教員の給料はいくら？平均年収や諸手当、昇給のポイントを紹介 - スタンバイplus(プラス)

公立学校の教員の給料は、地方公務員に準じます。景気に影響されないため安定しているイメージがありますが、実際の額面はどのくらいなのでしょうか？種類別の教員の平均年収や、教師に支給される諸手当、さらには昇給のポイントを紹介します。

小・中・高校教員の平均年収

公立学校の教員となった場合は、「地方公務員」として地方自治体から給料が与えられます。小・中・高校教員の平均年収が、どのくらいなのかを見ていきましょう。

小・中学校教員の平均年収は698.6万円

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、小・中学校教員の平均年収は698.6万円です。

2021年における民間の給与所得者の平均年収は、443万円です。これと比較した場合、公立の小・中学校教員の年収はかなり高いといえます。

とはいえ、教員の業務はイレギュラーなことも多く、楽な仕事とはいえないのが現状です。

小学校教員は、1つの学級を受け持ち、複数の教科を教えなければなりません。児童の学校生活を支え、健やかな成長を促すのが仕事です。

また中学校教員は、1つの科目を専門に教えます。多感な年頃のため扱いが難しい生徒もおり、教員としてのスキルが試される場面も多いでしょう。通常業務に加えて雑務もあり、超過勤務となることも少なくありません。

参考：
中学校教員 - 職業詳細 | job tag｜厚生労働省
 小学校教員 - 職業詳細 | job tag｜厚生労働省
 令和3年民間給与実態統計調査｜国税庁長官官房企画課

高等学校教員の平均年収は692.8万円

「jobtag」によると、高等学校教員の平均年収は692.8万円であることが分かります。

高校教員は、1つの教科を受け持って生徒に指導します。教える内容が難しくなる上、分かりやすく教えるための工夫も必要です。

思春期の子どもたちに対し、精神面・学習面でのフォローアップも求められるでしょう。

参考：
令和3年民間給与実態統計調査｜国税庁長官官房企画課
 高等学校教員 - 職業詳細 | job tag｜厚生労働省

教員の初任給の目安もチェック

公立学校の教員となった場合、初任給は20～25万円前後です。額面は、勤務地によって異なります。

例えば、東京都内で公立学校の教員に採用された場合は、大卒の初任給が約24万8,700円、短大卒が約22万7,400円です。一方、北海道はこれよりもやや低く、大卒で21万4,660円、短大卒で18万9,300円となります。

上記のケースは、卒業後すぐに教員となった場合です。公立学校の教員の給料計算には、前歴加算が採用されます。教員に採用される前に教育関連の有用な経験があれば、初任給はより多くなります。

参考：

育てるのは、東京の未来だ。｜東京都公立学校教員採用ポータルサイト
 給料・手当 - 教育庁学校教育局教職員育成課｜北海道教育委員会

教員の基本給に加算される手当

教員の給料には、教員だけに適用される「教職調整額」「義務教育等教員特別手当」などが加算されます。それぞれどのような手当なのか、詳細を見ていきましょう。

教職調整額

教職調整額は、時間外勤務手当の代わりに支給される手当です。全ての公立学校の教員は、給料に対して4%の教職調整額が加算されます。

教員調整額は、1966年に文部省（当時）が実施した「教員勤務状況調査」の結果をベースに設定されています。

調査の結果、1年間（夏休みや年末年始などは除く）における教員の1週間分の平均超過勤務時間の残業代は、給料の約4%になるとの試算が出されました。そのため現在でも、教員は超過勤務手当がない代わりに、給料の4%が加算されるのです。

教職調整額については、改正を求める声が多く上がっています。法律が改正されれば、教職調整額は廃止されるかもしれません。

義務教育等教員特別手当

義務教育等教員特別手当は、教員に給料の優位性を与え、優秀な人材を確保するために設けられた手当です。月額2万200円を超えない範囲で毎月の給料に必ず加算され、金額はその人の職務の級・号給の範囲で適切に定められます。

義務教育等教員特別手当が設けられたのは、高度経済成長期に入ってからです。日本経済が大きく活性化すると、教員を希望する人が減少しました。

国は義務教育等教員特別手当を導入して教員の給料を底上げし、優秀な人材を集めやすくしたのです。

教員特殊業務手当

教員特殊業務手当は、給料に含めるのが妥当ではないと考えられる、特殊な業務を行った際に支給される手当です。教職調整額や義務教育等教員特別手当とは異なり、毎月必ず支給されるとは限りません。

教員特殊業務手当が支給されるのは、土日等にクラブ活動の指導に当たった場合や、部活動中の生徒を校外に引率して指導した場合、修学旅行や屋外学習で生徒を引率した場合などです。

このほか緊急事態に対応した場合も、教員特殊業務手当の対象となります。例えば、ケガをした児童・生徒を病院に運んだり、災害発生時に児童・生徒を保護・引率したりした場合などです。

期末・勤勉手当

期末・勤勉手当は、6月1日・12月1日を基準日とし、この日に在籍していた教員に支給される手当です。それぞれ6月30日・12月10日に支給されるのが一般的で、民間企業でいうところのボーナスと同じ意味を持ちます。

期末手当は、教師として在職した期間によって支給額が決まる手当です。金額は「基礎額×支給割合×在職期間割合」で計算され、在職期間が6カ月を超えていれば、在職期間割合は100%となります。

一方の勤勉手当は、勤務成績が支給額に反映されることが特徴です。「基礎額×期間率×成績率」で計算されるため、職務の遂行状態が「良好でない」と判断されると支給額が減少します。

その他手当

基本的な諸手当については、民間企業と同様に支給されるのが一般的です。扶養家族がいる場合は「扶養手当」、通勤に時間・コストがかかる場合は「通勤手当」があるほか、条件によっては住居手当・単身赴任手当なども給料にプラスされます。

また離島での勤務になった場合や、寒冷地での勤務となった場合には、「へき地手当」「寒冷地手当」もあります。このように、教員の手当は不安や不満を感じることがないように配慮されています。

教員の給料をアップする方法

公立学校の教員は、給料と勤続年数が密接にリンクしています。そのため、「早く給料をアップさせたい」と思っても、難しいのが現状です。

教員になったとき、給料をアップさせるにはどうすればよいのでしょうか？

勤続年数を増やす

最も確実なのは、勤続年数を増やすことです。勤続年数が増えれば、管理職に就きやすくなります。役職に就けば手当も増えるため、給料の大幅アップが期待できます。

とはいえ、公立学校の教員は地方公務員に準じるため、どれほど能力があってもいきなり役付きになることはできません。コツコツとまじめに働き、勤続年数を増やしていくことが大切です。

確実に管理職に就きたい場合は、教員として優れていることを常に周囲に示しましょう。

「ルーティン業務を効率的にこなす」「適切な児童・生徒指導を行う」「他の教師とも円満な関係を築く」などを行っていれば、上に立つ人間にふさわしいと認められるはずです。

私立の学校へ転職する

給料が少ないと感じて我慢できなくなった場合は、私立の学校に転職するのも1つの手です。

私立学校の教員は「労働者」に該当し、労働基準法で保護されているため、残業代が付かないということはありません。働けば働いた分だけ、超過勤務手当が支給されます。

また私立学校の場合、公立よりも学校運営の自由度が高いことがほとんどです。実力主義を採用している学校に職を得られれば、勤続年数が少なくても管理職に就ける可能性はあるでしょう。

このほか教える形態にこだわらない人は、学習塾の講師でバリバリ教えるという選択肢もあります。さまざまな可能性を視野に入れ、働き方の選択肢を広げるのがおすすめです。

教員の給料は地方公務員に準じる

公立学校の教員の給料は、地方公務員と同等です。特別に高給というわけではありませんが、景気・社会情勢に左右されにくいのは大きな魅力といえるでしょう。

注意点としては、教員には超過勤務手当が付かない点が挙げられます。激務に追われて残業が続いても、支給されるのは給料の4%となります。

給料の高い職に就きたい場合は、私立学校の教員や塾講師を選択するのも1つの方法です。「人に教える仕事」にどのようなものがあるのか気になったら、求人サイト「スタンバイ」をチェックしてみましょう。

教員としてはもちろん、学習塾や教育関連企業などに自分の望む働き方があるかもしれません。

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