貿易事務の向き不向きが知りたい!持っていると有利な資格も

海外から商品を仕入れたり日本の商品を海外に輸出したりする仕事に興味があるなら、貿易事務が向いています。しかし、向き不向きが分からないと就職してから後悔するでしょう。貿易事務の向き不向きや、持っていると有利な資格などを紹介します。

貿易事務に向いている人

デスクワークをする女性

(出典) photo-ac.com

貿易事務はさまざまな国の人々とやりとりをして、輸出や輸入に必要な事務手続きをします。世界を相手にした仕事がしたい人にとって、大きな魅力のある仕事です。貿易事務に向いている人は、どんな人なのかチェックしましょう。

英語を使って国際的なビジネスがしたい

貿易事務は外国の人々とのコミュニケーションが発生する仕事です。英語を使った書類やメールのやりとりや電話対応をするので、自分の英語力を生かせる仕事がしたい人に向いています。

貿易事務をしていると、各国の政治経済や文化にも詳しくなれるでしょう。輸出や輸入を成功させるには、日本以外の国に関心が高くなければなりません。

さまざまな国の人と接するので、視野を広く持てる人や国際的なビジネスがしたい人にも向いています。英語や異文化と関わることに抵抗がない人であれば、活躍できるはずです。

コミュニケーションが好き

貿易事務の仕事は、人とコミュニケーションを取ることが好きな人に向いています。貿易取引をスムーズに行うために「調整」「交渉」などをしなければならないので、コミュニケーションが苦手だと苦労するでしょう。

輸出や輸入に関するスケジュール調整をするには、相手の状況を考えながらこちらの事情をうまく伝える必要があります。

英語ができるだけでなく、さまざまな人とうまくコミュニケーションを取っていかなければなりません。日本の常識だけにとらわれていると、話がスムーズに進まないこともあるでしょう。

期日を守ることやルーティンワークが苦にならない

貿易事務の仕事は日時を意識しながら必要書類をそろえなければならない場面が多く、期日を守って仕事を進めるのが得意な人に向いています。期日を守れるように複数の取引先と調整しながら、さまざまな書式の書類を作成していかなければなりません。

「少しぐらい遅れても大丈夫だろう」と考えると、大きなリスクにつながります。期日が守れないと予定通りに出航できず、輸入や輸出に関わる大きなチャンスを逃すリスクが発生するのです。

また、関係者とコミュニケーションを図りながら、輸出や輸入に必要な書類を作成していく必要があります。入力業務やファイリングなどの地道な仕事をコツコツと続ける、ルーティンワークが苦にならない人に向いている仕事です。

貿易事務に向いていない人

スマホを見て悩む女性

(出典) photo-ac.com

英語が得意で事務職の経験があっても、貿易事務に向いていない人もいます。貿易事務に向いていない人の特徴を見ていきましょう。

事務処理能力が低い

貿易事務はデスクワークが中心で書類作成をする機会が多く、複数の業務を同時に進行していかなければなりません。

輸出や輸入を確実に行うには、素早く正確に事務処理を行う能力が必要です。作成した書類の数字が間違っていたというだけでも重大な損害を生む可能性があり、細かい事務作業が苦手な人にはおすすめできません。

オフィスで事務職をした経験があり、事務処理能力に自信があるなら向いている可能性がありますが、1つの仕事だけに集中したい人やデスクワークが苦手な人にとっては向いていないといえます。

スケジュール管理ができない

貿易事務の仕事は、スケジュール管理が苦手な人には向いていないといえます。輸出や輸入には多くの人々が関わっており、各部門のスケジュールを考えながら手配しなければならない場面が少なくありません。

貿易を成功させるには輸送手段や保管方法など、気を配らなければならないたくさんのことがあります。時には、工場と連携しながら仕事に当たることも珍しくありません。

それぞれの担当者に滞りなく業務を遂行してもらうためには、スケジュール管理を適切に行える能力や、高いマネジメントスキルなどが必要です。

迅速な対応が苦手

貿易ビジネスはスピード感を必要とします。船や梱包の手配などのタイミングを逃すと大きなチャンスを逃すことになるので、迅速な反応や回答ができない人は向いていません。

トラブルが起きたときも、返答が遅いと顧客や関係者を不安にさせてしまいます。迅速な対応ができないと、周囲の人々から信頼されないでしょう。

依頼を受けたときや質問をされたときに、素早く回答ができることが貿易事務に求められるのです。

必ずしも、相手の要求に全て応えなければならないわけではなく、できないときはできない理由を速やかに伝えることで、相手のチャンスを潰さないように気を配る必要があるでしょう。

貿易事務に求められるスキル

手帳に記入する女性

(出典) photo-ac.com

貿易事務も事務職であることに変わりありませんが、一般的な事務員とは違ったスキルが必要になります。どのようなスキルが求められるのか見ていきましょう。

語学スキル

海外企業と貿易取引をするには、「英語の読み書きスキル」が必須です。英語を話せる能力も必要ですが、書類作成業務やメールでのやりとりが多いので、話すスキルよりも読み書きが重視されることが多いといえます。

貿易事務の募集要項を見ると、TOEICのスコアが600点以上となっていることが珍しくありません。一般的に600点以上あれば、基礎的な英語の読み書きができると客観的に判断できます。

語学は得意だけれど、自分のレベルを正確に判断できない人はTOEICを受けてみるのがおすすめです。

貿易事務に求められる英語レベルは企業によっても異なり、ある程度定型的な英文を扱えれば問題ないとするケースもあります。

貿易業務の専門的な知識

貿易事務は貿易書類・商品・代金の流れを把握して、業務を進めていかなければなりません。輸出・輸入に関する手続きや、代金支払いの仕組みなど、貿易に関するルールや条件を理解していることが必要です。

貿易書類の役割を理解し、作成や確認を行えるだけの知識が要求されます。貿易業務に関する専門的な知識は、必要になると覚えておきましょう。

求められるレベルは業務内容によっても異なり、すぐに全てを1人で任されるわけではありませんが、採用する側にとってどれだけ多くの専門的な知識を持っているかどうかは重要な要素です。

貿易事務に有利な資格

バインダーの書類に記入しながら対話する

(出典) photo-ac.com

貿易事務の仕事をするに当たって、持っていると有利になる資格があります。どのような資格があるのか見ていきましょう。

貿易実務検定

貿易実務検定はA~Cのランクがあり、貿易実務のレベルを客観的に判断できる資格です。受験資格はなく、実務の経験がない人でも受験できます。

C級は極めて基本的な知識や初歩的な業務のレベルを問われる試験なので、未経験の人はC級から受けましょう。貿易実務に必要な、商業英単語や英文解釈なども出題されます。

資格に有効期限はなく、合格した試験の実施日から有効です。貿易事務だけでなく商社やメーカーなどへの勤務を目指す場合も、持っていると有利になります。

通関士

通関士は税関手続きをするために必要な国家資格です。通関士資格を持っていないと、通関書類の審査と審査後の記名捺印ができません。

学歴や実務経験を問わず誰でも受験できますが、「関税法」や「関税定率法」などの知識が問われるので、難易度は高いといえます。

貿易事務だけでなく物流部門や流通業などでも需要がある資格で、貿易事務の仕事から通関士にキャリアアップするために資格を取得する人も少なくありません。

通関士試験 税関 Japan Customs

貿易事務の向き不向きを理解して仕事を選ぼう

デスクワークをする女性

(出典) photo-ac.com

貿易事務は英語を使った仕事に興味があり、国際的なビジネスへの関心が高い人に向いている仕事です。コミュニケーション能力があり期日を守って仕事ができる人は、活躍できる可能性が十分あります。

貿易業務の知識や専門用語などを理解でき、デスクワークやルーティンワークが苦にならないタイプの人も活躍できるでしょう。

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小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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