40代平均年収を男女別・学歴別に解説。収入アップを狙うヒントも

40代の平均年収は、性別や学歴、勤務する企業規模などによって変わります。自分の年収が平均よりも大幅に下回っている場合には、収入アップを目指して行動しましょう。平均年収が高い業界や、40代からの転職で成功するポイントを解説します。

40代の平均年収はどのくらい?

中堅の会社員

(出典) pixta.jp

勤め先から給与の支払いを受けている人は、給与所得者と呼ばれます。40代の給与所得者の平均年収はどのくらいなのでしょうか?40代前半(40~44歳)と40代後半(45~49歳)の収入を確認します。

男女計の平均年収

年収とは、税金や社会保険料、その他の控除が差し引かれる前の総支給額を指します。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、男女計の平均年収は以下の通りです。

  • 40~44歳:540万6,000円
  • 45~49歳:563万5,300円

40代になると、平均年収が500万円を超えます。ただし、年収がそのまま手元に入るわけではありません。ここから税や社会保険料などが天引きされるのです。

税率や保険料の割合は、年収に応じて変動します。会社勤めの人の手取りは、一般的に年収(額面給与)の約75~85%になると考えましょう。

独身・扶養家族なしで、年収が600万円以内であれば、額面給与の約80%が手元に残るとされています。年収が約540万円の場合、手取り金額は約430万円になる計算です。

※平均年収は、「令和4年賃金構造基本統計調査」の企業規模計(10人以上)のデータを使用し、「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 産業大分類 1 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 (産業計・産業別) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

男性と女性の年収差は大きい

同じ40代でも、男性と女性で年収に大きな差があります。企業規模計10人以上の企業における男女別の平均年収は以下の通りです。

【男性】

  • 40~44歳:600万8,200円
  • 45~49歳:636万800円

【女性】

  • 40~44歳:423万8,500円
  • 45~49歳:431万7,100円

女性の平均年収が低い理由としては、非正規雇用の比率が高いことが挙げられます。結婚や子育てで会社を退職すると、正社員での再就職が難しいのが現実です。

時間の融通が利くパートタイマーを選択する人も多く、正社員として着実にキャリアを積み重ねる男性とは、収入に大きな差が開きます。

社内においては、同じ正社員であっても、業務内容に男女差がある点が指摘できるでしょう。管理職に昇進する女性は男性よりも少なく、年を重ねるにつれて収入差が大きくなります。

40代の平均年収を条件別に比較

電卓とお札

(出典) pixta.jp

40代の平均年収は、条件によってどのように変わるのでしょうか?企業規模別・雇用形態別・学歴別に比較してみましょう。

企業規模別

「令和4年賃金構造基本統計調査」を参考に、「1,000人以上」「100~999人」「10~99人」の企業別の平均年収を算出しました。

【1,000人以上】

  • 40~44歳:639万6,500円
  • 45~49歳:672万4,300円

【100~999人】

  • 40~44歳:526万3,300円
  • 45~49歳:548万6,200円

【10~99人】

  • 40~44歳:456万2,500円
  • 45~49歳:470万7,900円

以上の結果から、企業規模と平均年収は比例することが分かります。40代後半において、1,000人以上の会社と10~99人の会社では、約201万円の差がありました。

業界や雇用形態にもよりますが、年収アップを狙うのであれば、今よりも規模の大きな会社に転職する手が考えられるでしょう。

雇用形態別

正社員(正職員)と正社員以外(正職員以外)では、平均年収にどのような違いが生まれるのでしょうか?正社員以外には、契約社員・派遣社員・委託社員・パートタイム労働者などが含まれます。

【正社員・正職員】

  • 40~44歳:569万9,400円
  • 45~49歳:598万円

【正社員・正職員以外】

  • 40~44歳:294万700円
  • 45~49歳:288万9,300円

正社員(正職員)は、正社員以外(正職員以外)の平均年収を大きく上回ります。40代前半の正社員(正職員)は、年間賞与が111万7,800円であるのに対し、正社員以外(正職員以外)は13万1,500円です。

毎月の給与が違うだけでなく、賞与にも大きな差がある事実が分かります。

参考:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 雇用形態別 1 雇用形態、学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 正社員・正職員計 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 雇用形態別 1 雇用形態、学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 正社員・正職員以外計 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

学歴別

高校~大学までの学歴別での平均収入を比較してみましょう。企業規模計10人以上では、以下のような結果となりました。

【高校】

  • 40~44歳:465万4,800円
  • 45~49歳:490万9,400円

【専門学校】

  • 40~44歳:481万7,800円
  • 45~49歳:515万7,900円

【高専・短大】

  • 40~44歳:489万8,100円
  • 45~49歳:501万3,900円

【大学】

  • 40~44歳:639万4,700円
  • 45~49歳:700万9,300円

大学卒は大学卒以外に比べ、平均年収が高い傾向があります。「学歴が高い=努力した証」と捉え、給与面に反映する会社は少なくないようです。

しかし近年は、学歴よりも職歴や経験を重視する会社が増えています。今いる会社で実績を積み、自分の強みに磨きをかければ、転職先で年収アップが期待できるかもしれません。

参考:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 産業大分類 1 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 (産業計・産業別) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

平均年収が高い業界をチェック

タブレットでチェックする男性社員

(出典) pixta.jp

平均年収は、勤続年数や企業規模、学歴などによって変わりますが、働く業界によっても大きな差があります。年収アップを望むのであれば、平均年収が高い業界に転職するのも1つの手かもしれません。

「令和4年賃金構造基本統計調査(企業規模計10人以上)」から、40代の平均年収が高い業界をピックアップして紹介します。

インフラ業界

電気・ガス・熱供給・水道業などのインフラ業界は、平均年収が高い傾向があります。40代の平均年収は以下のように700万円以上で、40代全体の平均年収よりも200万円近く多い結果です。

  • 40~44歳:748万5,200円
  • 45~49歳:775万6,400円

インフラ業界ははやり廃りがなく、いつの時代でも需要が見込める業界です。大手企業が多い上に、業績が景気の影響を受けにくいため、常に安定した収入が期待できます。

逆に、平均年収の低さが目立ったのは「宿泊業・飲食サービス業」です。40~44歳では431万6,800円、44~49歳では416万6,500円で、電気・ガス・熱供給・水道業とは300万円以上の差があります。

情報通信業界

総務省の「日本標準産業分類」における大分類Gにおいて、情報通信業は以下のように定義されています。

この大分類には,情報の伝達を行う事業所,情報の処理,提供などのサービスを行う事業所,インターネットに附随したサービスを提供する事業所及び伝達することを目的として情報の加工を行う事業所が分類される。

具体的には、テレビやラジオなどの放送業のほか、ソフトウェア業や電気通信業、広告制作業などが含まれます。情報通信業に従事する40代の平均年収は以下の通りです。

  • 40~44歳:682万4,300円
  • 45~49歳:728万8,500円

インフラ業界と同様、情報通信業は私たちの生活に欠かせません。情報通信技術の発展は目覚ましく、今後は「第5世代移動通信システム(5G)」の普及と発展が期待されています。数ある業界の中でも、将来性のある業界といえるでしょう。

参考:大分類G-情報通信業 |総務省

金融・保険業界

金融・保険業界は、銀行・保険会社・証券会社などの業種が大部分を占めています。社会情勢の影響を受けないわけではありませんが、経営が比較的安定している企業が多く、従業員の年収は高い傾向があります。

  • 40~44歳:711万500円
  • 45~49歳:749万9,800円

金融・保険業界の代表的な職種には、営業職・事務職・その他の専門職があり、どの職種も専門的な知識やスキルが求められます。

40代が平均年収を上げる方法は?

前向きな中堅男性

(出典) pixta.jp

40代の平均年収と比べ、「自分の収入は低いかも」と不安を覚えた人も多いのではないでしょうか?40代からの平均年収が上がるかどうかは、本人の努力次第といえます。今の会社で収入アップが見込めないのであれば、転職も視野に入れましょう。

現職で昇給を目指す

将来的に昇給の見込みがあるならば、今いる会社で収入を上げるための努力をしましょう。昇給アップのポイントとして、以下が挙げられます。

  • チームリーダーを志望する
  • 若手の教育係に立候補する
  • 業務に関連のある資格を取得する
  • 目に見える成績を残す
  • 非正規雇用から正社員を目指す
  • 管理職を目指す

昇給のルールは会社ごとに異なるため、まずは人事制度や賃金体系を理解するところからスタートしましょう。人事制度には等級があり、給与水準や昇給の条件などが細かく定められているケースがほとんどです。

副収入を得る

厚生労働省は2018年、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、企業における副業の推進に乗り出しました。一般企業の多くでNGとされていた副業ですが、ガイドラインの発表や不景気の影響などを受け、副業を解禁する企業が増えています。

就業規則で副業が禁止されていなければ、本業以外で副収入を得る手も有効です。本業で培った知識やスキルが生かせれば、一般的なアルバイトよりも高収入を目指せる可能性があります。

パソコンやITに詳しい人であれば、パソコンインストラクターやデバッグ作業員などに挑戦してもよいでしょう。ただし、副業に力を入れすぎるあまり、本業がおろそかになっては本末転倒です。

待遇のよい仕事に転職する

自分の年収が働き方に見合っていないと感じた場合は、今よりも待遇のよい仕事に転職する手もあります。かつては、35歳を境に転職が困難になる「35歳の壁」という言葉がありましたが、転職市場を取り巻く環境は変化しています。

近年は、若い人材を採用して一から育てるよりも、知識や経験が豊富なミドル層を採用した方が、将来にプラスになると考える企業が増えているようです。

総務省統計局が2022年に公表した「労働力調査(第5表 年齢階級別転職者数及び転職者比率)」によると、2022年時点で35歳以上の転職者が全体の6割弱を占めています。

さらに、45歳以上の転職者は全体の4割弱と、40代以降で転職を成功させている人は少なくありません。

参考:統計局ホームページ/労働力調査(詳細集計) 2022年(令和4年)平均結果

40代の転職で押さえておきたいポイント

スマホを見ている男性

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40代からでも転職が可能とはいえ、30代までと同じ感覚で転職に踏み切るのは禁物です。根拠なく年収アップを求めれば、転職活動は難航するでしょう。40代に何が求められているのかを理解した上で、スキルの棚卸しや企業研究が必要です。

ミドル層にはマネジメント力が求められる

マネジメントの経験がある人は、転職が有利に進みます。ミドル層の採用を検討している会社は、部署やチームの統括が課題となっているケースが多く、管理職のポジションに就いていた人や部下の育成経験がある人は、選考に通過する可能性が高いでしょう。

近年は、ミドル層以上の人材が、スタートアップ企業やベンチャー企業に採用される事例が増えています。履歴書や面接で自分をアピールする際は、経験してきたマネジメントの内容を、より具体的に伝えましょう。

スペシャリストは重宝される

いくらマネジメントスキルが必要といっても、全ての人が管理職を経験してきたわけではありません。人の上に立つのが得意な人もいれば、縁の下の力持ちとしてチームを支えてきた人もいるでしょう。

40代からの転職では、特定分野の専門的な知識・スキルを有する「スペシャリスト」が重宝されます。

また、年齢を重ねてからの転職は、同業界・同職種が有利とされていましたが、近年は専門性を生かし、他業界に転職する事例も多くなってきました。

国内マーケットの縮小に伴い、多くの企業は異業種分野への進出を加速させています。その分野に精通している人材であれば、年齢にかかわらず採用される可能性は高いでしょう。

カルチャーフィットを重視する企業が多数

中途のキャリア採用を検討する際、多くの企業はカルチャーフィットを重視する傾向があります。カルチャーフィットとは、「Culture(文化)」と「Fit(適合)」を合わせた造語で、「企業文化への適合性」を意味します。

40代以上のミドル層は、他社の企業文化が染みついているため、転職後の環境になじめるかどうかが課題です。仕事へのこだわりが強すぎたり、他の従業員との関係性がうまく構築できなかったりして、なかなか成果が出せない人も少なくありません。

面接では、自分の経験やスキルをアピールするだけでなく、謙虚さや柔軟な姿勢を見せることが肝要です。

年収を増やしたいなら行動を!

廊下の中堅社員

(出典) pixta.jp

40代の平均年収は、企業規模や雇用形態、学歴などの要素により変化します。今よりも年収を増やしたいのであれば、現状を変える努力をする必要があるでしょう。

転職を考えている人は、自己分析やスキルの棚卸しを行った上で、早めに転職活動をスタートさせるのがおすすめです。40歳からの転職は十分に可能ですが、20代、30代に比べると、求められるスキルや条件が厳しくなるのが現実と考えられます。

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