バイトの収入を扶養内で収めるには?扶養内で働くメリットも紹介

バイトをしていると家族から「扶養内で働いてほしい」といわれるケースがあります。扶養とは何かぼんやりとしたイメージはあっても、「どうすれば扶養内勤務を実現できるのか」説明できない人もいるはずです。扶養内で働くにはどうしたらいいのか解説します。

「扶養内で働く」の2つの意味

家計簿をつける女性

(出典) pixta.jp

主に生計を担っている人が、配偶者や子どもなど収入が一定以下の家族を経済的に支えることを扶養といいます。扶養には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つの意味があり、扶養内勤務を実現するにはそれぞれの意味を知っておかなくてはなりません。2つの扶養の内容について解説します。

税制上の扶養

税制上の扶養とは、生計を担う人の所得から、被扶養者である配偶者や子どもなどの人数・年齢などに応じた金額を差し引く制度です。扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除が税制上の扶養に当たります。

税制上の扶養に入ると、扶養する人の課税所得が扶養親族の数や年齢に応じて減額されるため、所得税や住民税の納税額が減ります。

さまざまな条件をクリアしないと、税制上の扶養には入れません。代表的な条件の1つが扶養親族の年収です。扶養控除の場合には、年収103万円以下が求められます。

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

配偶者控除と配偶者特別控除

税制上の扶養で配偶者控除もしくは配偶者特別控除を利用する際は、年収の条件が異なるので注意しましょう。

配偶者控除とは、年収103万円以下の配偶者がいる場合に適用される控除です。一方配偶者特別控除とは、年収103万超え201万円以下の配偶者がいる場合に適用されます。

配偶者控除もしくは配偶者特別控除を使って最も大きな控除額・38万円を実現するには、配偶者の年収を150万円以下に抑える必要があります。配偶者特別控除は、配偶者の年収が150万円を超えると、控除額が下がってしまうため注意が必要です。

参考:
No.1191 配偶者控除|国税庁
No.1195 配偶者特別控除|国税庁

社会保険上の扶養

社会保険上の扶養とは、親や配偶者など家計を支えている人が加入する社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被扶養者になることです。

社会保険上の扶養に入ると、被扶養者個人で社会保険料を納める必要がなくなるので、給料における社会保険料の天引きがなくなり、被扶養者の手取りが増えます。扶養の対象となるのは、扶養者の配偶者および3親等内の親族です。同居の有無によって条件が異なるので注意しましょう。

扶養に入るための収入条件は、年収130万円未満かつ、年収が扶養者の1/2未満(同居の場合)であることです。

社会保険上の扶養に関する2つのライン

社会保険上の扶養には、年収130万円未満以外にもう1つのラインが存在します。それが年収106万円以上です。一定の条件を満たした短時間労働者は、年収106万円以上になった時点で扶養から外れます。

扶養から外れてしまう短時間労働者の条件は以下の通りです。

  • 社会保険の被保険者数が101人以上所属する企業に勤務している
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上ある
  • 雇用期間が継続して2カ月を超えると見込まれる
  • 賃金の月額が8万8,000円以上(年収106万円以上)
  • 学生ではない

年収が130万円未満であっても、上記に当てはまるバイトは社会保険上の扶養から外れるものの、社会保険には加入しなければならないため、個人で社会保険料を納めなくてはなりません。

扶養内で働くメリット

家計簿のイメージ

(出典) pixta.jp

学生や主婦・主夫のバイトの場合、「扶養内で働きたい」と考える人が多くいます。扶養内勤務にはメリットが数多くあるため、多くの人が扶養内勤務を望むのです。扶養内で働くことで得られるメリットを紹介します。

親や配偶者の税負担が軽くなる

扶養に入る最大のメリットは、親や配偶者の税負担が軽減されることです。税制上の扶養に入ると、扶養者の課税所得から被扶養者の数や年収などに応じた金額が控除されます。税金の額の基準となる課税所得が減るため、扶養者の納める所得税や住民税の額が少なくなるのです。

例えば19歳の扶養親族がいる場合を考えてみましょう。扶養控除において19歳は「特定扶養親族」に当たるため、控除される金額は63万円です。

扶養控除を受ければ、この63万円分が扶養者の課税所得から減額されるため、課税所得の額によって決まる所得税や住民税が軽減されます。

所得税を負担しなくていい

税制上の扶養に入るための条件・年収103万円以下は、所得税がかからないラインでもあります。年収を税制上の扶養に入れる103万円までに収めれば、扶養者だけではなく被扶養者の所得税でもメリットがあるのです。

所得税の額は納税者の所得額に応じて決まります。年収が103万円以下になると課税所得がゼロになるため、納めるべき所得税の額もゼロになります。

ただ、税制上の扶養に入っていても、年収によっては住民税を納める義務を負うので注意しましょう。自治体によって金額が前後するものの、年収がおよそ100万円を超えると住民税が発生します。

保険料を払わなくても医療費が3割負担に

保険料の負担ゼロで医療費の3割負担が適用されるのも、扶養内で働くメリットです。社会保険上の扶養に入れば、健康保険料を個別で支払わなくても、扶養者の被扶養者として医療サービスが受けられます。

日本国民は何らかの公的医療保険に加入していなくてはなりません。保険に入れば当然保険料がかかりますが、社会保険上の扶養に入れば、負担ゼロで公的医療保険(健康保険)に加入できます。

被扶養者として医療サービスを受ける際には、「家族(被扶養者)」と記された保険証を使用します。これにより負担ゼロで健康保険の恩恵を受けられるのです。

扶養内で働くデメリット

家計簿をつけながら考える女性

(出典) pixta.jp

扶養内勤務を家族から提案されている場合、扶養の範囲内で働くメリットを強調される機会が多いはずです。しかし、扶養内勤務にもデメリットはあります。メリットとデメリットを両方知って、正しい判断を下すための理解を深めましょう。

年収を抑えて働く必要がある

扶養内勤務は、自由な働き方が制限されます。扶養に入るには年収の上限があるため、扶養内で働くには、勤務時間をセーブしながら年収を抑える必要があります。

扶養を外れて働ければ、扶養内勤務のメリットは享受できません。しかし、扶養から外れてこれまで以上の収入が得られるようになれば、税金や社会保険料の負担増を吸収できるかもしれません。

収入の多さを重視する場合、扶養内で働く場合と扶養を外れて働く場合の具体的な手残り金額を比較し、より世帯全体の手取りが多くなる方を選択するのが賢明といえるでしょう。

将来受け取れる年金額が減ってしまう

配偶者の扶養に入って勤務を続けると、厚生年金に加入している期間が短くなるため、老後にもらえる年金の額が減ってしまいます。

公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建て構造になっており、老後に受け取れる年金の額は、厚生年金の有無やその額に大きく左右されます。

社会保険上の扶養に入ると、被扶養者に当たる配偶者は第3号被保険者となるのがルールです。加入できる年金は国民年金だけになります。厚生年金の額は、加入期間やその間に得ていた報酬額などに応じて変わるため、扶養に入って厚生年金に加入しない期間が増えれば、それだけ老齢厚生年金の額が減ってしまいます。

扶養内で働くには

レジで作業をする女性

(出典) pixta.jp

扶養内で働く意味が分かっても、実際に扶養内で働く方法を知らなければ、扶養内勤務は実現できません。扶養内で勤務できるようにするにはどうすればいいのか、具体的な方法を紹介します。

シフトを調整して年収を抑える

今勤めているバイト先で扶養内勤務を達成したいなら、「扶養内で働きたい」と職場に伝え、シフトを調整してもらいましょう。

扶養内で勤務できるかどうかは、シフトの状況に大きく左右されます。年収を103万円以下もしくは130万円未満に抑えたいと前もって伝えておけば、限度を超えない程度のシフトで仕事を調整してもらえるでしょう。

年収が上限金額に迫ってきたところで「上限を超えそうなのでシフトを減らしたい」と申し出るのは危険です。上司や他のスタッフに迷惑をかける可能性があるため、扶養内で働くことを決めたら早めに知らせるようにしましょう。

「扶養内勤務OK」のバイトを探す

これからバイトを探す人は、「扶養内勤務OK」と明記されている求人に絞って仕事を探すのがおすすめです。扶養内で働く人を温かく迎えてくれる職場に出合える可能性が高まります。

「扶養内勤務OK」以外にも「学生活躍中」「主婦・主夫パート歓迎」などの記載があるバイトも狙い目です。学生や主婦・主夫は扶養内で働くケースが多いため、これらの記載がある仕事は、扶養内で働けるようシフトを調整してくれる職場が多いといえます。

扶養内で働いて家計の負担を軽くしよう

家計簿を見ながら話し合う夫婦

(出典) pixta.jp

主な収入源をもつ人とともに少ない年収で働き家計を支えている人がいる世帯にとって、扶養はうまみの多いシステムです。上手に活用すれば、税金や保険料の負担を最小限に抑えながら、世帯全体の収入を増やせます。

今のバイト先で扶養内勤務を実現したい人は、早めに「扶養内で働きたい」と上司に相談するようにしましょう。これからバイトを探す人は、「扶養内勤務OK」と記載がある求人を狙っての職探しがおすすめです。

扶養内勤務OKの仕事を探すならスタンバイを活用しましょう。多彩な求人を扱うスタンバイなら、希望にマッチした仕事が見つかるはずです。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら