インフラ業界の代表的な業種。業界の現状や向いている人の特徴など

インフラ業界は、社会や経済を支える仕事ともいわれます。どのような業種が該当するのでしょうか?代表的な業種や、業界の展望を解説します。インフラ業界に転職するメリットと求人の探し方、求められている人材の特徴も確認しましょう。

インフラ業界とは?どういう分野?

水道局員

(出典) pixta.jp

インフラとは、英語のインフラストラクチャーを略したものですが、インフラ業界はどのような仕事を指すのでしょうか? 業界の一般的な定義や、分類について見ていきましょう。

生活や産業の基盤となる業界

インフラ業界は、社会・経済・国民生活を支える基盤を担う業界を指します。例えば電気・ガス・水道・電波など、現代生活において必須といえるものです。

インフラは、特定の分野だけを指すのではありません。移動・通信・運輸・報道など生活全般に欠かせないものは広い意味で考えると全てインフラ事業です。

一般国民の生活以外に、経済や社会活動を支える意味でも、インフラ業界は重要な役割を担っています。一般的にはエネルギー供給・廃棄物収集・物資や人の運搬など社会的なサービス・設備を指しますが、教育や医療、福祉施設もインフラ事業の一種であると考えられるでしょう。

インフラ業界の分類

インフラ業界には、複数の業種が該当します。大まかに分類すると、エネルギーインフラ・生活インフラ・交通インフラ・空間インフラの4種類です。

エネルギーインフラは、電気やガスなどエネルギーに関わる分野を指します。生活インフラは通信や報道など、日常生活に密接な事業のことです。

鉄道や運輸などの分野は、交通インフラと呼びます。そのほか、空間インフラは公共施設のような空間を管理する事業です。インフラに関連する施設・設備を建築し、維持管理するのが目的といえます。

インフラ業界の代表的な業種

ガスメーターをチェックする男性

(出典) pixta.jp

インフラ業界について大まかな概要が分かったところで、代表的な業種を紹介します。それぞれ分類別に、具体例と合わせて見ていきましょう。

エネルギーインフラに関する業種

エネルギーインフラに関する業種には、以下のようなものがあります。

  • 電気業
  • ガス業
  • 石油・石炭業

家庭・企業・施設などが使用する燃料を供給、精製するのが主な役割です。電気業は電力会社、ガス業はガス会社が該当します。近年は電気・ガスの自由化により、民間企業の参入も増えている業界です。

石油・石炭業は、ガソリン・灯油・石炭の供給や販売を行います。エネルギーインフラは、現代生活を送る上で欠かせないサービスです。企業から家庭までほとんどの場所で利用されており、社会になくてはならないものとなっています。

生活インフラに関する業種

生活インフラには、以下のような業種があります。

  • 水道業
  • 情報通信業
  • 一般廃棄物収集運搬業

水道業は、上水道・下水道を管轄する事業所です。家庭や企業に飲料水を供給し、管理します。

情報通信業はテレビ・ラジオ・インターネット・電話など、主に通信を使って情報を伝える業界です。

ごみ処理や運搬を行う一般廃棄物収集運搬業も、生活には欠かせないインフラといえるでしょう。生活インフラは一般家庭に広く普及し、エネルギーインフラと同じように欠かせない基盤となっています。

交通インフラに関する業種

交通インフラは、人や物の移動に関する業界です。主な業種には、以下のようなものがあります。

  • 鉄道業
  • 航空業
  • 建築・建設業
  • 海運業
  • 運輸業

鉄道業・航空業は、人間や物の移動に関わっています。電車や飛行機の運行・運航に携わる業種です。道路・橋の建設や公共設備の建築も、交通インフラに分類されます。

そのほか、船や運輸なども広義の意味では交通インフラの一種と考えられるでしょう。輸出入や物資の輸送に関連し、災害時にも迅速な業務が求められます。

空間インフラに関する業種

空間インフラは、公共施設・湾岸施設といったインフラに関わる設備を維持管理する仕事です。多くの公共施設は国土交通省や地方自治体が管轄しています。

特定の企業というよりも、幅広い業種が該当するといえそうです。維持管理だけでなく、多くの人が公共施設を快適に利用するため、バリアフリー化を進める事業も含まれます。

国や地方自治体が管轄する施設に関わる仕事のため、業務量や仕事内容が安定しているのが特徴です。

インフラ業界で働くメリットは?

2人の社員

(出典) pixta.jp

インフラ業界に就職し、働くメリットとは何なのでしょうか?業界全体に該当する特徴と、主な魅力を紹介します。

業界全体が安定している

インフラ業界は、業種を問わず安定した会社が多いです。日常生活や公共の施設と密接に結びついた仕事のため、継続的な需要が見込めるのが特徴です。基盤がしっかりしている事業は、雇用も安定します。長期間働くことを考えれば、魅力的な業界です。

例外的に新たな代替エネルギーや交通手段が発達した場合は別のものに変わる可能性がありますが、おおむね途切れることなく需要があります。日常生活に密接なインフラは、景気に左右されることもほとんどありません。

安定感を重視してインフラ業界を検討している場合は、業界全体の展望も調べておくとよりよい企業を選択できるでしょう。

給料体系が明確で福利厚生もよい

インフラ業界は、「需要がほぼ途切れることがない」という強みを持っています。もとは国営の大企業が多く、資金は潤沢です。雇用を維持できるだけの余力があり、手当や福利厚生が充実しているところも多いでしょう。

住宅手当や社宅の利用など、住宅面での手当があれば大幅な生活費削減に繋がります。そのほか、役職や資格に応じた手当を導入しているところも少なくありません。

大企業は、ベンチャー企業に比べると年功序列制度が高いと考えられます。給与体系がはっきり分かる年功序列制度を採用している企業に勤めれば、勤務期間が長くなるごとに収入アップも期待できます。

仕事を通じて社会に貢献できる

インフラ業界が担うのは、社会や経済全般に貢献できる仕事です。どの業種であっても、仕事を通じて人の役に立ち、毎日の生活を支える役割を果たせます。

社会に貢献できる仕事はやりがいがあり、達成感も大きいのが特徴です。仕事にやりがいを求めるなら、インフラ業界で働くメリットは大きいでしょう。

インフラは、停止すると多くの人に影響を与えます。災害やトラブルが発生したときには、普段の仕事でどれだけの人を支えているか気づく瞬間も多いでしょう。

インフラ業界に向いている人

ヘルメットで仕事をする男性

(出典) pixta.jp

インフラ業界で働くにあたって、持っておいた方がよい資質や性格的な特徴があります。業界を目指す前に、どんな人が向いているのか確認しましょう。

責任感が強く忍耐力のある人

エネルギーや生活に関するインフラは、災害やトラブルが発生したときも迅速な復旧が求められます。安易に全員が休暇を取ることはできず、誰かがインフラを維持・管理しなければなりません。状況を問わず、日々の業務を遂行する責任感が必要です。

インフラ業界の仕事は、災害時だけでなく普段の仕事にも重い責任があります。人の命を預かって運行する交通インフラや、途切れると経済や社会生活に支障が出る業務では、毎日気を配って仕事を進めなければなりません。

コツコツと真面目に仕事を続ける忍耐力や、責任感を持つ人が適した業界といえるでしょう。

コミュニケーションに自信がある人

インフラ業界では顧客だけでなく、同僚・上司・取引先などさまざまな人とコミュニケーションを取ります。職種によりますが営業・販売・接客に関わる仕事も多く、人とのかかわりは重要です。

例えば、駅員やキャビンアテンダントは、現場で利用客の対応をします。エネルギーインフラの業界では、自社サービスに関するカスタマー対応も必要になるでしょう。

やり取りをする人が多いと、それぞれコミュニケーションを取りながらうまく仕事を進めていく能力が求められます。コミュニケーション能力がある人は、インフラ業界でも活躍できるはずです。

インフラ業界の現状と今後の展望

バインダーに書き込む

(出典) pixta.jp

インフラ業界は長く安定している業界ですが、変化も起きています。新しい取り組みや開発によって、今後は大きな変化が訪れる可能性も高いでしょう。主な出来事や、展望を解説します。

電力・ガスの自由化が進む

エネルギー関連のインフラ業界では、電力・ガスの自由化が進んでいます。民間の企業が参入し、自由に料金を設定するのが特徴です。

本来インフラ系のエネルギーは、急激な高騰を避けるため一定の規制に基づいた「規制料金」で提供されています。対して、料金設定を仕入れ値の変動や利益の確保を理由に変更できるのが、自由料金です。

燃料供給が安定しているときは、自由料金が割安になり業界の競争が進みます。燃料供給が不安定な時期は自由料金の高騰が問題となっており、今後の課題です。制度改正を含めて、正常な競争が進むようになれば、1つの企業が市場を独占するケースは減少するでしょう。

再生可能エネルギーの導入も盛んに

地球環境を守るため、既存エネルギーを再生可能エネルギーに切り替える動きが進んでいます。持続可能な開発目標「SDGs」の要求に従い、石油・石炭・電気・ガスの使用の見直しが進んでいくでしょう。

再生可能エネルギーとは、太陽・地熱・風力・バイオマス原料など、自然の力を生かしたものです。エネルギーを生み出すためのコストや効率的な稼働に対する課題は多いものの、研究開発が急がれています。

再生可能エネルギーが安定して供給されるようになれば、既存のエネルギーインフラからの切り替えも考えられるでしょう。

AI(人工知能)の普及に注目

業界を問わず、知的労働や単純作業におけるAIの導入は広がってきています。インフラ業界でも労働時間の短縮や業務効率化に向けて、普及が進んでいる段階です。

例としては、本来専門家に任せる検査をデータ化し、AIに任せるといった作業があります。最終確認は専門家の対応が必要ですが、作業時間の軽減には最適です。

AIの普及に従い、データや端末を使いこなして業務に当たる人材が求められます。会社の導入状況にもよりますが、IT人材として活躍できるなら応募先の幅は広がるでしょう。

今後はますますIT化が進み、一定の知識やリテラシーを持った人材が重要視されることが考えられます。

インフラ業界に転職するには?

履歴書を提出する女性

(出典) pixta.jp

インフラ業界への転職にあたって、最初に何をすればよいのでしょうか?未経験からインフラ業界を目指す場合、条件に合う求人探しや事前の準備が欠かせません。求人探しのポイントや、転職活動前にしておきたいことを紹介します。

転職求人サイトを活用する

転職向けの求人サイトを活用すると、求人情報が効率よく探せます。無料・有料のサービスがあり、エリアや希望条件で絞り込みができるのが特徴です。インフラ業界は幅広く、自分が就きたい業種・職種を絞り込める求人サイトが役立ちます。

「スタンバイ」は、無料で使える求人情報サイト・アプリです。エリアやフリーワード、雇用形態など希望に合わせて求人情報が検索できます。

こだわり条件や職種による絞り込みもでき、希望にぴったり合うインフラ業界の求人が見つかるでしょう。

求人情報を比較して、業界の傾向を把握したい段階でも活用できます。インフラ業界の中でもどの業種に応募するか迷っているときは、「電力」「ガス」「通信」など、ある程度業界を絞り込んで検索すると目的の仕事が見つかりやすくなります。

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未経験から転職するには資格も有効

インフラ業界には、資格を生かして働ける会社もあります。働きたい職種や業界によるものの、専門的な資格があれば転職にも有利です。

電力会社なら電気系の資格、ガス会社ならガス関連の資格を取ると、スムーズに転職活動が可能です。電気工事士やエネルギー管理士など、未経験からでも取得を目指せるものもあります。通信系のインフラ業界では、基本情報技術者試験・ネットワークスペシャリスト試験など、IT資格が役立つでしょう。

未経験であれば、まずは資格取得を目指すのがおすすめです。取得が難しい場合は、未経験OKの職種や会社を探し、入社後に資格取得をサポートしてもらいながらキャリアアップを目指す方法もあります。

参考:
令和4年度エネルギー管理士試験|ECCJ 省エネルギーセンター
一般財団法人 電気技術者試験センター
制度の概要:基本情報技術者試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
制度の概要:ネットワークスペシャリスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

インフラ業界への転職を検討しよう

転職活動をする女性

(出典) pixta.jp

インフラ業界の各業種は、社会を支える重要な業務を担っています。人間の生活に不可欠なエネルギー関連や日常に密接した仕事が多く、さまざまな人に利用されているのが特徴です。

一定の需要が途切れない分安定した企業が多く、転職先候補としても魅力が大きいでしょう。求人サイトを活用すれば、インフラ業界の仕事が多数見つかります。「スタンバイ」でも、フリーワードや職種で検索が可能です。

就きたい業界を固定した後は、求人情報で詳しい条件を比較していきましょう。