正社員とは?他の雇用形態との違いや特徴、目指し方を解説

正社員とはどのような雇用形態なのでしょうか?契約社員や派遣社員との違いを見ていきましょう。正社員として働くことで得られるメリット・デメリットも確認します。また正社員を目指すときのルートもチェックしましょう。

正社員とは?

ネクタイを締める男性社員

(出典) pixta.jp

会社の従業員には複数の雇用形態があります。その中の1つが正社員です。正社員のメリットやデメリットなどを詳しく見ていくにあたり、まずは正社員とは何か、基本的な知識を解説します。

正社員として契約している労働者のこと

厳密に言えば、正社員とは法律的な用語ではありません。一般的に正社員とは、雇用契約上で労働期間が定められていない労働者のことを指します。

会社で働く人は入社するときに雇用契約を結んでいます。契約書では雇用形態についても定められており、正社員なら契約書にもそのように記載されています。

特徴的なのは雇用の安定性の高さです。労働契約法第16条において、合理的な理由がなく社会通念上認められない場合の解雇は無効となるよう定められており、解雇されにくくなっています。

参考:労働契約法 | e-Gov法令検索

正社員の働き方の特徴

正社員として働く場合、1日8時間・週40時間の法定労働時間内で定められた正規の勤務時間中、全ての時間帯で働くフルタイム勤務が基本です。

ただし36協定を締結しているケースが多いため、協定の範囲内で残業も義務付けられます。任された仕事に対する責任をまっとうするため、長時間勤務になりやすいケースもあるでしょう。

会社によっては短時間正社員制度を取り入れていることもあります。会社に制度があれば、介護・育児・求職からの復帰後など、必要に応じて短時間勤務も可能です。

多様な正社員を推進

厚生労働省ではさまざまな条件で働ける「多様な正社員」の導入を推奨しています。

正社員とそれ以外の雇用形態に二極化している現状では、思うように働けず離職を選ぶケースもあるでしょう。

従業員のライフスタイルに合わせた働きやすい雇用形態を実現すれば、会社は優秀な人材を安定的に雇えます。従業員にも会社にもメリットのある雇用形態です。多様な正社員の代表例を3つ紹介します。

  • 職務限定正社員:専門知識や資格を生かし限られた範囲の仕事を行う
  • 勤務地限定正社員:転勤の範囲が限られているか一切ない
  • 短時間正社員:所定労働時間がフルタイムでないか残業時間が免除

参考:多様な正社員|厚生労働省

その他の雇用形態との違い

ビジネスマン

(出典) pixta.jp

他の雇用形態との違いを知ることも、正社員についての理解へつながります。契約社員・派遣社員・業務委託と正社員では、どのような点で異なるのでしょうか?

契約社員

契約社員と正社員の最も大きな違いは、雇用期間に期限があるかどうかです。正社員に雇用期間の定めがないのに対し、契約社員は一定期間で契約が切れます。継続して働くには雇用契約の更新が必要です。

法律で定められている社会保険への加入や有給休暇など法定福利厚生については、正社員と同様に受けられます。ただし会社が独自に定めている法定外福利厚生は対象外のこともあるでしょう。ボーナスや退職金も同様で、契約社員は対象外の会社もあります。

派遣社員

派遣会社から勤務先の会社へ派遣され働くのが派遣社員です。雇用契約は派遣会社との間に結びますが、実際に働くのは派遣先の会社です。雇用契約を結ぶ会社と勤務する会社が異なる点が、正社員との違いといえます。

メリットは派遣会社のサポートを受けられる点です。派遣先の会社での仕事に悩みがある場合やトラブルが発生した場合、派遣会社へ相談できます。また派遣期間終了後は、次の仕事の紹介も受けられるため、仕事が途切れる心配を減らせます。

業務委託

業務委託と正社員の違いは、会社に所属しているかどうかです。正社員は会社と雇用契約を結び、会社に所属して働きます。一方、業務委託を受け仕事をする個人事業主は会社に所属せず、業務委託契約を結び特定の業務に限定し請け負います。

正社員にとって会社は雇用主ですが、個人事業主にとっては対等な取引先です。報酬は納品した成果物や実行したプロジェクトの成果に対して支払われます。労働時間に対して給与が支払われる正社員とは、会社からのお金の受け取り方も異なります。

正社員のメリット

2人の会社員

(出典) pixta.jp

正社員として雇用契約を結び働くメリットは、待遇のよさや安定性の高さ・信頼性などです。4つのメリットについて、具体的に見ていきましょう。

福利厚生が充実している

福利厚生の充実度が高いのは正社員のメリットです。社会保険や有給休暇など法律で定められている法定福利厚生は入社時点で条件を満たしています。

また会社が独自に導入する法定外福利厚生は、正社員を対象としているケースも少なくありません。従業員の定着を目的に、オリジナリティのある制度を導入している会社も増えています。

法定外福利厚生の充実度は会社ごとに異なります。より福利厚生の充実した会社を選ぶには、求人情報の福利厚生欄をよく確認しましょう。

他の雇用形態に比べ賃金が高い場合が多い

パートやアルバイトなど他の雇用形態と比べると、賃金が高いのも正社員のメリットです。月給制や年俸制のケースが多く、勤務時間によらず毎月安定した給与を受け取れます。加えて雇用期間の定めがなく長期間勤務している中で、昇給も期待できます。

加えて住宅手当や家族手当など、正社員のみが対象の複数の手当が支給されるケースもあるでしょう。さらに賞与の対象も正社員のみという会社が少なくありません。安定して高い給与と賞与を受け取れるため、生活を安定させやすいでしょう。

出世する可能性がある

責任ある仕事を任されることもある正社員は、出世の可能性が高いポジションに就きやすいのも特徴です。プロジェクトの責任者として期待されているとおりの成果をあげ、昇給や昇進につながることもあるでしょう。

会社によっては入社直後から、キャリアアップにつながる大きなプロジェクトを任されるケースもあります。正社員のサポートを任されることの多い他の雇用形態と比べると、チャンスを獲得しやすいでしょう。

社会的な信用を得られる

毎月安定的に給与を受け取れる正社員は、社会的信用が高いのも特徴です。クレジットカードの発行やローンの契約では、申し込むと返済能力を確認する与信審査が行われます。このとき正社員であればスムーズに審査が進みやすいでしょう。

例えば将来は住宅ローンを借りてマイホームを購入したいと考えているなら、正社員として働く方が希望をかなえやすくなります。

正社員のデメリット

右を向いて考える男性

(出典) pixta.jp

安定性や給与・信用面でメリットのある正社員ですが、責任の重さや自由度の低さといったデメリットもある点に注意しましょう。正社員ならではの悩みに通じる部分でもあります。

責任が重くなる

出世のチャンスを得やすい正社員の仕事は、責任が重くプレッシャーになるかもしれません。成功すればキャリアアップにつながりますが、失敗すれば降格や減給・周りからの叱責などを受ける可能性があります。

失敗により社内の信用をなくしつらい思いをするかもしれませんし、失敗したくないという気持ちから精神的に追い詰められることもあるでしょう。

また絶対に成功させなければいけないと意気込みすぎ、過労から心身の健康を損なうケースもあります。責任は自分の仕事に限りません。長く勤務し続けると、後輩や部下を育てる役割も任されます。

真面目に頑張ろうと意欲のある人ほど、重荷に感じやすいでしょう。

勤務の自由度が低くなる

就業規則に従いフルタイムで働くことの多い正社員は、勤務の自由度が低くなりがちです。勤務時間が長く、必要に応じて残業もしなければいけないため、プライベートとのバランスが取りにくい可能性もあります。

転勤により慣れた土地を離れなければいけないこともあるでしょう。また長期休暇を取れる制度があっても、責任ある仕事を任されており、自由なタイミングでは取得できないかもしれません。

安定性は高いですが、その分自由度の高い働き方は難しい雇用形態です。

正社員を目指すには?

パソコンで作業をする男性

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就職し正社員になりたいと希望しているなら、正社員登用制度・紹介予定派遣制度の利用や、求人サイトのチェックが役立ちます。制度の仕組みや求人サイトのチェックの仕方を解説します。

他の雇用形態から正社員へ

アルバイトや契約社員として働いている会社で正社員として働きたい場合や、正社員の募集が行われていない会社で正社員を目指したいなら、正社員登用制度があるか確認しましょう。制度があれば正社員登用されるかもしれません。

正社員登用の基準は会社によって異なり、長期間働いていれば声をかけられるケースもあれば、厳しい基準が設けられている場合もあります。実際に正社員登用制度でアルバイトや派遣社員から正社員になった先輩がいるなら、相談すると参考になるでしょう。

派遣社員から正社員を目指すなら、紹介予定派遣制度が役立ちます。派遣先で一定期間働くと、直接雇用へ移行する仕組みです。ただし直接雇用だからといって正社員とは限りません。正社員として雇用されるのか、派遣会社へ事前に確認しましょう。

求人サイトをチェックしよう

求人サイトで正社員を募集している会社を探す方法もあります。これまで正社員の経験がないなら、未経験歓迎の求人を探すとよいでしょう。採用後に人材を育成するために出している求人の可能性が高いためです。応募の段階でのスキルを問われることは少なく、やる気や社風に合いそうかが重視されます。

ベンチャー企業の求人にチャレンジするのもおすすめです。新しいことへの挑戦ややりがいを求める人材を採用したいと考えているケースが多く、熱意の高さで採用が決まるかもしれません。

求人サイトをチェックするときには、「スタンバイ」を見てみましょう。雇用形態やこだわり条件を選べば、すぐに希望に合う正社員の求人情報が表示されます。

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安定や信用を得られる正社員

ビジネスマン

(出典) pixta.jp

会社と正社員として雇用契約を結ぶと、他の雇用形態と比べ安定した高い給与を受け取れます。出世のチャンスを得やすい点や、社会的信用が高い点も特徴です。このようなメリットに魅力を感じ正社員を目指すなら、正社員登用制度や紹介派遣制度を利用するとよいでしょう。