失業保険は仕事が決まったらもらえない?再就職で受給できる手当とは

失業保険の受給や再就職が決まった際の手続きについて、よく分からない人も多いかもしれません。仕事が決まったときの失業保険の手続き方法や、再就職にあたり受給できる手当について解説します。

仕事が決まったら失業保険はもらえない?

若いビジネスマン

(出典) pixta.jp

失業保険は、雇用保険に加入していた人が失業した際に、安定した生活を送りながら求職活動できるよう支給される手当です。そのため、仕事が決まったら支給を停止する手続きが必要です。失業保険を停止する手続き方法などについて、具体的に説明します。

仕事が決まったらハローワークに連絡する

仕事が決まったら、ハローワークに連絡して、採用された旨を伝えましょう。失業保険は、就職日の前日までが認定対象なので、必ず就職する前日にハローワークへ行って認定を受けることが大切です。

就職日の前日が休日の場合は、その休日の前日に行って認定を受けましょう。休日分の手当を受給するには、後日改めてハローワークに行くか、失業認定申告書を郵送して申請すれば認定を受けられます。

また会社によっては、就職日は4月1日で初出勤日は4月3日といったように、初出勤日と就職日が異なるケースもあるでしょう。そういった場合でも就職日に基づいて考えるため、4月2日に認定を受けても、4月1日と2日は認定期間に含まれません。

参考:雇用保険受給のQ&A | ハローワーク渋谷

停止しないと不正受給になるので注意

仕事が決まった後も失業保険をもらい続けていると、不正受給となり厳しく処分されます。たとえ実際に失業保険を受け取っていなくても、仕事が決まった事実を申告しなかったり、就職日を偽って申請したりするだけで不正受給となるので注意しましょう。

自営業を開始する場合は、準備を始めた段階でハローワークに連絡することが必要です。また、試用期間として働いたケースやパートやアルバイトとして就労したケースでも、正しく申告しなければ不正受給と見なされます。

参考:ハローワークインターネットサービス - 雇用保険の具体的な手続き

仕事をしながら受給できるケースも

労働時間や日数が規定以内であれば、仕事をしながら失業保険を受けられる可能性もあります。仕事をしたときには、働いた直後の認定日に、勤務先名や労働時間などを申告することが必要です。

認定日までに収入があった場合は、収入の額も申告します。1日の労働時間が4時間未満であれば手当を受給できますが、収入の額によっては、働いた日数分の手当が減額されるケースもあります。

4時間以上働くと「就労・就職」と見なされるため、その日の手当は支給されません。また、アルバイトやパートでも、週20時間以上継続的に勤務すると就職として取り扱われるため、失業保険は停止されます。

参考:雇用保険受給のQ&A | ハローワーク渋谷

失業保険の受給条件とは

失業保険関係書類と一万円札と通帳

(出典) pixta.jp

そもそも失業保険をもらうには、どのような条件を満たしていることが必要なのでしょうか。失業保険の受給条件についても知っておきましょう。

雇用保険の加入期間が12カ月以上

失業保険を受給するには、離職した日以前の2年間に、雇用保険の加入期間が通算満12カ月以上あることが原則です。

ただし、倒産や解雇などによる失業の場合は、離職した日以前の1年間に通算満6カ月の被保険者期間があれば、受給の対象となります。

雇用保険は、正規雇用か非正規雇用かを問わず、下記のような基準に該当する人は全て被保険者として届け出るよう、事業者に義務付けられています。

  • 期間の定めなく雇用される
  • 雇用期間が31日以上あるか、雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇い止めを明示されていない
  • 当初は31日以上の雇用予定はなくても、その後31日以上の雇用が見込まれる
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上ある

参考:
ハローワークインターネットサービス - 基本手当について

雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! |厚生労働省

求職活動中である

失業保険を受給するには、求職活動をしているという点も必要です。失業保険は、いつでも就職できる能力・体力・環境があり、積極的に求職活動をしているのに仕事が見つかっていない人に対して支給されます。

そのため、就職するつもりがない人や健康上の理由などによりすぐに働けない人は、失業保険を受給できません。また、求職活動と見なされる範囲についても、以下のように決められています。

  • 求人への応募
  • ハローワークでの職業相談・職業紹介や、各種セミナー・講習の受講
  • 許可・届け出がある民間職業紹介機関や労働者派遣機関での職業相談・職業紹介・セミナー受講
  • 公的機関などでの職業相談や、各種講習・セミナー、個別相談できる企業説明会などへの参加
  • 再就職のための各種国家資格試験や、検定などの資格試験の受験

また、公共職業訓練などの受講期間中や選考結果を待っている間などは、求職活動の実績を必要とされない場合もあります。

参考:ハローワークインターネットサービス 雇用保険の具体的な手続き

離職理由によって支給までの期間が異なる

ハローワークに離職票を提出して受給資格が決定すると、決定日から通算7日間は、待期期間となるのが原則です。

待期期間の満了後は、離職の理由によって失業保険の支給が制限される期間があるため(給付制限期間)、人によって支給までの期間が異なります。

正当な理由がない自己都合で退職した場合の給付制限期間は、2カ月です(2020年10月1日以降に離職した場合)。

5年間のうち1回までの自己都合退職であれば給付制限期間は2カ月ですが、5年間に2回以上自己都合で退職した場合、3回目の給付制限期間は3カ月となります。倒産や解雇など会社都合による失業の場合には、給付制限はかかりません。

参考:

ハローワークインターネットサービス - よくあるご質問(雇用保険について)

「給付制限期間」が2か月に短縮されます|厚生労働省

失業保険以外に受給できるもの

電卓と現金

(出典) pixta.jp

失業保険を受給していた場合、一定の条件を満たしていると、再就職する際に別の手当が支給される可能性もあります。どのような手当があるか確認しましょう。

再就職手当

再就職手当は、失業保険を受給していた人が安定した仕事に就いた場合に支給される手当です。手当を受給するには、以下の条件を全て満たしていなければなりません。

  • 就職日の前日に認定を受け、さらに失業保険の支給残日数が所定の1/3以上ある
  • 1年を超えて雇用されることが確実である(更新によって1年を超える雇用が見込まれる場合も含む)
  • 離職前の事業主や密接な関係にある事業主による雇用ではない
  • 7日間の待期期間後の就職である
  • 給付制限があった場合、待期期間満了後1カ月はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職である
  • 就職日より前の3年以内に、再就職手当または常用就職支度手当を受給していない
  • 失業保険の受給が決定した日より前に内定した雇用ではない
  • 原則として雇用保険に加入できる就職である

自営業でも、1年を超えて安定的に継続できると認められれば、再就職手当を申請できる場合があります。

参考:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~ Q39|厚生労働省

就業促進定着手当

就業促進定着手当は、再就職手当を支給された人が、再就職先の賃金が離職前より低い場合に受給できる可能性がある手当です。受給に関しては、下記の条件をどちらも満たす必要があります。

  • 再就職先に6カ月以上雇用されている
  • 再就職先で6カ月の間に支払われた賃金の1日分の額(賃金日額)が、失業保険を受ける離職前より低い

支給額は、下記の計算式で算出されます。

  • 就業促進定着手当=(離職前の賃金日額−再就職日から6カ月間に支払われた賃金日額)×再就職日から6カ月間のうち賃金の支払いの基礎となる日数(月給制は暦日数、日給月給制は基礎となる日数・日給、時給制は勤務日数)

就業促進定着手当には上限額が決まっているので、申請する際は確認しましょう。

参考:ハローワークインターネットサービス - 就職促進給付 -

就業手当

就業手当とは、失業保険を受給している人で、常用雇用(期間の定めのない雇用や1年を超える雇用など)以外の形態で就職した人に支給される手当です。就業手当の受給にも、以下のように満たすべき要件があります。

  • 失業保険の給付残日数が所定の1/3以上かつ45日以上
  • 離職前に働いていた事業主による雇用ではない
  • 求職の申し込みをした日より前の雇用契約ではない
  • 7日間の待期期間後の就職である
  • 給付制限があった場合、待期期間満了後1カ月はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職である

就業手当の支給額は以下の計算式で算出されます。

  • 就業手当支給額=就業日×30%×失業保険の基本手当日額(60歳未満は上限1,857円)

常用就職支度手当

常用就職支度手当は、失業保険の受給資格者・高年齢受給資格者・特例受給資格者・日雇い受給資格者のうち、障害などで就職が難しい人が安定した職業に就いた場合に支給されるものです。

常用就職支度手当が支給されるためには、基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3未満であることが必要です。再就職手当の対象となる要件を満たしている場合は、障害などがある人でも、常用就職支度手当ではなく再就職手当が支給されます。

常用就職支度手当の支給額は以下のように、失業保険の給付残日数と基本手当日額から計算します。

  • 常用就職支度手当支給額=給付残日数×40%×基本手当日額

支給残日数の上限は90日です。90日未満の場合は残日数、45日未満の場合は45日として計算します。基本手当日額の上限は6,190円(60歳以上65歳未満は5,004円)です。

例えば、支給残日数が100日、基本手当日額が5,000円の人が常用就職支度手当を受ける場合の支給額は「90日×40%×5,000円=18万円」となります。

参考:ハローワークインターネットサービス 就職促進給付

仕事が決まったら失業保険の停止手続きを

ハローワークの看板

(出典) pixta.jp

失業保険の給付期間中に仕事が決まったら、ハローワークに連絡して失業保険の停止手続きを忘れずに行いましょう。手続きせずにいると、実際に受給していなくても、不正受給として厳重な処分が科せられます。

仕事が決まった後も、一定の条件を満たしていれば、再就職手当や就業促進定着手当などを受けられるケースもあります。

失業保険はあくまでも求職活動中の生活の安定を図るためのものです。受給している間にしっかり求職活動を行い、安定した収入を得られる仕事を見つけましょう。仕事探しには、豊富な求人数が掲載されているスタンバイの活用もおすすめです。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら