CADオペレーターは辛い仕事?理由や悩み解消方法も紹介

CADオペレーターは、CADソフトを使用して設計図や仕様書などを作成するのが仕事です。「業務量が多い」「専門知識が必要」などとハードな面があり「辛い」という声も多くあります。CADオペレーターの仕事が辛い理由やつらさの解消法を紹介します。

CADオペレーターが辛いのはなぜ?

パソコン疲れ

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターとは、設計士が作成した設計図を2Dや3Dデータに落とし込む技術者のことです。業務ではCAD(Computer Aided Design)ソフトを使うため、CADの専門的な知識とスキルが求められます。

建設業や製造業には欠かせない存在といえますが「仕事が辛い」という声が多いのも事実です。CADオペレーターのどのような点が辛いのか、具体的に紹介します。

業務量が多い

CADオペレーターの母数が少ない事務所や、売れっ子の設計士がいる会社で働くと、許容量以上の業務を任されることがあります。

例えば個人事務所は、事務所全体の人数が少ないことも珍しくありません。他にCADソフトを扱える人がいなければ、当然CADオペレーターの業務負担は大きくなります。

また、名の知れた設計士がいる会社は、受注量が多くなりがちです。設計士の都合やペース優先で仕事を請けることも多く、CADオペレーターにしわ寄せがくるケースが多々あります。

1つの業務が終わらないうちに、次々と追加の仕事があると「辛い」と感じることもあるでしょう。

専門知識が必要

CADオペレーターは、設計士や現場とのやり取りをスムーズにするために、業界の専門用語や設計に関する知識・スキルが求められます。

業界の専門用語や知識を知らないままだと、設計士からの指示を把握しにくくなります。正確な図面制作のため、専門外の勉強を強いられるCADオペレーターも少なくありません。

また、現場からの質問が、設計士ではなくCADオペレーターに向けられることもあります。現場の求める回答を提供できない場合、CADオペレーターが現場から厳しく当たられることもあるでしょう。

担当業務以上の知識・責任を求められることについて「辛い」と感じる人もいるようです。

長時間のデスクワーク

CADオペレーターとして働くと、業務中は常にパソコンと向き合うことになります。長時間の作業により、いわゆる「VDT症候群」に悩む人も少なくありません。

VDT症候群とは、情報端末を操作する「VDT作業」によって引き起こされる健康被害です。厚生労働省の作業区分では、CAD業務は「作業時間又は作業内容に相当程度拘束性
があると考えられるもの」に分類されます。

CADを使った長時間作業を行うことで、以下のような症状が懸念されます。

  • 視機能:ドライアイ・眼精疲労など
  • 筋骨格:首痛・肩こり・腰痛・けんしょう炎など
  • 精神・心理:イライラ・疲労感など

厚生労働省は、4時間以上の連続業務を行うと、健康被害のリスクが上がるとしています。業務中、常にディスプレイと向き合っているCADオペレーターは、目や肩・腰などに深刻な被害がおよんでいるケースもあるでしょう。

参考:情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて|厚生労働省

現場と設計士の板挟みになる

CADオペレーターは、自身の仕事が現場と設計士に挟まれたポジションにあるため、やり取りを辛いと感じるケースもあります。

基本的にCADオペレーターは、設計士の指示通りにデータを作成するのが仕事です。図面に何らかの不備があったとしても、CADオペレーターが答えられることはありません。

しかし、現場からすると、データを作成したのはCADオペレーターです。中には設計士には伝えにくいことをCADオペレーターにぶつけてくる人もおり、理不尽な扱いを受けることもあります。

設計士からは「指示通りにやって」、現場からは「指示通りにできない」などといわれれば、仕事が嫌になってしまうのも無理はありません。

納期に追われる

納期が重なると、業務の進捗管理が大変になります。残業が続くことも多く、なかなか仕事と手が切れないことを辛いと感じるCADオペレーターもいるでしょう。

CADオペレーターにとって、納期は絶対です。万が一遅れてしまうと、後の工程にまで遅れが出る恐れがあります。複数の案件を抱えている場合は、適切に工程を管理し、納期に間に合わせなければなりません。

また、CADオペレーターには、常にスピード感が求められます。「修正対応は迅速に」が鉄則であり、修正指示が入ればすぐに対応しなければなりません。納期のストレスはもちろん「すぐに対応しなければ」というプレッシャーも仕事を辛くさせる一因といえます。

CADオペレーターに向いている人

対面での打ち合わせ

(出典) photo-ac.com

細かい作業と、徹底したスケジュール管理を必要とするCADオペレーターの仕事には、向き不向きがあります。どのような人がCADオペレーターに向いているのか、見ていきましょう。

コミュニケーション能力が高い人

CADオペレーターは、精度の高い図面データを作成するため、設計士の指示・意図を適切に理解する必要があります。そのため、コミュニケーション能力が高く、人との意思疎通が得意な人に向いています。

コミュニケーション能力が高い人は、相手から必要な情報を引き出すことに長けているといえます。設計士の指示や方向性を理解しやすく、イメージ通りの図面データを仕上げることも容易でしょう。

また、コミュニケーション能力が高い人は、質問することに躊躇しません。「分からないことを放置しない」というのは、CADオペレーターとして非常に重要なポイントです。

正確に仕事が行える人

CADオペレーターの仕事は、設計士の指示や意図を、確実に図面データに落とし込まなければならないため、常に几帳面さや正確性が求められます。

現場で働く人は、CADオペレーターが作成した図面データを元に、製品や建設物を作ります。万が一ミスや漏れがあった場合、完成物に不備が出る可能性を否定できません。非常に大きなトラブルにつながるリスクがあり、CADオペレーターはわずかなミスも許されないといえます。

飽きずに最後までコツコツ取り組める人や、小さなことにも妥協しない人は、CADオペレーターに向いていると考えられます。

CADオペレーターのやりがいは?

設計図

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターは辛いことが多いぶん、やりがいも大きい仕事です。「CADオペレーターでよかった」と思える場面を紹介します。

完成したときに達成感が得られる

設計書の製品や建築物が実際に完成したときは、CADオペレーターとしてのやりがいを実感できます。自分の仕事が果たした役割の大きさを実感でき「がんばってよかった」と思えるでしょう。

設計書を仕上げるまでには、設計士とやり取りをしたり、残業を続けたりなどと、さまざまな苦難があります。現場にデータを渡した後も、確認や修正を求められることもあるでしょう。

苦労が大きければ大きいほど、仕事が終わったときの感慨もひとしおです。

チームプレーが多く、仲間意識が芽生えやすい

チームプレーが好きな人や大勢で1つのことを達成するのが好きな人は、CADオペレーターの仕事にやりがいを感じるでしょう。

CADオペレーターの仕事は「製品や建物を作る」という、大きなプロジェクトの一部です。さまざまな意見を交わすうち、チーム全体に連帯感が生まれ、仕事の楽しさ・面白さが倍増していくことも少なくありません。

チームに仲間意識や連帯感があると、仕事運びもスムーズになります。プロジェクトが無事に終わったときは「このメンバーと一緒に働けてよかった」と思えるはずです。

CADオペレーターの将来性とは

パソコンでの作業

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターは、AIに仕事を奪われるという予測もあります。CADオペレーターの将来性について考えてみましょう。

長く働ける技術職

CADソフトを自由に扱えるというのは、CADオペレーターの非常に大きな強みです。建設業界・製造業界からのニーズは高く、スキルさえあれば長く働くことも難しくありません。

CADオペレーターについて「AIに業務が奪われるのでは」という懸念は常にささやかれます。しかし、個人のセンスや設計士との密なコミュニケーションが求められるため、少なくとも今の段階では、CADオペレーターの仕事が完全にAIに置き換わる心配はないと考えられます。

ただし、いわれたことしかできないCADオペレーターは、今後とう汰されていく恐れがあります。CADオペレーターとして長く働きたいのであれば、スキル・情報のキャッチアップはもちろん、CADソフト以外のスキルを身に付けることも必要です。

さまざまな分野で活躍できる

CADソフト以外のスキルも身に付ければ、オペレーター以外の仕事も可能です。

例えば建築士の資格を取得して、建築士として働くルートがあります。デザイン関連のスキルや知識を身に付ければ、プロダクトデザイナーとしての道も開けるでしょう。

また、3Dモデリング機能などを自由自在に行えるようになると、進む業界の選択肢も増えます。土木・建築分野はもちろん、機器・部品メーカーで設計に携われるようになるかもしれません。

CADオペレーターが辛いと感じたら

パソコンでの作業

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターの仕事について「辛い」と感じる人は少なくありません。現状を変えたいとき、取り組むべきことを紹介します。

スキルアップをして仕事をしやすくしてみる

現在、CADオペレーターの仕事が「辛い」と感じてしまうのは、スキル不足が原因かもしれません。まずは、業界の専門知識を増やしたり、新しい技術を習得したりすることに努めましょう。

CADオペレーターの仕事をスムーズにこなすためには、設計士の意図を確実に把握しなければなりません。「設計士の意図が分からない」「何が書いてあるか読めない」などが頻発している人は、専門用語や業界の常識を理解することが、現状を打開するヒントとなるはずです。

また、データ作成に時間がかかっている人は、CADソフトのスキル不足といえます。スキルを上げて、ソフトをスムーズに扱えるようになれば、仕事のストレスは軽減されるでしょう。

職場と相性が悪ければ働き方を変えてみる

「辛い」と感じる理由が、人間関係や労働条件によるものなら、働き方を変えることを検討しましょう。

例えば、設計士や現場担当者とのやり取りがストレスなのであれば、担当を変えてもらうと解決できるかもしれません。また、労働条件について不満があるのなら、在宅勤務を希望したり、より負担の少ない短時間社員になったりする方法もあります。

ただし、すでに心身に不調が出ていたり、働き方を変更できなかったりする場合は、それ以上の我慢は不要です。

CADオペレーターのニーズは高く、希望条件にマッチする職場も見つかります。転職を視野に入れて活動を始めましょう。

自分に向き合って辛い状況を変えよう

考え事をする女性

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターの仕事は、業務量が多かったり、納期や責任のストレスが重かったりするのが「辛い」と感じる原因といえます。まずは自分がどのようなことを辛いと感じているのかを明確にし、現状改善に努めましょう。

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