システムエンジニアに役立つ資格7選。必要なスキルもチェック

システムエンジニアに専門の資格は不要ですが、関連資格を取ることで業界の知識が身に付き、転職活動を有利にすすめられます。システムエンジニアへの転職を検討中の人に、持っていると役立つ資格と勉強方法、求められるスキルを紹介します。

システムエンジニア向けの国家資格

プログラミングをする男性

(出典) photo-ac.com

システムエンジニアになりたい人は、まずIT関連の国家資格「情報処理技術者試験」を目指すとよいでしょう。ジャンルや難易度別に12種類用意されており、レベルに合わせて受験できます。ここではシステムエンジニア向けの試験を5つ選び、内容や合格率を紹介します。

参考:
試験の概要:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
試験区分一覧:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

基本情報技術者試験

「基本情報技術者試験」は、IT系エンジニアに必要な基礎知識全般を問われる資格です。IT系エンジニアの出発点とされ、就職活動に生かすために在学中に取得する大学生も少なくありません。

2022年度までは上期と下期の一定期間の中から試験日を選ぶ方式でしたが、2023年度からは、通年で随時実施される予定です。

忙しい社会人でも受けやすい試験なので、未経験からシステムエンジニアを目指す人のスキル証明に最適です。なお2022年11月に実施された試験の合格率は、約34.9%でした。

参考:
IPA 独制度の概要:基本情報技術者試験(FE)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構行政法人
情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験(CBT方式)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

応用情報技術者試験

基本情報技術者試験の上位資格です。ITに関する広範囲の知識・技能だけでなく、管理や経営に生かすための知識や応用力も問われます。4月と10月に実施され、応用情報技術者試験合格者には、上位資格の受験科目が一部免除される特典があります。

クリアできれば、システム開発・IT基盤構築の責任者として活躍する道が開けるため、基本情報技術者試験を取得した人は次のステップとして視野に入れておくとよいでしょう。ただし2022年度春期の合格率は24.3%と、基本情報技術者試験に比べると難易度はやや高めです。

参考:
制度の概要:応用情報技術者試験(AP)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験推移表.pdf p1|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリストはその名の通り、ネットワークシステムの開発から運用・保守・最新動向まで、幅広く精通する人を指します。システムエンジニアの中でも、ネットワーク管理者として活躍したい人に最適な資格です。

試験は毎年4月に実施され、2022年度の合格率は17.4%でした。受験機会が少なく難易度も高めですが、その分合格者は貴重な人材として認められます。システムエンジニアとしての差別化にも役立ち、活躍の場も広がると期待できる資格です。

参考:
制度の概要:ネットワークスペシャリスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験推移表.pdf p1|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

システムアーキテクト試験

システムアーキテクトは、情報システムの設計から完成までの、統括能力が問われる資格です。顧客のニーズに合わせてシステムをデザインしていく立場にあり、エンジニアとしての技能だけでなく豊富な業務知識が求められます。

試験はネットワークスペシャリスト同様、毎年4月に実施されます。2022年度の合格率は15.0%と、やはり難易度は高めです。システム設計者としてキャリアアップするなら、ある程度経験を積んだ後に挑戦するとよいでしょう。

参考:
制度の概要:システムアーキテクト試験IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験推移表.pdf p1|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

ITストラテジスト試験

ITストラテジストとは、企業の経営戦略に基づき、ITを活用した新規事業や業務改革などを企画・推進する能力を持つ人です。企業経営にかかわる知識が身に付くため、顧客に寄り添う提案ができるエンジニアとして、信頼を得やすくなるメリットがあります。

システムエンジニアから、情報統括責任者へのステップアップを目指す人や、コンサルタント業に進みたい人にも向いています。試験実施は毎年4月で、2022年度の合格率は14.8%でした。

参考:
制度の概要:ITストラテジスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験推移表.pdf p1|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 

システムエンジニア向けのベンダー資格

タイピングをする手元

(出典) photo-ac.com

ベンダー資格は、IT関連の製品を製造販売する企業(ベンダー)が、自社製品の操作スキルを認定する民間資格です。業務でよく使われるソフトウェア・システムの基本が身に付き、即戦力として認められやすいベンダー資格を紹介します。

マイクロソフト オフィス スペシャリスト

マイクロソフト オフィス スペシャリストは、ExcelやWordといった、Microsoft Office製品の操作スキルを証明する資格です。

試験科目は製品のバージョン別に用意され、それぞれ一般と上級に分かれています。受験資格はないので、上級レベルを狙うとよいでしょう。毎月1~2回、日曜日に全国一斉試験が実施されます。パソコンスクール・専門学校の随時試験は、会場指定に便利です。

試験合格者には世界共通の合格認定証が発行され、海外でのスキル証明にも使えます。資格があれば、スキルの証明が容易になり、転職活動を有利に進められます。

参考:マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)|MOS公式サイト

オラクルマスター

オラクルマスターは、世界的なデータベース管理システム「Oracle Database」の操作・管理スキルを証明する資格で、データベース技術者にとって重要です。

4段階のレベルがあり、一番下のBronze(ブロンズ)を取得すれば、データベース用語や運用管理の基本を理解していることを証明できます。未経験者は、まずBronzeの勉強からスタートするとよいでしょう。

すでに基礎知識をマスターしている人は、Bronzeを飛ばしてSilverから受験することも可能です。

参照:ORACLE MASTER Portal-be an ORACLE MASTER-オラクル認定資格制度|Oracle University

システムエンジニアが資格を持つメリット

ファイルを持っている男性

(出典) photo-ac.com

システムエンジニアは、資格がなくてもできる仕事です。中には一切資格を持っていない人もいます。ただし転職やキャリアアップのためには、資格を持っている方が有利です。システムエンジニアが資格を取るメリットを整理しましょう。

スキルをアピールできる

IT関連の資格を取れば、システムエンジニアとしてのスキルを広くアピールできます。資格に挑戦することで、周囲の人に仕事への熱意が伝わり、手当が支給されて収入が増える可能性もあります。

履歴書の資格欄に記載できる項目が増えるため、転職の書類審査にも通りやすいでしょう。面接官にとっても、何も資格がない人よりは、資格を持っている人の方が安心できます。

特に未経験からの転職者は、スキルの判断が難しいため、資格があると採用されやすいといえます。

昇進・昇格に繋がることも

資格取得が、昇進・昇格に繋がるケースも少なくありません。ネットワークスペシャリスト試験のような合格率の低い資格や、国際的に通用するベンダー資格は、持っているだけで評価が高まります。

受験料や学費など、資格取得にかかる費用の補助制度を設けている会社もあります。試験に向けて勉強するだけでも、仕事に役立つ知識を得られるので、補助制度があるなら、上位資格にチャレンジするのも、スキルアップする1つの方法です。

資格の勉強方法

プログラミング画面と眼鏡

(出典) photo-ac.com

働きながら資格を取るには、どのように勉強すればよいのでしょうか。一般的な勉強方法について、メリットや注意点を見ていきます。

独学で学ぶ

初級から中級に該当する試験の場合、独学でも十分合格を狙えます。独学なら通勤時間や週末を利用して自分のペースで勉強でき、費用もあまりかかりません。

テキストや参考書・過去問集は書店で購入できますし、インターネット上には学習できるサイトや動画がたくさんあります。

ただしネット上には怪しい情報も多く、1つのサイトだけに頼ると勉強時間が無駄になる恐れもあります。主催者の公式サイトで試験内容をよく把握して、信頼できるテキストやサイトを選ぶことを心掛けましょう。

スクールで学ぶ

専門学校やカルチャースクールで開催している、社会人向けの講座を受講するのも1つの方法です。講師の指導でカリキュラムに沿って学べるため、効率よく総合的な知識が身に付き、授業で疑問点もすぐに解消できるのがメリットです。

独学に比べて費用は高額になるものの「入会金や授業料を無駄にしたくない」との思いから、途中で挫折する確率も低くなります。同じ目標を持つ仲間が見つかり、人脈形成にも役立つでしょう。

資格以外に必要なスキルとは

会話をする二人の女性

(出典) photo-ac.com

資格はあくまでも特定のスキルを証明する手段です。システムエンジニアとして評価されるためには、資格以外にも必要なスキルがあります。社会人一般に必要なスキルでもあるため、足りない人は今から身に付ける努力をしましょう。

コミュニケーション能力

システムエンジニアには、いつもパソコンに向かっているイメージがあるかもしれません。しかし実際には、顧客や社内のメンバーと会話する機会が多く、高いコミュニケーション能力が必要です。

顧客に対しては複雑なシステムを分かりやすく説明し、ニーズを引き出す能力が求められます。社内では、メンバー同士が細かな点もすぐに報告し合えるように、信頼関係を築く必要があります。

コミュニケーションに長けたシステムエンジニアなら、どちらもスムーズに対応でき、周りから頼られる存在となるでしょう。

マネジメント能力

システムエンジニアには、マネジメント能力も求められます。開発するシステムの規模や種類、納期に合わせてプロジェクトチームを結成し、プログラマーに仕事を割り振るのもシステムエンジニアの仕事なのです。

プログラマーといっても、それぞれ得意分野や経験が異なるため、仕事の割り振り方次第で作業効率が変わってきます。

適材適所を意識した人員配置ができればスケジュール管理が楽になり、納期に遅れる心配も減らせるでしょう。

システムエンジニアの資格を取得して活躍しよう

パソコンで作業をする女性

(出典) photo-ac.com

情報処理技術者資格やベンダー資格を取得すると、IT関連の知識や技能が身に付き、システムエンジニアとしての転職も夢ではなくなります。まずは簡単なものでよいので、IT人材として働ける資格に挑戦してみるとよいでしょう。

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