現場監督は、工事現場の工程管理や安全管理・原価管理・品質管理が主な仕事です。負担の大きい肉体労働ではないものの、仕事がきついという声もよく聞かれます。現場監督の仕事が厳しい理由や、きついと感じた場合の対処法を紹介します。
現場監督の仕事がきつい理由
現場監督の仕事は肉体労働ではありません。それにもかかわらず「きつい」とされるのは、なぜなのでしょうか?現場監督という仕事の特徴から考えてみましょう。
仕事量が多く責任が重い
現場監督の仕事は責任が重い上、業務量も膨大です。まず現場では、現場監督が工程・原価・品質・安全のすべてをマネジメントします。
さまざまな作業が並行する工事の進捗状況を確認し、遅れが出ないようにするのはもちろん、作業員や周辺住民・通行人の安全確保にも努めなければなりません。
工事中は予算を超過しないよう、コストや資材を管理し、工事が指示書通りに進んでいるか・仕様書の規定に合っているかも逐次チェックが必要です。
現場を離れれば書類整理・申請書作成といったデスクワークもあり、常に仕事に追われている状態となります。重責を担うプレッシャーや日々のタスクの多さに、きついと感じる人は少なくありません。
残業が多い
現場と事務所を行き来する現場監督は、早出や残業が常態化しがちです。特に工期が迫っている場合や工事が大幅に遅れている場合は、早朝から深夜まで働くケースが珍しくありません。
納期厳守が鉄則の建設業界は、もとより長時間労働が当たり前というムードがあります。
2019年に労働基準法が改定されて、残業時間の上限が定められました。しかし建設業には、猶予期間が設けられています。上限規制の適用が開始される2024年4月1日まで、建設現場は事実上、残業の上限がない状態です。
法律の規定がない以上、現場を仕切る現場監督が「残業がつらいので帰ります」とは、言い出しにくいでしょう。
参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説 P.4 P.6|厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
板挟みのつらさや理不尽さがある
現場監督は、いわゆる中間管理職のような立場です。現場と会社・施主との板挟みになりやすく、人間関係の悩みが多くなります。あらゆる方向と円満にコミュニケーションが取れる人でなければ、つらいと感じやすいでしょう。
例えば会社からの指示を現場に伝えるのは、現場監督の仕事です。指示内容が現場にとって負担の大きいものだった場合、当然作業員からの反発が予想されます。現場監督は何とか説得し、指示通りに作業してもらわなければなりません。
住宅建設現場の現場監督なら、施主とのコミュニケーションも重要です。中には無理な注文を出す施主の対応に困るケースもあります。立場上反論もしにくいため、理不尽だと感じる場面も多いでしょう。
現場監督のやりがいは?
現場監督には、管理者としてのやりがいもあります。つらい面ばかりではなく、よい面や仕事の喜びにも目を向けてみましょう。現場監督の仕事の魅力を紹介します。
竣工したときの喜び・達成感
現場監督としての苦労を忘れられるのが、竣工時です。計画通り・イメージ通りの家屋や建設物が完成すれば、頑張ってよかったと思えます。
とりわけ規模の大きな現場や工期の長い現場ほど、苦労やトラブルに苦しめられるものです。現場監督としては、竣工時の感慨もひとしおで、喜びや達成感が大きくなります。
そもそも現場監督になる人は、多かれ少なかれ何かを作り上げることが好きなはずです。ゼロから何かを作ったときの達成感や喜びは、何物にも代えがたく思えるでしょう。
自分自身を成長させられる
責任が重い分、成長も著しいのが現場監督の仕事です。仕事に不慣れなうちは、工事の段取りやコミュニケーションに悩むケースが珍しくありません。手配ミスや進捗管理ミスで、現場からきつい言葉を投げられる場合もあるでしょう。
しかし現場監督としての場数を踏めば、知識・経験が増えて段取りもうまくなります。適切に進捗管理や現場への指示出しができるようになり、工事もスムーズに進むはずです。
できなかった仕事ができるようになって達成感が得られるのはもちろん、周囲からの信頼や好意を肌で感じられるのは、大きな魅力といえます。
携わった仕事が形として残る
図面や完成図のイメージそのままの建造物ができれば、大きな仕事を成し遂げた喜びを味わえます。
自分が担当した建造物によって、多くの人が笑顔になるのもうれしいポイントです。家屋なら施主やその家族が、公共の建物なら利用者が、工事の完成を喜んでくれます。
誰かの役に立てている、社会に貢献できているという確かな実感を得やすく、その気持ちは建造物がある限り消えることはありません。完成した建造物を目にするたびに、強い満足感を味わえます。
それでもきついと感じるときは
現場監督にやりがいを感じていても、きつさの方が勝ってしまうケースもあるでしょう。仕事の厳しさに心が折れそうになったとき、まず取り組みたいことを紹介します。
つらさの原因を明確にする
現場監督をつらいと感じるときには、以下のいずれかが考えられます。
- 現場監督の仕事そのものがつらい
- 現場または現在の会社がつらい
人に指示を出すのが苦痛・現場の人と合わないなど、つらい理由を具体的に挙げていくと、どちらなのか判断できるでしょう。
仕事そのものが原因ならキャリアチェンジ、現在の環境が原因なら職場を変えるなど、つらさの原因によって取るべき行動は変わってきます。
ただ、つらさがピークのときは理由を整理するに留め、具体的な行動は起こさないよう注意しましょう。心が乱れていると冷静な判断ができません。まずはゆっくり休み、心身の回復を優先するのが賢明です。
転職を検討する
現場監督の仕事にやりがいを感じられず、業務内容そのものがつらい人は、適性が十分とはいえません。現場をこなしても状況が改善すると思えない場合は、より自分にマッチした職種を探した方よいでしょう。
職場での人間関係やブラックな労働環境をつらく感じている人も、我慢し続けるのはおすすめできません。精神的・肉体的なダメージが蓄積する前に、早めに職場を変えるのがおすすめです。
多忙な中で転職先を探すときのポイントは、スマホで手軽に仕事を探せる求人サイトを使うことです。全国の豊富な求人情報を扱うスタンバイなら、条件や勤務地で検索できます。スキマ時間を利用して、どのような求人があるのかチェックしてみましょう。
無理なく働ける会社の探し方
次の職に現場監督を選ぶにせよほかの職に変わるにせよ、つらさに悩むことのない会社を選びたいものです。無理なく働ける職場を探すとき、心に留めておきたいポイントを見ていきましょう。
事前に口コミを確認する
条件のよい求人を見つけたら、会社の口コミをチェックしましょう。求人の内容が、必ずしも実態を表しているとは限りません。特に不自然なほど好待遇の会社は、何らかの問題を好条件でごまかそうとしている可能性があります。
会社の口コミを調べたいときは、ネットで検索すると出てくるはずです。ただしネットで見られる意見がすべて正しいわけではありません。できるだけ多くの口コミをチェックして、客観的に傾向を把握しましょう。
すぐに辞める人が多い、サービス残業が多いなどの口コミが多い職場は、つらさを感じる可能性が高いかもしれません。応募は保留としておくのが賢明です。
何を優先して職場を選ぶのか決めておく
転職にあたっては、職場に求める条件をピックアップして優先順位を付けましょう。例えば現在の仕事でつらいポイントが長時間労働なら、残業の少なさを優先します。
一方、給与が安すぎてモチベーションが上がらなかったなら、給与や待遇が最も優先したい条件となるはずです。
ただし、優先順位の高い条件も、欲張りすぎると求人が見つからないかもしれません。絶対に譲れない条件をクリアしている会社には応募して、面接で詳しい話を聞くのがおすすめです。
限界を超える前に対処法を試そう
現場監督は、責任の重さや人間関係・長時間労働といった仕事の特徴から、つらいと感じる場面が多い職種です。どうしてもつらさを乗り越えられない場合は、すでに限界が近いかもしれません。
自分が行動や考え方を変えても解決しないなら、転職活動を始めた方がよいでしょう。ほかの会社で現場監督を続ける、違う業種や職種に挑戦するなど、離職後の選択肢は複数あります。働けなくなってしまう前に、自分の状況に最も合う行動を取ることが大切です。