アルバイトを退職する際には、どのように切り出せばよいのでしょう。伝えるタイミングを間違えると、職場に迷惑をかけてしまいます。お世話になったアルバイト先をスムーズに退職するために、退職理由の伝え方や注意点などをチェックしましょう。
アルバイトの退職の伝え方
アルバイトを退職するにあたり、誰にどうやって伝えればよいのか悩むケースは少なくありません。伝える相手やタイミングについて確認しましょう。
上司や責任者に伝える
アルバイトを退職する意思を固めたら、上司や責任者にまずは伝えましょう。仲のよい同僚やバイト仲間にも伝えたくなりますが、まずは直属の上司に話を通すのが筋です。
同僚を通じて上司の耳に入ってしまうと、お互いに気まずい思いをする結果になるので、退職の話が間接的に伝わらないように注意しましょう。
基本的にはメールやLINEではなく、直接口頭で伝えます。シフトの都合などで会う機会がない場合、電話やメールなどで退職の意思を伝え、アポイントメントを取ってから直接事情を伝える方法がおすすめです。
伝えるタイミング
民法では、退職の2週間前までに辞める意思を伝えればよいルールになっていますが、就業規則で「1カ月前までに伝える」というように、決められているケースもあります。
バイトが退職するとなると、雇い主は後任のアルバイトを探す必要がありますので、1カ月前を目安に伝えましょう。雇い主側にすれば、募集をしても、すぐに応募があるとは限らず、研修に時間がかかる場合もあります。自分の退職後に、勤務先が混乱しないように配慮することが大事です。
ただし、体調不良やけがなどのやむを得ない事情があれば、ただちに契約の解除ができます。
参考:厚生労働省:労働政策審議会労働条件分科会 第49回資料
アルバイトの退職を伝えるポイント
アルバイトを退職する際、伝え方を間違うとスムーズに辞められない原因になります。上手に伝えるポイントや、退職理由ごとの例を確認しましょう。
明確な退職理由を伝える
アルバイトを退職する際は、理由を明確に伝えて納得してもらいましょう。なぜ辞めるのかがはっきりしない状態では、思いとどまるように説得される心配があります。
納得してもらうためには、最初から「就職が決まったため」「家庭の事情があるため」など、事情を伝えましょう。人間関係が嫌、仕事に飽きたなどのネガティブな内容は伝えず、波風を立てずに退職できる理由を伝えるのがポイントです。
○○が嫌という伝え方をすると、改善するから辞めないでほしいと言われ、引き留められる可能性があります。ネガティブな事情がある場合は、ほかにやりたい仕事があるというように、前向きに伝えると納得してもらえるはずです。
退職理由の例
退職の意思を伝える際には、辞める時期も明確に伝えましょう。就職が決まった場合、分かっている範囲で構わないので働き始める日を伝え、間に合うように逆算して引き継ぎを行います。理由別に例文を見ていきましょう。
【就職活動に専念】
就職活動を始めたところ、バイトの時間を確保するのが難しくなったので、○月で退職させてもらえないでしょうか。
【就職することになった】
実は就職先が決まり、○月○日から勤務することになりました。急で申し訳ありませんが、退職日について相談させてください。
【家庭の事情】
母が体調を崩し、入院することになりました。付き添いと家事を担当しなければならなくなったため、○月で退職させてください。
最終日にあいさつをする場合
アルバイトの最終日に朝礼や終礼などで、関係者にあいさつをする機会が設けられる場合があります。上司・先輩・同僚などお世話になった人には、個別でのあいさつもすると丁寧です。
【スタッフ全員へのあいさつ】
本日がバイトの最終日になりました。皆さんには大変お世話になり、ありがとうございました。至らない部分も多かったとは思いますが、なんとかやってこられたのも皆さんのおかげです。ここで学んだことを忘れず、今後も頑張りたいと思います。
【個別のあいさつ】
今日で最後の勤務になります。大変お世話になり、ありがとうございました。
シフトの都合で直接会ってあいさつできなかった人には、メールやLINEなどで連絡するか、「○○さんにも、よろしくお伝えください」と伝えておきましょう。
アルバイトでも退職届は必要?
通常、社員が会社を辞める際は退職届を提出しますが、アルバイトでも必要な場合があります。退職届が求められるケースや、書き方などをチェックしましょう。
一般的に退職届は不要
アルバイトの場合は社員とは違い、退職届は不要であるケースがほとんどです。たいていは、上司や責任者に口頭で辞める意思を伝えればよいとされます。
しかし職場によっては、アルバイトであっても、退職届を出す決まりになっている場合もあるものです。企業と従業員の言い分に後から食い違いが出るのを防ぐために、退職届を出すように決められているケースがあります。
もし退職届を求められたのであれば、速やかに提出しましょう。職場に退職届のフォーマットが用意されているか確認し、あればルールを守って提出します。
退職届の書き方や渡し方
退職届のフォーマットがない場合、自分で紙に書いて提出しましょう。A4サイズの白い紙に、以下の要領で縦書きします。
退職届
私事
このたび、一身上の都合により20○○年○月○日をもって退職いたします。20○○年○月○日(退職届を提出する日付)
○○部 ○○(自分の氏名)印鑑
株式会社○○ ○○殿(社長や代表者の氏名)
退職理由が自分都合の場合は「一身上の都合」、会社都合の場合は「退職勧奨により」と書きます。閉店などの具体的な理由があれば、そちらを記載しましょう。所属していた部署名があれば、氏名の前に入れます。
三つ折りにして白い封筒に入れ、表書きに「退職届」と書いて、上司や責任者に手渡ししましょう。
アルバイトの退職前に確認すること
アルバイトを辞める前に、最終出社日の調整を行わないとスケジュールが立てられません。返却物の確認についても忘れないようにします。退職前に確認する項目をチェックしましょう。
業務の引き継ぎや最終出社日について
退職の意思を伝えたら、業務の引き継ぎ内容と最終出社日を明確にしましょう。引き継ぎが必要な業務があれば、誰に何を教えればよいか上司から指示をもらいます。
最終出社日から逆算してスケジュールを立て、漏れがないように引き継ぎを行いましょう。担当している仕事が多い場合、紙に書き出すとスムーズです。
もし自分しか知らない仕事のやり方があるならメモを残しておき、辞めた後に職場が困らないように配慮します。
給与の受け取りや有給消化について
退職後の給与は振込なのか手渡しなのかなど、受け取り方法を確認しておくと安心です。また、有給休暇が発生しているなら、最終出社日までに消化できるようにスケジュールを立てましょう。
アルバイトでも労働者の権利として有給休暇がもらえるので、長く勤務していて、これまで1日も取得していない場合などには、何日分か残っている可能性があります。
条件や付与日数は、週あたりの労働日数や勤続年数などによって異なるので、退職前に確認しましょう。
参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省
受け取るものや返却するものもチェック
アルバイト先で社会保険や雇用保険に加入しているかどうかによって、退職時に受け取るものの内容が変わるので、確認しましょう。また、以下のように働くにあたって貸与されていたものは、返却する必要があります。
【受け取るものの例】
- 源泉徴収票
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
【返却するものの例】
- 健康保険証
- 名刺・名札
- 制服・エプロンなど
- 借りていた事務用品など
源泉徴収票は、退職後に郵送されるケースが少なくありません。確定申告で必要になるので、受け取った後は失くさないように保管しておきましょう。
制服やエプロンは、クリーニングに出してから返却するのが基本ですが、職場で管理されている場合はルールに従います。使用していたロッカーなどがあるなら整頓し、私物は持ち帰りましょう。
アルバイトを円満に退職しよう
アルバイトを退職する際は、直属の上司に意思や事情を直接伝えましょう。就職活動や就職が決まったなどの事情があるなら、率直に伝えた方がスムーズに退職できます。
引き継ぎや人員の補充に時間がかかるケースもあるので、余裕を持って退職の意思を伝えることが大事です。やむを得ない事情があるなら仕方がないものの、辞めた後の職場が混乱しないように配慮するのが円満に退職するコツです。
お世話になった人々へのあいさつや、受け取るもの・返却するものの確認も怠らず、円満に退職しましょう。
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