扶養範囲で働きたい学生バイト必見。月々いくらに抑えたらいいのか解説

学生バイトなら、親から「扶養範囲内で働いてくれ」と言われた経験があるでしょう。扶養という言葉は何となく知っていても、具体的にどうしたらよいのか、イメージが湧かない人も多いはずです。扶養範囲で働く際の月収の上限額について解説します。

学生バイトが扶養範囲で働く場合の月収上限

電卓と給与とタイムカード

(出典) pixta.jp

扶養範囲内で働くには、月収をセーブする必要があります。具体的にはいくらにまで抑えればよいのでしょうか?学生バイトが扶養範囲内勤務を達成するための月収上限額を紹介します。

月収は約8万5,800円までに抑えよう

扶養範囲内で働くには、年収を103万円以下に抑える必要があります。年収103万円を月ごとに分けると約8万5,800円になるので、月々のバイト代を約8万5,800円までに抑えられれば、扶養から外れずに勤務可能です。

例えば、時給1,000円のバイトを1日5時間行う場合、週4日勤務で月収は8万円に達します。このように、月収8万5,800円は少しでも積極的に働くと簡単に到達してしまうラインです。扶養範囲内で働きたいなら、注意深くシフトに入る量を計算する必要があるでしょう。

扶養範囲で働くとはどういうこと?

働く男性

(出典) pixta.jp

「扶養範囲内で働く」という言葉は、税制上の扶養と社会保険上の扶養の2つの意味を持ちます。扶養内バイトを実現したいなら、これら2つの扶養の意味の正しい理解が必要です。

税制上の扶養

税制上の扶養とは、家計を支える人の所得から、収入の少ない家族の年齢や人数に応じた金額を差し引ける制度です。扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除が税制上の扶養に当たります。

学生バイトが考慮すべきなのは扶養控除です。扶養控除とは、生計を一にする収入の少ない家族がいる場合に適用される所得控除です。

扶養控除の適用を受けるには、扶養親族の1人当たりの合計所得が48万円以下である必要があります。扶養家族が給与所得のみ受け取っている場合、年収103万円以下が要件です。

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

社会保険上の扶養

社会保険上の扶養とは、親や配偶者の加入する健康保険や厚生年金の被扶養者になることです。

日本国民には、何らかの健康保険への加入が義務付けられています。また20歳以上の国民は、世帯所得に関係なく国民年金への加入が必須です。しかし社会保険上の被扶養者になれば、社会保険に入っているとみなされると同時に保険料を納める必要がなくなります。

社会保険上の扶養に入る要件は、年収130万円未満かつ被保険者の年収の1/2未満であることです。同一世帯に属していない場合には、年収130万円未満であることに加え、被保険者からの援助による収入額より少ないことが求められます。

参考:被扶養者とは? | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

バイトをするなら知っておきたい扶養控除の知識

扶養控除書類

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学生バイトが扶養控除に関する知識を持っていないと、家計に思わぬ負担をかけてしまうかもしれません。学生でバイトをするなら確認しておきたい、扶養控除の基礎知識を紹介します。

控除対象扶養親族の要件

扶養控除を受けるには、税制が定める扶養親族に該当している必要があります。税制上の扶養親族に当てはまるのは以下の条件を満たす人です。

  • 年間の合計所得が48万円以下(年収にして103万円以下)
  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)である
  • 扶養者と生計を一にしている
  • 青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でない
  • その年の12月31日時点で年齢が16歳以上

扶養控除は同居が要件ではありません。進学で1人暮らしをしている人でも、扶養者による仕送りで生活していれば、扶養親族とカウントされます。

給与所得以外の所得がある場合

扶養控除は、被扶養者の所得の額によって適用されるかが決まるため、学生バイトで給与所得以外の所得を得ている人は、扶養控除の所得要件を頭に入れておきましょう。

その要件とは、被扶養者の年間合計所得が48万円以下であることです。YouTuberやUber Eatsなど、個人事業主として報酬を得る仕事をしている場合、収入から経費を引いた所得の額で扶養に入れるかが決まってきます。「扶養に入れるのは年収103万円以下」と覚えていると、状況を見誤る可能性があるので注意しましょう。

バイトと個人事業主を掛け持ちしている場合、バイトから得た所得と個人事業主として得た所得を合算し、この額が48万円以下であれば扶養控除が適用されます。

親族の年齢によって控除額が異なる

扶養控除で親の所得から控除される金額は、扶養親族の年齢によって違います。扶養控除額は以下の通りです。なお、年齢はその年の12月31日時点をもって判定します。

  • 15歳以下:扶養控除の対象外※児童手当が支給される
  • 16~18歳:38万円
  • 19~22歳:63万円
  • 23~69歳:38万円
  • 70歳以上:同居なら58万円、別居なら48万円

19~22歳の扶養親族を「特定扶養親族」、70歳以上の扶養親族を「老人扶養親族」と呼びます。特定扶養親族は控除額が大きく、扶養から外れた場合に扶養者の課税所得の額に与える影響も大きくなるため、注意が必要です。

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

勤労学生控除と扶養控除の関係

学生の男女

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働く学生には特別な所得控除が設けられています。それが「勤労学生控除」です。勤労学生控除の基礎知識と、勤労学生控除の適用を受けたときの扶養控除の取り扱いについて説明します。

勤労学生控除とは

勤労学生控除とは、自ら働いて報酬を得ている学生を対象に、所得税や住民税の非課税枠を拡大する制度です。

例えば所得税の場合には、勤労学生控除を活用すると27万円が控除され、所得税の課税が始まるラインが103万円から130万円にアップします。

対象となるのは以下に当てはまる学生です。

  • 給与所得をはじめとする所得がある
  • 合計所得金額が75万円以下で、しかも勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下である
  • 特定の学校の学生や生徒である

勤労学生控除は、税金を気にせずしっかり働きたい学生にとって、見逃せない控除です。

参考:No.1175 勤労学生控除|国税庁

勤労学生控除を受けていると扶養控除が受けられない 

勤労学生控除を利用しても、所得税や住民税の課税が始まるラインは押し上げられません。適用されたとしても、扶養控除が受けられる年収の上限は103万円以下のままです。そのため勤労学生控除の適用を受けて年収130万円ぎりぎりまで働くと、扶養控除から外れてしまいます。

利用を検討する際は、年収130万円ぎりぎりまで稼いだときと、年収103万円以下に抑えたときの世帯全体の手取り額を比較し、手取り額が多くなる方を選択するのが大切です。

扶養範囲で働くための具体的な方法

スケジュール帳に書き込む

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扶養範囲での勤務を実現する具体的な方法を紹介します。親の扶養に入ったままバイトをしたい人は試してみましょう。

バイト先に扶養範囲で働きたいと伝える

扶養範囲内で働くには、バイト先に「扶養範囲内で働きたい」と伝えるのが先決です。扶養範囲内を超えない程度にシフトを調整してもらえる可能性があります。

バイト代を扶養範囲内に収められるかどうかは、シフトの量に大きく影響されます。シフト量を抑えられれば月収も一定以下に抑えられるので、シフト調整の協力は必要です。

学生バイトは扶養範囲で働くのが一般的です。学生を採用している時点で扶養範囲内での勤務が想定できるため、シフトの調整を拒まれることはまずないでしょう。

「扶養内勤務OK」のバイトを探す

これから扶養範囲内で働けるバイトをしたい人は、扶養内勤務OKのバイトを探すのが賢明です。シフト量に配慮して組んでくれる職場に出合える確率が高まります。

学生バイトは扶養内勤務を希望する場合がほとんどなので、「学生活躍中」や「学生歓迎」などの文言が記載されている仕事でも、扶養に配慮して働かせてもらえる可能性が高いといえます。

扶養内勤務OKの仕事を探すなら、スタンバイがおすすめです。さまざまな条件の求人がそろっているスタンバイなら、気持ちよく扶養内で働かせてくれる仕事が見つかるでしょう。

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扶養範囲を超えるとどうなる?

給料と給料袋

(出典) pixta.jp

扶養から外れると何が起こるかを解説します。扶養範囲を超えて働くと、税金や社会保険料の負担が増えるので、扶養に入る場合と入らない場合でどちらが得か見極めましょう。

親が納める税金が増える

学生バイトは年収103万円を超えてしまうと、扶養控除が受けられなくなります。扶養控除の適用外になると、親の所得から控除される金額が少なくなるので、親が納める所得税や住民税が高くなります。

学生バイトが扶養から外れると親の負担がどれほど増えるのか、19歳の学生バイトがいる年収600万円の家庭であれば、特定扶養控除から外れるため、所得税と住民税合わせて約11万円の負担増となります。親の収入が多ければ所得税率はさらに上がります。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

所得税の納税義務が発生する

年収が103万円を超えると、扶養から外れるだけでなくバイトをする本人に対しても所得税が課されます。所得税の課税が始まるのは、年収が103万円(給与所得控除55万円+基礎控除48万円)を超えたところからです。

年収103万円を少し超えたくらいなら、課される所得税はそこまで多くありません。課税所得194万9,000円までは税率が5%なので、負担が発生しても数千円で済みます。

扶養範囲でも住民税がかかる場合がある

所得税と住民税は課税が始まるラインが異なるため、年収が103万円以下に抑えられていても、年収によっては住民税の納税義務が発生します。

住民税は均等割と所得割に分けられます。均等割とは、一定以上の所得がある人に求められる定額の税金です。一方の所得割とは、納税義務者の所得に応じて納税額が増える税金のことです。

均等割と所得割は非課税限度額が異なります。均等割は自治体によりますがおおむね年収93万~100万円超えから、所得割は年収100万円超えから課税が始まります。年収が100万円超103万円以下の場合、所得税は非課税でも住民税が課税されることに留意しておきましょう。

社会保険料を自分で払わなくてはいけなくなる

年収が130万円を超えると、社会保険料の負担が発生します。年収が130万円を超え、社会保険上の扶養から外れてしまった場合、2つのケースが考えられます。

1つがバイト先で社会保険に加入するケースです。1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が通常の労働者の3/4以上の場合や、特定の条件を満たした場合に適用され、基本的に差し引いたうえで給与が支払われます。

もう1つが個人で国民健康保険・国民年金に加入するケースです。国民健康保険や国民年金はさまざまな方法で納められますが、口座振替を利用すると手間が省けて便利です。

学生バイトは扶養範囲に気を付けよう

コンビニのアルバイト

(出典) pixta.jp

学生は自由になる時間が多いため、バイトの時間を増やして収入をアップさせたいと考える人も多いでしょう。しかし、安易な気持ちでシフトを増やすと、親の扶養から外れてしまう可能性があるので、注意が必要です。

扶養範囲を超えて働いてしまうと、親の税負担が増え、自分自身にも所得税が課せられます。バイト代が増えても、家計全体で見るとマイナスになるケースも多々あります。

時間があるからといって、シフトを無限に増やすのは危険です。扶養条件に配慮して、家族を困らせない働き方を実現しましょう。