「休暇分散」日本でもやってるらしいので調べてみた

そろそろシルバ-ウィークですね。どこかに観光でも行きたいんですが、どうせ混んでるだろうと思うと外出する気も失せます。混雑していない観光地で、思うそんぶん大型連休を楽しみたい。そんなことは夢物語でしょうか。

前職で旅行業界専門紙に在籍中、「大型連休に分散制度の導入を」という観光関係者の提言を多く聞きました。法制度としての導入はなかなか難しいようですが、民間では取り入れている企業もちらほら。最新の状況を調べてみました。

ヨーロッパのバカンス、じつは地域ごとに分散取得していた

海辺のリゾート

(出典) photo-ac.com

ヨーロッパではバカンス期間中、極端な交通渋滞や混雑は発生しないといいます。地域ごとに休暇期間をズラす「休暇分散化」を徹底しているからです。

たとえば、ドイツでは2~3週間の夏季休暇をとるのが普通ですが、法定祝日や学校の夏季休暇期間を州ごとにズラして混雑を回避しています。全国16州で、夏季休暇開始時期に40日近くの開きが出ることもあるようです。フランスも学校の夏季休暇期間を地域ごとに分散しています。

【参考】
“休日分散化”の先進地域、欧州のバカンス事情を見る
【参考】
世界の祝祭日(ジェトロ)

日本でも分散がはじまっている

空を飛ぶ飛行機

(出典) photo-ac.com

大型連休の日程を分散させるという話、日本でも聞いたことがあるはずです。

国の腰は重いまま

2010年ごろ、休暇分散化の議論が盛りあがっていました。国土交通省はゴールデンウィークとシルバーウィークの休暇期間を地域ごとに分散させようと「国民の祝日に関する法律」改正に向けた試案をまとめていました。

【参考】
休暇分散化パターンについて(国土交通省)

休暇の分散化で国内旅行が促進され経済対策になるというもくろみと、一定期間に業務が集中しがちなサービス業の負担低減につなげるという狙いが議論の背景にありました。

しかし、この試案は「地域ごとに休日が異なると顧客との取引に不便」と経済界から強い反発を受け、いったんお蔵入り。その後、数年に一度、亡霊のように浮かび上がっては消え、いまだ実現する気配はありません。

民間独自の分散化スタート

なかなか進展しない法制化をよそに、休暇分散化に取り組む民間企業もあらわれました。ホテル事業を展開する星野リゾートなど5社は昨年、休日分散化推進事務局を設置し、独自に休日の分散化へ乗り出しました。

「後ろ倒しゴールデンウィーク」と銘打った企画では、大型連休中の出勤と後の代休取得を推奨。企画参加者のアンケートによると、代休時にコスト面を気にせず余暇をすごすことができた、混雑を回避できたなどの声があがり、おおむね好評だったようです。

 

2014年4月29日と5月5日、6日の期間、3日間すべてを出勤した従業員に対して5月12日、13日、14日の3日間を対象に後ろ倒しゴールデンウィーク(以下、後ろ倒しGW)を実施しました。(中略)

「後ろ倒しGW」を利用した従業員の90%以上が「期待以上に充実した時間になった」「次回も後ろ倒しGWの利用を希望している」と非常に高い満足度を得られ、利用しなかった社員の85%も「取組みを評価」し外部環境(社内体制や特典サービス)の整備次第で利用者増に繋がると分かりました。

【参考】
“後ろ倒しゴールデンウィーク”利用者の意識と行動調査(休日分散化推進事務局)

 

参加企業間で福利厚生制度の相互利用にも取り組み、こちらも好評だったとか。事務局の設置以来、賛同する企業は増え2015年5月1日現在では26社が参加するまでに成長しています。今年のシルバーウィークにも同様の取り組みを行うとのことです。

おわりに

人が働いているときに休む。考えるだけでワクワクします。混雑も解消できて、業種によっては休暇も取りやすくなる「休暇分散化」はいいこと尽くめのようですが、はたして日本で広く普及する日は来るのでしょうか。