契約社員から正社員になるには?立場の違いやメリット・デメリットも

契約社員よりも正社員の方が、さまざまな点で安定しているイメージを持つ人は少なくありません。契約社員と正社員の立場の違いや、両者のメリットとデメリット、正社員を目指す方法などを解説します。正社員を目指している人は、ぜひ参考にしてみましょう。

契約社員から正社員になれる?

打ち合わせする男女の会社員

(出典) pixta.jp

契約社員と正社員の立場では、後者の方が多くの点で安定していると考えられています。実際、正社員の立場を目指している人は多くいますが、契約社員から正社員になることは可能なのでしょうか?

企業によって難度は異なるが可能性はある

契約社員から正社員になれるかどうかは、企業によります。正社員の登用制度のある企業ならば、契約社員はもちろん、アルバイトやパートの立場からでも正社員になれる可能性はありますが、企業によって条件や難易度に差が出てきます。

正社員の登用制度について、就業規則に明記していない企業も少なくありません。しかし、多くの企業では正社員になる道があるので、まずは正社員になれる可能性はあるか、具体的な条件と共に確認してみることが大事です。

正社員の道が必ずよいとは限らない

契約社員から正社員を目指す人は多くいますが、正社員の道が必ずしも自分に合っているとは限らないので、慎重に判断しなければいけません。実際、正社員になることで待遇がよくなる企業は多くありますが、両者の給料面や仕事内容の違いが、ほとんどないケースもあります。

まずは企業ごとに正社員と契約社員の立場の違いや、双方のメリット・デメリットをよく理解する必要があります。どちらの立場が自分にとってプラスになるか、慎重に判断することが大事です。人によっては、その企業で正社員を目指すのではなく、転職を選択した方がよい場合もあるでしょう。

契約社員から正社員を目指す方法

男性会社員

(出典) pixta.jp

それでは、契約社員から正社員を目指す方法を解説します。正社員登用制度がある場合は、条件に該当すれば正社員になれる可能性があります。さらに、一定期間契約社員として勤務した後、無期労働契約に転換する方法や、正社員になれる企業に転職するのも有効です。それぞれ確認していきましょう。

正社員登用制度を利用する

契約社員として所属している企業に正社員登用制度があれば、条件を満たすことで、正社員になれる可能性があります。登用の基準は企業によって異なりますが、契約社員からはもちろん、業界によってはアルバイトやパートから正社員に登用される人も少なくありません。

登用制度のある企業に所属している人は、正社員になれる条件や実績を確認した上で、まずは基準をクリアすることを目指しましょう。条件を満たして正社員登用試験を受験し、合格した上で人事部門や所属部門の管理者との話し合いを通じて、最終的に正社員の立場になることが可能です。

5年勤務で無期労働契約に転換する

契約社員として5年以上勤務した上で、無期労働契約に転換する方法もあります。2012年に労働契約法が改正され、同じ企業で通算5年以上勤務した場合、企業側に無期雇用契約(期間の定めがない雇用契約)の締結を申し出ることが可能になりました。

必ずしも正社員の立場になれるとは限りませんが、無期雇用契約が締結できれば、いわゆる「雇い止め」のリスクがなくなり、正社員とほぼ同じ立場で勤務できる可能性が出てきます。企業側は無期雇用契約の締結を拒否できないため、正社員の立場での雇用を打診してくる企業も多いでしょう。

ただし、無期雇用契約の締結は、被雇用側(契約社員側)から申し出る必要があるので、その点は注意が必要です。自分がどれぐらいの期間、契約社員として働いているか確認した上で、必要に応じて申し出るようにしましょう。

参考:有期契約労働者の無期転換ポータルサイト|厚生労働省

正社員になれる企業に転職する

契約社員として勤務している企業に正社員登用制度がない場合、上記のように無期雇用契約の条件を満たすまで勤務し続ける方法もあります。しかし、すぐにでも正社員の立場になりたい人は転職も視野に入れましょう。はじめから正社員として雇用してくれる企業に転職すれば、安定した立場で働けるようになります。

ただし、転職に失敗してしまうリスクもあるので、自分の市場価値や強み、特性などを理解した上で、慎重に応募する企業を選ばなければいけません。

紹介予定派遣で正社員を目指す

紹介予定派遣を利用して、正社員としての雇用を目指す方法もあります。紹介予定派遣とは、最終的に正社員として雇用されることを前提に、派遣社員として就業するものです。

最長で半年間の派遣期間を経た後に、正社員として雇用されるもので、契約社員としての期間の更新は認められないため、一度就業できれば正社員になれるケースがほとんどです。厚生労働省が紹介予定派遣の専用サイトを開設しているので、詳しく確認してみましょう

参考:紹介予定派遣就労支援特設サイト|厚生労働省

契約社員・正社員の違いを整理しよう

若いビジネスマン

(出典) pixta.jp

ここで、契約社員と正社員との違いも整理しておきましょう。全ての契約社員にとって、正社員を目指す道が必ずしもよいとは限りません。双方の違いやメリット・デメリットをよく理解した上で、ベストな選択をする必要があります。

契約社員と正社員の待遇の違い

契約社員と正社員とでは、次のように雇用形態や福利厚生・勤務時間などに違いがあります。

  • 雇用形態:契約社員は雇用期間が定められているが、正社員は無期雇用(期間が定められていない雇用)が前提
  • 給料や賞与(ボーナス):契約社員は時給・日給制の場合も多いが、正社員は基本給が決まっており、昇給や賞与をもらえるチャンスも多い
  • 福利厚生:契約社員と正社員との間で差がない企業は多いが、正社員の方が充実している企業もある
  • 勤務時間:契約社員の勤務時間は契約内容によるが、正社員は基本的にフルタイムの勤務となる(契約社員でもフルタイム勤務の場合も多い)

このように、さまざまな点で契約社員と正社員は異なります。仕事内容に関しても、正社員の方が責任のある仕事を任される傾向にあるため、給与水準が高めです。ただし近年は、同一労働同一賃金制度が推奨されているため、同じ仕事内容ならば、契約社員と正社員との間で報酬が変わらない企業も増えています。

参考:同一労働同一賃金特集ページ|厚生労働省

契約社員・正社員のメリットとデメリット

考え事をする男性社員

(出典) pixta.jp

次に、契約社員と正社員のメリットやデメリットを確認しておきましょう。一般的には正社員の方がメリットが多いとされていますが、人によってはメリットがデメリットになる可能性もあるので、自分なりに整理しておくことが大事です。

契約社員のメリット

契約社員として働くメリットとしては、転勤や異動の可能性がほとんどない点や、未経験分野にもチャレンジしやすい点などが挙げられます。正社員と比べると雇用期間は限定されているものの、同じ職場で働き続けられるので、家庭の事情で引越しができない人にとっては働きやすいでしょう。

また、正社員として採用されるのは難しくても、契約社員としてならば、全くの未経験者でも採用される可能性があります。雇用期間も決まっているので、期間の満了と共に、新たな分野に挑戦するといった働き方も可能です。

契約社員のデメリット

契約社員は一定期間終了後、契約が更新されないと退職しなければならないので、雇用が安定しないのがデメリットです。事実、多くの人はいわゆる「雇い止め」のリスクを回避するために、契約社員から正社員を目指しています。

また、契約社員は正社員に比べて、賞与(ボーナス)や退職金が期待できない点も、デメリットといえるでしょう。企業によっては昇給や賞与の機会のある契約社員もいますが、正社員に比べるとその機会は多くありません。

正社員になるメリット

正社員を目指すメリットとしては、安定して働き続けられる点や、賞与や退職金などが充実している点などが挙げられます。さらに、契約社員に比べて対応できる業務範囲が広く、責任のある仕事を任される機会も多い傾向にあるので、キャリアアップを目指しやすいのも特徴です。

将来の幹部候補となる可能性もあるので、所属企業でプロジェクトリーダーやマネジメント層への昇進を目指しているならば、正社員を目指すのがよいでしょう。

正社員のデメリット

正社員のデメリットとしては、まず転勤や異動の可能性がある点が挙げられます。特に事業規模が大きい会社に勤めている場合、定期的に転勤で地方に行ったり、海外に赴任したりする可能性はゼロではありません。同じ場所で長く働きたい人にとっては、受け入れがたい状況に陥るリスクがあります。

正社員になれる人の特徴

デスクワークをする女性社員

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契約社員から正社員になれるかどうかは、所属している企業によって難易度が変わりますし、人によっても正社員になれる可能性が異なります。正社員になれる可能性の高い人の特徴を確認しておきましょう。

企業が求めるスキルや技能を有している人

正社員として求められるスキルや技能を有している人は、正社員登用のオファーを受けられる場合があります。正社員への登用を狙っている人は、所属企業が正社員として、どういったスキルや技能を求めているのか、確認してみることが大事です。

正社員登用制度が設けられている場合、正社員になれる基準が明示されているので、その基準を目指して努力しましょう。登用制度がない場合でも、企業側が認めれば正社員になれる可能性があるので、上司や人事部などに正社員登用の可能性がないか聞いてみるとよいでしょう。

正社員になる意欲を示せる人

自分が正社員になりたいことを示せる人でなければ、当然ながら正社員になる機会はもらえません。所属部門の管理者はもちろん、契約社員の同僚や正社員に対して、しっかりコミュニケーションを取れる人は認められやすく、正社員に登用されるチャンスが巡ってくる可能性があります。

日頃から周囲とコミュニケーションを密にしておき、仕事でしっかりと成果を上げた上で、正社員になりたい旨を伝えるとよいでしょう。

キャリアプランが明確な人

キャリアプランが明確で、正社員になることで活躍してもらえると企業側が判断すれば、おのずと正社員の道が開かれていきます。周囲に自分の要望を伝えやすい環境を構築すると共に、自分の望むキャリアを明らかにして、上司に伝えておくとよいでしょう。

その上で、仕事で高いパフォーマンスを発揮し続けていれば、企業側に認められて、正社員登用の機会をもらえる可能性があります。実際、将来有望な契約社員を正社員に登用している企業は多いので、まずは仕事でしっかり成果を出すことを目指しましょう。

正社員を目指すべきか慎重に検討しよう

セミナーを受ける男女

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契約社員から正社員を目指す方法を解説しました。契約社員から正社員になれるかどうかは、結局のところ企業の方針によります。正社員登用制度のある企業ならば、契約社員から正社員になれる可能性があるので、条件を確認した上で、登用を目指すとよいでしょう。

ただし正社員にもメリットやデメリットがあるので、契約社員の立場とよく比較した上で、慎重に正社員を目指すかどうかを判断する必要があります。

人によっては、契約満了をきっかけに別の仕事に就く方がよい場合や、転職を選択した方が、自分の理想のキャリアを歩める場合もあるでしょう。いずれの道を選ぶにしても、まずは自分の望むキャリアを明確にすることが大事です。

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