを繰り返さないよう、自分にとって譲れない条件をしっかり見極めておくことが重要です。転職先探しには、求人情報が豊富に掲載されている転職サイトの活用をおすすめします。
取り扱い求人件数が1,000万件以上あるスタンバイなら、自分の条件に合った転職先探しができるでしょう。
仕事の悩みは1人で抱えず相談しよう
大半の人は、何かしらの仕事の悩みを抱えています。悩みの内容は、年代や職種によってさまざまですが、誰しも一度は経験する道ともいえるでしょう。
とはいえ、悩みの度合いによっては、心身に不調をきたして生活に影響を及ぼすことも少なくありません。悩み事があるときは、1人で考え込まず誰かに相談することが大切です。
相談相手がいないときや人に相談しづらいときは、悩みを書き出してみたり本を読んだりしてもよいでしょう。どのような方策を取っても問題が改善しないときは、思い切って転職するのも解決方法の1つです。