介護の仕事は資格なしでもできる?注意点や役立つ資格についても紹介

資格なしで介護職にチャレンジしたいと思っている人もいるでしょう。無資格でも介護の現場で活躍できるのでしょうか。資格がなくてもできる仕事・ないとできない仕事をしっかり理解しておきましょう。積極的に受けたい研修も要チェックです。

資格なしでできる介護の仕事内容は?

食事を援助する介護士の女性

(出典) photo-ac.com

資格がなくても介護職に就けますが、資格の有無によってできる業務内容が異なります。まずは、資格なしでできる介護の仕事について把握しましょう。無資格でもできる介護の仕事は、大きく分けて3種類です。

①生活援助

生活援助は、介護が必要な利用者が自宅や施設で生活を送るためのサポートです。ただ、資格なしの場合は利用者の体に直接触れなくてよいサポートに限定されます。具体的な仕事内容は次の通りです。

  • 居室の掃除
  • 洗濯
  • 食事の準備や片付け
  • 食料品や日用品の買い物
  • ベッドメイク
  • アイロンがけ
  • ゴミ出し
  • 衣服や日用品の整理
  • 外出時の同行

利用者を直接ケアするというよりは、日常生活を支援するイメージを持つと分かりやすいでしょう。

②送迎業務

デイサービスと呼ばれる通所型介護施設の場合、自宅と施設間の送り迎えもサービスの1つです。施設によって専属のドライバーを雇う場合もあれば、スタッフが送迎を担当する場合もあります。

送迎業務は、運転免許さえ持っていれば、介護の資格は必要ないケースがほとんどです。ただし、車を乗り降りする際に体に触ってサポートする場合もあるため、定められた研修の終了を条件としている職場もあります。

無資格で介護送迎の仕事をしたいという人は、希望する勤務先に資格が必要でないか事前に確認しましょう。

③事務業務

介護施設での事務業務全般についても、基本的に資格は必要ありません。内容は施設によって異なりますが、事務作業には主に以下のような業務が含まれます。

  • 電話対応
  • 面会受付
  • 入所の案内
  • 備品の管理や発注
  • 請求書作成
  • シフト管理や作成
  • 経理業務
  • レクリエーションの企画

施設によっては、事務専用スタッフや経理事務を採用している場合もあります。無資格の介護職員が事務作業をどこまで行うのかは、勤務先によってさまざまです。

資格がないとできない介護の仕事は?

高齢者の手を取る介護士

(出典) photo-ac.com

介護職の仕事には、資格がないと担当できない業務もあります。資格がない人が行うと違法になる可能性もあるため、無資格で介護職を目指す人は、どのような業務に資格が求められるのか覚えておきましょう。

身体介護

利用者の体に直接触れる「身体介護」は、資格がないと担当できません。身体介護の例は、食事・入浴・着替え・排泄・移動の補助などです。

知識のない人だと利用者にケガをさせてしまう可能性もあるため、知識とスキルのある有資格者だけに認められています。ただし無資格者であっても、施設内かつ介護福祉士の指導のもとであるという条件下で、身体介護のサポートをすることは可能です。

しかし、有資格者の指導のもとであっても、利用者のためにも身体介護に関わる場合は最低限の知識を学んでおく必要があるでしょう。

訪問介護

訪問介護とは、利用者の自宅を訪問して生活援助や身体介護をすることです。多くの利用者を見なければならない施設と異なり、訪問介護では利用者1人を担当するため、基本的には介護職員1人で訪問します。

すべての判断や作業を1人でする必要があるため、介護職員初任者研修以上の資格を持っていないと訪問介護には携われません。

例外として、入浴の介助に限定した訪問入浴については、基本的には有資格者に同行するので、無資格者でも入浴や着替えの介助ができる場合もあります。

医療的ケア

たんの吸引や経管栄養など現在「医療的ケア」と呼ばれている行為は、かつては医師や看護師のみに認められていました。

しかし介護サービスの基盤強化のため、2011年に社会福祉士及び介護福祉士法が改正されたことにより、介護福祉士や介護職員もこれらの医療的ケアができるようになりました。

ただし誰でもできるわけではなく、介護福祉士や「喀痰吸引等研修」の修了者のみが対象です。たとえ有資格者の指導があったとしても、無資格だと医療的ケアに携われません。

参考:介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度について

資格なしで介護職として働く際の注意点

介護士の女性

(出典) photo-ac.com

資格なしで介護の仕事にチャレンジするにあたり、業務内容のほかにも注意したいポイントがあります。無資格で介護職として働く際の、2つの注意点を見ていきましょう。

資格の有無で給料が変わる

2021年度の「介護従事者処遇状況等調査結果」を見ると、資格の有無によって平均給与額に差があることが読み取れます。

有資格者の平均給与31万9,460円に対し、無資格者の平均給与は27万1,260円です。資格の種類によって金額に差はありますが、有資格者は平均して給与額が約5万円高いことが分かります。

介護の仕事を長期的に続けていきたいと考えている場合、最初は無資格から始めたとしても、給与面を考えてゆくゆくは資格を取得した方がよいでしょう。

参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 P.182|厚生労働省

2021年4月から研修の受講が必須に

2021年4月の法改正に伴い、実質すべての介護職員に対して「認知症介護基礎研修」の受講が義務づけられました。

「認知症介護基礎研修」は、認知症介護に関する基礎的な知識や技術を習得していることを証明するものです。今後ますます高齢者が増加することを見込んで、全職員の受講が必須となりました。

2021年の改正から2023年までは、3年間の経過措置期間が設定されています。無資格から始めるとしても、2024年4月までに全員必ず受講が必要になることを覚えておきましょう。

今後も義務化される研修が増える可能性があるため、資格なしで働くとしても何かしらの勉強が必要になると思っておくのが賢明です。

参考:令和3年度介護報酬決定の主な事項について|大阪府

介護の仕事に役立つ資格2選

勉強机

(出典) photo-ac.com

資格がなくても介護の仕事はできるものの、資格があると業務の幅が広がるだけでなく転職にも有利です。介護の仕事にチャレンジするなら積極的に受講したい研修を2つ紹介します。

未経験スタートなら「介護職員初任者研修」

「介護職員初任者研修」は、介護における基本的な知識と技術を学べる研修です。スクールあるいは通信講座で130時間の研修を修了すると資格が得られます。

研修を修了した人は、食事・入浴・着替えの介助などの身体介護を担当できるようになります。

介護職員初任者研修はそれほど難しくなく、比較的ハードルの低い資格です。これから介護の世界で活躍していきたい人は、積極的に受講を考えましょう。

参考:1 介護員養成研修 開講日程の御案内 東京都福祉保健局

経験を積んだ後は「介護福祉士実務者研修」

介護職員初任者研修の上位資格とされる「介護福祉士実務者研修」は、より専門的な知識や技術が求められる研修です。

スクールまたは通信講座で450時間のカリキュラムを受講する必要があります。ただし、介護職員初任者研修を修了している場合は、130時間を除いた320時間となります。

なお、介護に関する資格の中で唯一の国家資格である「介護福祉士」を実務経験3年で取得するには、この介護福祉士実務者研修の修了が必須です。

将来的により専門的な資格の取得を目指す人は、介護福祉士実務者研修を修了しておくとスムーズでしょう。

参考:介護福祉士実務者研修 ふくむすび(東京都福祉人材情報バンクシステム)

資格がなくても介護職にチャレンジできる

車いすを押すヘルパー

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介護には特別な資格が必要というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、実際は未経験や無資格からのチャレンジも可能です。積極的に求人を探してみてはいかがでしょうか。

ただし、資格の有無によって業務内容に制約があったり、給与額に差が出たりします。キャリアを築いてしっかり稼ぎたい場合は、資格取得も視野に入れましょう。

また、2021年4月以降は認知症介護基礎研修の受講が必須になるように、介護職を取り巻く環境も変化しています。変化に順応しつつ、今後ますます高齢化が見込まれる社会で長く活躍できる介護職を目指していきましょう。

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