50代の平均年収を条件別に紹介。年収差を生み出す要素や貯金額は?

50代になっても収入が低いと感じているのなら、平均年収を知っておくのがおすすめです。さまざまな角度から平均年収を比較すれば、自分の年収がどれくらいの位置付けなのかが分かります。50代の平均年収を条件別に見ていきましょう。

50代の平均年収はどのくらい?

ベテランの男性会社員

(出典) pixta.jp

厚生労働省による「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータを用いて、世代別の平均年収を計算します。50代の平均年収が、全世代の平均年収と比較してどのくらい差があるのかも確認しましょう。

50代は全世代で最も平均年収が高い

2022年における20~69歳の各年代の平均年収は、以下の通りです。Excelファイルにある「企業規模計(10人以上)」「男女計・学歴計」のデータを用い、「決まって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

  • 20~24歳:24万800円×12カ月+38万2,200円=327万1,800円
  • 25~29歳:28万1,700円×12カ月+65万5,500円=403万5,900円
  • 30~34歳:31万4,100円×12カ月+79万9,300円=456万8,500円
  • 35~39歳:34万6,700円×12カ月+92万6,100円=508万6,500円
  • 40~44歳:36万6,100円×12カ月+101万2,800円=540万6,000円
  • 45~49歳:37万9,500円×12カ月+108万1,300円=563万5,300円
  • 50~54歳:39万3,200円×12カ月+115万9,100円=587万7,500円
  • 55~59歳:39万5,600円×12カ月+115万5,700円=590万2,900円
  • 60~64歳:31万3,000円×12カ月+69万2,000円=444万8,000円
  • 65~69歳:27万1,000円×12カ月+35万800円=360万2,800円
  • 全世代:34万100円×12カ月+88万4,500円=496万5,700円

全年代の中で50代の平均年収が最も高く、定年前の55~59歳でピークを迎えます。55~59歳と全年代の平均年収の差は約100万円です。50代の平均年収を知りたい場合、まずは上記の数字と自分の年収を比べてみましょう。

参考:表番号1 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計・産業別)Excelファイル「(1-1-1)aa1n11」 | 厚生労働省

条件別に見た50代の平均年収

給料のイメージ

(出典) pixta.jp

平均年収を条件別に見れば、より実態に即した数字を確認できます。男女別・事業所規模別・業種別の平均年収をチェックし、自分の年収と比較してどうなのか確かめましょう。

男女別

2022年における50代の男女別平均年収は以下の通りです。Excelファイルにある「企業規模計(10人以上)」の「男・学歴計」と「女・学歴計」の数字を使って計算しました。

【男・学歴計】

  • 50~54歳:44万5,000円×12カ月+138万2,600円=672万2,600円
  • 55~59歳:44万7,100円×12カ月+137万4,900円=674万100円

【女・学歴計】

  • 50~54歳:29万7,500円×12カ月+74万5,800円=431万5,800円
  • 55~59歳:29万5,800円×12カ月+73万1,100円=428万700円

男女ともに50~54歳と55~59歳の平均年収の差が小さいのは、役職定年の影響が大きいと考えられます。役職定年とは、60歳の定年退職前に役職から外れる制度のことで、一般的な役職定年の開始年齢は55~59歳です。

参考:表番号1 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計・産業別)Excelファイル「(1-1-1)aa1n11」 | 厚生労働省

事業所規模別

2022年における50代の事業所規模別平均年収をまとめました。Excelファイルにある「1,000人以上」「100~999人」「10~99人」のそれぞれについて、「男女計・学歴計」の数字を使って計算しています。

【1,000人以上】

  • 50~54歳:45万7,500円×12カ月+167万400円=716万400円
  • 55~59歳:45万6,300円×12カ月+168万4,500円=716万100円

【100~999人】

  • 50~54歳:38万2,700円×12カ月+109万7,100円=568万9,500円
  • 55~59歳:39万700円×12カ月+111万1,400円=579万9,800円

【10~99人】

  • 50~54歳:33万6,800円×12カ月+68万4,600円=472万6,200円
  • 55~59歳:33万9,000円×12カ月+66万4,900円=473万2,900円

50~54歳の平均年収は、企業規模を問わない全体では587万7,500円ですが、企業規模が10~99人の場合は472万6,200円まで下がります。

自分の年収が平均的であれば納得できるという場合は、全体の平均だけでなく、現在の職場と同程度の企業規模のデータも参考にしましょう。

参考:表番号1 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計・産業別)Excelファイル「(1-1-1)aa1n11」 | 厚生労働省

業種別

50代の平均年収を業種別に確認しましょう。Excelのタブを切り替えて、「鉱業・採石業・砂利採取業」から「複合サービス事業」までのそれぞれで、「男女計・学歴計・企業規模計」の数字を使って計算しました。

【鉱業・採石業・砂利採取業】

  • 50~54歳:43万3,400円×12カ月+160万8,500円=680万9,300円
  • 55~59歳:43万9,700円×12カ月+157万1,200円=684万7,600円

【建設業】

  • 50~54歳:43万4,100円×12カ月+140万7,200円=661万6,400円
  • 55~59歳:42万8,600円×12カ月+134万8,200円=649万1,400円

【製造業】

  • 50~54歳:39万3,200円×12カ月+131万7,200円=603万5,600円
  • 55~59歳:39万8,300円×12カ月+133万6,200円=611万5,800円

【電気・ガス・熱供給・水道業】

  • 50~54歳:56万5,200円×12カ月+175万600円=853万3,000円
  • 55~59歳:54万5,000円×12カ月+177万8,900円=831万8,900円

【情報通信業】

  • 50~54歳:49万4,100円×12カ月+163万6,600円=756万5,800円
  • 55~59歳:51万3,500円×12カ月+164万8,900円=781万900円

【運輸業・郵便業】

  • 50~54歳:37万4,600円×12カ月+63万4,300円=512万9,500円
  • 55~59歳:36万6,300円×12カ月+60万300円=499万5,900円

【卸売業・小売業】

  • 50~54歳:39万4,300円×12カ月+126万8,100円=599万9,700円
  • 55~59歳:39万4,500円×12カ月+128万4,100円=601万8,100円

【金融業・保険業】

  • 50~54歳:50万1,400円×12カ月+210万3,500円=812万300円
  • 55~59歳:44万2,600円×12カ月+158万1,200円=689万2,400円

【不動産業・物品賃貸業】

  • 50~54歳:42万3,500円×12カ月+140万1,600円=648万3,600円
  • 55~59歳:43万500円×12カ月+145万3,500円=661万9,500円

【学術研究・専門技術サービス業】

  • 50~54歳:48万5,900円×12カ月+181万6,600円=764万7,400円
  • 55~59歳:50万2,500円×12カ月+195万7,700円=798万7,700円

【宿泊業・飲食サービス業】

  • 50~54歳:31万5,400円×12カ月+43万7,100円=422万1,900円
  • 55~59歳:30万9,200円×12カ月+43万6,600円=414万7,000円

【生活関連サービス業・娯楽業】

  • 50~54歳:33万200円×12カ月+49万1,700円=445万4,100円
  • 55~59歳:31万2,800円×12カ月+47万1,400円=422万5,000円

【教育・学習支援業】

  • 50~54歳:46万2,000円×12カ月+164万9,400円=719万3,400円
  • 55~59歳:49万8,800円×12カ月+185万600円=783万6,200円

【医療・福祉】

  • 50~54歳:34万6,900円×12カ月+84万3,200円=500万6,000円
  • 55~59歳:36万600円×12カ月+85万6,500円=518万3,700円

【複合サービス事業】

  • 50~54歳:38万1,300円×12カ月+127万4,300円=584万9,900円
  • 55~59歳:38万7,400円×12カ月+128万2,400円=593万1,200円

業種別の平均年収が分かれば、今の自分の年収と比較するだけでなく、他業種への転職を検討する際の参考にもなります。

参考:表番号1 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計・産業別)Excelファイル「(1-1-1)aa1n11」 | 厚生労働省

50代の手取りの平均

給料と電卓

(出典) pixta.jp

一般的に年収という場合は、控除前の総支給額を指します。年収から手取りを計算する方法を理解した上で、50代の手取りの平均がいくらになるのか確認しましょう。

手取りの計算方法

手取りは、総支給額から社会保険料や税金を引いた残りの、毎月手元に入ってくるお金です。社会保険料は健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料、税金は所得税と住民税が、毎月の給与から天引きされます。

手取りの目安は一般的に、総支給額の約70~80%です。額面に70~80%を掛ければ、おおまかな手取り額が分かります。

ボーナスからも社会保険料や税金が控除されますが、住民税は差し引かれません。年収から手取りを計算する場合は、「(額面年収−額面ボーナス)÷12」の計算式で額面月給を算出した上で、手取り月額を計算しましょう。

税金や社会保険料と手取りの内訳

50〜54歳の平均年収は約588万円です。目安としてこの20〜30%が税金や社会保険料、70〜80%(約412万〜470万円)が手取りの平均額になります。ただ、扶養家族の数をはじめとした個人の状況によって、手取りは変わることを覚えておきましょう。

年収の中から支払うことになる税金・社会保険料の項目は、以下の通りです(一般企業にフルタイムで雇用されている場合)。

  • 所得税
  • 住民税
  • 厚生年金保険料
  • 健康保険料
  • 雇用保険料
  • 介護保険料

日本は累進課税制度を取り入れているため、所得税や住民税は年収が上がるほど高くなります。自分の年収や状況から所得税・住民税・社会保険料がいくらになるか知りたい場合は、シミュレーションツールを使って計算してみましょう。

50代の年収差を生み出す要素

通帳をチェックする男性

(出典) pixta.jp

同じ50代でも、年収には大きな差が生じます。50代の年収差を生み出す性別・企業規模・業種以外の要素を確認しましょう。計算には、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」に掲載されている月額賃金のデータを用いました。

学歴

2022年における50代の平均月額賃金を、学歴別にまとめると以下の通りです。

【男女計・50~54歳】

  • 高校:31万600円
  • 専門学校:34万200円
  • 高専・短大:33万円
  • 大学:47万4,900円
  • 大学院:61万4,300円

【男女計・55~59歳】

  • 高校:31万4,300円
  • 専門学校:34万6,500円
  • 高専・短大:33万8,000円
  • 大学:49万1,100円
  • 大学院:63万5,600円

【男性・50~54歳】

  • 高校:34万6,400円
  • 専門学校:37万7,900円
  • 高専・短大:41万8,000円
  • 大学:50万円
  • 大学院:63万2,400円

【男性・55~59歳】

  • 高校:35万300円
  • 専門学校:38万7,200円
  • 高専・短大:43万4,800円
  • 大学:51万3,800円
  • 大学院:64万5,000円

【女性・50~54歳】

  • 高校:24万200円
  • 専門学校:29万4,400円
  • 高専・短大:29万7,800円
  • 大学:36万4,200円
  • 大学院:52万8,900円

【女性・55~59歳】

  • 高校:24万2,100円
  • 専門学校:30万6,200円
  • 高専・短大:30万900円
  • 大学:37万5,700円
  • 大学院:58万5,000円

学歴が違うと年収にも大きな差が生じます。他のデータで自分の年収が低いと感じる場合は、学歴別の平均賃金も参考にしてみましょう。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 学歴別 | 厚生労働省

雇用形態

50代の平均月額賃金に対する、雇用形態の違いの影響についても確認しましょう。正社員・正職員と正社員・正職員以外の平均月額賃金は、それぞれ以下の通りです。

【男女計・50~54歳】

  • 正社員・正職員:38万7,500円
  • 正社員・正職員以外:21万1,900円

【男女計・55~59歳】

  • 正社員・正職員:39万6,200円
  • 正社員・正職員以外:21万6,700円

【男性・50~54歳】

  • 正社員・正職員:42万1,400円
  • 正社員・正職員以外:24万1,000円

【男性・55~59歳】

  • 正社員・正職員:43万1,000円
  • 正社員・正職員以外:24万7,300円

【女性・50~54歳】

  • 正社員・正職員:30万7,400円
  • 正社員・正職員以外:20万円

【女性・55~59歳】

  • 正社員・正職員:31万400円
  • 正社員・正職員以外:19万9,800円

50代における正規雇用と非正規雇用の月額賃金の差は、性別に関係なく10万円以上という結果です。契約社員・パート・アルバイトの場合は、どうしても年収が低めになります。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 雇用形態別 | 厚生労働省

役職

50代になると、何らかの役職に就いている人も多いでしょう。「令和4年賃金構造基本統計調査」では、役職別の平均賃金も分かります。

【男女計】

  • 部長級:58万6,200円
  • 課長級:48万6,900円
  • 係長級:36万9,000円
  • 非役職者:28万1,600円

【男性】

  • 部長級:59万3,100円
  • 課長級:49万5,600円
  • 係長級:37万9,100円
  • 非役職者:30万1,000円

【女性】

  • 部長級:52万100円
  • 課長級:43万5,000円
  • 係長級:33万7,600円
  • 非役職者:25万3,200円

全年代を含めた平均賃金ですが、同じような傾向は50代にも当てはまると考えられます。自分の役職に該当するデータと比較してみましょう。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 役職別 | 厚生労働省

50代の金融資産保有額

貯蓄のイメージ

(出典) pixta.jp

50代は現在の生活だけでなく、老後に向けた蓄えも強く気にしなければならない年代です。世の中の50代がどのくらいの金融資産を保有しているのか、金融広報中央委員会が公表しているデータを紹介します。

2022年の平均は約1,253万円

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、年代別の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む・2人以上世帯)は以下のような結果になっています。

  • 20代:214万円
  • 30代:526万円
  • 40代:825万円
  • 50代:1,253万円
  • 60代:1,819万円
  • 70代:1,905万円
  • 全年代:1,291万円

50代の金融資産保有額の平均は1,253万円ですが、中央値は350万円です。中央値とは小さい順に並べたデータの中央にあるデータのことであり、中央値を見るとより実態に即した数字が分かります。

50代の場合、金融資産を350万円保有していれば、同年代が保有する金融資産のほぼ真ん中の水準ということになるでしょう。

参考:各種分類別データ(令和4年) ― 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) エクセルper22201 シート0004 |知るぽると

金融商品の内訳

50代の金融資産保有世帯に限った金融資産保有額の平均は1,684万円です。金融資産の内訳をまとめました。

  • 預貯金:683万円
  • 金銭信託:21万円
  • 生命保険:237万円
  • 損害保険:28万円
  • 個人年金保険:147万円
  • 債券:24万円
  • 株式:325万円
  • 投資信託:116万円
  • 財形貯蓄:76万円
  • その他の金融商品:28万円

なお、50代の金融資産保有世帯に限った金融資産保有額の中央値は、810万円と平均の約半分のため、上記のデータの中央値も半分程度と考えてよいでしょう。

参考:各種分類別データ(令和4年) ― 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) エクセルper22201 シート0005 |知るぽると

50代の年収をアップさせる方法

電卓と株価チャート

(出典) pixta.jp

50代の人が毎月の収入を増やしたいなら副業、将来の備えを増やしたい場合は投資がおすすめです。思い切って転職するという方法も検討する価値があります。

副業

50代になるとそろそろ定年が見えてくるため、今働いている会社で引き続き仕事を頑張っても、大幅な昇進・昇給は難しいでしょう。そこでおすすめなのが副業です。

空いた時間を活用して副業に取り組めば、手っ取り早く収入を増やせます。定年後も副業を続けることで、年金の足しにできる点もポイントです。

50代でも応募できる仕事は数多く存在するため、年齢を気にする必要もありません。得意なことややってみたいことがあるなら、副業にチャレンジしてみましょう。

投資

預貯金や年金だけでは老後に不安を感じるなら、投資に取り組むのもおすすめです。iDeCoやつみたてNISAを利用すれば、50代からでもコツコツと資産を増やしていけます。

iDeCoは、毎月の積立額を最低5,000円から設定できる私的年金制度です。掛け金全額が所得控除の対象となる点や、運用益に課税されない点など、税制優遇を受けられるメリットがあります。

つみたてNISAは、少額投資に取り組む人のための非課税制度です。つみたてNISA口座で一定の投資信託を運用すると、運用益が最長20年間にわたり非課税になります(2024年からの新しいNISAでは、非課税保有期間は無期限に)。初心者向けの銘柄に限定されている点も魅力です。

参考:iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

参考:つみたてNISAの概要 : 金融庁

転職

今の会社より給与が高い会社に転職できれば、年収を増やせます。ただし、50代の転職はハードルが高いため、自分の市場価値を見極めることが重要です。

市場価値とは、転職市場における相対的な人材価値のことであり、キャリアやスキルで構成されます。市場から求められる特定のスキルやキャリアを持っていれば、50代でも転職しやすいでしょう。

今の職場で高い評価を得ていても、市場価値が高いとは限りません。活躍できる領域を見極めた上で、自分のキャリアやスキルを最大限に生かせる企業を探す必要があります。

50代の平均年収を知って今後に生かそう

男性会社員

(出典) pixta.jp

50代は全世代で最も平均年収が高い世代です。ただし、企業規模・業種・学歴などにより年収にも大きな差が生じるため、年収が低いと感じるなら、副業や転職で年収アップを図りましょう。

副業の仕事や転職先を探すなら、国内最大級の求人サイト「スタンバイ」を活用するのがおすすめです。全国の豊富な求人が掲載されているため、50代向けの仕事もすぐに見つかります。

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