アシスタントマネージャーは、さまざまな業界にある職種です。中でもホテル業界では、マネージャー(支配人)に次ぐ重要職と位置づけられています。ホテル業界におけるアシスタントマネージャーの仕事内容や魅力、求められるスキルを見ていきましょう。
アシスタントマネージャーの仕事内容は?
ホテル業界におけるアシスタントマネージャーは、ホテル全体の管理者であるマネージャー(支配人)に次いで、現場を監督する重要な役職です。
役職の具体的な位置付けはホテルによって変わってくるものの、ホテルスタッフをまとめる役割だけでなく、宿泊客とも頻繁に接します。
マネージャー(支配人)を補佐する役割
アシスタントマネージャーは、業種を問わずマネージャーを補佐するポジションです。ホテルでは一般的に、フロント周辺で現場を統括するとともに、ホテル利用客の要望に対応する仕事を担います。
基本的にマネジメント側の職種ではありますが、現場の責任者として利用客に接する機会も少なくありません。
現場のスタッフでは対応が難しい案件を引き受けたり、宿泊客の意見・要望、場合によってはクレームを受けたりする立場でもあります。
また、タクシーの手配や周辺施設の紹介・案内などをするケースも多く、アメリカのホテル業界では「コンシェルジュ」と呼ばれるのが一般的です。
部門ごとに配置される場合も
もともとアシスタントマネージャーは、ホテルのフロント付近に席を構えて、一般スタッフでは難しい対応をカバーする役割です。
ただし、フロント業務だけでなく、宿泊・料飲など部門ごとにアシスタントマネージャーを設けているホテルも少なくありません。
特に大規模なホテルでは、部門ごとに配置しなければ現場を統括できないため、それぞれの責任者としての立場を担う場合が多々あります。
部門ごとに統括者がいる場合、単に「宿泊マネージャー」や「料飲マネージャー」と呼ばれることが多く、副支配人としてのアシスタントマネージャーを、より上の立場で配置しているホテルもあります。
役職の細かい立ち位置や呼び方は、ホテルによって異なるケースが珍しくありません。
アシスタントマネージャーの魅力
ホテル業界において、アシスタントマネージャーとして働く魅力は何なのでしょうか?支配人であるマネージャーと一般スタッフとの間に位置する役職であり、どちらとも異なる立場から、多くの経験を積めます。具体的な魅力を見ていきましょう。
オペレーションの統括者として働ける
マネージャー(支配人)はホテル全体のマネジメントに関わる職種ですが、アシスタントマネージャーは現場を統括するポジションにいます。
支配人やそれに近い立場になると、ホテル全体の管理が主な仕事になります。現場のスタッフはもちろん、宿泊客と直に接する機会も減ってしまうでしょう。
一方アシスタントマネージャーは、オペレーションの統括者として現場のスタッフ・宿泊客とも接しながら仕事ができます。現場に近い立ち位置で働きたいなら、アシスタントマネージャーは魅力のある職種です。
マネジメントの経験を積める
アシスタントマネージャーは、現場でホテルの利用客・宿泊客に接する一方で、スタッフの管理や組織全体のマネジメントに携わる立場でもあります。
プレイヤーとして活躍しつつも、管理者としての経験を積みたい人にとっては、ベストなポジションといえるでしょう。
さらに、最終的にはホテルのマネージャーとして、全体を統括する立場になる人も多くいます。将来的にマネージャーとして活躍したい人は、まずアシスタントマネージャーを目指すのがよいでしょう。
VIP顧客の接客も行う
ホテルのVIP客が宿泊するとき、一般スタッフではなく、初めからアシスタントマネージャーが出迎えて接客するケースが多くあります。
VIP客は社会的な地位が高く、さまざまなコネクションを持っているので、良好な関係を構築することで人脈を広げられる可能性もあるでしょう。
VIP客に気に入られれば、同じような社会的地位を持つ人を宿泊客として紹介される可能性も考えられます。働きぶりによっては、ホテル全体の評価を高める橋渡し役になれるかもしれません。
アシスタントマネージャーを目指すには?
ホテル業界でアシスタントマネージャーを目指すには、どのような道があるのでしょうか?今後のキャリアの選択肢としてアシスタントマネージャーに興味がある人は、基本の流れを確認していきましょう。
まずホテルでの経験を積む
アシスタントマネージャーは、現場のオペレーションを統括する立場です。当然ながらその業務に関する豊富な知識・経験が求められます。
基本的な接客マナーはもちろん、問題・トラブルが起こった際、どう解決すべきか頭に入っていなければ務まりません。ホテルでの十分な接客経験を積み、さまざまな状況にうまく対応できるようになってから、目指すべきポジションといえるでしょう。
ただし、ホテルの仕事は利用客・宿泊客に接する以外にも、炊事場や清掃・ホテル内レストラン・ブライダル部門など多岐にわたります。
大規模なホテルで特定部門のマネージャーを目指すならば、その部門での十分な就業経験が求められます。
一般スタッフから昇進する
アシスタントマネージャーを目指すには、基本的にそのホテルで長年勤務し、実績を認められて昇進する必要があります。まずは一般の社員としてホテルに入社し、接客に携わるスタッフとして経験を積む過程が欠かせません。
新卒採用・中途採用で働き始めるだけでなく、アルバイトから正社員になり、最終的にアシスタントマネージャーに就任するケースもあります。ホテルでは定期的に広く人材を募集しており、アルバイト・パートの求人も豊富です。
特定部門なら未経験OKの場合も
一般スタッフとして経験を積んでアシスタントマネージャーにキャリアアップするのが、基本の流れです。2~3年程度のマネージャー経験を求められる場合が多いでしょう。
ただ、担当する範囲やホテルによっては、ホテル業界での仕事が未経験でもチャレンジできる場合があります。特定部門のアシスタントマネージャー枠が、その一例です。
未経験からホテル内レストランのマネージャー候補として募集している場合もあるので、興味のある人は求人情報を確認してみましょう。観光業界での業務経験をはじめ、他業種の経験をもとに応募できるホテルもあります。
参考:ホテルレストランのアシスタントマネージャー|ホールスタッフ-株式会社オープンループパートナーズ 就労支援事業部の求人|スタンバイ
アシスタントマネージャーに必要なスキル
未経験可の求人に応募する場合も、ホテル業界での経験を積んでアシスタントマネージャーを目指す場合も、求められるスキルを知っておくと効果的に成長できます。アシスタントマネージャーには、どのような能力が必要なのでしょうか?
オペレーションスキル
アシスタントマネージャーは、現場のオペレーションの統括者です。特定部門で狭い範囲を担当するケース以外では、ホテル業務を全般的にこなせる必要があります。
細かい部分の知識・作業効率では各現場のスタッフに及ばないとしても、人員が足りない場合にフォローに入ったり、新人教育をしたりする場面は多いでしょう。最低限、現場で通用するオペレーションスキルは欠かせません。
特定部門のマネージャーとして仕事をする場合も、ホテル全体のオペレーションの改善・見直しに携わる可能性があります。担当する部門の業務に関してはもちろん、全体の知識もあった方が有利です。
マネジメントスキル
アシスタントマネージャーは、現場のスタッフを管理する立場にいます。マネジメントに関する知識やスキルが不可欠です。
ホテル業務全体を把握するだけでなく、人材配置を決めたり新人の面接をしたりする場合もあるので、人事に関する知識も求められます。
ホテルの規模によって、アシスタントマネージャーの立ち位置は異なります。ただ、どのような規模のホテルでも、人材マネジメントに関するスキルが必要という点は変わりません。
問題解決スキル
アシスタントマネージャーは、ホテルの利用客からの要望・クレームに対応したり、スタッフのトラブル解決を手助けしたりする必要があります。そのときの状況に応じて困難を乗り越えられる、問題解決スキルが必要です。
一般スタッフが解決できない問題が起こった場合、基本的に現場を統括するアシスタントマネージャーへ対応がエスカレーションされます。
特に利用客・宿泊客がからむ問題・トラブルは、解決できなければホテルの評判にも関わる問題です。アシスタントマネージャーには、問題解決力に基づいた的確な対応が求められます。
アシスタントマネージャーに役立つ資格は?
アシスタントマネージャーになるために、必須の資格が存在するわけではありません。しかしホテルによっては、資格の取得を昇進の条件にしていたり、昇進に有利になったりする場合があります。
アシスタントマネージャーを目指している人は、紹介する資格の取得を検討してみるとよいでしょう。
ホテルビジネス実務検定
ホテルビジネス実務検定は1999年からスタートした、ホテルの実務に関して体系的に理解できているかを試される試験です。
取得するには宿泊業務・料飲・宴会といったサービス領域に加えて、人事・マーケティングなどマネジメントに関する領域まで、幅広い分野の体系的な知識が求められます。
レベルは学生・一般社員向けの「ベーシックレベル」と、より広い知識が必要な上級管理職向けの「マネジメントレベル」の2種類です。それぞれのレベルに1級と2級があります。いずれも現在の職業や経験は問われません。
ホテル業界でキャリアアップする足がかりとして、自分のレベルに合わせて受験を検討してみましょう。
ホテル・マネジメント技能検定
ホテル・マネジメント技能検定は名前の通り、ホテル・旅館管理者のマネジメント能力を測る国家検定です。
ホテルや旅館の経営に関する知識から職務遂行能力まで幅広く試される検定で、3〜1級まで3種類のグレードが設けられています。3級は主任向け、2級は課長をはじめとした管理職向け、1級は経営者向けです。
3級はホテル業界で働いているか就業を目指していれば誰でも受けられますが、2級は最低でも5年以上の実務経験が必要です。これからホテル業界にチャレンジしたい人は、まず3級の取得を目指しましょう。
ホテル・マネジメント技能検定|一般社団法人 日本宿泊産業マネジメント技能協会
アシスタントマネージャーを目指してみよう
ホテル業界におけるアシスタントマネージャーは、本来マネージャー(支配人)を補佐する役割です。主にフロント周辺で人員の統括・顧客対応を担いますが、ホテルによって具体的な位置付けは変わってきます。
アシスタントマネージャーになるには、現場の実務経験はもちろん、マネジメントスキル・問題解決能力も求められます。
業界未経験から目指すなら、まずはホテルへの就職・転職を目指すのが王道です。キャリアアップに役立つ資格もあるので、取得を検討してもよいでしょう。
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