保険募集人資格試験の概要を紹介。誰でも受験はできる?

保険募集人として働くには、資格試験に合格し、登録や届け出をする必要があります。資格試験には要件があり、個人が自由に受験できるわけではありません。保険募集人になるためのルートや資格試験の内容を詳しく解説します。

保険募集人は大きく2種類

保険を案内する女性

(出典) pixta.jp

保険募集人とは、保険会社や代理店・保険ショップのカウンターなどで保険商品の案内をする職種です。取り扱う保険の種類により、「損害保険募集人」と「生命保険募集人」に大別されます。それぞれの特徴と目指す方法を見ていきましょう。

参考:保険営業(生命保険、損害保険) - 職業詳細|job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

損害保険募集人

損害保険募集人とは、損害保険会社や損害保険代理店で働く役員や従業員を指します。一口に損害保険といっても、その種類はさまざまです。

  • 自賠責保険
  • 自動車保険
  • 火災保険
  • 地震保険
  • 傷害保険
  • 個人賠償責任保険

損害保険募集人は、損害保険の営業や契約手続き、事件・事故の受付対応などを担当します。

損害保険の代理店になるには、保険会社と代理店委託契約を結んだ上で、内閣総理大臣(住所地を管轄する財務局)に登録する必要があります。

同じように、代理店に所属して保険募集人として働く人も届け出をしなければなりません。代理店登録や募集人届け出には、「損害保険募集人一般試験」への合格が必須です。

参考:保険業法 第276条 | e-Gov法令検索

生命保険募集人

生命保険募集人とは、生命保険の提案・販売・手続きなどに携わる職種です。生命保険には、掛け捨てタイプと積み立てタイプがあり、個々のライフスタイルに合わせて選べます。以下は生命保険の一例です。

  • 死亡保険(終身保険・定期保険)
  • 医療保険
  • 介護保険
  • 生存保険

生命保険募集人は、顧客のライフスタイルに合った保険商品を提案するために、貯蓄・投資・不動産・相続などの幅広い知識を身に付ける必要があります。

生命保険募集人(代理店)として働くには、一般社団法人生命保険協会の「一般課程試験」に合格し、代理店登録や募集人届け出をするのがルールです。

損害保険募集人に必要な「損保一般試験」とは?

保険を案内する女性

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損害保険募集人一般試験(以下「損保一般試験」)は、日本損害保険協会が実施しています。国家資格ではありませんが、損害保険募集人として活躍するためには、必ずクリアする必要があります。試験の概要と受験要件を確認しましょう。

参考:日本損害保険協会 損保代理店試験/損保一般試験

損保一般試験の概要

損保一般試験は、損害保険商品に関する正しい知識が身に付いているかを確認する試験です。試験内容は、基礎単位と商品単位に大別されます。

  • 基礎単位
  • 商品単位(自動車保険単位・火災保険単位・傷害疾病保険単位)

代理店登録・募集人の届け出をするには、基礎単位に合格する必要があります。実務で保険商品を取り扱うに当たっては、商品の種類に応じた商品単位の試験にも合格しなければなりません。

ただし、「自賠責保険のみ」「原子力保険のみ」「海上・運送保険のみ」を取り扱う代理店の募集人に限り、受験は任意です。

試験の合格ラインは各単位70点です。公式ホームページでは、難易度や合格率を公開していません。

損害保険会社の承認を得た人が対象

損保一般試験を受験できるのは、損害保険会社の承認を受けた人のみです。損害保険会社の従業員や内定者、損害保険会社と代理店契約を結んでいる人などが該当するでしょう。

一般的な資格試験と違って、個人が自由に申し込めるものではありません。試験を希望する人は、損害保険会社や代理店に直接確認を取ってみましょう。

損害保険会社のグループ会社の中には、キャリア形成の一環として、受験申し込みを受け付けているところもあるようです。 

生命保険募集人は「一般課程試験」を目指そう

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生命保険募集人として働くための一般課程試験は、生命保険協会が主催しています。試験は毎月開催されており、受験回数に制限は設けられていません。受験には、生命保険会社の研修が必要です。

参考:業界共通教育課程 | 生命保険協会

一般課程試験の概要

生命保険協会の試験は「業界共通教育課程」と呼ばれ、4課程と2種類の資格で構成されています。

  • 一般課程
  • 専門課程
  • 応用課程
  • 生命保険大学課程
  • 変額保険販売資格
  • 外貨建保険販売資格

一般課程試験は、生命保険の基礎知識の習得を目的とした最も基本的な課程です。ただ、一般課程試験をクリアすれば保険募集人として営業活動ができるものの、実務上は一般課程だけでは不十分です。

変額保険を扱う場合は専門課程と変額保険販売資格、外貨建保険を扱う場合は専門課程と外貨建保険販売資格に合格する必要があります。

受験は生命保険会社の研修を受けてから

一般課程試験は、生命保険会社や代理店の従業員に向けた試験です。生命保険会社の研修を受けた人が対象で、個人からの申し込みは受け付けていません。

営業職の場合、所定単位の研修に約3カ月の期間を要するのが一般的です。入社後のプロセスは、基礎研修・一般課程試験・合格・登録・実践研修の順番で進みます。

個人が試験資格を得る方法は、以下の2パターンが考えられるでしょう。

  • 生命保険会社の代理店制度に登録する
  • 生命保険会社・代理店に就職する

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資格取得の留意点

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(出典) pixta.jp

保険募集人の資格試験にはいくつかの留意点があります。特に、資格の有効期限や失効の条件、試験方法については事前に確認しておきましょう。

資格の有効期限に注意

損害保険募集人の資格は、5年の更新制です。5年ごとに試験を受け、合格しなければなりません。認定有効期限内に更新試験に合格できなかった場合、認定は失効してしまいます。新たに受験し直さなければならない点に、注意しましょう。

一方、生命保険募集人の資格には有効期限がありません。生命保険会社や代理店などに在籍している限り資格は有効で、退職などで業務廃止したときに失効します。

なお専門課程・応用課程・生命保険大学課程の合格資格は、募集人の業務廃止後2年以内であれば復活が可能です。新たに所属した会社で、生命保険募集人の届け出をしましょう。

参考:よくあるご質問Q&A | 生命保険協会

CBTの試験方法に慣れておこう

損保一般試験・一般課程試験ともに、試験方法に「CBT(コンピューター試験)」を導入しています。受験者は、試験会場に設置されたパソコンを使って解答します。画面上に問題が表示されるので、マウス操作で答えを選びましょう。

高度なパソコン操作技術は不要ですが、紙の試験に慣れている人は戸惑ってしまうかもしれません。日本損害保険協会や生命保険協会のホームページに、CBT試験の体験版が用意されているので、試験前に確認しておきましょう。

参考:
日本損害保険協会 損保代理店試験/2-1. CBTの概要
生命保険協会 業界共通教育試験|CBT体験版/CBTによる受験の仕方
CBT試験概要 | 生命保険協会

保険業界への転職に役立つ資格は?

勉強する女性

(出典) pixta.jp

保険募集人の資格は、保険会社や代理店に勤務している人が対象です。受験要件を満たしていない人は、保険業界への転職を目指すところからスタートしましょう。保険業界への就職・転職で役立つ資格を紹介します。

FP技能検定2級以上

FP(ファイナンシャル・プランニング)とは、将来の夢や目標を経済的側面からプランニングすることです。FP技能士は、ライフイベントに基づいたプランを立案したり資産運用のアドバイスを提供したりして、個人の夢や目標を後押しします。

FP技能検定の学習過程では、保険や年金・相続・税制・投資・不動産などに関する幅広い知識を学びます。FP技能検定2級以上の資格を持っていると、お金のエキスパートとして金融業界で歓迎されるでしょう。

FP技能検定の指定試験機関には、日本FP協会と金融財政事情研究会の2団体があります。

参考:
FP技能検定とは | 日本FP協会
FP技能検定 | 一般社団法人 金融財政事情研究会

投資診断士

投資診断士は、投資診断士協会が主催する民間資格です。個人に投資のアドバイスをするための資格で、資格取得後は名刺や経歴書に「投資診断士」の肩書を記載できます。

終身雇用が崩壊しつつある現代、投資による資産形成の重要性が強調されています。生命保険や損害保険は投資商品ではありませんが、投資診断士の肩書があると、お金のプロとして顧客に頼られ、信頼関係を構築しやすいでしょう。

制度・仮想通貨・証券・保険など、投資関連の知識を深く学ぶため、金融業界や保険業界にキャリアチェンジする際に有利です。

公式 投資診断士®資格申込サイト 研修や試験の申込はこちらから

資格試験の前に就職先を探すのが賢明

スーツで試験を受ける女性

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保険募集人の資格は、取得できる人が限られています。保険募集人を目指すなら、先に保険業界に転職し、勤め先を通じて資格試験を受けるのが望ましいでしょう。転職前にお金にまつわる資格を取得しておくと、転職活動が有利に運びます。

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