自分は何科の看護師に向いている?診療科目別の仕事内容をチェック

やりがいを持って看護師の仕事をしたいときは、自分に向いた診療科目を選ぶのがおすすめです。医療機関にはさまざまな診療科目があるので、自分に合う科目が分からず悩んでいる人もいるでしょう。診療科目別の仕事内容や求められるスキルを解説します。

コミュニケーション力が高い人向けの診療科目

白衣の看護師

(出典) photo-ac.com

人と関わるのが好きな人やコミュニケーション力が高い人にとって、看護師の仕事は適職です。特に、診察や治療で不安になりがちな患者を精神的にサポートすることが必要な診療科目なら、コミュニケーションスキルを発揮できるでしょう。

小児科の看護師

小児科は0歳から成人まで、幅広い年齢を対象に診療する科目です。慢性疾患がある場合は、成人を超えても受診する人もいます。外科処置が必要な病状以外の、ほぼ全ての症状に対応するため、看護師にも幅広い知識や技術が求められます。

小さい子どもは、自分で具合の悪い場所をうまく伝えられなかったり、治療に不安を抱いたりすることも少なくありません。また、本人だけではなく、家族が安心して治療できるためにも、保護者との密なコミュニケーションも重要です。このことからも、他の科に比べ、より包括的に家族の精神的なサポートが必要になります。

さらに、子どもの気持ちを理解しようとするコミュニケーション力の高さや、忍耐力のほか、症状を見逃さないために、観察力も求められます。

産婦人科の看護師

産婦人科は、出産や病気の診療以外にも、不妊治療にも携わる科目です。そのため、ケアを行う対象が、現在病気を抱えている患者から、妊娠など病気ではない正常な方までと幅が広く、豊富な知識や対応が求められます。

産科は唯一、新しい命が誕生する科目なので、他の診療科目にはない喜びを味わえる一方、不測の事態が起こりうる場所です。そうした場面では、精神的に落ちこんだ患者に対する気遣いできる心が求められます。

内科の看護師

内科は、主に投薬によって治療する科目です。医療機関によっては、消化器内科・神経内科・循環器内科などに細分化されているところもあります。内科に勤務する看護師の場合、病棟と外来で仕事の内容が異なります。

病棟勤務の看護師は、入院患者のバイタルチェック・点滴・注射・内服薬の与薬・診療や、検査の介助などをします。外来勤務の看護師の主な仕事は、採血や注射など、医師の診療の介助です。

病棟または外来のどちらにもコミュニケーションスキルを求められますが、病棟看護師には長期的な治療をサポートする力や、患者の変化を見抜ける観察力なども必要です。

キャリアを積みたい人向けの診療科目

手術道具

(出典) photo-ac.com

キャリアを積みたい人には、最新の医療技術などを扱う診療科目が向いているといえます。高度な看護スキルや医療技術が身に付く診療科目を3つ紹介します。

救命救急科の看護師

症状の重い人が運ばれてくる救命救急科では、出血している患部の止血や、骨折の応急処置など、外科的な処置も多く、時には心臓や呼吸が止まった患者へ救急蘇生など行うこともあります。

迅速な対応が求められる科目なので、看護師にも適切な判断や処置、患者の状態を瞬時に読み取る力が必要です。

災害や事故現場で直接治療をサポートすることもあるため、チームワークで働ける人や、常に新しい技術を勉強するなど、向上心の高い人にも向いています。また、動揺している患者や、その家族を精神的にサポートするのも看護師の仕事です。

オペ室の看護師

オペ室の看護師には「器械出し看護師」と「外回り看護師」の2種類があります。器械出し看護師は、必要な器具を事前に準備したり、手術中に医師へ手渡したりするのが主な仕事です。

外回り看護師は、患者に対して事前の処置や麻酔の介助と、手術中の状態の観察など、幅広くサポートする役割があります。どちらかの業務だけに専任する病院もありますが、基本的には両方の仕事ができるように訓練します。

オペ室の看護師には、不測の事態にも臨機応変に対応できる知識が必要です。専門性を高めようとする向上心のほか、周囲の状況を判断できるスキルなども求められます。力仕事も多いので、体力やタフな精神力も必要でしょう。

ICUの看護師

ICU(集中治療室)の看護師は、患者のバイタルサインなどのモニタリングや、薬剤投与・気管内吸引・カテーテル挿入などの処置が主な仕事です。寝たきりの患者のサーカディアンリズム(昼夜のリズム)のケアなども行います。

心電図モニターや人工呼吸器などの高度な医療機器を扱ったり、手術から戻る患者に、点滴や酸素ボンベなどを準備したりするため、各器械の扱いについての知識は必須です。

また、医療機器などによるデータを基に全身状態を分析し、治療へとつなげられるスキルも求められます。患者の症状を把握する観察力や、冷静な判断力とともに、家族への状況説明や、精神的サポートのためのコミュニケーション力も必要です。

プレッシャーが苦手な人向けの診療科目

カルテを持った看護師の女性

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看護師は、患者の命に関わる仕事なので、プレッシャーの多い職業です。しかし、中にはそのような心理的負担が苦手な看護師も少なくありません。プレッシャーに弱い人は、外来やクリニックなどでも働ける診療科目がおすすめです。

眼科の看護師

眼科の看護師の主な仕事は、医師の診療のサポートです。視力や眼圧を検査する視能訓練士がいない場合は、検査業務も担います。白内障などの手術も行うクリニックでは、手術の準備や、医師の介助なども任されます。

眼科の看護師には、眼底カメラなど、眼科独特の医療機器についての知識や、検査用の機器の操作に慣れておく必要があります。また、眼科は一般的に患者数が多く、待ち時間も長くなりがちなため、クレームが発生することも少なくありません。

できるだけ快適に診療を受けられるような気配りや、声がけなどができる心遣いも必要でしょう。視能訓練士など、他職種と協力して働く場合は、協調性や柔軟性も求められます。

皮膚科の看護師

皮膚科の看護師の仕事は、主に医師の診療サポートや、患者への薬の説明などです。通常の皮膚科の場合は、基本的な看護技術があれば、特別な医療スキルは必要ないのが一般的です。

美容皮膚科に勤務する看護師は、注射・点滴・レーザー照射などの施術のほか、患者へのカウンセリングなどを担当することもあります。

一般的に皮膚科の患者には、命に関わるような重い症状を抱えている人は少ない傾向にあるため、看護師に過度な精神的負担がかかることもないでしょう。

複雑な処置なども少ないので、離職後にブランクがある人にも復帰しやすいのがメリットです。また、美容皮膚科の場合は、一般的な皮膚科に比べて、給与が高い傾向にあります。

整形外科の看護師

整形外科では、学生から高齢者まで幅広い年代への対応が必要です。整形外科で働く看護師の仕事内容は、病棟と外来で異なります。整形外科に入院する患者は、絶対安静の状態の人や、急性期の人などさまざまです。

入退院のサイクルも比較的早いので、病棟勤務の看護師にはテキパキ動けて、柔軟に対応できる人が向いています。外来では、痛みを取り除くブロック注射や、膝にたまった水抜きなども看護師の仕事です。

どちらの職場で勤務する場合も、リハビリのサポートなどで患者との距離が近くなるため、コミュニケーションスキルがある人や、人と関わるのが好きなタイプに向いているといえます。力仕事も多いので、体力も必要になるでしょう。

患者とじっくり向き合いたい人向けの診療科目

看護師の男性

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治療や処置などに追われるより、もっと患者に寄り添った看護をしたい人には、患者の生活の質を向上するサポートを目的とした診療科目がおすすめです。代表的な診療科目を2つ紹介します。

緩和ケアの看護師

緩和病棟での看護師は、主に患者の身体的な痛みのケアや、精神面でのサポート、家族や遺族へのフォローなどを担います。バイタルサインの測定・排便や創傷の処置・点滴・体位変換・投薬管理などが日常的な業務です。

入院している患者には、高齢によって身体機能が低下している人だけでなく、末期のがん患者などもいます。一般病棟のように治療や処置などは少ないのが特徴ですが、症状によっては必要になるケースもあるため、身体的なケアが全くないわけではありません。

緩和病棟で働く看護師には、患者の気持ちを尊重し、寄り添える気持ちが求められます。終末期を迎える患者を看護するため、家族へのサポートも欠かせません。コミュニケーションスキルや思いやりの心が必要です。

訪問の看護師

訪問看護師は、利用者の自宅に訪問し、病状に応じたケアや看護を提供するのが仕事です。

業務内容は、服薬管理や日常生活のサポート、本人や家族からの療養相談など多岐にわたります。必要に応じて医師の指示の下、点滴やカテーテル管理などの医療処置も行います。

これまで訪問看護師になるには、3年以上の臨床経験があることを推奨されていました。しかし、最近では経験を問わない訪問看護ステーションも増えているので、新卒でも訪問看護師として働けるでしょう。

訪問看護師になるには、基本的な看護技術のほかに、患者の健康状態を把握するためのアセスメントスキルや、コミュニケーション能力も必要です。

自分に合った診療科目を選ぶ際のポイント

カルテを書く看護師

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これから看護師を目指す人の中には、自分がどの診療科目に向いているか分からない人も多いでしょう。病棟勤務の場合は、必ずしも希望した部署に配属されるとは限りません。

しかし、自分に適した診療科目を知っておくことは、将来的なキャリアを考えるためにもおすすめです。自分に合った診療科目を選ぶ際のポイントを2つ紹介します。

どのような働き方をしたいか

診療科目を決める際は、将来自分がどのような看護師になりたいかを考えておくのが大切です。診療科目によって、看護師の仕事内容が全く異なることも珍しくありません。

患者に対して、どのような看護を提供したいのか考えてみましょう。また、将来のキャリアアップも視野に入れて決めることも重要です。

専門分野を極めた看護師になりたいのか、ジェネラリストとして幅広く看護できるようになりたいのかなどを考えると、おのずと選ぶべき診療科目が定まってくるでしょう。

希望のライフスタイルに合っているか

自分のライフスタイルに合った働き方が可能かも重要なポイントです。診療科目によっては、日勤だけでなく夜勤もあります。

例えば、仕事とプライベートを両立させたいなら、眼科や皮膚科など、日勤がメインの科目を選ぶのがおすすめです。若いうちにたくさん稼ぎたいという人は、夜勤のある科目で頑張るという選択肢もあります。

現状だけでなく、結婚や出産などライフステージに変化があったときに、どのような働き方をしたいのか、なども視野に入れて選ぶのが大切です。

やりがいを持てる科目で看護のスキルを生かそう

笑顔の看護師

(出典) photo-ac.com

看護師が活躍している病院やクリニックには、さまざまな診療科目があります。科目によって仕事内容や求められるスキルは異なるため、自分のライフスタイルや特性に合った科目を選ぶのが大切です。

自分に適した診療科目を選ぶには、まずどのような看護師になりたいのかを考えてみるとよいでしょう。また、現在の職場では希望する部署への異動が難しいときは、働きたい科目で看護師を募集している施設へ転職するのも1つの方法です。

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古市菜緒
【監修者】バースコンサルタント代表、助産師・看護師・保健師古市菜緒

助産師として1万件以上の出産に携わり、8千人以上の方を対象に産前・産後のセミナー講師を務める。海外での生活を機にバースコンサルタントを起ち上げ、現在「妊娠・出産・育児」関連のサービスの提供、アドバイスを行う。関連記事の執筆・監修、商品・サービスの監修、産院のコンサルタント、国・自治体の母子保健関連施策などに従事。

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