ハローワークでの求職活動・失業保険受給の流れ。利用するメリットも

就職・転職のサポートをしてくれる「ハローワーク」は、どのような機関なのでしょうか?主な特徴と、利用するメリット・デメリットを紹介します。利用の流れや受けられるサービス、失業保険の受給を考えている場合の手続き方法も確認しましょう。

ハローワークとは?

ハローワークの看板

(出典) pixta.jp

ハローワークは、「公共職業安定所」とも呼ばれています。転職活動をする際に利用できる機関です。基本的な概要やサービス内容を見てみましょう。

国が運営する雇用サービス機関

各都道府県にある「ハローワーク」は、厚生労働省が運営する雇用サービス機関です。主なサービスは職業紹介で、誰でも無料で仕事を探せます。そのほか、雇用保険の手続きや雇用関連の相談など、さまざまなサービスを提供しています。

外国人雇用や新卒採用など、専門的な相談に対応しているところもあります。ハローワークとは、雇用に関する全般的な相談ができる国営の機関だと考えておきましょう。

参考:ハローワーク |厚生労働省

求職申し込みの手続き方法

申込用紙に記入する手元

(出典) pixta.jp

ハローワークの職業紹介を利用するには、何をすればよいのでしょうか?一般的な求職申し込みの方法を紹介します。ハローワークの受付、インターネットでの申し込みなど、ケース別に見ていきましょう。

ハローワークの受付で申し込む方法

直接ハローワークに行って申し込む場合は、受付で手続きを行います。

まずは施設内にあるパソコンで仮登録手続きをした後、受付に向かいましょう。パソコンの操作に慣れていない場合は、「求職申込書」に必要情報を記入して受付に持って行きます。

ハローワークは各都道府県にあり、地域ごとに運営されています。自分が住んでいる地域が管轄するハローワークの場所は、公式サイトから検索が可能です。自宅の最寄りの施設や、仕事を探したい場所での利用を検討しましょう。

受付が終わるとハローワーク受付票が発行され、全国のハローワークで職業紹介や雇用関連のサポートなどのサービスが受けられるようになります。

インターネットで申し込む方法

ハローワークの登録は、パソコンやスマートフォンからも手続きが可能です。直接出向くことなく手続きが完了するため、スムーズに進められます。

まずはハローワークインターネットサービスにアクセスし、新規アカウントを開設しましょう。開設後14日以内に求職者情報を入力し、マイページを作成すれば申し込みは完了です。求人の検索から応募まで、オンラインで完結します。

ただし、雇用保険の手続きをする場合は、住所地を管轄するハローワークの窓口に出向かなければなりません。障がい者雇用など、一定の事情がある場合も原則窓口での対応に限られます。求人検索や応募以外の手続き・相談は、窓口を活用しましょう。

ハローワークでの求職活動の流れ

タイピングをする手元

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ハローワークで求職活動を始めるには、どのようにサービスを利用すればよいのでしょうか?基本的な活動の流れと、面接を受けるまでの手順を解説します。

求人検索を行う

ハローワークインターネットサービスや、施設内のパソコンで求人を検索し、気になった求人があれば相談や応募ができます。

まずは、パソコンやスマートフォンで求人情報を探しましょう。窓口では、求人情報に関する相談や詳細の確認が可能です。

求人情報に書かれていない内容や、細かい条件を知りたいときは担当者に相談しましょう。聞きたい内容によっては、求人情報を出している会社に確認を取ってもらえることもあります。

求人に応募する

応募したい求人を見つけたときは、履歴書や職務経歴書を準備します。履歴書はほとんどの会社で必要となる書類ですが、職務経歴書は応募先によって不要なケースもあるでしょう。

紹介状を書いてもらいたいときは、求人票を印刷して窓口に行きましょう。インターネットで求人を見つけた場合は、「応募(ハローワーク紹介)」というボタンから手続きを進めます。

求人情報を掲載している企業へ直接応募することも可能ですが、ハローワーク経由での応募・採用とはなりません。応募者や掲載企業が手当や助成金の条件を満たさなくなるケースもあるため、紹介状を用意してもらってハローワーク経由で応募するのがベターです。

応募企業で面接を受ける

求人に応募した後は、企業やハローワークと面接のスケジュールを決めます。紹介状がある場合は、面接に持参しましょう。履歴書・職務経歴書など、企業側が指定した書類も必要です。

一般的な就職・転職活動と同様に、服装はスーツが基本です。ただし、企業の雰囲気によってはスーツ以外の服装が許容されることもあります。面接時の服装に指定がある場合は、企業側の指示に従いましょう。

求職活動中に受けられるサービス

相談窓口

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ハローワークでは、無料サービスを受けられます。求職活動に関するサービス内容と、特徴を確認しましょう。民間では有料で提供されているようなサービスでも、無料で受けられるケースがあります。

求人検索・就職相談

ハローワークでは、施設内に設置されたパソコンやハローワークインターネットサービスから、無料で求人検索ができます。

自宅に通信機器があるならパソコンやスマホを使って求人を検索し、窓口で相談しながら求人を探したいときは施設のパソコンを使うなど、目的に合わせて使い分けが可能です。

窓口では、就職相談にも対応しています。求人内容の確認や相談は、窓口を利用しましょう。個別の相談やセミナー参加は、予約が必要なこともあります。参加したいセミナーがある場合は、ハローワークの掲示板やホームページで探してみましょう。

職業訓練の申し込み

ハローワークでは、職業訓練の申し込みが可能です。一定の条件を満たすと、WEBデザインやプログラミングの訓練を無料で受けられます。

雇用保険を活用して手当を受給しながら職業訓練に参加できるケースもあり、仕事探しの前にスキルを身に付けたい人に役立つでしょう。手当の受給には条件があるため、窓口での確認・相談が必要です。

応募したい業界で一定のスキルや資格が必要なときは、職業訓練で対応できる可能性もあります。該当のスキルや資格が訓練の対象になっているか確認し、必要があれば申し込みましょう。

応募書類の添削・面接対策

ハローワークでは、履歴書・職務経歴書の添削や面接対策も可能です。簡単なサポートは窓口の職業相談でも対応しています。

細かい添削やサポートを希望する場合は、セミナーに参加しましょう。例えば再就職支援セミナーでは、再就職に向けた心構えの説明や、書類の書き方を指導してもらえます。

転職が初めての人や、自分の職歴やスキルをどのようにアピールすべきか悩んでいる人は、窓口とセミナーを活用してみましょう。

ハローワークで求職活動するメリット

就活中の女性

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ハローワークでの求職活動にはメリットが多数あります。施設数が多く、利用しやすいだけではありません。主な特徴と魅力を紹介します。

無料で利用できる

ハローワークは、基本的に無料で利用できます。国が運営する施設でもあり、求人検索や応募には原則お金はかかりません。有料の求人情報誌のように、お金をかけて求人を探す必要がない点がメリットです。

求人検索・応募だけでなく、セミナーや職業相談によるサポートも無料で利用できます。転職に向けて職員のサポートを利用したい場合は、ハローワークでの求人活動を検討しましょう。

雇用保険の手続きや職業訓練など、就職に向けて給付を受けられることもあります。条件に該当する場合は、ハローワークを利用して訓練や保険給付を受けましょう。

ニーズに特化した窓口がある

ハローワークは国が運営している機関でもあり、特定の条件に当てはまる人に向けた施設が設けられています。障がい者・外国人・若年者・子育て中の女性などの条件に当てはまる場合は、専門施設で相談すると仕事を見つけやすいでしょう。

そのほか、氷河期世代やシニア向けの専門窓口もあります。一般の求人では見つけにくい仕事でも、専門窓口なら選択肢が多いでしょう。

未経験の業界への転職を考えている人や、子育て中で働ける時間が限られている人など、状況に合わせたきめ細かいサポートが受けられるのが特徴です。

ハローワークにしかない求人をチェックできる

「求人を無料で掲載できる」「地域ごとに施設が設けられている」といった特徴から、ハローワークの求人は地域密着率が高くなっています。掲載料がかからないハローワークを活用する企業は多く、ほかでは取り扱いがない求人を見つけられるかもしれません。

特に都市部以外では求人数が少なく、地域密着型の雇用サービスを利用する企業が多くなります。地元で仕事を見つけたいときは、エリアを管轄する施設で求人を探してみましょう。地元でよく知られている人気の企業や、優良な中小企業の求人を探すには最適です。

ハローワークで求職活動するデメリット

考え事をする男性

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ハローワークでの求職活動には、デメリットもあります。具体的なデメリットと特徴を解説します。合わないと感じる場合は、別媒体での求職も検討しましょう。

利用できるのは基本的に平日のみ

ハローワークの営業日は、ほとんどが月曜日から金曜日までの平日のみです。営業時間も17時頃までとなっている施設が多く、平日に働きながら求職活動をする場合は利用が難しくなります。平日に休みを取って出向くか、朝・夕方の時間帯を活用することになるでしょう。

退職後や有休消化中の求職活動であれば都合がつきやすいものの、平日の日中に時間を確保できない人は注意が必要です。最寄りの施設の営業時間を確認し、通えるかどうかを確認しておきましょう。

参考:都内ハローワーク・関連施設の開庁時間一覧 | 東京ハローワーク

企業の質に差がある

ハローワークに求人を出しているのは、優良企業だけとは限りません。募集内容と実態が異なる場合は指導が入りますが、質には差があると考えておきましょう。

求人が多い分、職場環境のよくない会社が紛れている可能性もあります。求人を出す側も無料で使えるため、小規模事業者や金銭的に余裕がない会社でも求人掲載が可能です。

求人を出している会社を調べて、希望する業務内容や賃金で働けるかどうかを見極めなければなりません。さまざまな求人があっても、希望に合わないものが多くなる可能性があります。

ハローワークを上手に利用するコツ

相談窓口のイメージ

(出典) pixta.jp

どのようにハローワークを使うと、仕事探しがうまくいくのでしょうか?利用のポイントや、活用の方法を紹介します。一般の求人サイトとは違うサービスを提供している点も押さえておきましょう。

積極的に窓口で相談する

窓口では、担当者が求職相談を受け付けています。求人検索だけでなく、無料で使えるサービスを積極的に使いましょう。求人情報の詳細確認や就職相談など、サービスは多様です。

履歴書・職務経歴書を持ち込むと、添削やアドバイスをもらえることもあります。窓口に足を運ぶ場合は、事前に準備しておきましょう。

ただし、窓口の職員が全ての相談に付き合ってくれるとは限りません。ほかの利用者との兼ね合いや、職員の熱量によってはあたりさわりのないアドバイスで終了することもあります。相性のよい職員に出会った場合は、積極的に相談しましょう。

インターネットサービスを利用する

インターネットサービスを使うと、施設の営業時間外でも求人検索や応募ができます。ハローワークに出向く時間がないときは、インターネットでの検索や応募を検討しましょう。

24時間いつでも利用でき、インターネット経由でも紹介状の表示が可能です。窓口で相談しなくても、効率よく自分に合った求人を探せます。働きながら求職活動をするなら、インターネットをうまく活用しましょう。

失業給付の手続きもハローワークで

書類に記入する

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ハローワークで対応しているのは、職業紹介だけではありません。雇用保険関連の手続きも窓口で行います。失業保険を受給するまでの流れや、条件について見ていきましょう。

失業保険受給までの流れ

退職後、失業保険を受給するには住所地を管轄するハローワークに出向きます。求職の申し込みを行った後に、「雇用保険被保険者離職票」などの必要書類を提出しましょう。雇用保険被保険者離職票は、退職後に会社から届く書類です。

窓口で離職票や状況を確認し、受給資格を満たしていれば失業保険の受給が決定されます。後日、受給者向けの説明会に参加する必要があります。

実際に失業保険を受給するには、説明会の後も指定日に出向き、失業状態である認定を受けなければなりません。求職活動を行い、仕事を探している実績も必要となるため、説明会の内容はしっかり頭に入れておきましょう。

参考:雇用保険の具体的な手続き|ハローワークインターネットサービス 

受給手続きはハローワークで行う必要がある

失業保険の受給には、ハローワークの窓口に出向かなければなりません。合わせてハローワークでの求職申し込みも必要となり、仕事を探しながら給付を受けます。

失業保険の受給資格を満たす前に仕事が見つかった場合は、給付の対象にはなりません。自己都合退職では待期期間が長く設定されているため、失業保険の給付前や給付直後に仕事が見つかることもあるでしょう。

失業保険が早く打ち切られることになったとしても、「就業促進手当」の支給に該当する場合は再就職手当や就業手当などを受け取れます。該当する手当があるかどうか、窓口の担当者に確認しながら求職活動を進めていきましょう。

失業保険の受給条件

失業保険の受給要件を満たすと、給付を受けられます。

  • ハローワークで求人申し込みをしている
  • 就職しようとする意思がある
  • 失業状態にある
  • 離職日以前に、被保険者期間が規定以上ある

上記の要件を全て満たした上で受給開始時期になると、失業保険の受け取りが可能です。

離職日以前の雇用保険加入期間は、離職理由や状況によって変化します。自己都合退職であれば、離職日以前の2年間で、通算12カ月以上の被保険者期間があることが要件です。

なお、病気・出産・妊娠・育児・定年などの理由で離職し、しばらく休養する予定の人は失業保険給付の対象外です。病気やケガであれば傷病手当金、妊娠・出産・育児であれば産休・育休制度を活用しましょう。

参考:ハローワークインターネットサービス - 基本手当について

受給手続きに必要なもの

受給手続きのためにハローワークへ出向くときは、以下のような書類や証明書が必要です。

  • 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
  • 個人番号確認書類
  • 身元確認書類
  • 写真
  • 本人名義の預金通帳かキャッシュカード

個人番号確認書類は、マイナンバーカード・通知カード・個人番号が記載されている住民票が該当します。身元確認書類としては、免許証・マイナンバーカード・保険証・官公署が発行した身分証明書などを持参しましょう。

写真は、縦3.0×横2.4cmのサイズ規定があります。身元確認書類としてマイナンバーカードを提示する場合は、省略が可能です。

また、失業保険の振込先情報が必要になるため、預金通帳やキャッシュカードも持っていきましょう。利用できない金融機関もあるので、管轄の施設に確認しておくと安心です。

参考:ハローワークインターネットサービス - 雇用保険の具体的な手続き

ハローワークを上手に使いこなそう

就職活動のイメージ

(出典) pixta.jp

ハローワークでは、窓口やインターネットサービスを使って求人検索・応募が可能です。失業保険の受給手続きもできるため、必要があれば窓口に出向きましょう。

ハローワークにしかない求人情報が見つかるケースもあり、さまざまな仕事を検討したい人に向いています。早く転職先を見つけたいときは、ハローワークに加えて求人サイトを活用するのもおすすめです。

「スタンバイ」では、全国の求人情報を地域別に検索できます。地元の求人も、インターネットで簡単に探せるでしょう。選択肢を増やすためにも、ハローワーク以外の雇用サービスも並行して活用してみてはいかがでしょうか?

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