グランドスタッフとはどんな仕事?必要なスキルや年収、なり方を解説

グランドスタッフは本来、空港で働く人員の総称ですが、主に接客担当者を指す言葉として広まっています。グランドスタッフの仕事内容や必要なスキル、求人の探し方などを知り、空港で働いてみたいと考えている人は選択肢の1つに入れてみましょう。

グランドスタッフとは

空港のターミナル

(出典) pixta.jp

グランドスタッフは、航空業界以外の人にとっては、あまりなじみのない言葉のため、どういった仕事か分からない人も多いでしょう。まずはグランドスタッフの役割や、キャビンアテンダント(客室乗務員)との違いなどを解説します。

空港内で乗客のサポートをする仕事

グランドスタッフとは、航空業界において「特定地上職」と呼ばれる種類の仕事です。主に空港内で搭乗客の案内や搭乗手続きをする仕事で、業界内では「地上職」と呼ばれるケースもあります。

以前は旅客のサポート役以外にも、航空整備員をはじめ、航空機の運航を技術的に支援する仕事も含めて、グランドスタッフと呼ばれていました。しかし近年では、主に空港内で接客にあたる人員をグランドスタッフと呼ぶ傾向にあります。

空港利用者のチェックイン業務や荷物の対応、出発案内などを担うスタッフを指し、キャビンアテンダントや航空機の整備員などと協力しながら、安全かつスムーズに航空機が飛べるように取り計らうのが役割です。

キャビンアテンダントとの違い

キャビンアテンダントとグランドスタッフとは、就業場所や仕事内容が大きく異なります。

キャビンアテンダントは航空機内で搭乗客を案内したり、食事や飲み物を提供したりするのが仕事です。

さらに、旅客を安全に目的地まで送る保安要員としての役割も持っています。緊急時の対応を説明したり、定期的に機内アナウンスをしたりする場面もあるでしょう。

一方、グランドスタッフは空港内が就業場所であり、搭乗手続きや荷物の受け入れ、出発・到着ロビーでの案内などが主な仕事です。接客する場所もカウンターや搭乗ゲートなどさまざまで、車椅子で搭乗する旅客をサポートする場合もあります。

利用者を確実に目的の航空機に誘導し、快適な空の旅を地上からサポートする重要な役割といえるでしょう。

グランドスタッフのなり方

グランドスタッフとして働くために、特別な資格は必要ありません。まずは大学や短大、専門学校を卒業後に航空会社に就職し、空港に配属される方法があります。

特に学歴を問われるわけではありませんが、航空会社は人気の高い就職先なので、内定を勝ち取るのは容易ではないでしょう。

ただし、グランドスタッフの多くは航空会社に所属しているわけではなく、ハンドリング会社の社員である場合がほとんどです。

ハンドリング会社とは、航空機の運用を地上から支援する会社で、航空会社の子会社の場合や、航空会社とは無関係の企業が担っているケースもあります。

空港内の業務を担うハンドリング会社に就職すれば、そのままグランドスタッフの仕事に就ける可能性があります。

現在、異なる業界で働いている人でも、中途採用で航空会社やハンドリング会社に転職できる場合もあるので、空港で働きたい人は挑戦してみるとよいでしょう。

主な仕事内容

空港にいるスーツの女性

(出典) pixta.jp

グランドスタッフの主な仕事内容として、カウンターでの搭乗手続きをはじめ、ロビーや搭乗ゲートでの案内業務、空港の利用客や航空機に不測の事態が起こった際の対応などが挙げられます。

カウンターでの「搭乗手続き業務」

チェックインカウンターでの搭乗手続きは、グランドスタッフの代表的な仕事の1つです。搭乗予定の旅客が購入した航空券を確認し、搭乗券を発券します。

近年はインターネットから航空券を予約する人がほとんどで、自動チェックイン機を使って搭乗する旅客も多くなりました。しかし、高齢者を中心に有人カウンターに並ぶ人もいるので、より丁寧な接客が求められています。

また、搭乗客の荷物をカウンターで預かるのも重要な仕事です。航空機に載せる荷物には大きさや重さなどの制限があり、預かれないものもあるため、しっかり確認しなければいけません。荷物が損傷してしまった場合や、紛失した際の対応も必要です。

ロビー・ゲートなどでの「搭乗業務」

出発ロビーや搭乗ゲートでの案内も、グランドスタッフの業務です。航空機に搭乗する旅客を誘導し、搭乗予定の人がゲートに来ない場合のアナウンスも担当します。

空港内で迷ってしまう人もいるので、状況によってはスタッフ間で連携しつつ、探しに行く場合も少なくありません。

また、航空機に乗り遅れてしまった旅客をフォローするのも重要な仕事です。別の便への切り替えをしたり、再度航空券を予約してもらったりなど、さまざまな対応が求められます。

不測の事態に対応する「到着便対応業務」

搭乗をサポートするだけでなく、空港に到着した旅客への対応も必要です。乗り継ぎの案内から荷物の返却までこなす必要があり、荷物が紛失したり損傷したりした旅客のサポートもしなければいけません。

また、機内に忘れ物をする人も多いため、キャビンアテンダントから忘れ物を預かり、到着ゲートに取りに来た旅客に渡すのも重要な業務です。

さらに、体の不自由な旅客がいるケースもあるので、降機のサポートを担うグランドスタッフもいます。このように求められる役割が幅広く、不測の事態にも落ち着いた対応が求められる仕事といえるでしょう。

求められるスキル

空港のスタッフ

(出典) pixta.jp

グランドスタッフに必要なスキルはさまざまですが、以下のように英語力や協調性、自己管理能力などは特に求められる資質です。空港は多くのトラブルが起こる場所でもあるので、柔軟な対応能力や判断力も必要です。それぞれ確認しましょう。

英語力と協調性

日本人に限らず、さまざまな国籍の利用者が訪れる空港で仕事をするには、ある程度はグローバル言語である英語を使える必要があります。

具体的な役割によって求められる英語力は異なりますが、一般的なグランドスタッフは、最低でもTOEIC550点程度は必須とされています。他の職種と英語でやり取りするケースもあるため、英語力は高いに越したことはありません。

また、毎日多くの旅客と接する仕事のため、コミュニケーションスキルはもちろん、スタッフ同士でうまく連携する力も必要です。いろいろなタイプのスタッフと協力し合う必要があるため、協調性の高さも求められます。

自己管理能力

航空機を時間通りに運航させるには、機内のパイロットやキャビンアテンダントはもちろん、技術スタッフや空港内のグランドスタッフも、しっかり時間を守らなければいけません。

限られた時間で自分の役割をこなし、想定外の事態にもうまく対応するには、高い自己管理能力が求められます。タイムマネジメントのスキルは自ら鍛えられるので、グランドスタッフを目指している人は、時間をしっかり守るところから始めましょう。

柔軟な対応能力・判断力

常に多くの旅客が行き交う空港内では、マニュアル通りの仕事では対応できない事態も日常茶飯事です。突発的なトラブルにうまく対応しながら、航空スケジュールを厳守しなければならないため、柔軟な対応能力と判断力も求められます。

臨機応変な対応は一朝一夕で身に付くものではありませんが、さまざまな問題に向き合って解決する努力を重ねるうちに、徐々に磨かれていくでしょう。

取得しておきたい資格は?

英語の勉強のイメージ

(出典) pixta.jp

前述の通り、グランドスタッフになるために特別な資格は必要ありません。しかし、取得しておくと就職・転職に有利になったり、グランドスタッフとしての仕事で役立ったりするものもあります。

特に、以下の資格はグランドスタッフになる前に取得しておくと、さまざまな場面で生かせるでしょう。

英語力を証明する「TOEIC」

ビジネスシーンでの英語力を証明できるTOEICは、グランドスタッフの採用条件に挙げられている場合もあるので、できるだけ高得点を狙うことをおすすめします。日常的に英語を利用する機会が多い職種のため、550点が最低ラインと考えましょう。

ただし、550点の目安は応募時点で求められる点数なので、採用後はさらに英語力を磨かなければいけません。TOEICはさまざまな勉強法が確立されており、集中して学べる動画や音声教材などもあるので、積極的に利用するとよいでしょう。

【公式】TOEIC Program|IIBC

観光業界に特化した「観光英語検定」

観光英語検定は、観光分野に特化した英語能力を測る検定試験です。グランドスタッフに必要とされるわけではありませんが、空港やホテルなどで、英語話者とコミュニケーションを取ることを想定した問題が出題されるのが特徴です。

観光業界の就職に有利とされていますが、グランドスタッフとしての業務にも役立つ実践的な表現を身に付けられるので、取得を目指してみてもよいでしょう。

観光英語検定 - 英語の資格試験

実技と理論からなる「サービス接遇検定」

サービス接遇検定は、主に接客業・サービス業に必要な話し方や態度、マナーなどを測る検定試験です。実際の接客場面での振る舞いだけでなく、サービスマインドも問われるのが特徴で、顧客に喜んでもらうための思いやりやサービス精神なども問われます。

3級から1級までのグレードに分かれており、全グレードで理論と実践の両方で6割以上の点数を取る必要があります。グレードが上がるほど難易度が高くなるので、興味のある人は、まず3級の取得を目標にしましょう。

サービス接遇検定|ビジネス系検定

グランドスタッフの仕事はどう探す?

空港の様子

(出典) pixta.jp

グランドスタッフの仕事はどのように探せばよいでしょうか?グランドスタッフは人気の高い仕事ではありますが、他の職種同様に求人サイトや転職サイトで案件を探せます。

本格的に転職を目指す場合は、以下のポイントを意識しつつ、まずは求人サイトで検索してみましょう。

求人の探し方とポイント

求人サイトや転職サイトで案件を探す際には、雇用形態や勤務エリアなどの条件で絞り込んで、検索するのが基本です。さまざまな条件で求人を探せるので、好みの航空会社から探したり、空港のキーワードで案件を探したりするのがおすすめです。

大手の航空会社は人気が高く、中途採用の求人を見つけるのは難しいですが、独立系のエアラインやLCCなどをベースに探してみるのもよいでしょう。定期的に転職サイトをチェックすれば、意外な求人案件を見つけられる可能性もあります。

グランドスタッフをはじめ、さまざまな求人案件を探すなら「スタンバイ」がおすすめです。全国の求人案件が豊富に掲載されており、好みの条件で求人の検索が可能です。転職や仕事に役立つ情報も得られるので、この機会に登録してみましょう。

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空港の顔となる仕事に就こう

空港で働く女性

(出典) pixta.jp

グランドスタッフは、空港内で旅客のさまざまなサポートをする仕事です。業務範囲が幅広く想定外の事態にも対応が必要なため、基本となるコミュニケーション能力や英語力などに加えて、柔軟な判断力も求められます。

人気があり競争率も高めの仕事ですが、空港の顔として、多くの人と接する魅力的な職種です。中途採用の求人が出ている場合もあるので、定期的に転職サイトをチェックして、気になる案件があれば思い切って応募してみましょう。