システムエンジニアの中には「仕事がきつい」「疲弊する」という悩みを抱えている人も多いでしょう。実際、仕事の内容や業務量は、所属する会社や働き方によって変わります。仕事がきついといわれる理由や、現状を変えるための対処法について解説します。
システムエンジニアがきついといわれる理由
システムエンジニア(SE)の役目は、クライアントの要望をもとにシステム設計・開発を行うことです。
やりがいのある仕事ですが、「きつい」「大変」という声も多く聞かれます。現役のシステムエンジニアは、どのような点に仕事の大変さを感じているのでしょうか?
業務量が多い
受託開発の会社で働くシステムエンジニアは、クライアントが指定した納期を厳守する必要があるため、業務スケジュールが過密になりやすい傾向があります。納期まで時間がない場合は、深夜残業も日常茶飯事でしょう。
システム開発にはトラブルがつきものです。途中で不具合が生じたり、クライアントが仕様変更を要求してきたりすれば、業務負荷はさらに大きくなります。
また、システムのリリース・メンテナンスに携わるエンジニアは、システムが稼働していない日に作業をするのが一般的です。休日出勤が当たり前となり、ワーク・ライフ・バランスを維持するのが難しいのが現実といえます。
専門的な知識・技術が必要
システムエンジニアが担う上流工程は、システム開発の基礎となる部分です。クライアントへのヒアリングをもとに設計書を作成し、下流工程を担うプログラマーにコーディング作業の指示を出します。
プロジェクト全体はプロジェクトマネージャーが管理をしますが、プロジェクト規模によってはシステムエンジニアは開発現場のチームリーダー的な役割を担うこともあります。システム開発への専門的な知識・高い実践力がなければ、務まらない仕事といってもよいでしょう。
IT技術は日々進化しています。クライアントからは、高度な要求を突き付けられることが多く、知識・技術をアップデートし続けなければなりません。
業務の多忙さに加え、学びに終わりがないところが「きつい」といわれる理由の1つといえます。
精神的なプレッシャーがかかる
システム開発は、納期至上主義といっても過言ではありません。システム開発の過程で不具合・エラーが多発しても、クライアントとは無関係なので、「不具合で納期が遅れた」という言い訳は通用しないのが実情です。
常に納期を気にしながら仕事をしなければならないため、精神的なプレッシャーは相当なものといえるでしょう。トラブルの発生やメンバーの離脱が重なるケースも多く、納期完了までは心が休まる暇がないといえます。
さらに、苦労して納品をしても、正当な評価が受けられるとは限りません。
人間関係がストレスに
システム開発は、チーム単位で行うのが基本です。パソコンに向かって黙々と作業をするだけでなく、チームメンバーと話し合いを重ねたり、指示を出したりしなければならないシーンが多々あります。
システムエンジニアの中には、チームメンバーとの人間関係がうまくいかず、ストレス・悩みを抱える人も少なくありません。
高度な要求を突き付けてくるクライアントと、チームメンバーとの間で板挟み状態となり、コミュニケーションに疲れ果ててしまう人もいるようです。
システムエンジニアの働き方の種類
システムエンジニアの働き方は、1つだけではありません。社内システムエンジニアとして働く人もいれば、受託開発を手掛ける企業で働く人もいます。代表的な働き方と、その特徴を解説します。
社内システムエンジニア
企業のIT化が加速する近年では、社内システムエンジニアを必要とする企業が増えています。主な業務は自社システムの開発・運用・保守ですが、ITのプロとしてITに関する業務全般を幅広く担うのが特徴です。
従業員から「システムが稼働しない」「パソコンの設定ができない」といった連絡を受ければ、業務に支障が出ないように迅速に対応します。
クライアントワークが少ないため、常に納期に追われるストレスはありませんが、ヘルプデスクのような役回りばかりで、「キャリアアップがしにくい」といった声もあるようです。
客先常駐型システムエンジニア
客先常駐型システムエンジニアは、IT技術者を必要とするクライアント先に常駐し、システム開発・運用・保守などの業務を担います。
契約期間は数カ月から数年で、クライアントが変わるごとにさまざまな業務が経験できるのがメリットです。働きぶりを評価されれば、その企業の正社員になれるチャンスもあるでしょう。
一方で、客先を転々とするため、各企業のルール・企業文化にうまくなじめない人もいるようです。一貫したスキルを築きにくく、専門的な領域で活躍しにくいのが難点といえます。
運用・保守専門のシステムエンジニア
運用・保守専門のシステムエンジニアは、システム開発にはほぼ携わらず、既に構築されたシステムの運用・保守を担当します。
納期に追われるようなハードさはないものの、システムの不具合が生じたときは、臨機応変に対応しなければなりません。システムによっては24時間体制で管理を行う必要があり、「体力的にきつい」といった声もあります。
トラブルへの対応力は身に付きますが、新しいことにチャレンジしにくい点にも留意すべきでしょう。仕事への責任感が強く、日々のルーティンを確実にこなせる人に向いているといえます。
フリーランスのシステムエンジニア
システムエンジニアとして経験を積んだ人は、会社に所属せずにフリーランスとして独立する道が開けます。
「出向型」または「客先常駐型」の案件が大半で、完全在宅で働くシステムエンジニアはそれほど多くはありません。フリーランスエージェントやクラウドソーシング、知人からの紹介などで、案件探しをするのが一般的でしょう。
仕事の成果に応じてクライアントから直に報酬が入るため、会社員時代よりも収入が大幅にアップする可能性があります。
一方、1人で納期管理をしなければならない点において、高いセルフマネジメント力が要求されます。モチベーションを維持しながら、仕事とプライベートをしっかりと管理することが重要です。
システムエンジニアに向いている人
「システムエンジニアの業務がきつい」と感じる人は、仕事自体が自分に合っていない可能性があります。システムエンジニアに向いているのは、どのようなタイプの人なのでしょうか?
人とのコミュニケーションが苦にならない
技術職というと、自分の仕事に没頭するイメージがありますが、システムエンジニアは多くの人と関わり合いながらシステム開発を進めていきます。
顧客折衝やチームメンバーとのミーティング、関連部署への連絡といった業務が多くなるため、「人とのコミュニケーションが苦にならない人」でなければ務まらないといってよいでしょう。
コミュニケーションが苦手な人の場合、クライアントとの意思疎通がスムーズにいかなかったり、チームメンバーと良好な関係が構築できなかったりしてストレスを感じてしまいます。
向上心がある
システムエンジニアに必要なのは、より高い目標に向かってまい進していく「向上心」です。キャリアプランが明確に描ける人や、学びの姿勢を忘れない人は、息の長いシステムエンジニアになれるでしょう。
IT業界は、スキル・経験値によって収入が変わる実力主義の世界です。知識・技術のアップデートに努めれば、最新技術を求める顧客の要求に応えられるでしょう。しかしそうでない人は、他のエンジニアに仕事を奪われてしまうのが現実といえます。
自分の専門分野だけでなく、周辺分野に関する幅広い見識を備えたシステムエンジニアは、多くの企業で重宝されるでしょう。
システムエンジニアの魅力とは?
どのような業種・職種にも、仕事のきつさとやりがいの両方があります。システムエンジニアの仕事がつらいと感じたときは、魅力やメリット、将来性などのプラスの側面に焦点を当ててみましょう。
新たなシステムを作る仕事
システムエンジニアの魅力は、新たなシステムをゼロから生み出せることです。自分たちが作り上げたシステムが、企業・社会の役に立っていることを考えると、これまでのつらさが報われ、仕事に対する誇り・喜びが湧いてくるでしょう。
システムエンジニアという職種は、ものづくりが好きな人に向いています。職人のように物を作るわけではありませんが、白紙からアイデアを形にする工程では、ものづくりの醍醐味が味わえます。
自分の設計したシステムが動いたときの感動は、何ものにも代えがたいでしょう。
需要と将来性の高い仕事
IT業界は、人手不足が深刻な業界の1つです。企業のIT化が進む昨今、システムエンジニアを必要とする企業は増加傾向にあり、実力のある人材は職探しに困らないといってもよいでしょう。
経験がそのままスキルになりやすく、システムエンジニアの経験があるというだけで、転職活動で有利に働きます。知識・技術を磨き続ければ、どのような企業でも通用するでしょう。
やる気と頑張り次第で収入がアップする点や、自分に合った働き方が選べる点も大きな魅力といえます。
仕事がきついと感じるときの対処法
仕事がきついと感じるときの対処法としては、「今いる場所で解決方法を見いだす」「新たな働き方を見つける」の2つの方法があります。
システムエンジニアとして長く活躍していくために、自分に何ができるのかを考えてみましょう。
きついと感じる原因を明確にする
「仕事のことを考えると気持ちが落ち込む」という人は、何にきつい・つらいと感じているのかをはっきりさせましょう。原因を明らかにすることで、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。
人間関係や労働時間の長さが問題であれば、1人で悩まずに上司に相談することをおすすめします。自分のスキル不足が原因なら、スキルアップのための学びを強化する必要があるでしょう。
業務量の多さは、業務効率を向上させる開発ツールで解決できる場合があります。
働き方を変える
仕事にやりがいを感じつつも、今の職場で働くのがつらい人は、思い切って働き方を変えてみるのも1つの手です。
システムエンジニアは、残業や休日出勤が多い職種といわれますが、働き方や所属する企業によって働きやすさが変わります。
例えば、受託開発をする会社のシステムエンジニアは、納期に追われる日々を送ることが多いでしょう。
しかし、社内システムエンジニアや運用・保守に関わるエンジニアは、クライアントワークがほとんどありません。客先常駐型も、残業は比較的少ない傾向があります。
システムエンジニアで自分らしい働き方を
システムエンジニアは、肉体的・精神的にプレッシャーが大きい職種です。常にスキルを磨き続けなければならないため、「休む暇がない」というのが本音かもしれません。
仕事がきついと感じている人は、自分らしい働き方を模索してみましょう。転職活動をするのもよし、フリーランスとして独立するのもよし、行動によって新たな道が開けます。
「スタンバイ」には、システムエンジニアの求人が多く掲載されています。転職を検討している人は、仕事内容や待遇をチェックしてみてはいかがでしょうか?