自分が薬剤師に向いていないと感じるのなら、向いている人の特徴を知るのがおすすめです。職場によって適性が違う点も押さえておきましょう。薬剤師に向いている人の特徴や、向いていない場合の対処法について解説します。
薬剤師に向いている人の特徴
薬剤師の業務に向いている人の基本的な性格を確認しましょう。自分にあてはまる特徴が多いほど、薬剤師として活躍できる可能性が高いと判断できます。
責任感が強い
薬剤師が扱う薬剤は患者の健康に大きな影響を及ぼすため、薬剤師は責任感を持って仕事に取り組む必要があります。責任感が強い人は薬剤師に向いているでしょう。
調剤のミスをすると、患者に健康被害が及ぶ恐れもあります。ミスを極力抑えるためには、患者の信頼に応える責任感を常に持ちながら業務にあたる必要があるのです。
基本的には医師の処方箋に従っていれば薬剤を用意できるものの、知識や経験を生かして患者にもヒアリングを行い、処方箋に疑わしい部分があれば疑義照会を行わなければなりません。
几帳面
薬剤師は薬剤の計量・調合・袋詰めなどの細かい作業が多い仕事です。ちょっとしたミスも人の命に関わる可能性があるため、細心の注意を払いながら作業を進めなければなりません。
常に正確な仕事が求められるため、几帳面な性格の人が向いています。わずかな差を許容範囲としてしまう大雑把な性格の人は、薬剤師には向かないでしょう。
また、基本的に薬剤師の仕事はルーチンワークです。細かい作業を高いクオリティーで長時間こなせる集中力が求められるため、仕事に刺激や変化を求める人はモチベーションが続かない恐れもあります。
常に学ぶ意欲がある
医学や薬学は日々進化しており、常に最新の知識がなければ適切に対応できません。国家試験を受けて薬剤師になってからも学び続ける必要があるため、常に学ぶ意欲がある人は薬剤師に向いています。
薬剤師が最新の知識や情報を得るおすすめの方法は、勉強会やセミナーへの参加です。ほかの薬剤師とのネットワークを構築すれば、情報共有もしやすくなるでしょう。
薬剤師として働きながら資格取得を目指すのも1つの方法です。資格を取るための勉強で知識を増やせるため、結果的に資格を取得できなかったとしてもスキルアップを図れます。
人とのコミュニケーションが苦にならない
患者・医師・同僚など、薬剤師はさまざまな人と接する機会が多い職種です。人とのコミュニケーションが苦にならない人は、薬剤師に向いています。
薬剤師が毎日接する患者は年齢や症状が幅広いため、相手に合わせてヒアリングや服薬指導を行えるコミュニケーション能力が必須です。相手を思いやる心も欠かせません。
医師や同僚とのスムーズなコミュニケーションも重要です。業務を正確かつ効率的に進めていくためには、同僚や医師とスムーズに連携する必要があります。
このように、薬剤師は毎日多くの人と接するため、人間関係でストレスをためやすい人には向かないでしょう。人と関わるのが好きな人なら、日々の業務が円滑に進みやすくなるため、薬剤師として長く活躍できる可能性があります。
職場別の仕事内容や向いている人の特徴
薬剤師が働く職場は多岐にわたり、仕事内容や向いている人の特徴も職場ごとに違います。職場別の向き不向きをチェックし、今の自分と照らし合わせてみましょう。
病院
病院で働く薬剤師の主な仕事は、薬剤の調剤・製剤・管理や服薬指導で、患者の症状に対するより深い理解が求められます。
専門性の高い薬剤や特殊な薬剤を扱う機会が多い点も、病院に勤務する薬剤師の特徴です。専門知識を求められるケースが増えるため、1つのテーマを深く掘り下げることが苦にならない人に向いています。
病院で働いている以上、薬剤師といえども夜勤や宿直は避けられないでしょう。イレギュラーな勤務形態に耐えられる体力・精神力も必要です。
薬局やドラッグストア
薬局で働く薬剤師の主な仕事内容は、処方箋に応じた調剤や患者へのヒアリングです。さまざまな人と接する機会が多く、特に医師や患者とのコミュニケーションが重要といえます。
薬剤師がドラッグストアで働く場合、調剤以外にOTC医薬品の相談対応や接客も行わなければなりません。ほかのスタッフと同じくレジに立つ場合もあり、幅広い業務への柔軟な対応を求められます。
薬局とドラッグストアに共通しているのは、人と触れ合うシーンが多い点です。コミュニケーション能力が高い人は、薬局やドラッグストアで働く薬剤師に向いているでしょう。
製薬会社
製薬会社の薬剤師は、主に薬剤の管理・情報提供・研究開発を行います。営業職や総合職としての仕事がメインです。
薬剤師が製薬会社で働く場合は、今まで培ってきた知識や経験を存分に生かした業務に取り組めます。ただし、最新の情報を知らなければ務まらないため、常に知識をアップデートできる人が向いているでしょう。
海外の企業とコミュニケーションを取ったり、海外の文献を読んだりする機会が多いため、語学力が高い人も重宝されます。給与・待遇面も良いため、製薬会社は薬剤師にとって人気が高い職場です。
薬剤師に向いていないと感じた場合の対処法
自分に向いていないからという理由で、薬剤師の仕事を諦めるのは早計という場合もあります。薬剤師を続けたいのであれば、自分の欠点に向き合い努力することが大切です。
原因を明確にし苦手な項目に向き合おう
薬剤師に向いていないと感じるのであれば、まずはなぜそう感じるのか考えてみましょう。原因を明確にすることで、自分が苦手だと思う対象に向き合いやすくなります。
第三者の客観的な意見を聞いたり、できないことを改善する努力をしたりすれば、前向きに仕事に取り組めるようになるでしょう。
職場を変える場合も、向いていないと感じる原因を明確にしておくことが重要です。原因が分からないまま転職しても、転職先で同じようなストレスをためてしまいかねません。
薬剤師が持っていると役立つスキル
薬剤師として活躍したいのであれば、スキルアップに励むのがおすすめです。薬剤師が持っていると役立つ代表的なスキルを紹介します。
高い専門知識
高い専門知識を持つ薬剤師は、活躍の幅を広げやすくなるでしょう。薬剤師向けの資格を取得すれば、より高度な知識と技術を証明することが可能です。
薬剤師のキャリアアップに役立つ資格としては、認定薬剤師が挙げられます。認定薬剤師の資格を取得して一定の条件を満たせば、かかりつけ薬剤師になることが可能です。
携わる分野によっては、より専門性の高い専門薬剤師も目指せます。薬剤師が取得できる資格はほかにも豊富にあるため、自分の目的に合った資格を選びましょう。
語学力
薬剤師が接する患者には外国人も含まれます。海外から日本に移住する人は増えているため、語学力が高い薬剤師は、病院や薬局で重宝されるでしょう。
また、英語の読解力があれば海外の論文を読めるため、最先端の情報を収集しやすくなります。向上意欲が高い人は、語学力を身に付けるのがおすすめです。
製薬会社の薬剤師として働きたいなら、語学力があると有利になります。特に外資系の製薬会社を目指す場合は、採用条件としてTOEICのハイスコアを求められるでしょう。
薬剤師に求められる能力を身に付けよう
薬剤師に向いていないと悩んでいるものの、資格を生かして薬剤師を続けていきたいと思っている人は、今回紹介したようなスキルや適性を身に付ける努力をしてみましょう。
また、待遇面や人間関係など現在働いている環境が自分に合っていない場合は、職場を変えることで今よりもポジティブに仕事へ向き合えることもあります。
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調剤薬局、医療専門広告代理店などの勤務を経て、2012年にフリーランスライターとして独立。薬剤師とライターのパラレルキャリアを続けている。人だけではなく動物の医療、介護、健康に関わる取材・ライティングも行う。
著書:
犬の介護に役立つ本(山と渓谷社)
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