体育教師の平均年収は?公立学校の給与の特徴・手当の詳細も紹介

地方公務員である公立学校教員の年収は、体育教師も含めて各自治体が定めた基準によって決まります。体育教師の平均年収や給与形態の特徴・手当の詳細を紹介します。また体育教師ならではの魅力ややりがいも、併せてチェックしましょう。

体育教師の平均年収

バスケットボールを抱えた体育教師

(出典) pixta.jp

公立の体育教師の平均年収は、どのくらいなのでしょうか?体育教師の平均年収を中学校・高校に分けて紹介します。

※賃金構造基本統計調査のデータは、一般労働者・企業規模10人以上のものを使用しています。

中学校の体育教師の平均年収

厚生労働省が発表する「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、体育教師も含めた「小・中学校教員」の平均年収(※)は約740万円と試算できます。

一方、国税庁が発表した「令和3年分 民間給与実態統計調査」では、日本の給与所得者の平均年収は「約443万円」です。中学校で働く体育教師の平均年収は、かなり高い水準といえます。

なお、小・中学校教員の月収(社会保険料や所得税が差し引かれる前の、定期的な手当を含めた給与)は、46万4,600円です。「年間賞与その他特別給与額」は182万2,000円です。

※平均年収は、賃金構造基本統計調査の「きまって支給する現金給与額」の12カ月分と「年間賞与その他特別給与額」を合計した金額です。

参考:
令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種|e-Stat
令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁

高校の体育教師の平均年収

同じく厚生労働省が発表する「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、体育教師を含む「高等学校教員」の平均年収は約678万円と試算できます。高校の体育教師も、日本の給与所得者の平均年収よりも、かなり高い金額といえます。

とはいえ、公立中学校の体育教師と比較すると、高校の体育教師の方が年収は低い傾向にあります。

高等学校教員の平均月収は、43万2,900円です。「年間賞与その他特別支給額」は158万200円となっています。

参考:
令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種|e-Stat
令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁

私立学校では差が大きい?

私立学校の体育教師の平均年収は、在籍している学校の規模・給与体系によって大きく異なります。公立学校の体育教師より高額なところもあれば、少ないケースもあるでしょう。

とはいえ、教師の平均年収については、私立と公立に大きな差はないといわれています。学校教師の給与については「私立学校は公立学校に準ずる」という考え方が一般的にあるためです。

ただし、私立学校では公立学校と違って残業代や休日出勤手当が支給されるため、公立学校の体育教師よりも年収に期待しやすい傾向にあります。

公立学校教員(体育教師)の給与の特徴

体育教師のイメージ

(出典) pixta.jp

体育教師を含め、公立学校の教員の給与は、私立学校の教員とは異なる特徴があります。公立学校の教員の給与について、詳しく見ていきましょう。

教員の給与は原則として地方公共団体が支給

学校の教職員の給与は、学校の設置者が負担する決まりです。公立学校の体育教師となった場合、給与は各地方公共団体から支払われます。

ただし、中学校は義務教育期間のため、義務教育期間のため、市町村立の中学校の場合、例外的に都道府県と国が、体育教師を含めた教員の給与を支払う決まりです。具体的には1/3を国から、2/3を都道府県から受け取ることとなります。

設置者である市町村ではなく都道府県と国が義務教育期間の教職員給与を負担する理由は、義務教育が憲法で保障された国民の権利であるためです。財源が安定している国や都道府県が支払うことにより、教育機会の平等や教育水準の維持・向上を図っています。

参考:
県費負担教職員制度|文部科学省
義務教育費国庫負担制度|文部科学省

給与の優遇措置がある

公立学校の教員の給与は、1974年に制定された「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」により、一般公務員に対し優遇措置が認められています。

例えば、文部科学省が発表している「教職員給与に関する諸制度等について」を見ると、一般行政職に対し、教員の給与が月額で1万6,096円分の優遇を受けていることが分かります※。

このような優遇措置が取られているのは、優れた教育人材の確保と教育水準の維持・向上のためです。景気に左右されず安定的に優秀な教員を確保できるよう、教員の給与は高めに維持されています。

ただし近年は、優遇措置を見直す動きが強まっています。教員の給与水準は一般行政職と同等にすべきとされ、諸手当についても見直しが検討されている状態です。

※2001~2005年度における5年間平均ベース

参考:
一般行政職と教員の給与比較|文部科学省
中央教育審議会 今後の教員給与の在り方について(答申) 第三章 メリハリある教員給与の在り方|文部科学省

公立学校教員(体育教師)に加算される手当

ラインをひく体育教師

(出典) pixta.jp

公立学校教員の給与には、さまざまな手当が加算されます。手当の詳細を見ていきましょう。

教員調整額、義務教育等教員特別手当

教員調整額とは、役付き以外の教員に一律に支給される手当です。公立学校の体育教師になれば「給料月額 × 4%」が、毎月支給されます。

教員調整額は「定額の残業代」のようなものです。教員の勤務時間は不規則で、一般行政職のような勤務時間管理は難しいとされています。「教員調整額を支給して、残業代の計上はなし」という制度が作られました。

とはいえ、この制度の根拠となる「(国立及び)公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」は、1971年に制定された古い法律です。現代の考え方にはなじまないとして、改革の機運が高まっています。

一方、義務教育等教員特別手当は、優秀な人材を確保するために設定された手当です。給料の平均の約3.8%の定額が、全ての教員に支給されます。

参考:中央教育審議会 今後の教員給与の在り方について(答申) 第三章 メリハリある教員給与の在り方|文部科学省

教員特殊業務手当、期末・勤勉手当

教員特殊業務手当とは、通常業務以外の特殊業務に従事した際に支給される手当です。例えば「修学旅行の引率」「入学試験の監督」「部活動の指導」「非常時・緊急時の対応業務」などを行った際は、業務に応じた手当が支給されます。

期末・勤勉手当は、6月と12月に支給される手当で、民間のボーナスのようなものです。期末手当は在職期間をベースに、勤勉手当は勤務成績をベースに金額が算出されます。支給対象は、6月1日と12月1日に在職する職員です。

参考:教員の手当一覧|文部科学省

体育教師が年収を増やすには?

体育教師の女性

(出典) pixta.jp

教師という職業は特殊で、成果を数値でアピールすることが困難です。年収を増やしたい場合、どのようなアプローチ方法があるのでしょうか?公立学校の体育教師の場合について解説します。

役付きになると管理職手当がプラスされる

比較的手軽なのが、役付きになることです。管理職手当がプラスされるため、確実に年収がアップします。

管理職手当は、校長が「給料(教員調整額をのぞく)×12~16%」、教頭が「給料×10~12%」、部主事が「給料×8%」です。年収アップを望むなら、校長・教頭・部主事を目指すのもよいでしょう。

ただし、管理職になるには、選考や審査を通過する必要がある上、教員経験年数の規定もあります。体育教師になっても、すぐに管理職になるのはほぼ不可能です。例えば、東京都の場合、23歳の新人が校長になれるのは、最速でも44歳となります。

参考:
教員の任用|東京都教育委員会ホームページ
教員の手当一覧|文部科学省

私立学校に転職する方法もある

すぐに年収をアップしたいと考える人は、私立学校に転職するのも1つの方法です。

私立学校は、学校法人などから給料が支払われます。広くリサーチすれば、公立学校よりも基本給が高い学校が見つかるはずです。

また、私立学校なら、残業すれば残業代が支払われます。実力主義の学校なら、年齢にかかわらず昇進できる可能性もあり、年収をアップさせやすい環境といえます。

体育教師の仕事や魅力について知ろう

体育を監督する教師

(出典) pixta.jp

体育教師として働くなら、仕事内容や魅力についても確認しておきたいところです。体育教師になったときの働き方や、やりがいを紹介します。

体育教師の仕事内容

体育教師は、中学校や高校で「保健体育」の教科を担当します。体を使って実践的な指導を行ったり、テキストを使って保健・健康教育を行ったりするのが主な仕事内容です。1年間のスケジュールは厳密に定められており、学習指導要領に沿って効率よく生徒を指導していかなければなりません。

また、体育教師でも、クラス担任や部活動の指導を任される場合もあります。勤務形態は常勤のほか、非常勤での採用も少なくありません。

体育教師として働く上で必要なのは、運動能力や体力・指導力です。このほか生徒と良好な関係を保つ上では、コミュニケーション能力・忍耐力や、生徒の気持ちに立って考えられる柔軟な思考力も求められます。

体育教師の魅力・やりがい

体育教師の魅力は、体育を通じて子どもの教育をサポートできるところです。

「跳び箱を跳べない子どもが、自分のフォローによって跳べるようになった」「運動が嫌いな子どもが、楽しそうに授業を受けるようになった」など、このような場面を目にすれば、体育教師になってよかったと思えるはずです。

なお2022年度より、小学校高学年にも担当教科制度が順次導入されることとなりました。対象には体育も含まれており、今後は小学校でも体育教師のニーズが高まっていくと予想されます。

参考:小学校高学年における教科担任制に関する事例集~小学校教育の活性化に繋げるために~|文部科学省

体育教師の年収は地方公務員と同程度といえる

体育教師のイメージ

(出典) pixta.jp

公立学校の体育教師の給与は、地方自治体から支払われます。年収は地方公務員と同程度と考えてよいでしょう。

体育教師として高い年収を得たい場合は、実力主義の私立学校を選択した方がよいかもしれません。私立学校なら残業代が出る上、昇進しやすいところもあります。また、役付きになれば、年収アップも期待できます。

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