接客業に興味があるなら、仕事内容や種類を知っておくのがおすすめです。具体的な働き方を事前にイメージできれば、転職先を探す際の参考になるでしょう。接客業のやりがいや、接客業に向いている人の特徴も併せて解説します。
接客業とはどのような仕事?
転職先として興味を持っている職種がある場合は、どのような仕事をするのか事前に把握しておきましょう。接客業の仕事内容や、販売業との違いについて解説します。
接客業の仕事内容
接客業はその名の通り、顧客と接する仕事です。来店客に直接対応し、さまざまな業務を行います。飲食店・コンビニ・スーパー・ホテル・企業受付など、接客業には数多くの種類があります。
例えば、飲食店の接客では、注文を取ったり料理を配膳したりしなければなりません。ホテルのフロントスタッフなら、受付業務やインフォメーションが主な接客業務になります。
マニュアルに従って仕事をするだけでなく、顧客に合わせたおもてなしができるかどうかが、接客業で活躍するポイントです。顧客に心地よく過ごしてもらうことを意識して働く必要があります。
接客業と販売業の違い
接客業と意味が似ている仕事に、販売業があります。顧客のために積極的な行動を求められる点や、リピートにつながる対応を意識しなければならない点は、どちらにも共通しているポイントです。
一方、接客業と販売業は、販売に対する姿勢が違います。販売業は積極的に顧客に商品やサービスの販促を行う必要がありますが、接客業には販売に対する積極性は求められていません。
接客業で最も重要なのは、対応する顧客の満足度を最大限に向上させる点です。コミュニケーションやおもてなしを通して、顧客に楽しいひと時を提供することが求められます。
逆に販売業は、顧客をもてなすことではなく、いかに多くの商品やサービスを販売するかというところに力を入れる必要があるのです。
接客業の代表的な職種
接客業はあらゆる業界で求められている職種です。代表的な接客業の職種を知り、転職先を比較する際の参考にしましょう。
飲食店のホール担当
飲食店で接客業を担うのがホール担当です。ホール担当は来店客に対してさまざまな接客業務を行います。
顧客が来店したら、まずは席に案内し、注文を取らなければなりません。料理ができたら配膳し、顧客が帰る際には会計も行います。食器やテーブルの片付けもホール担当の仕事です。
ホール担当は顧客に気持ちよく過ごしてもらうために、メニューやテーブル番号をしっかりと覚えておく必要があります。立ちっぱなしになるケースも多く、体力が必要な仕事です。
店舗によっては、ホール担当が電話・メール対応や予約受付・登録・管理を行うケースもあります。
スーパーやコンビニの店員
スーパーの店員(レジ係)は、買い物客が持ってきた商品のバーコードを機器で読み取り、代金を受け取る業務を行います。お金を扱うため仕事の正確さが求められるほか、顧客に好感を与えられるような接客を行うことも重要な役目です。
コンビニで働く場合も、レジ係としての接客業務が多くを占めます。宅配便の手配や公共料金の収納代行業務など、コンビニのレジではさまざまな業務を担う必要があるため、覚えなければならない仕事が多いでしょう。
スーパーやコンビニのレジ係は、商品の品出しや陳列など、レジが空いている時間は他の業務を任せられるケースもあります。特にコンビニで働く場合は、商品の品出し・陳列と、レジ係の業務を常に並行して進めていくことになるでしょう。
アパレルや雑貨の販売員
アパレル販売の接客では、サイズや着こなしに対する顧客からの問い合わせへの応対や、商品を購入する顧客に対するレジ業務などを行います。雑貨販売でも同様に、レジでの精算や顧客対応が販売員の主な仕事です。
アパレルと雑貨のいずれも、販売員は自店舗で扱う商品に対する深い知識を得ておく必要があります。適切なアドバイスができなければ、顧客の満足度を下げてしまいかねないためです。空いた時間に商品について勉強する意識が求められます。
アパレルや雑貨の販売員は、顧客がいない時間帯も品出し・タグ付け・清掃など、さまざまな仕事を行います。アパレルの販売員として働く場合は、マネキンのコーディネートを任される可能性もあるでしょう。
美容関係のスタッフ
美容関係の接客業としては、美容師・エステティシャン・ネイリスト・美容部員などが挙げられます。いずれも顧客に直接的に対応する機会が多い仕事です。
美容師・エステティシャン・ネイリストといった接客業では、顧客の要望を満たすための施術を行います。顧客がイメージする姿にできるだけ近づけることが、最大の目的です。
百貨店や専門店で化粧品を販売する美容部員には、化粧品についての深い知識を求められます。顧客に直接メイクを施す機会もあるでしょう。
美容関係のスタッフに共通して求められるのは、美に対してストイックに追求する姿勢です。顧客が求める美を提供することが、美容関係の接客業としての最高のおもてなしになります。
ホテルのフロントスタッフ
ホテルのフロントスタッフは、宿泊客を相手にフロントで各種業務を行います。主な仕事は、受付業務・予約管理・インフォメーションです。
受付業務ではチェックインとチェックアウトに対応します。他部門とのスムーズな連携も求められる仕事です。
予約管理は電話やネットによる予約・キャンセルの受け付け・管理を行います。フロントスタッフの対応が悪ければクレームにつながりかねないため、丁寧に対応することが重要です。
インフォメーションはホテル周辺の情報を案内する仕事です。そのほかにも、モーニングコールや会計など、ホテルのフロントスタッフはさまざまな仕事を担います。
企業や施設の受付
企業や各種施設の受付も接客業に分類されます。訪問する顧客にとっては最初に接する相手となるため、企業や施設の顔になっていることを意識して対応するのが重要です。
企業や施設の受付の主な仕事として、来客対応や来客者の情報管理、メールや電話への対応などが挙げられます。来客者が行きたい場所に案内するのも、受付の仕事です。
来客がない時間帯は事務作業を行うケースもあります。社内スタッフのスケジュール管理やデータ入力・資料作成など、企業や施設によって業務内容はさまざまです。
接客業のやりがいは?
接客業は人から感謝されるケースが多いため、やりがいを感じやすい仕事です。さまざまな人と出会える点も、魅力といえるでしょう。
顧客の反応がすぐに分かる
顧客と直に接する機会が多い接客業は、顧客の反応がすぐに分かります。適切な対応で相手を心地よい状態にさせられれば、感謝の言葉をもらえることもあるでしょう。
面と向かって感謝の気持ちを伝えられれば、大きなやりがいを感じやすくなります。人に喜んでもらえることや人の役に立っていることを実感できるのが、接客業の魅力です。
事務作業のみを行う仕事やものづくりの仕事では、顧客から感謝を直接伝えられるケースはほとんどありません。人の笑顔を見てモチベーションが上がりやすい人なら、接客業の仕事でやりがいを感じられるでしょう。
さまざまな人と出会える
接客業では、さまざまな人と出会う機会があります。人によって考え方や価値観が違うため、さまざまな人と接する中で、自分の視野も広げることが可能です。
仕事で毎日同じ人とばかり接している場合、新たな気付きを得られるような機会は少ないでしょう。視野を広げたいと考えるなら、プライベートで出会いを求める必要があります。
しかし接客業なら、仕事をしながら多種多様な人と接することが可能です。プライベートでは出会えないような人ともコミュニケーションを取れるため、出会いを通じた自分の成長にやりがいを感じられます。
接客業に向いている人
コミュニケーション能力が高い人や柔軟な対応ができる人は、接客業に向いています。接客業は立ち仕事が多くなるため、体力に自信がある人にも向くでしょう。
コミュニケーション能力が高い
接客業に向いている人の特徴としては、コミュニケーション能力が高い点が挙げられます。さまざまな人と接するため、顧客がどのような相手でもスムーズにやりとりできる能力が必要です。
コミュニケーション能力が高い人なら、性別や年齢を問わず相手に合わせて会話できます。接客ではできるだけ相手に話をしてもらい、重要なポイントを的確に聞き出すことも重要です。
人見知りをする人は初対面の相手と円滑にコミュニケーションを取れないため、接客業には向きません。初めて接する人とも問題なくやりとりできる人なら、接客業も無難にこなせるでしょう。
柔軟な対応ができる
接客業にはおもてなしのスキルも必須です。相手や状況に合わせて柔軟な対応ができる能力を求められます。
何事もマニュアル通りに動くと、顧客の機嫌を損ねてしまう結果になりかねません。時には相手の立場に立ち、独断で臨機応変に対応することも重要なのです。
常に上司の顔色をうかがってしまうような人には、接客業は向かないでしょう。上司に怒られたとしても顧客が喜んでくれる行動を選べたのであれば、その行動はある意味正解といえます。
接客中はイレギュラーな状況になりやすい点もポイントです。思わぬ事態が起きても冷静に対応できる人は、接客業に向いています。
体力に自信がある
ほとんどの接客業は長時間の立ち仕事になります。あまり体を動かさない仕事でも、立っているだけで疲れやすくなるため、体力に自信がある人は接客業に向くでしょう。
体力がない人が接客の仕事に就くと、仕事中に疲れてしまい、接客のクオリティーも下がってしまいます。疲れている様子を顧客が見ることで、印象が悪くなる恐れもあります。
飲食店やコンビニなど、店内を動き回る接客業の場合は、特に疲れやすくなるでしょう。体力に自信がない人が接客の仕事をしたい場合は、椅子に座れる時間が長い受付の仕事がおすすめです。
接客業でつらい点は?
接客業は人によってはやりがいのある仕事ですが、きついと感じやすい側面もあります。デメリットやリスクも知った上で、転職を検討することが重要です。
土日祝や長期の休みが取りにくい
顧客が来なければ商売にならない会社は、土日祝日や長期の休みが稼ぎ時です。接客スタッフも世間が休みの日に仕事をしなければならないため、休みが取りにくいというデメリットがあります。
休みを取れるようにシフトを組めば休めないことはないものの、休日に休みたいのは他のメンバーも同じです。お互いにシフトを調整しながら休みを取る必要があるため、どうしても長期休暇は取りにくくなってしまいます。
週末や祝日にしっかりと休みたい人や、長期休暇を利用して家族サービスをしたい人には、接客業は向かないでしょう。カレンダー通りに休める仕事を探すのがおすすめです。
給与がやや低い傾向
所属する会社や業務のジャンルによっては、接客業は給与がやや低くなる傾向があります。給与水準が低いだけでなく、給与が上がりにくいのもデメリットです。
接客業の給与が低くなる理由の1つに、人事評価が難しい点が挙げられます。例えば販売業の場合は販売数が成果のため、より多く販売した人の評価を上げればよいでしょう。一方で接客業の場合は、販売業のような目に見える成果を見つけるのが困難なのです。
求人数が多く買い手市場になりやすい点も、接客業の給与水準の低さにつながっています。転職のハードルの低さが、そのまま給与の低さにも反映されているのです。
クレームを受ける場合も
接客業で相手にする顧客は、親切な人や温厚な人ばかりではありません。クレームを受けたり嫌味を言われたりするなど、接していて気分が悪くなるような行為を受けるケースもあります。
顧客に何を言われようが基本的には冷静に対応するのが、接客業の一般的なルールです。強いストレスを感じてもグッとこらえ、感情を表に出さずに話を聞く必要があります。
そのため、接客業の仕事をする人には、理不尽な対応を取られても冷静に処理できる能力が必須です。すぐにカッとなる人や言い返してしまう人は、接客の仕事は長く続かないでしょう。
接客業に必要なスキル
言葉遣いや立ち居振る舞いのスキルが身に付いていれば、接客業の仕事をよりスムーズに進められるでしょう。接客業に役立つ資格を取得するのもおすすめです。
言葉遣いや立ち振る舞い
顧客と会話をする際は、正しい言葉遣いで話す必要があります。尊敬語と謙譲語をきちんと使い分けながら、相手への敬意を適切に表現することが重要です。
接客中は立ち居振る舞いにも注意しなければなりません。自分ではしっかりと振る舞っているつもりでも、知らないうちに相手に不快な思いをさせてしまっている可能性もあります。
正しい言葉遣いや立ち居振る舞いは、仕事をしながら学ぶことも可能です。先輩や上司にもチェックしてもらいながら、相手や状況に合わせた言動を選択できるようになりましょう。
接客業に役立つ資格はある?
接客業に必須の資格はありませんが、持っておくと役立つ資格はあります。顧客の満足度をより上げたいのなら、資格を取得するのもおすすめです。
接客業に役立てられる資格には、以下のようなものがあります。
- 秘書検定
- 接客サービスマナー検定
- 接客心理検定
- サービス接遇検定
- 販売士
外国人客を相手にする仕事なら、語学系の資格も生かせるでしょう。やみくもに資格を取得するのではなく、自分の職場で役立ちそうな資格を取得するのがポイントです。
接客業に転職するなら
接客業への転職を検討している人のために、仕事探しのコツを解説します。ポイントを押さえて転職先を探せば、自分に合った仕事が見つかりやすくなるでしょう。
未経験OKの求人を探そう
接客業は特別なスキルや資格が必要ないため、未経験OKの求人が数多く見つかります。初めて接客業に挑戦するなら、未経験でも転職しやすい求人を選ぶのがおすすめです。
人と接するのが好きなことやコミュニケーション能力が高いことをアピールすれば、未経験でも採用されやすくなります。未経験OKの求人なら、転職先でも先輩や上司が丁寧に指導してくれるでしょう。
未経験者向けの接客の仕事を探すなら、国内最大級の求人サイト「スタンバイ」を利用するのがおすすめです。全国の豊富な求人が掲載されているため、接客業の仕事もすぐに見つかります。
自分の希望を明確にする
接客業の仕事を探す上で、自分の希望を明確にしておきましょう。接客業にはさまざまな種類があるため、希望に合わない仕事を選んでしまうと続かないリスクがあります。
興味のある分野に関われそうな仕事や、自分の強みを発揮できそうな仕事なら、やりがいも感じやすくなるでしょう。まずは仕事を分野から絞り込むのがおすすめです。
やりたい分野をある程度まで絞り込めたら、次に労働環境や勤務形態で求人を比較すれば、より自分に合った求人を見つけやすくなります。
顧客との距離の近さが接客業の魅力
接客業は顧客との距離が近く、相手の反応がすぐに分かるため、感謝されるとやりがいを感じやすいでしょう。仕事を通してさまざまな人と出会えるのも大きなメリットです。
コミュニケーション能力が高い人や、常に柔軟な対応ができる人は、接客業に向いています。どのような職場で働きたいのかを明確にし、自分に合った接客業の仕事を探してみましょう。