エンジニアの職種は豊富?自分に合った職種を選ぶポイントを紹介

エンジニアは、業務内容によって複数の職種に枝分かれします。開発がメインの仕事もあれば、運用・保守をする仕事もあり、職種ごとに求められる技術や資質が異なります。エンジニアの種類や業務遂行に必要な基本のスキルをチェックしましょう。

エンジニアの種類とは

パソコンを操作する手元

(出典) pixta.jp

本来、エンジニアは「工学に関する専門技術を持った人材」を意味する言葉ですが、近年は、情報技術分野で活躍する「IT技術者」を指すのが一般的です。

複数の職種・ポジションがあるため、エンジニアを目指す人は仕事内容や求められるスキルをよく理解する必要があります。

大別すると4種類になる

仕事内容や求められるスキルによって、エンジニアの職種は以下の4種類に大別されます。

  • 開発系:システムやアプリの開発を行う
  • インフラ系:ネットワークやセキュリティなどのITインフラに関して構築・運用・管理を行う
  • プロジェクト管理系:開発プロジェクトのマネジメント・管理を行う
  • 営業・サポート系:開発には携わらず、エンジニアの知識を生かしたサポート業務を行う

仕事内容は多岐にわたり、プロジェクト管理系のエンジニアが開発の仕事を担うケースもあります。業務上、ポジションの兼任は当たり前にあることも頭に入れておきましょう。

開発系エンジニアの職種

資料を見て考え込むプログラマー

(出典) pixta.jp

開発系エンジニアは、システムやソフトウェア、アプリなどの開発を手掛けます。開発対象は広く、企業の業務システムを担当することもあれば、家電や車、工業用機器のプログラムを開発するケースもあります。代表的な職種と仕事内容を見ていきましょう。

プログラマー

エンジニアの仕事はチーム単位が基本です。プログラマーは開発プロセスの下流工程を担う職種で、ソフトウェアエンジニアと呼ばれることもあります。

システムやアプリを開発する際は、システムエンジニアが技術仕様書や機能仕様書を設計し、それらを基にプログラマーがプログラミングを行う流れです。

扱えるプログラミング言語が多く、かつ無駄のないコーディングができるプログラマーは、多くのプロジェクトで重宝されるでしょう。コンピューターが意図しない動作をした際は、不具合を見つけて修正する「バグ修正」も行います。

AIエンジニア

AIを使ったシステム開発を手掛ける職種で、ディープラーニングや機械学習を活用しながら、AIを構築していきます。代表的なAI技術には、顔認証システムや車の自動運転、異常の検知システムなどが挙げられます。

プログラミングやITの知識はもちろん、ビッグデータを分析する技術や数学的知見が必要であり、エンジニアの中でも専門性は高めです。

画像処理・自然言語処理・音声処理などの知識も求められるため、民間スクールのAIエンジニア育成コースで基礎知識を身に付けるのが望ましいでしょう。

組み込みエンジニア

機械製品に組み込まれた制御システムの開発・運用・保守に関わる職種です。

近年は、IoTやAIを組み込んだ機械製品が増加傾向にあります。デジタル化の加速に伴い、組み込みエンジニアの需要はますます増えるかもしれません。

組み込みエンジニアには、ソフトウェアとハードウェアの両方の知識が求められます。IoTやAIをはじめとする最新技術にも精通している必要があるでしょう。

独学やスクールで技術を習得した後、「ETEC(組込み技術者試験制度)」などの資格を取得しておくと、転職活動に有利です。

マークアップエンジニア

WebデザインをWebサイト上で動かすには、HTMLやCSSなどのマークアップ言語を活用し、コンピューターに情報を認識させなければなりません。

マークアップエンジニアの仕事は、文章にマークアップ言語の構文を記述し、タイトルや見出しなどの文章構造や装飾などを指定していくことです。Webコーダーの職種と混同されがちですが、役割は大きく異なります。

マークアップエンジニアはサイトの目的や文章の構造を正しく理解した上で、自らの権限によって改良を施していくのに対し、WebコーダーはページデザインをWeb上で閲覧できるようにすることが目的です。

インフラ系エンジニアの職種

危機を操作するエンジニア

(出典) pixta.jp

インフラ系エンジニアは、ネットワークやセキュリティなどのITインフラを扱う職種です。交通インフラが整っていないと車や電車が走れないように、ITインフラがきちんと整備されていなければ、どんなシステムも稼働に支障を来します。インフラ系エンジニアの代表的な職種をチェックしましょう。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアの仕事は、ネットワークの設計・構築・運用・保守に区別されます。ネットワークの設計・構築においては、顧客のニーズをヒアリングして設計書を作成し、最適なネットワーク環境を整備します。

ネットワーク構築後は、運用・保守がメイン業務です。不具合をチェックしたり、機器の設定変更を行ったりして、円滑なネットワークの維持に注力します。

納期に追われることはありませんが、障害の発生時は迅速な対応が求められます。ネットワークや周辺機器、セキュリティなどに関する幅広い知識が必要なため、誰もが容易に就ける職業ではありません。

セキュリティエンジニア

さまざまな脅威からネットワークやシステムを守る職種です。ネットが普及した現代、不正アクセスやサイバー攻撃、ウイルス感染などにより、企業や個人の重要な情報が流出する事件が絶えません。

セキュリティエンジニアは、顧客の状況を把握した上で、必要な情報セキュリティシステムの企画・提案・実装・運用・保守を手掛けます。

未経験者の場合、ほかのITエンジニアの職種で経験を積んでからセキュリティエンジニアにスキルアップするケースが多いようです。キャリアパスとしては、セキュリティアナリストやホワイトハッカーなどがあります。

クラウドエンジニア

クラウドサービスの登場により、オンプレミス型からクラウド型のサーバに移行する企業が増えています。クラウドエンジニアはインフラエンジニアの中でも、クラウドサービスに特化した職種です。

主な業務はインフラ設計ですが、クラウド環境そのものを構築したり、構築後のシステムの運用・保守を手掛けたりして、日常業務の円滑化をサポートします。

必要な資格や学歴はないものの、通信ネットワーク・周辺機器・仮想化技術・ネットセキュリティに関する知識は必須です。近年は、オンプレミス型からクラウド型に移行する企業が多いため、オンプレミスの知識も欠かせません。

データベースエンジニア

データベースとは、特定のデータ形式で保管されたデータの集合体で、必要なデータを容易に検索・利用できるように設計されています。代表的なものには、顧客名簿や在庫情報、住所録などが挙げられるでしょう。

データベースエンジニアの主な業務は、データベースの設計・構築・運用・保守です。

企業によって利用目的や求める性能が異なるため、十分なヒアリングをした上で設計・構築をしなければなりません。構築完了後は、セキュリティ対策やデータのバックアップ、アクセス権の設定などを行います。

データベースエンジニアになるには、データ設計スキルやデータベース製品の知識が不可欠です。プログラマーやシステムエンジニアのポジションで経験を積んだ後、データベースエンジニアに転身する人も少なくありません。

プロジェクト管理系エンジニア

ミーティングをするスタッフ

(出典) pixta.jp

プロジェクト管理系のエンジニアは、経営層との交渉や人・プロジェクトの管理といった上流工程を担当します。

代表的な職種には、システムエンジニアやITコンサルタントが挙げられます。下流工程の職種で経験を積んでから、徐々にスキルアップしていく流れとなるでしょう。

システムエンジニア

システムの開発過程において、顧客折衝や設計をする職種です。顧客との打ち合わせ後、ニーズを基に要件定義をし、基本設計および詳細設計を行います。

システム完成後は、設計書通りに稼働するかどうかをテストします。システムエンジニアがテスト計画の策定や品質チェックを担い、テスターやプログラマーがテストを担当するケースが多いようです。

システムエンジニアはプログラマーの上位職であり、プロジェクトではチームリーダー的な役割も担います。人員配置や進捗管理を行い、全体の作業が滞りなく進むように配慮します。

未経験からチャレンジする場合、プログラマーからシステムエンジニアを目指すのが一般的でしょう。

ITコンサルタント

ITのプロフェッショナルという立場から、経営層に助言を行う職種です。経営計画に基づいたIT戦略の策定から始まり、システムの見直しや導入の提案、最適化などによって、経営課題や業務課題を解決に導きます。

フリーで活躍する人もいますが、企業や個人事業主にコンサルティングを提供する「コンサルティングファーム」に所属して働くのが一般的でしょう。顧客の課題を見極めるに当たり、高いヒアリング力と情報収集力が求められます。

ITコンサルタントは、システムエンジニアやプロジェクトマネージャーのキャリアパスとして設定されるケースが多いようです。

営業・サポート系エンジニア

ヘルプデスクのイメージ

(出典) pixta.jp

営業・サポート系エンジニアは、顧客の立場に最も近いエンジニアです。開発には直接携わりませんが、技術面の知識は必須です。顧客と技術部門の橋渡しをする役目があるため、コミュニケーション力や柔軟性が求められるでしょう。代表的な2つの職種を紹介します。

セールスエンジニア

顧客に対し、製品の説明や提案、実演などをする職種です。エンジニアではありますが、業務内容はほぼ営業職と考えてよいでしょう。自社製品を売れば終わりではなく、導入支援や運用サポートなどのアフターフォローも行います。

顧客と技術部門の間に位置するポジションだけに、コミュニケーション力や調整力が求められます。IT知識のない相手に仕組みを分かりやすく説明したり、技術的な質問に答えたりといったシーンが多いため、IT技術や自社製品に関する知識も欠かせません。

技術職の経験がなくても、営業経験があればセールスエンジニアとして採用される可能性があります。転職を目指す人は、「基本情報技術者試験」などのIT関連資格を取得しておくとよいでしょう。

ヘルプデスク・サポートエンジニア

自社製品を導入したユーザーに対し、使用上のサポートや不具合時の対応を行う職種です。

開発工程に携わることはほとんどなく、顧客の声を拾い上げ、技術部門にフィードバックするのが主な役割です。品質向上につなげるため、社内マニュアルやFAQの作成および共有も行います。

顧客対応は電話やチャットが基本ですが、フィールドエンジニアとしての役割を兼ねている場合は、顧客先で緊急サポートや定期メンテナンスを行います。高い技術力に加え、問題解決能力やコミュニケーションが求められる職種といえるでしょう。

未経験者がサポートエンジニアを目指す場合、スクールや独学でIT関連の基礎を身に付ける必要があります。「基本情報技術者試験」や「ITパスポート試験」を取得しておくのがおすすめです。

エンジニアに必要とされる基本のスキル

エンジニアのイメージ

(出典) pixta.jp

職種にかかわらず、全てのエンジニアに必要とされるスキルがあります。社会人として身に付けておきたい重要な要素でもあるため、自分に足りないものは意識的に強化しましょう。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキング(論理的思考力)とは、物事の因果関係を整理しながら、順序立てて考える思考法のことです。

特に、開発に関わるエンジニアは人間の言葉が通じないコンピューターを相手にします。指示に曖昧さや矛盾があると意図した処理が行われないため、常に論理的な指示・命令を出す必要があります。

また、チームメンバーと情報を共有したり、顧客にプレゼンテーションしたりする際も、ロジカルシンキングが欠かせません。情報や状況を的確に整理し、根拠と結論を分かりやすく話せる人は、相手の納得や理解を得られやすくなるでしょう。

コミュニケーション能力

エンジニアというと、1人で地道に作業を遂行するイメージがありますが、チームメンバーや顧客、関連部署との連携が求められる職種です。円滑に業務を進める上では、協調性やコミュニケーション能力が重要視されます。

コミュニケーション能力とは、以下のような複数の要素で成り立ちます。

  • 相手の真意をくみ取る力(傾聴力)
  • 言いたいことを分かりやすく伝える力(プレゼン力)
  • 双方が納得できる着地点を目指して話し合う力(交渉力)

必ずしも「社交性が高い人」や「誰とでも仲よくできる人」を指すわけではない点に注意しましょう。

学び続ける意欲

IT技術はトレンドの移り変わりが激しいため、新たな知識・技術を常に学び続ける意欲が必要です。膨大な情報の中から自分に必要な情報を選び取り、正しく理解する能力も求められるでしょう。

実際、普段の業務を淡々とこなすだけでは、最新技術のキャッチアップは難しいのが実情です。独自に情報収集をするほかに、エンジニアの交流会やイベントに参加して積極的に人脈を広げましょう。

社外の交流で得た情報をメンバーに共有すれば、チーム全体のスキルアップにつながります。

まとめ:職種ごとの違いをしっかり把握して

オフィスで働く男女

(出典) pixta.jp

エンジニアは大きく4つに区分され、さらに複数の職種に枝分かれします。エンジニアへの転身を希望する人は、それぞれの違いを把握した上で、自分の資質や能力を生かせる職種を選択しましょう。

方向性が定まらないときは、下流工程を担うプログラマーからスタートし、システムエンジニアやインフラエンジニアなどへのキャリアアップを図る手もあります。基本スキルを着実に積み重ねていくことが優秀なエンジニアになる近道です。

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