近年、主に環境の変化があったとき、「六月病」の症状に悩まされる人が増えているといわれます。六月病とは、いったい何なのでしょうか?起きる原因や、主な症状を見ていきましょう。心身の症状を予防する方法や、症状を感じたときの対処法も紹介します。
六月病とは何?
「六月病」とは、どのような病気を指す言葉なのでしょうか?基本的な定義や、似た症状の五月病と違いがあるのか解説します。
6月に現れる不調を指す
六月病は、6月に現れる精神的・身体的な不調を指します。特に、新しく入社した社員や、職場が変わった社員に多いといわれる不調です。
六月病という正式な病名はなく、軽い不調から何らかの病名がつくケースまで、症状の程度は人によって変わります。適応障害に近い症状が現れるため、医学的には適応障害や軽度のうつ病と診断されるケースもあるでしょう。
6月に気分の落ち込みや気力の低下に伴って、身体的な不調が現れたときは、六月病の可能性があります。
五月病とは違いがある?
六月病と似た言葉に、「五月病」があります。五月病は、5月に心身の不調が現れる点が特徴です。6月に症状が現れる六月病とは、時期が異なります。
五月病は、5月の連休の後に現れやすい症状です。症状の種類は、六月病とほとんど変わりません。4月の環境変化によるストレスが、5月の長期休暇明けに現れるものといわれます。
6月に五月病と同じような心身の不調が現れた場合、ストレスをため込んでしまっているケースや、五月病が長引いている可能性もあるため、注意が必要です。
長期間心身の不調が続いているときや、ストレスが限界に達していると考えられる場合は、医療機関の受診も検討しましょう。
六月病が起きる主な原因
六月病の症状は、さまざまな要因が重なって現れるといわれます。主な原因を探っていきましょう。6月に心身の症状が現れたときは、六月病でないか疑ってみることも大切です。
ストレスや環境の変化
六月病の原因は、何らかの原因で発生する心労や環境の変化といわれます。
特に、4月に働き始めた新入社員や、異動後の社員は大きな環境の変化に直面するものです。また、4月と5月は研修や引き継ぎが行われ、本格的な業務が始まるのが6月になるケースも多いでしょう。
本格的な業務が始まった頃、環境の変化と業務のストレスが重なり、六月病の症状が現れる可能性があります。慣れない仕事をしているときはストレスがたまりやすく、心身に不調を感じてしまうかもしれません。
気候や季節の変わり目による体調の変化
6月は、季節が春から夏に移り変わる時期です。梅雨も重なり、蒸し暑く雨が多い気候になります。
体が暑さに慣れていないときは、体調の変化・不調も多くなるものです。熱中症や風邪をひかないよう、体調管理を心掛けましょう。
また、雨が多い時期は、低気圧・湿気によって体調を崩す人もいます。空の暗さや雨による憂鬱さで、気分が落ち込んでしまうのもよくあることです。
はっきりとした心身の病気でなくても、気候の変化によって六月病と同じ症状を感じる可能性はあります。
六月病のよくある症状
六月病は、精神的な不調と身体的な不調が同時に現れます。よくある症状と、特徴を確認しましょう。六月病を疑う症状が現れたときは、ストレスがたまっているサインの可能性があります。
やる気が起こらず会社に行きたくない
六月病の症状の中には、気分の落ち込みや気力の低下があります。特に、仕事がストレスになっている場合、やる気が起こらず会社に行きたくないという症状が現れる可能性が高いでしょう。
症状が続く場合、仕事が苦痛になり生活に支障が出てきます。職場に着いた後もやる気の低下が見られるのであれば、ミスや業績が振るわなくなる原因になるかもしれません。
仕事だけでなく、プライベートの用事でもやる気がなくなり、家から出たくなくなるなどの症状が現れた場合は要注意です。日常生活に支障が出てきたときは、無理をせず周囲の人や医師に相談しましょう。
ぐっすり眠れず疲れが取れない
六月病になると、睡眠に支障を来すことがあります。よく眠れず疲れが取れないケースと、眠ってはいても疲れているケースがあり、必ずしも眠れないとは限りません。
睡眠が取れているのに疲れが取れないときは、眠りが浅くなっているか、疲労がたまっている可能性があります。
眠れないときや、眠っていても疲れが取れない状態が続くときは、症状が悪化しているのかもしれません。同時に、気分の落ち込み・体調の変化も起きているときは、六月病の症状が疑われます。
六月病を予防するためにできること
6月に心身の不調で悩まされないために、予防を心掛けるのも大切です。いったいどうすれば、六月病の症状を予防できるのでしょうか?主な対策を紹介します。
食事や生活環境を整える
6月は、心身の不調が起きやすい時期です。食事や生活環境を整えておくと、体調を崩しにくくなります。六月病のような症状に悩まされるリスクも減るでしょう。
できるだけバランスの取れた食生活に気を付け、ストレスに負けない体づくりを心掛けるのがポイントです。ビタミンやミネラル、タンパク質など栄養がしっかり取れているか、献立をチェックしましょう。
生活スタイルの見直しも、体調管理に有効です。食事の時間だけでなく、睡眠や休息をきっちり取り、体に疲労をためすぎない生活をしましょう。
完璧を求めすぎないよう心掛ける
五月病や六月病は、完璧主義や真面目な人によく起こるといわれます。4月・5月に頑張りすぎてしまい、過度なストレスをためると、心身に症状が現れるリスクが高くなるでしょう。
新しい環境で頑張ろうとする気持ちも大切ですが、完璧さにこだわらず、適度に息抜きをするとストレス予防になります。休日にリフレッシュをする、自分を追い込まないなどの対策が有効です。
特に慣れない環境では気を張ってしまい、ストレスがたまりやすくなるため、無理はしすぎないようにしましょう。
六月病かもしれないと感じたときの対処法
もしも六月病のような症状が現れ、生活に支障が出そうになったときは、どうすればよいのでしょうか?実際に症状が出てからの対処法を、紹介します。早めの対処で、悪化を防げる可能性もあるでしょう。
友人や同僚に悩みを相談する
六月病の主な原因として、ストレスが挙げられます。周囲に悩みを相談することで、適度なガス抜きができ、症状の悪化を防げるかもしれません。
親しい友人や同僚、身内など、信頼できる相手に状況を相談するようにしましょう。心身の症状について相談すれば、医療機関の紹介や休暇の予定も立てられるかもしれません。
また、気分が落ち込んでいるときは、人との交流を積極的に行う方がよいでしょう。引きこもってしまうと、余計に気持ちが沈んでいく恐れがあります。相談が難しいとしても、親しい仲間との関係は続けるよう心掛けましょう。
強い不調がある場合は病院に相談する
六月病の中には、適応障害や軽度のうつ病、何らかの内科的な疾患など、一時的な不調とは異なる病気が混ざっていることも考えられます。
たとえ一時的な気分の落ち込みと身体的な不調が重なったとしても、日常生活に支障があるほどの不調や長く続く不調は、医療機関への受診がおすすめです。一時的なものと思って我慢してしまうと、悪化する恐れもあります。
仕事やプライベートに支障が出ていると感じたときは、職場の産業医への相談や、症状に応じた診療科への受診を検討しましょう。身体的な不調が強いときは、症状に応じた診療科に行き、別の疾患が隠れていないか診断してもらうのも大切です。
仕事が合わず不調が続く場合は転職も検討する
六月病の原因が、仕事である可能性もあります。もし仕事が合わず症状が長期化する場合は、転職も検討しましょう。
しかし、4月に入社し6月に転職を検討すると、早期離職につながります。3カ月での離職は、転職活動に悪影響を与える可能性もあるため、よく考えましょう。
明らかに状況の改善が見込めないときは、心身の回復を優先するのも大切です。職場側に大きな問題があり改善が難しいケースや、どうしても受け入れられない業務があり精神的な苦痛を感じるなどが、該当します。
「六月病かも」と感じたらまずは自己対策を
6月に心身の不調を感じる六月病は、適応障害やうつ病につながるリスクもあります。もし症状を感じたときは、早めに予防・対処を検討しましょう。
職場が変わったときや新卒入社の直後など、環境の変化で一時的にストレスがたまっている可能性もあります。しかし、仕事が原因で心身の状態が悪化する場合は、無理をしてはいけません。
「スタンバイ」でも、さまざまな仕事を探せます。仕事が合わず悩んでいるときは、最終的な手段として転職も検討してみましょう。