銀行員になるには?転職に必要なスキルや有利になる資格を紹介

銀行への転職は難しいといわれています。しかし、中途採用で人材を募集している銀行も数多くあるため、転職を諦める必要はありません。銀行員になるために必要なスキルや資格などとともに、転職を目指す方法について詳しく解説します。

中途採用で銀行員になれる?

銀行の窓口

(出典) pixta.jp

一般的に、中途採用で銀行員になるのは難しいとされています。しかし対策次第では、未経験者でも銀行員に転職できる可能性はあるのです。中途採用で銀行員になる方法を具体的に確認しましょう。

新卒採用が大半だが可能性はあり

多くの銀行員は、新卒採用により銀行に就職します。特にメガバンクへの転職は、かなりハードルが高いといってよいでしょう。しかし、地方銀行やネット銀行などを選べば、未経験者が転職できる可能性もゼロではありません。

法人営業やエンジニアを募集している銀行もあるので、一般職にこだわらなければ転職の可能性は高まります。女性の場合は、パートや派遣から正社員登用を目指すのもよいでしょう。

20代の転職では、実績や経験が足りなくても、仕事に対する姿勢や熱意などを評価されるポテンシャル採用の可能性もあります。

自分のスキルを棚卸しする

未経験から銀行員に転職するには、まず自分のスキルを棚卸しすることから始めましょう。銀行が中途採用するのは、他業界での実務経験を生かして即戦力となる人材が欲しいからというのも理由の1つです。

銀行の業務には窓口対応だけでなく、さまざまな種類が存在します。営業職やエンジニア職などは、他業種から転職できる可能性が高い職種です。経理や社会保険に関連する業務経験も、アピールの仕方次第では有利になる場合もあるでしょう。

面接官から評価されるためには、スキルをしっかり棚卸しし、銀行員としてどのように貢献できるか伝える準備が必要です。

仕事に生かせる資格を取得する

銀行員になるために、特別な資格は必要ありません。しかし、未経験から銀行員に転職する場合には、取得しておくと有利に働く資格はあります。

例えばファイナンシャルプランナーや簿記など、金融に関連する資格を保有していれば、採用に近づくためのアピールポイントになるでしょう。

他にも、株式や投資信託などを販売するための証券外務員や、銀行業務に必要な実務知識の習得程度を測定できる銀行業務検定なども、銀行員を目指す人にとっておすすめの資格です。

銀行員の主な業務は3つ

通帳

(出典) pixta.jp

銀行員への転職を目指すに当たって、具体的な業務内容を知っておくことは重要です。銀行員の主な業務には、預金業務・融資業務・為替業務の3つがあります。それぞれの業務内容について確認しましょう。

預金業務

預金業務は、個人や法人から資金を預かる業務を指します。預金業務は、テラーと呼ばれる窓口業務と、テラーが窓口で受け付けた入出金の処理を行う後方業務の2つに分けられているのが基本です。

預金業務の仕事には、普通預金や定期預金などへの入出金のほか、税金や公共料金の支払いや預金商品の案内なども含まれます。法人向けの業務では、小切手や手形を振り出す当座預金の管理なども預金業務の仕事です。

多くの銀行では一般職の銀行員がテラーを担当しており、顧客と直接関わるため銀行の顔としての役割も果たします。

融資業務

融資業務は、預金業務で預かったお金を、資金を必要としている個人や法人に対して貸し付ける仕事です。融資により生じる利息が銀行の利益となるため、銀行にとっては重要な業務です。

融資を担当する銀行員は、顧客の要望に応じて融資プランを提案し、申し込みがあれば貸付が可能か審査します。貸付金の原資は顧客の預金なので、融資先が返済不能になると銀行の経営にも多大な損害が及びます。

そのため、審査する融資担当者の責任は重大です。しかし、融資という形で個人や法人を支援するという側面もあり、やりがいの大きな仕事ともいえます。

為替業務

為替業務とは、公共料金や給料の口座振替など、預金口座を持っている顧客から依頼された振り込みや送金の手続きを行う業務です。

現金を動かさずに口座間で資金を移動させるのが特徴で、個人による代金の支払いだけでなく、企業間の取引で生じる決済などにも対応します。

銀行同士だけでなく、信用組合や農協など業態の異なる金融機関への資金移動も可能です。為替業務には、国内で資金を移動させる内国為替のほかに外国為替部門もあり、海外への送金や外貨の両替、貿易取引などを行っています。

外国為替で扱う送金や両替などで生じる手数料も、銀行の収入源の1つです。

銀行員になるために必要なスキル

勉強するスーツの男性

(出典) pixta.jp

銀行員に必要とされるのは、金融に関する知識だけではありません。銀行員になるために求められる主なスキルを3つ確認しましょう。

経理や財務に関する知識

銀行員になるためには、経理や財務に関する知識は必須です。公認会計士レベルとまではいかなくても、簿記2級程度の知識は求められます。

特に融資を担当する場合、企業の経営状態を把握するために財務諸表を読み解く知識は不可欠です。経理や財務に関する知識をアピールするには、簿記などの資格を取得しておくとよいでしょう。

また、銀行でも保険商品や投資信託などを扱っているため、資産形成や保険などに関する知識もあれば、転職で有利に働く可能性があります。

コミュニケーション力

銀行員には、コミュニケーション力も必要です。銀行業務は直接顧客に接する機会が多々あります。年齢層など顧客の属性も幅広いため、顧客からの問い合わせに丁寧に対応できるコミュニケーション力は欠かせません。

特に窓口業務は、銀行の印象を決める重要なポストでもあるので、対人スキルの高さが求められます。

営業の場合は、融資や投資など無形商材を扱う仕事柄、顧客の信頼感を得ることが重要です。顧客の立場に立って対応できることが大切です。

柔軟な対応力

銀行員にとって、さまざまな事態に柔軟に対応できる能力も重要です。金融に関する規制の変更などによって、銀行が扱う商品の販売方法やルールなども変化します。

フィンテックの普及のような社会の変化に伴い、銀行の業務自体にも大きな影響が生じるでしょう。

そのような変化にも柔軟に対処しつつ、顧客に対して適切に対応できるスキルが必要となるのです。融資業務においても、顧客の財務状況や金融規制などの変化に素早く対応できる柔軟性が求められます。

銀行員への転職に有利な3つの資格

打ち合わせをする二人

(出典) pixta.jp

中途採用で銀行員になるには、金融に関する知識は不可欠です。面接で評価されるには、客観的にアピールできる資格の取得が有効に働きます。銀行員への転職で有利になる可能性のある資格を3つ確認しましょう。

簿記

銀行員になる上で、簿記の知識は必須です。前職で経理の実務経験がない人でも、簿記の資格を取得する過程で銀行業務に必要な金融知識が身に付き、財務諸表も読めるようになるでしょう。

簿記検定には、日商簿記・全経簿記・全商簿記の3種類があります。全商簿記は学生を対象としているので、3つの検定の中で難易度は最も低めです。

全経簿記は日商簿記よりやや難易度が低く、日商簿記1級より全経簿記上級の方が取得しやすいとされています。日商簿記は3つの検定の中で知名度が最も高いもので、転職には日商簿記の試験を受けるのがおすすめです。

日商簿記は簿記初級から1級までのレベルに分かれていますが、銀行員になるには2級を取得しておくといいでしょう。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能検定)は、資産形成や税金・保険など身の回りのお金に関する知識が身に付く国家資格です。新卒で銀行員になった人も、取得を推奨される資格の1つとされています。

「日本FP協会」と「金融財政事情研究会」の2団体によって実施されていますが、どちらの試験に合格しても、取得できる資格に違いはありません。

ファイナンシャルプランナーは3級から1級まであり、未経験者は3級から受験できます。2級FP技能検定を保有している人は、研修を修了するなど一定の条件を満たすことで、日本FP協会認定のAFP資格やCFP資格などの民間資格の取得も可能です。

銀行業務検定

銀行業務検定とは、銀行・保険会社・証券会社などの金融機関で働く職員を対象に、実務知識を測定する検定試験です。

検定科目の内容が金融に関する知識や技能を問うものなので、金融機関の職員向けとされていますが、受験資格に制限はないため、誰でも受験が可能です。

法務・財務・税務・年金など、業務内容別に23系統36種目の試験があり、希望する種目を選んで受験します。例えば財務の試験には4級・3級・2級があり、財務諸表の理解から、取引先企業の与信判断などに必要な知識までそれぞれ習得程度を測定します。

今後の銀行に必要とされる人材とは?

銀行で働く女性

(出典) pixta.jp

IT技術の進化や社会の変化は、銀行業界にもさまざまな影響を及ぼします。それに伴い、銀行業界で働く人材に求められるスキルや素質も、少しずつ変化していくと考えられるでしょう。今後、銀行に必要とされる人材について解説します。

最新の情報システムに強い人材

従来的な意味の銀行員とは意味が異なりますが、今後はシステムエンジニアなど、最新の情報システム(IT)に強い人材へのニーズが今まで以上高まる可能性があります。

AI技術の進化により、金融業界ではフィンテックが急成長しています。これまで銀行を通していた送金手続きなども、スマートフォンを使って直接取引先とつながれるようになりました。すでにATMのメンテナンスなどを担当する金融系SEを社内に置いている銀行もあり、金融システムに詳しい人材の需要は、これからもますます高まるでしょう。

語学力のある人材

金融知識に加え、ビジネスレベルの語学力がある人材へのニーズも高まります。近年、少子高齢化や低金利政策などの影響により、国内の貸出により発生する利益は減少を続けています。

そのため、新たなビジネスモデルへの転換として、アジアや欧米など海外拠点を広げている銀行も少なくありません。

グローバル化を目指す銀行にとって、今後は高い英語力を有する人材の需要がますます増えていくと考えられます。銀行員への転職を目指す人にとっても、語学力の高さは大きな強みとなるでしょう。

実務経験や資格取得が銀行員への転職のカギ

銀行の窓口

(出典) pixta.jp

新卒採用がほとんどを占める銀行員への転職は、ハードルが高いとはいえ、対策次第で十分に可能です。金融業界を取り巻く環境の変化などにより、金融以外の知識も必要になるなど、求められる人物像の幅も広がりつつあります。

そのため、システムエンジニアや法人営業など、他業種から転職しやすい職種を狙うのも1つの方法です。実務経験に加えて強みとなる資格を取得するなど、自分のスキルをいかにアピールできるかが重要といえます。

評価されるスキルなどについて入念に調査し、しっかり対策を練って転職活動を進めましょう。中途採用を募集している銀行探しには、日本最大級の求人情報を掲載しているスタンバイを活用するのがおすすめです。

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