医療事務の給料は安い?働きやすさや仕事をするメリットを紹介

医療事務は給料が安いというイメージを持っている人も多いでしょう。しかし、医療事務には数々のメリットもあるため、女性から人気の職種でもあります。医療事務の給料を紹介しつつ、働きやすさや高収入を得るための方法について解説します。

医療事務の平均的な給料はいくら?

医療事務受付の女性

(出典) photo-ac.com

現時点で公表されているデータには、医療事務に限定して年収が発表されているものは見当たりません。そこで厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2021年)のデータから、「その他の保健医療従事者」の給与額を参考に、医療事務の平均的な給料を見ていきましょう。

【雇用形態別】医療事務の給料の平均

「賃金構造基本統計調査」によると、「その他の保健医療従事者」のうち、一般労働者の平均的な給与は年間約423万円でした。パートやアルバイトなど、時給換算で働いている短時間労働者の平均時給は1,475円です。

短時間労働者の1日当たりの労働時間は約5.5時間・月内の実労働日数は平均12日となっているので、1日分の給料は8,112円、月給では9万7,344円です。これに賞与や手当などもプラスすると、短時間労働者の給料は年間約117万円となる計算です。

同データで換算した看護師の平均給料は年間約498万円になるため、医療系の職種の中では給料が低いといえるでしょう。

参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

【職場別】医療事務の給料の平均

医療事務の給料は、勤務している職場の規模によって異なります。職場の規模を人数別に分けた年間の平均給料は以下の通りです。

【一般労働者】

  • 10~99人の職場…約386万円
  • 100~999人の職場…約408万円
  • 1,000人以上の職場…約509万円

【短時間労働者】

  • 10~99人の職場…約96万円
  • 100~999人の職場…約130万円
  • 1,000人以上の職場…約211万円

勤務先の人数が多くなるほど給料もアップしているため、小規模のクリニックや診療所より、大きな病院などの方が高収入になることが分かります。

参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

医療事務の給料が安い理由は?

考え事をする女性看護師

(出典) photo-ac.com

医療事務の給料は、医療従事者全般で比較すると安くなる傾向にあります。なぜ安いのか2つの理由から説明します。

非正規雇用も多い

医療事務の給料が安いのは、フルタイムのスタッフより、非正規雇用として短時間勤務している人の割合が多いことが理由だと考えられます。1日数時間勤務で、月内の実働日数も平均10日前後の短時間労働者の給料は、フルタイムの正規雇用に比べると明らかに低くなります。

このような非正規雇用の分も含めて計算されることが、医療事務の給料が安いといわれる理由でしょう。ただし、医療関係以外の事務職の平均時給を計算すると1,395円となるため、医療事務を含む保健医療従事者の平均時給1,475円は、一般事務職の相場より高めといえます。

参考:
賃金構造基本統計調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

日医総研ワーキングペーパー

資格不要で専門性が低い

医療事務には特別な資格が必要ないのも、給料の低さに影響しているといえるでしょう。医療事務は、医療現場で働く仕事ではあるものの、医師や看護師のような専門性の高さは求められていない職種です。さまざまな民間資格は存在しますが、保有していなくても仕事に就けないわけではありません。

電話対応や患者受付など、医療知識がなくてもできる仕事もあるので、一般的な事務職扱いとされるケースも多いでしょう。求職者にとってはハードルが低い職種ですが、一方で「誰にでもできる仕事」というイメージにもつながり、それが給料の安さの理由となっています。

給料は安くても医療事務が人気の理由

医療事務をする女性

(出典) photo-ac.com

医療事務は給料が安いといわれてはいるものの、女性を中心に根強い人気のある職種です。なぜ医療事務が人気なのか、理由を具体的に見ていきましょう。

ライフステージに合わせて働ける

医療事務が人気の理由の1つは、さまざまなライフステージに合わせた働き方ができることです。仕事をしている女性のなかには、結婚や出産を機に退職せざるを得ない人も少なくありません。

医療事務にはフルタイムだけでなく、アルバイト・パート・派遣社員などさまざまな雇用形態があるので、自分のライフステージに合わせて働けるのが魅力です。子育てや介護で一度離職していた人が復職しやすいというメリットもあります。

未経験でも働ける

医療事務は、未経験者でも転職しやすい職種です。年齢・学歴・資格なども不問なので、育児などが一段落したタイミングで、再就職先として医療事務を選ぶ人もいます。

業務のなかには経験や資格を持っている方が有利になるものもあるため、未経験で働き始め、仕事をしながら資格を取るケースも珍しくありません。資格を取得して経験を積めば、正社員へのキャリアアップも期待できます。

医療の知識が身に付く

医療事務は、仕事をしながら医療の専門知識が身に付くのも人気の理由といえるでしょう。医療事務が担当するレセプト業務(健康保険の保険者への診療報酬請求業務)では、保険診療の仕組みに関する事務知識が身に付きます。

処置内容や処方薬の確認もあるので、医療的な知識が得られるのもメリットです。また、カルテ・処方箋・手術のスケジュールの管理など、医師の事務作業を補助するクラーク業務も医療事務の仕事なので、医療に関するさまざまな仕事に携われます。

医療事務の給料を上げる方法

パソコンで作業する医療事務の女性

(出典) photo-ac.com

医療事務の給料を上げるには、主に3つの方法があります。各方法のうち、場合によって適したものを選ぶとよいでしょう。詳しく説明していきます。

資格を取る

仕事をしながら、医療事務に関連のある資格を取っておくのがおすすめです。何らかの資格を持っていた方が、将来的な収入アップにつながるでしょう。医療事務にはさまざまな民間の資格があります。主なものとしては以下の通りです。

  • 診療報酬請求事務能力認定試験(公益財団法人日本医療保険事務協会)
  • 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)(一般財団法人日本医療教育財団)
  • 医療事務検定試験(日本医療事務協会)
  • 医科2級医療事務実務能力認定試験(全国医療福祉教育協会)
  • 医科医療事務管理士技能認定試験(株式会社技能認定振興協会)

上記以外にも、医療事務に関連する資格は多々あります。指定の講座修了を受験資格としているケースもありますが、要件が特にないものも多いため、実務経験を積みながら独学で取得するのはそれほど難しくないでしょう。

昇進する

医療事務としての経験を積んでキャリアアップすれば、昇給も期待できます。「賃金構造基本統計調査」を見ても分かる通り、医療事務の給与の額は年齢とともに上がっていますが、同じ年齢では経験年数の長さに比例しています。

同じ職場で長く勤務すれば収入が上がるだけでなく、管理職に昇進する可能性もあるでしょう。ただし、管理職は正規雇用のことが多いため、パートやアルバイトの人の場合はまず正社員を目指すのがおすすめです。

条件のよい職場に転職する

今の職場にいても給料アップが見込めないときは、給与面の条件がよい病院や医療施設に転職するのも1つの手段です。医療事務の給料は勤務先の病院によっても異なります。小規模のクリニックや診療所より、ある程度大きな病院の方が給与は高くなる傾向です。

一般の病院以外では、美容クリニックでの受付という選択肢もあります。業務内容には営業的な要素も含まれていますが、その分インセンティブを上乗せされることもあるので、トータルで高収入が見込めるでしょう。

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医療事務は給料以上に魅力のある仕事

働く白衣の女性

(出典) photo-ac.com

医療事務は女性に人気のある職種です。給料は他の医療従事者に比べると低いものの、未経験者でも働けるため、転職や復職しやすいのが人気の理由といえるでしょう。仕事をしつつ、医療に関する専門知識を身に付けられるというメリットもあります。

資格がなくてもできる業務はありますが、高収入を狙うなら資格を持っていたほうが有利でしょう。仕事をしながら資格を取得している人も多いので、まずアルバイトやパートとして働きながら、実務経験を積んでいくのがおすすめです。