技術職は、モノやコトづくりに欠かせない職種の1つです。技術職にはさまざまな種類があるので、具体的にどのような仕事なのか分からない人も多いでしょう。技術職の種類や必要なスキル、未経験からの転職方法についても解説します。
技術職とはどんな仕事?
技術職という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような仕事なのかよく分からないという人も多いかもしれません。技術職の定義や間違われやすい職種との違いについて知っておきましょう。
専門知識を活用しものづくりを支える仕事
技術職とは、数学・工学・情報工学など理系の専門的な知識を生かし、ものづくりに携わる仕事です。技術職の仕事には、製造や設計だけでなく、生産ラインを作るための技術開発やメンテナンスなども含まれます。
また、技術職が作り出すのは、自動車や家電などのモノにとどまりません。課題を解決するためのシステム構築のように、運用や保守の分野にまで広がります。技術職は、製造業をはじめとするさまざまな企業にとって、重要な役割を果たす職種です。
技能職とはどこが違う?
技術職と間違われやすい職種に技能職があります。技能職は、技術職が設計した製品を実際に生産する仕事です。
例えば、ある部品を製造するケースでは、技術職の仕事は専門知識を生かし、部品の設計や生産に必要な設備の管理・メンテナンスなどです。
一方、技能職は技能・技術・知識にかかわらず部品の生産ラインに入って、原材料を加工したり組み立てたりといった実際の製造作業を広く担当します。技術者が生産体制を作り、その生産体制の中で実際に製品を作るのが技能職と考えればよいでしょう。
製造オペレーターとの違い
ものづくりの現場で製品の生産に携わる職種の1つとして、製造オペレーターがあります。製造オペレーターの仕事は生産ラインの機械の操作をメインとし、機械を正常に稼働させるための監視・保全作業もカバーし、ケースによっては製品の加工や組み立ても担います。
技術職と製造オペレーターは期待される役割が異なるとはいえ、それぞれの仕事に必要な知識や技術は、どちらもものづくりに欠かせないという点では共通しているといえるでしょう。
技術職の種類
技術職といっても、業界や業種によって仕事の内容はさまざまです。主な技術職の種類を4つ挙げて、仕事の内容を紹介します。
IT系の技術職
IT系の技術職とは、いわゆるITエンジニアと呼ばれる職種です。IT系の技術職には、システムやアプリの設計・開発をするシステムエンジニア(SE)や、ネットワーク・セキュリティ・サーバーなどに関わるインフラエンジニアなど、さまざまな種類があります。
また、上流工程を担当するITコンサルタント、自社サービスの営業に関わるセールスエンジニア、システム導入をサポートするフィールドエンジニアなども、IT系技術職に含まれます。
自社内のシステム構築やメンテナンスを担当する社内SEも、IT系の技術職の1つです。IT系技術者の仕事は、顧客の要望や課題を解決するためのサービスを提供するのが基本といえます。
そのため、ITに関する知識はもちろん、顧客のニーズを聞き出すヒアリング力やコミュニケーション力なども求められるでしょう。
建築系の技術職
建築系の技術職は、建築物の建設や改修などを行う職種です。建築系技術職の仕事には、大きく分けて設計と施工管理の2種類があります。
設計の仕事は、さらに意匠設計・構造設計・設備設計の3つに分けられます。意匠設計とは、顧客の要望に合わせて建物の外観や間取りを計画する仕事です。
構造設計では、意匠設計で計画した間取りに基づき、安全性や耐震性などを考慮して土台や柱などを配置します。設備設計は空調や水道設備など、建物の環境整備を担当します。
一方、施工管理は、工事現場で指揮を執るのが仕事です。資材の調達・役所への手続き・書類の作成などから現場の安全管理までを担当します。
建築系の技術職の中には、建築士など国家資格が必要となる職種も含まれます。
メーカー系の技術職
メーカー系の技術職は、自社製品の製造に携わる仕事です。メーカー系の技術職の仕事は、研究・開発設計・生産技術・設備保全の4つに分かれます。
研究職は、製品の素材や生産技術などの研究を担う仕事で、メーカー系の技術職の中でも、特に高度な専門性が必要とされる分野です。
開発設計職は、研究職が発見したアイデアや技術を具体的に製品化していきます。外部と連携しながら、量産化を目指すケースもあるでしょう。
生産技術職の仕事は、製品の生産工程に関わるものです。製品の安定した生産のために必要な機械・設備の導入や、カスタマイズなども担当します。
設備保全職の仕事は、製品の生産ラインが安定して稼働するための維持管理です。メーカー系では、これら4つの仕事を担当する技術者が、プロジェクトチームを組んで携わるのが基本とされます。
公務員の技術職
国家公務員と地方公務員にも、理系の専門分野を生かした技術職と呼ばれる仕事があります。
公務員の技術職は、国家総合職・国家一般職・地方公務員の3つに分かれており、それぞれに「工学」「土木」「建築」をはじめとする、さまざまな区分の職が存在します。
例えば、国家公務員の土木職が担うのは、国道・ダム・河川・空港など、国内全域の設備などの土木工事や整備事業です。
同じ土木職でも、地方公務員の場合は各自治体の再開発や県道・市道などの管理・保全などに携わります。
公務員の技術職になるには、一般知能と一般知識を問われる教養択一試験に加えて、工学の基礎や各区分の専門科目の試験に合格しなくてはなりません。
技術職に必要なスキル
技術職として働くには、職種ごとの専門知識のほかに、技術職全般に共通するスキルも求められます。具体的なスキルを3つ確認しましょう。
課題を発見し解決する力
技術職には、課題を見つけて解決するスキルが求められます。技術職の仕事は、製品やサービスを提供して終わりではありません。
例えばメーカー系の技術職なら、効率的な生産体制を維持するために生産ラインの管理などが必要です。
IT系の技術職の仕事にも、バグや障害などへの対応は避けられない業務として含まれています。
このように、技術職は開発・設計した製品やシステムにトラブルが起こらないよう管理し、問題があれば解決しなければなりません。そのためには、常に課題を発見しようとする探求心が必要とされます。
マルチタスク能力
技術職には、一度に複数の業務をこなせるマルチタスク能力も必要とされます。技術職の仕事は多岐にわたるため、1つの作業に集中して取り組むより、いくつもの業務を同時に進めていく場合がほとんどです。
また、プロジェクトや製造の工程においては、必ずしもスムーズに進むケースばかりではありません。予想外のトラブルが起きたときに対応できる柔軟性も必要です。
複数の業務をスムーズに進めつつ、イレギュラーな作業にも対応できるマルチタスク能力は、技術職の仕事には不可欠といえるでしょう。
コミュニケーション能力
技術職は、多くの人と関わりながらプロジェクトを進めていく仕事です。そのため、技術職にとって、コミュニケーション能力は必須ともいえるスキルの1つといえます。
顧客と直接やり取りする技術職の場合、顧客が解決したい課題やニーズなどを知るためのヒアリング力や、提案するための交渉力などが求められるでしょう。
製造系の技術職にとっても、生産体制の維持や改善のために、生産現場のスタッフとのコミュニケーションは欠かせません。自分の話だけをするのではなく、相手の意見を聞ける能力が重要です。
技術職に向いている人
技術職を目指すに当たって、自分が技術職の仕事に向いているのか不安な人もいるかもしれません。技術職に向いているのは、どのような人なのでしょうか。具体的に2つのタイプを紹介します。
ものづくりが好きな人
技術職は、何かを作り上げるのが好きな人に向いています。技術職の仕事は、何もないところから新しいモノやコトを生み出すことです。製造業であれば新製品のアイデアを出すところから始まり、製品化まで進めます。
建築系の技術職では、顧客の要望に応じた建築物を設計して、完成まで建設作業を担います。IT系の技術職も、システムの構築やソフトウエアの開発など、ゼロから新しいモノを生み出すのが仕事です。
どの仕事も着手から完成までの間には、難しい課題に出くわす場面も多々あります。基本的にものづくりが好きな人であれば、製品を生み出すまでのさまざまな苦労を乗り越えて、完成までの工程を楽しめるでしょう。
好奇心や向上心のある人
技術職は、好奇心旺盛な人や、常に新しい知識やスキルを身に付けようとする向上心のある人に向いています。
技術職にとって重要なのは、課題の発見と解決です。課題を発見するには、何事に対しても疑問を持って追究しようとする探求心が求められます。
課題の解決には、新しい知識や技術が必要になるケースも少なくありません。また、技術職の仕事には、失敗と改善を何度も繰り返すトライ・アンド・エラーもつきものです。
好奇心や向上心の強い人なら、失敗してもくじけず、何度もチャレンジするモチベーションを保てるでしょう。
未経験から技術職に転職する方法
異職種から技術職へキャリアチェンジしたいという人もいるのではないでしょうか。未経験からでも、技術職への転職は十分に可能です。具体的な方法を2つ紹介します。
資格を取得する
未経験から技術職へ転職するには、希望する仕事に必要な資格があるか確認し、取得することから始めるのがおすすめです。例えばIT系の技術者を目指すなら、情報処理やプログラミングの知識や技術は必須です。
ITパスポート試験や基本情報技術者試験などの国家資格もあるので、取得しておくとIT技術職としてのスキルを客観的にアピールできるでしょう。
また、建築系の技術職には建築士資格、電気設備の保安には電気主任技術者資格など、技術職の種類によっては資格が必要となるケースも少なくありません。
特別な資格が必要でない場合も、専門知識を習得し、資格を取得しておけば、面接で有利に働く可能性があるでしょう。
未経験者OKの求人に応募する
未経験者でもOKと記載されている求人に応募しましょう。技術職の中には、オペレーターやシステムエンジニアなど、未経験者でも採用されやすい仕事があります。
特に人材が不足しているIT業界では、エンジニアとして未経験者を受け入れている企業も少なくありません。
未経験者も受け入れている企業は、長い目で見た人材育成に力を入れているため、入社後の教育制度が整っているケースが多いのも特徴です。
そのような企業であれば、未経験でも転職しやすく、なおかつ自身のスキルアップも目指せるでしょう。
未経験からでも技術職への道は可能
技術職は専門的な知識や技術が必要なため、未経験からの転職はハードルが高いと思われがちです。確かに、高度な知識や資格が求められる仕事もありますが、職種によっては、未経験者でも技術職へのキャリアチェンジは可能といえます。
手に職をつけたいと考えて技術職を目指すなら、未経験者が採用されやすい仕事に応募してみるとよいでしょう。求人サイトのスタンバイには、未経験者OKの技術職の求人も豊富に掲載されているので、転職活動に活用するのがおすすめです。