バイトを辞めさせてくれないときの対処法。円満退職のコツも解説

バイトを退職するなら、企業側も従業員側も晴れやかな気持ちで辞めるその日を迎えたいと思うものです。気持ちよく辞めたいにもかかわらず、引き留められてしまったときの対処法を紹介します。行動を起こして円満退職を目指しましょう。

円満退職のためにできること

お詫びする女性

(出典) pixta.jp

職場を辞めてしまえば企業との関係がなくなります。しかし、互いに嫌な気持ちを残したまま辞めれば、職場との間にしこりができてしまうでしょう。バイトを円満退職するためにできることを解説します。

はっきりと「辞めたい」と意思表示する

辞める意思を上司に報告したのに「辞めないで」と言われてしまう背景には、真意が伝わっていない可能性が隠れています。辞めたい気持ちが十分に伝わっていないからこそ、軽くあしらわれたり、冗談や愚痴だと思われたりするのです。

辞める意思をしっかり相手に伝えるには工夫が必要です。「お話があるのでお時間を取っていただけますか?」と上司に提案し、重要な話があるのだと相手に分かってもらいましょう。落ち着いて話せる空間で1対1で話すのも重要です。

話し合う姿勢を示すことも大切

バイトを円満に辞めたいなら、自分の気持ちを押し付けるのではなく、対話の姿勢を見せるのも大切です。話し合いに応じる態度を示すことで、円満に退職できる可能性が高まります。

急に「○日に辞めたい」という主張だけしても、企業側は困ってしまいます。話し合い、双方が気持ちよく辞められるタイミングを探るのが、スマートな退職の仕方といえるでしょう。

話し合いのポイントは、いつ頃までに辞めたいのか具体的な日程を示すことです。その上でシフトの調整を行ったり、後任者への引き継ぎの日程を組んだりして、実際の退職日を決めましょう。

バイトの退職と法律

電話をする店員

(出典) pixta.jp

退職は法律で定められている労働者の権利です。この事実はバイトであっても変わらず、ルールさえ守っていれば退職可能です。バイトの退職に関する法律の規定を紹介します。

退職の2週間前までに申告すれば辞められる

民法第627条では第1項で退職を申し出る時期と退職のタイミングについて以下のように規定しています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

出典:民法 | e-Gov法令検索

雇用期間の定めのない契約の場合、退職の意向を申し出てから2週間が経過すれば辞められると決められています。

雇用期間を定めなかった場合の雇用の解除については民法第628条で、やむを得ない事情があれば直ちに契約の解除が可能とされています。また、労働基準法第137条では契約を交わした日から1年以上が経過していれば、有期雇用契約であってもいつでも退職できると明記されています。

参考:
民法 | e-Gov法令検索
労働基準法 | e-Gov法令検索

それでも辞めさせてくれないときは

問い合わせをする女性

(出典) pixta.jp

円満退職を目指して努力を重ねているにもかかわらず、強引な引き留めを受けて困惑してしまうケースもあるでしょう。バイト先がどうしても退職に応じてくれないときに従業員ができることを解説します。

本社に掛け合う

チェーン展開している店で働いている場合には、本社に辞めたい旨を申し出るとスムーズに辞められる可能性が高まります。支店は本社の意向には逆らえません。そのため本社に退職を受け入れてもらえれば、支店である勤め先も退職に応じざるを得なくなります。

バイト先で労働組合に加入しているなら、労働組合に相談するのも手段の1つです。第三者に間に入ってもらうことで、強引な引き留めを回避できるかもしれません。

労働組合には、会社に属して働いている人であれば誰でも加入できるものもあります。賢く活用すれば、退職したいのにできない状況を打開できる可能性が広がるでしょう。

退職届を提出する

辞めたいと伝えているのに取り合ってもらえなかったり、強引な引き留めに遭っていたりする場合には、退職届を書いて提出するのも有効な手段の1つです。

退職届とは、企業の従業員が一方的に退職の意思表示をするために提出する書類を指します。特性上、企業側の人間の手元に届いた時点で効力が発生するので、受け取ってもらえさえすれば、提出から2週間後には契約を終了させられます。

退職届は、店長や責任者など直属の上司に直接手渡しするのが基本です。しかし、相手に受け取りを拒否された場合には、内容証明郵便を使って郵送することでも効力を発揮します。

退職代行に依頼する

強烈な引き留めに遭っていて辞められそうにない場合には、退職代行を依頼するのも手です。退職代行とは、従業員本人に代わって会社に退職の意思を伝え、退職の手続きをしてくれるサービスのことです。

退職代行を利用すれば、上司と対面せずに退職の手続きを進められるので、無理な引き留めによるストレスから逃れて退職を目指せます。

ただ、退職代行にはトラブルの可能性があることも心に留めておきましょう。業者によっては企業側と交渉できず、思わぬトラブルに発展するケースがあります。退職代行を利用するなら、弁護士が間に入ってくれるサービスを選ぶと安心です。

公的機関に相談する

「退職届を受け取ってもらえない」「しつこく電話をかけられる」「退職するなら今月分の給料を払わないと脅されている」など苦しい状態にある人は、労働基準監督署に相談してみましょう。

労働基準監督署とは、企業が労働関係法令を守って運営されているか監督・指導する機関のことです。辞めたいと申し出ている労働者を辞めさせないようにするのは法律違反なので、引き留め行為が悪質であれば対応してもらえる可能性があります。

労働基準監督署に駆け込むほどではない場合には、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」や都道府県労働局の「雇用環境・均等部」を頼るとよいでしょう。電話で相談したい場合には、「職場のトラブル相談ダイヤル」や「労働条件相談ほっとライン」などがおすすめです。

退職を引き留める理由とは

バイトリーダー

(出典) pixta.jp

バイトを辞めさせまいとする企業にも、従業員を引き留める理由があります。バイトの退職を引き留めようとする企業側が抱える事情を解説します。退職を拒まれる理由を知って、引き留めへの対策を考えるヒントにしましょう。

人手が足りないから

バイトを辞めさせてくれない背景には、職場が人手不足に陥っている可能性が隠れています。人手不足に悩まされている職場では、少ない人数で仕事を回さなくてはいけません。そんな状態で退職者が出れば、さらに仕事をさばくのが大変になってしまいます。

退職希望者がシフトに多く入っている場合、その人が抜けたことによる穴は大きくなります。他のスタッフのシフトを増やすにしても調整が大変なので、「できることなら辞めないでほしい」と思うのは必然といえるでしょう。

特に個人経営の店だと、他店からスタッフの融通を受けられないため、最悪の場合、休業となるケースもあります。

新たな人材の調達に時間と費用がかかるから

余分な時間とお金がかかるのを避けたいばかりに、退職したいバイトを引き留める職場もあります。

新しい人を雇って一から教育するには、それ相応の時間とお金が必要です。まず求人サイトに求人を掲載するために、万単位のお金を支払わなくてはなりません。

バイト希望者を集めた後は、面接の時間をつくり、応募者の中から有能な人を見つけ出す必要があります。採用者を決めたら、一人前のバイトとして働けるように研修を実施しなくてはなりません。

退職希望者を引き留められれば、これらのコストをかける必要が全てなくなるので、職場にとってはいいことずくめといえるのです。

退職希望者が有能だから

辞めたいと申し出ている人を引き留める背景には、退職希望者が有能だからという理由が潜んでいる場合もあります。退職希望者が仕事のできる人だった場合、辞められると職場に大きな影響を与えてしまいます。

他のバイトスタッフをまとめたり、新人バイトの教育ができたりするバイトスタッフは、現場をスムーズに回すのにかけがえのない存在です。商品の発注や在庫管理などを担い、社員並みに仕事ができるバイトも欠かすことのできない人材です。

バイトとして有能な人を失うと、それだけで職場がうまく回転しなくなる可能性があります。そのため企業は、仕事ができるバイトを引き留めようとするのです。

契約期間が残っているから

バイトの契約は有期雇用契約のケースが多いため、雇用契約が残っているからという理由で引き留められる可能性もあります。

雇用期間に定めのない無期雇用契約の場合、退職を申し出ればいつでも2週間後には契約を解除できます。しかし、雇用期間に定めがある有期雇用契約の場合には、やむを得ない事情がない限り、自由に退職できません。

以下のような理由がやむを得ない事情に当たります。

  • 就職先が決まった
  • 家庭の事情で引っ越しをする
  • 体調が悪化し仕事を続けられない

バイトの契約が有期雇用契約だったとしても、法律上は契約を交わした日から1年以上経過している場合、自由に辞められることになっています。

退職に関するNG行動とは

悩むカフェ店員

(出典) pixta.jp

人は追い詰められると思いも寄らない行動を起こすものです。過度な引き留めに遭っていると「早くこの状況から抜け出したい」という意識が働いて、普段ならやらないような行動に走ってしまう危険性があります。退職に関わるNG行動を紹介します。

無断欠勤からのバックレ

バイトを辞めさせてくれないからといって、無断欠勤を続けてフェードアウトを狙うのはおすすめできません。強引な引き留めに遭っていると、「いっそのことバックレてしまいたい」と魔が差す瞬間もあるでしょう。しかし、バックレは職場に多大な迷惑をかける行為なので、決してやってはいけません。

万が一バックレをしてしまうと、安否を心配して職場から電話がかかってきます。バックレる意思は職場には伝わらないため、当然の対応といえるでしょう。なかなか連絡がつかないと、自宅にスタッフが訪ねてきたり、緊急連絡先から実家に連絡がいったりするケースもあります。

可能性は極端に低いものの、民法第709条に抵触したとして損害賠償を請求される危険性もあるため、バックレだけはご法度と肝に銘じておきましょう。

参考:民法 | e-Gov法令検索

「辞めさせてくれない」とSNSで拡散

バイトを退職したいのになかなか辞めさせてくれない状態に陥ってしまうと、「今のつらい状況を誰かと共有したい」と思うものです。SNS全盛の現代においては、日常的なつぶやきの一環として、辞めたいのに辞めさせてもらえない今の状況を吐露したくなる人もいるでしょう。

だからといって、企業を名指しした上で企業にとって不利になる情報をSNSに投稿するのは危険です。営業妨害や誹謗中傷として訴えられる可能性があります。

SNSで企業の悪い評判を流せば、確実に企業との関係がこじれ、円満に辞められる道は閉ざされてしまいます。もし現在の窮状を共有したい場合には、企業名を伏せ、自身の気持ちだけを記して投稿すべきです。

しっかり話し合って円満退職を目指そう

笑顔のアルバイト女性

(出典) pixta.jp

バイトを退職すると企業との関係が絶たれます。そのため退職を検討するとき、「もう辞めてしまうからどうでもいいや」と考え、いい加減な方法で退職しようとする人もいるでしょう。

しかし、しこりが残るような退職の仕方をすると、気持ちよく再スタートを切るのが難しくなります。企業側としっかり話し合い、企業側も従業員側も双方が納得できる退職を目指すのが理想的です。

今のバイトを円満退職できたら、次はスタンバイで新しいバイトを探してみましょう。さまざまな求人を扱うスタンバイなら、希望に合う仕事が見つかるでしょう。

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