転職活動中には、さまざまな必要書類を提出しなければなりません。どのような書類が必要なのかを事前に把握しておけば、スムーズに準備を進められるでしょう。転職時に必要な書類や、今の会社から受け取る書類を紹介します。
転職時に今の会社から受け取る必要書類
今の会社を辞める際には、会社からさまざまな書類を受け取ります。中には新しい職場に提出しなければならないものもあるため、必要書類をしっかりと確認しておきましょう。
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証とは、今の会社で雇用保険に加入していることを証明する書類です。転職先で提出を求められるほか、失業保険の給付手続き時にも必要になります。
会社で働いている場合、雇用保険被保険者証は会社側で保管するのが基本です。会社を辞めるときに会社から返却され、再就職先が決まるまでの間は自分で保管することになります。
雇用保険の加入条件を満たしていない人は、そもそも雇用保険に加入していないため、雇用保険被保険者証が発行されません。雇用保険の加入条件は次の通りです。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用が見込まれる
年金手帳
年金手帳は年金の情報について記載された小冊子です。手元で管理しているケースもありますが、会社に預けている場合は退職時に返却してもらう必要があります。
再就職時に会社が行う厚生年金保険の資格取得手続きには、基礎年金番号が必要です。転職先から年金手帳の提出を求められ、すぐに返してもらえるかどうかは会社次第といえます。
1997年1月から2022年3月までに被保険者資格の取得手続きを行った人には、青色の年金手帳が発行されています。1996年12月以前に手続きを行った人の年金手帳は、オレンジ色または茶色です。
2022年4月以降に初めて年金制度に加入する場合は、手帳の代わりに基礎年金番号通知書が発行されます。
源泉徴収票
従業員が会社から受け取る給与は、税金と社会保険料が天引きされます。会社が所得税を従業員の給与からあらかじめ差し引くことを、源泉徴収といいます。
支払金額・源泉徴収税額・各種控除などを記載した書類が、源泉徴収票です。会社を退職する場合、会社は従業員に源泉徴収票を発行する義務があります。
源泉徴収票は年末調整に必要な書類であり、退職した年の年末までに再就職する場合は、転職先に提出しなければなりません。翌年まで再就職しないケースでも、自分で確定申告を行う際に源泉徴収票が必要です。
離職票
離職票は雇用保険の被保険者でなくなった人に発行される書類です。正式名称は「雇用保険被保険者離職票」といい、失業保険の手続きでハローワークから提出を求められます。退職時に再就職先が決まっている場合は失業保険を受け取れないため、離職票は必要ありません。
会社がハローワークに発行を申請し、会社経由で退職者が受け取ります。退職後に離職票を受け取れない場合は、会社に発行を依頼しなければなりません。
そもそも雇用保険に加入していなければ離職票は発行されないため、雇用保険に入っているかどうか在職中に確認しましょう。
参考:ハローワークインターネットサービス - 雇用保険の具体的な手続き
退職証明書
退職証明書は、過去に在籍していた会社を退職した事実を証明する書類です。退職者から退職証明書の発行依頼を受けた会社は、発行する義務があります。
退職証明書が必要になる代表的なケースは、転職先から提出を求められた場合です。転職先は退職証明書を見て、応募書類の記載事項の信ぴょう性や退職理由を確認します。
退職時に必ず発行されるものではなく、退職者から依頼を受けた場合にのみ、会社が発行します。転職先から提出を求められたら、退職した会社に発行を依頼すれば大丈夫です。
健康保険被保険者証は会社に返却
勤務先が所属する健康保険の被保険者であることを証明する書類が、健康保険被保険者証です。一般的には保険証と呼ばれています。
健康保険被保険者証は、退職時に会社へ返却しなければなりません。会社側にも健康保険被保険者証を受け取った後の手続きがあるため、速やかに返却しましょう。
従業員が健康保険被保険者証を使えるのは退職日までです。会社への返却が遅くなると新しい健康保険への加入手続きが遅れるため、医療費が全額自己負担になる期間が長引いてしまいます。
転職活動中の面接で必要な書類
応募企業の面接を受ける際は、履歴書と職務経歴書の持参を求められます。事前に郵送する場合は送付状を添付するのがマナーです。
履歴書
履歴書は応募者のプロフィールを企業が確認するための書類です。個人情報・学歴・資格・志望動機などを記入します。
履歴書に誤字脱字がないように、別の紙に下書きをしてから清書しましょう。間違いを修正するのもNGではありませんが、修正箇所があると印象を悪くしかねません。手書きで間違えた場合は、最初から新しい用紙に書き直しましょう。
履歴書の様式について応募企業から指示を受けていない場合は、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできる履歴書を使うのがおすすめです。
職務経歴書
職務経験とスキルを伝えるための書類が職務経歴書です。過去の実績や今までに習得した知識・スキルを記入します。
企業は応募者が自社で活躍できるかどうかを職務経歴書で判断するため、自分の実績やスキルを職務経歴書でうまくアピールしなければなりません。
職務経歴書には決まったフォーマットがなく、ある程度自由に書けます。A4用紙1~2枚に収めるのが一般的です。記載する内容だけでなく、読みやすさも意識して作成しましょう。
事前に郵送する場合は送付状を添付
履歴書や職務経歴書を事前に郵送する場合は、送付状を添付するのが一般的です。送付状は必須の書類ではありませんが、添付しておけばビジネスマナーが分かっていることのアピールにもなります。
送付状に記載する主な内容は、あいさつや送付する書類の内訳、そのほかに伝えておきたい情報です。A4用紙1枚に収まるボリュームにしましょう。定型文のみで作るのではなく、自分の言葉で書く部分も必要です。
履歴書や職務経歴書をメールで送る場合は、メールの本文が送付状の役割を果たします。面接時に初めて履歴書や職務経歴書を提出するケースでは、送付状は不要です。
転職決定後の入社時に求められる必要書類
退職時に会社からもらう雇用保険被保険者証・年金手帳・源泉徴収票は、ほとんどの転職先で提出を求められます。この3つ以外で入社時に必要な書類を紹介します。
健康保険被扶養者(異動)届
健康保険被扶養者(異動)届は、健康保険や厚生年金の被保険者である従業員について、被扶養者の増減があった場合に必要な書類です。
一般的には、従業員の結婚・出産などにより被扶養者が増えた場合に、被扶養者を追加する手続きで使います。被扶養者の削除や氏名変更の際にも必要です。
被扶養者がいる人が新しく入社する場合も、社会保険の資格取得届と一緒に、健康保険被扶養者(異動)届の提出を求められます。続柄を確認するために、被扶養者の戸籍謄(抄)本または住民票の写しも必要です。
参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは、給与の支払いを受ける人が、所得税に関して扶養控除などの各種控除を受けるために必要な手続きです。
年末調整の対象者となる人は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を会社に提出しなければなりません。扶養する親族がいない人も、いないことを証明するために提出します。
転職先で年末調整を受けることになる人は、入社時に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出が必要です。転職先から書類を渡されるため、必要事項を記入して提出します。
参考:[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁
給与振込先の届書
入社時には給与振込先の届書の提出も求められます。会社から受け取った書類に給与振込口座を記入するのが一般的です。通帳またはキャッシュカードのコピーが必要になるケースもあります。
給与振込先の届書に記入する口座は、従業員本人の名義でなければなりません。労働基準法では、給与の全額を従業員に直接支払うことが会社の義務であると定めているため、家族などの口座を記入するのはNGです。
未成年者がアルバイトをする場合も、保護者名義ではなく未成年者本人の名義の口座を用意する必要があります。
転職先によって提出が必要な書類
以下に挙げる5つの書類は、転職先によっては提出を求められる書類です。準備に時間がかかるものもあることに加え、不要な書類を準備するとお金や時間を無駄にするため、事前に転職先へ確認するとよいでしょう。
住民票記載事項証明書
住民票記載事項証明書とは、住民票に記載されている事項のうち、一般的に住所・氏名・性別・生年月日のみを示した書類のことです。現住所を確認するために、転職先から提出を求められる場合があります。
個人情報保護の観点から、住所確認の書類としては住民票の写しではなく、住民票記載事項証明書を求められる傾向があるのです。
一般的には、会社が用意する書類に必要事項を記入し、役所に提出すれば住民票記載事項証明書を発行してもらえます。住民票に記載されている事項なら、どれでも証明の対象とすることが可能です。
健康診断書
転職先から健康診断書を求められる可能性があるタイミングは、採用選考時と入社前の2回です。
入社前に健康診断書の提出を求められた場合、健康診断の結果で内定取り消しになることはほとんどありません。また、入社後に会社で健康診断を行うケースでは、入社前の健康診断書の提出は不要です。
採用選考時に健康診断書を提出する場合、診断内容によっては選考に影響を与える可能性もあります。例えば、発作を起こす恐れがあると診断された人は、運転・配送業務を行う仕事には採用されにくいでしょう。
入社誓約書
入社誓約書とは、内定を受けた人が転職先に対して入社の意思を誓約する書類です。内定承諾書と呼ばれるケースもあります。
入社誓約書を提出してもらった会社は、早い段階から受け入れ準備に着手することが可能です。また、内定者は安心して転職活動を終了できるため、内定者にとってもメリットがあります。
法的拘束力はありませんが、誓約後に内定を辞退すると転職先に大きな迷惑がかかります。本当に入社する意思がある場合のみ、入社誓約書を提出するのがマナーです。
身元保証書
会社によっては、新しく入社する人に身元保証書の提出を求めるケースもあります。身元保証書とは、従業員が会社に損害を与えた場合に、身元保証人が連帯して賠償責任を負うことを約束させる書類です。
身元保証書には、入社する本人が問題のない人物であることを、保証人に証明してもらう役割もあります。本人と連絡が取れなくなった場合も、身元保証書があれば会社は保証人に連絡することが可能です。
近年は従業員がSNSを利用して風評被害を発生させ、会社が大きな損害を受けるケースも増えています。会社によっては、安易なSNS利用を抑制する目的で、従業員に身元保証書を提出させているという事情もあるのです。
多くの企業は身元保証人の数を2名としています。1人は親族、もう1人は本人と生計が別の成人というルールを定めているのが一般的です。
免許・資格証明書
免許や資格が必要な仕事に就く場合や、資格手当が出る場合は、該当する免許や資格を取得していることを証明する書類が必要です。
例えば、看護師として働く場合は、国家資格である看護師免許を持っていることを証明しなければなりません。看護師免許証を紛失している場合は、保健所で再発行申請手続きを行うことで、免許を再発行してもらえます。
ほかにも、長距離ドライバーの仕事なら無事故・無違反証明書、通訳の仕事ならTOEICの点数を示す書類の提出を求められる可能性があるでしょう。書類によっては発行までに時間がかかるものもあるため、準備が必要なら早めに動くことが大切です。
転職時に必要な書類は早めの準備を
転職活動中には、さまざまな書類の提出が必要になります。退職時に会社から受け取る書類も、転職先で必要となるものが多いため、大切に保管しておかなければなりません。
転職先によって提出を求められる書類もあります。必要となる書類を事前に確認し、できるだけ早めに準備しておきましょう。
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